人材開発支援助成金

【2026年最新】リスキリング助成金とは?企業・個人向け全体地図

【2026年最新】リスキリング助成金とは?企業・個人向け全体地図

この記事の結論

「リスキリング助成金」は単一の制度名ではなく、企業向けの人材開発支援助成金、経産省の個人向け支援、教育訓練給付、東京都の助成金などの総称です。対象者別の使い分けとよくある誤解を整理しました。

「リスキリング助成金」という名前の制度は、実はどこにも存在しません。厚生労働省の人材開発支援助成金、経済産業省のリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業、教育訓練給付金、東京都のDXリスキリング助成金――「リスキリング」という政策キーワードのもとに集められた、まったく別々の制度の総称として使われているのが実態です。対象が企業なのか個人なのか、財源が雇用保険二事業なのか経済産業省予算なのかで、申請者も窓口も戻ってくるお金の計算式も、まるごと変わります。

補助金ナビ編集部への問い合わせでも「リスキリング助成金を使いたい」という相談の中身は、実際には三者三様です。正直に言うと、この言葉だけで検索して申請窓口にたどり着こうとすると、かなりの確率で回り道をします。この記事では、まず全体の地図を1枚の表で示したうえで、よくある相談パターンごとに「結局どれを使えばいいのか」を整理し、最後によくある誤解を正します。

「リスキリング助成金」は正式な制度名ではない — 最初に外すべき思い込み

2022年の岸田政権下で「人への投資」施策の一環としてリスキリング支援が政策の前面に出て以降、複数の省庁・自治体がそれぞれ独自に「リスキリング」を冠した制度、あるいは実質的にリスキリングを支援する制度を並走させてきました。その結果、検索エンジン上では「リスキリング助成金」という一語で、性質のまったく異なる制度がまとめて語られる状況が生まれています。

大きく分けると軸は2つです。1つ目は「誰が申請するか」――会社が従業員のために申請する制度なのか、個人が自分自身のために申請する制度なのか。2つ目は「お金がどう動くか」――研修費用の一部が後から戻ってくる助成金・給付金なのか、そもそも研修自体が無料で提供される事業なのか。この2軸を意識するだけで、次章の地図はぐっと読みやすくなります。

なお、より広く補助金・助成金全体の中でどの制度が自社に合うかを比較したい場合は、補助金ナビ|【完全比較】中小企業向け補助金5制度 早見表【2026年】もあわせて参考にしてください。

制度の全体地図 — 対象者・戻ってくるお金・窓口の早見表

まず「リスキリング」というキーワードで語られることが多い代表的な7制度を、対象者・所管・助成の中身・窓口・2026年度(令和8年度)時点の状況で整理しました。

制度名 対象者 所管・窓口 戻ってくるお金の目安 2026年度の状況
人材開発支援助成金
(事業展開等リスキリング支援コース)
企業(雇用保険適用事業所) 厚生労働省/労働局 経費助成 中小75%・大企業60%+賃金助成 中小1,000円・大企業500円(1人1時間) 令和8年度末(2027年3月末)までの時限措置
人材開発支援助成金
(人への投資促進コース)
企業(雇用保険適用事業所) 厚生労働省/労働局 サブコースにより異なる(高度デジタル人材訓練など) 現行制度は2026年度が最終年度
人材開発支援助成金
(人材育成支援コース)
企業(雇用保険適用事業所) 厚生労働省/労働局 訓練経費・賃金の一部を助成(コースにより料率が異なる) 時限のない恒常コース
リスキリングを通じた
キャリアアップ支援事業
個人(在職中で転職を目指す人) 経済産業省/採択済み民間事業者 受講料の50%+転職後1年継続勤務で追加20%、最大56万円 令和8年度末(2027年3月末)まで継続予定
教育訓練給付金
(専門実践・特定一般・一般)
個人(雇用保険加入者・元加入者) 厚生労働省/ハローワーク 区分により20%〜80%、上限は年10万円〜64万円 継続中の恒常制度
東京都DXリスキリング助成金 企業(都内中小企業等) 東京都/東京しごと財団 研修費の3/4、1人1研修あたり上限75,000円、企業全体で年度上限100万円 令和8年度も実施
東京都DX実践人材
リスキリング支援事業
企業(都内中小企業等) 東京都産業労働局 60時間の研修プログラムを無料提供(金銭給付ではない) 2026年度の募集は終了

この7制度を眺めるだけでも、「リスキリング助成金でいくら戻るか」という質問には一つの答えがないことが分かります。特に見落とされがちなのが、人材開発支援助成金の3コースがすべて別物として扱われている点です。同じ「人材開発支援助成金」という名前でも、事業展開等リスキリング支援コース・人への投資促進コース・人材育成支援コースは対象要件も助成率も別々に定められており、どれか1つを指して「人材開発支援助成金はこうだ」と語るのは危険です。以下では、編集部に実際によく寄せられる3つの相談パターンに沿って、どの制度を軸に検討すればいいかを見ていきます。

相談1:「AI研修をやりたい。うちは中小企業。何を使えばいい?」

事例区分: 想定シナリオ
以下は100社以上のAI研修・導入支援を行ってきた経験をもとに構成した、典型的な相談パターンです。特定の実在企業を指すものではありません。

従業員向けにAI・DX研修を実施したい中小企業の場合、本命は人材開発支援助成金です。ただし同じ人材開発支援助成金の中にも複数のコースがあり、どれを選ぶかで助成率も手続きの負担も変わります。実は、この選択を誤ると「使えたはずの助成率」を数十万円単位で取りこぼすことも珍しくありません。

事業展開等リスキリング支援コース — 最有力。ただし令和8年度末まで

新規事業の立ち上げやDX化など「事業展開」に伴う研修であれば、このコースが最も助成率が高くなります。中小企業なら経費の75%、加えて研修時間中の賃金助成が1時間あたり1,000円つきます(令和7年4月の改定で960円から引き上げ)。1人あたりの経費助成上限は訓練時間に応じて30万円〜50万円、事業所単位の年間上限は1億円です。ただし、この制度は令和8年度末(2027年3月末)までの時限措置である点は必ず押さえておく必要があります。詳しいコース選びと申請の流れは人材開発支援助成金とは?コース一覧・助成率・申請の流れ|2026年度を、申請手順と締切の実務は人材開発支援助成金の申請手順と締切|2026年度で終了・厚労省公式ベースを参照してください。

簡単なシミュレーションをしてみます。中小企業が従業員5名に対して1人あたり20時間の生成AI活用研修(研修費用1人8万円)を実施した場合、経費助成は8万円×75%=6万円。これに加えて、20時間分の賃金助成が1人あたり1,000円×20時間=2万円つきます。5名分を合計すると、経費助成30万円+賃金助成10万円で、合計約40万円が助成される計算になります(実際の支給額は審査・実訓練時間の実績により変動します)。

人への投資促進コース/人材育成支援コース — 事業展開を伴わない研修ならこちら

「新規事業」というほど大きな話ではなく、既存業務の効率化のためにAIリテラシーを底上げしたい、というケースでは人への投資促進コースや人材育成支援コースが受け皿になります。人への投資促進コースは6つのサブコースがあり、高度デジタル人材訓練などAI研修と相性のよいものも含まれますが、現行制度は2026年度が最終年度とされています。サブコース別の助成率や向き不向きは【2026年最終年度】人への投資促進コース|6サブコース比較と活用ガイドで詳しく比較しています。

人材育成支援コースは時限のない恒常コースという意味で、長期的な人材育成計画を立てやすいのが強みです。ただし助成率は事業展開等リスキリング支援コースほど高くないため、「今すぐ最大の助成率を取りたい」なら前者、「毎年継続的に使える枠を確保したい」なら人材育成支援コース、という使い分けが現実的です。

AI・DX研修で対象になりやすい経費の具体例

「うちの研修費は対象になるのか」という質問には、制度ごとに判断基準が異なるため一律には答えられませんが、傾向として対象になりやすい経費と、対象外になりやすいケースを整理しておきます。

経費の種類 対象になりやすい制度 対象外になりやすいケース
生成AI活用の外部研修講座(公開講座)受講料 人材開発支援助成金(事業外訓練)、教育訓練給付金 職務に直接関連しない一般教養的な内容
社内向けに委託したAI・DX研修(オーダーメイド)の講師謝金 人材開発支援助成金(事業内訓練)、東京都DXリスキリング助成金 自社の経営方針説明会など、訓練に該当しない集会
eラーニング形式のAI・DX講座受講料 人材開発支援助成金(上限額が通学制より低く設定される点に注意) 進捗管理機能(LMS等)を持たない動画視聴のみのサービス
資格取得を目指すAI関連の教育訓練給付制度対象講座 教育訓練給付金(区分により対象講座リストが公開されている) 指定講座リストに掲載されていない独自講座

いずれの制度でも共通するのは、「職務に関連した知識・技能の習得」を目的とした訓練であることが前提になっている点です。マナー研修や趣味教養、社内の経営方針説明会のような集会は、どの制度でも対象外とされる傾向があります。

相談2:「東京都内の会社。国と都、両方使える?」

事例区分: 想定シナリオ
都内の中小企業からよく寄せられる質問を典型化したものです。

東京都内に事業所がある中小企業には、国の制度に加えて東京都独自の2つのリスキリング関連事業があります。まず紛らわしいのですが、この2つは名前は似ていても中身が全く違います。

東京都DXリスキリング助成金は、研修費用の一部を後から助成する現金給付型の制度です。助成率は3/4、1人1研修あたりの上限は75,000円、企業全体では年度上限100万円までの交付決定を受けられます。3時間以上10時間未満のDX関連研修が対象で、外部の公開講座・自社向け委託研修のどちらも使えます。詳細な申請ステップと不備が起きやすいポイントは東京都DXリスキリング助成金|研修費の3/4・上限100万円にまとめています。

一方の東京都DX実践人材リスキリング支援事業は、お金が戻ってくる制度ではなく、DXコンサルタントの伴走診断から60時間の個別最適化プログラムまでを丸ごと無料で提供する事業です。実施主体も東京都産業労働局で、東京都DXリスキリング助成金とは別の窓口になります。2026年度の募集はすでに終了していますが、次回募集に向けた準備や制度の全体像は東京都DX人材リスキリング支援事業とは?無料60時間講習の対象と申請を参考にしてください。

国の人材開発支援助成金と、東京都のこの2制度は、同一の経費を二重に計上しない限り原則として併用を検討できます。ただし研修内容によって細かい線引きがあるため、都の窓口(東京しごと財団)に事前確認をとってから計画届を出す順番が安全です。

実務上の使い分けとしては、まず無料の東京都DX実践人材リスキリング支援事業で自社の課題診断とスキル底上げの土台を作り、そのうえで具体的な研修(生成AI活用研修、業務効率化のためのDXツール研修など)を東京都DXリスキリング助成金や国の人材開発支援助成金で費用面から後押しする、という2段構えの組み立てが現実的です。ただし東京都DX実践人材リスキリング支援事業は募集枠が限られるため、募集開始のタイミングを逃さないよう、東京都産業労働局の発表を定期的に確認しておくことをおすすめします。

相談3:「会社は動いてくれない。自分で何とかしたい」

事例区分: 想定シナリオ
会社としての制度活用に前向きでない場合、個人として使える2つの制度が候補になります。

勤務先が助成金の活用に消極的、あるいは個人事業主・フリーランスで従業員という立場にない場合でも、自分自身でリスキリングに取り組む道は残っています。

1つ目は経済産業省のリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業です。これは「学び直して転職する」ことを前提とした事業で、対象者はサービス登録時点で企業と雇用契約を結んでいる在職者に限られます。講座修了後に受講料の50%、転職して1年以上継続勤務するとさらに20%が上乗せされ、合計で最大56万円の補助を受けられる設計です。裏を返すと、退職してから申し込んでも対象になりません。在職中に登録し、採択済みの民間事業者が提供するサービスを通じて手続きを進める必要があります。

2つ目は雇用保険の教育訓練給付金です。一般教育訓練は経費の20%(上限10万円)、特定一般教育訓練は40%(修了時、上限20万円)に加えて資格取得・就職で最大50%相当(上限25万円)まで積み増され、専門実践教育訓練は50%(受講中)から資格取得・就職・賃金上昇の条件を満たすと段階的に引き上がり、最大80%・年間上限64万円、3年間で上限192万円まで支給される仕組みです。転職を前提としない一般的な学び直しにも使える点が、経産省の事業との大きな違いです。AI・DX分野の講座選びや3区分の使い分けは教育訓練給付金でAI・DXスキルを習得する完全ガイドで詳しく解説しています。

どちらを選ぶかの分かれ目は「転職するかどうか」です。今の会社に勤め続けながらスキルアップだけしたいなら教育訓練給付金、学び直しを転職につなげたいならリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業、というのが基本的な整理になります。なお、雇用保険の加入期間などの要件を満たせば、この2つの制度を時期をずらして使うこと自体は制度上妨げられていません。ただし同一の受講料に対して二重に給付を受けることはできないため、対象講座が重複しないよう事前に確認してください。

自社・自分はどれを使うべきか — 判断フロー

ここまで3つの相談パターンを見てきましたが、実際には「うちはどのパターンに近いのか、そもそも判断がつかない」という声も少なくありません。そこで、ここまでの内容を実際に検討する際の分岐として整理し直します。上から順に自問していけば、候補となる制度が自然と絞り込めるはずです。

質問 YESの場合 NOの場合
Q1. 会社として従業員の研修費を申請したいか Q2へ Q4へ(個人向け制度を検討)
Q2. 新規事業や新分野への展開に伴う研修か 事業展開等リスキリング支援コースを優先検討 Q3へ
Q3. 東京都内に事業所があるか 人への投資促進コース・人材育成支援コース+都の助成金の併用を検討 人への投資促進コース・人材育成支援コースを検討
Q4. 転職を前提に動けるか(在職中) リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業を検討 教育訓練給付金を検討

併用できる?できない? — 組み合わせの実務ルール

「1つの制度で足りない分をもう1つで補いたい」という相談も多いため、組み合わせパターンを整理します。

組み合わせ 可否 注意点
人材開発支援助成金 + 東京都DXリスキリング助成金 条件付きで可能 同一の経費・同一の受講者・同一研修を二重に計上しない設計にする必要がある
人材開発支援助成金の複数コース(同一研修) 不可 1つの訓練は原則1コースのみで申請する
企業の助成金 + 個人の教育訓練給付金 受給者が別人であれば可能 同じ受講者・同じ研修費に対して企業と個人の双方が助成を受けることはできない
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業 + 教育訓練給付金 制度上は別建て 対象講座やサービス事業者の設計により実務上の併用可否が変わるため事前確認が必須

年間スケジュールの目安 — いつ動けばいいか

リスキリング関連の助成金・給付金は、締切のある予算事業と、通年で申請できる制度が混在しています。ざっくりとした年間の動き方の目安は次のとおりです。

時期 企業側の動き 個人側の動き
4月〜6月(年度初め) 年間の研修計画を立て、人材開発支援助成金の計画届提出を逆算する 教育訓練給付金の受給資格があるかハローワークで確認する
7月〜9月 東京都DXリスキリング助成金など自治体制度の募集開始を確認する リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業の対象サービスを比較検討する
10月〜12月 下半期の研修実施と実績報告の準備を進める 受講中の講座の進捗報告・給付申請の準備を進める
1月〜3月(年度末) 年度内の支給申請期限(多くは訓練終了後2か月以内)を最終確認する 年度替わりで制度要件が変わる可能性があるため最新情報を確認する

特に事業展開等リスキリング支援コースのように「令和8年度末まで」と期限が区切られている制度は、年度末に駆け込みで動こうとすると計画届の1か月前提出ルールに間に合わなくなるリスクが高まります。使うと決めたら、年度の早い段階で計画届の準備を始めるのが安全です。

実務担当者がよくつまずくポイント

複数の制度を横断して検討する際、担当者が実際につまずきやすい場面を4つ挙げます。

つまずき1:制度名だけで検索して、担当窓口を間違える

❌ 「リスキリング助成金」で検索して出てきた最初の制度に飛びつき、後から対象外だと分かる
⭕ まず自社(自分)が企業側の申請者か個人側の申請者かを先に確定させてから、該当する窓口の一次情報にあたる

つまずき2:研修を先に契約してしまう

❌ 良さそうな研修会社を見つけて先に契約・支払いを済ませ、あとから助成金を探す
⭕ 人材開発支援助成金も東京都DXリスキリング助成金も、原則として研修開始前の計画届・交付申請が前提。契約前に対象になるかどうかを確認する

つまずき3:eラーニングだから安心、と思い込む

❌ 「オンライン研修なら手続きが簡単だろう」と考え、通学制と同じ助成上限を見込んで予算を組む
⭕ eラーニングや通信制の訓練は、通学制よりも1人あたりの経費助成の上限額が低く設定されている場合が多い。予算組みの段階で上限額の違いを確認する

つまずき4:制度の対象期間を「今年度いっぱい使える」と誤解する

❌ 「令和8年度末まで」という表記を見て、令和8年度の年度末ぎりぎりに研修を組んでも間に合うと考える
⭕ 「年度末まで」は制度自体の実施期限であり、そこから逆算した計画届提出・訓練実施・支給申請のスケジュールが必要になる。実質的な申請の実務上の締切は、制度の終了時期よりもかなり手前になることを踏まえて動く

AI・DX特化で比較したい場合は — 用途別の詳細記事

この記事は「リスキリング助成金」という言葉そのものの整理を目的とした入口のため、AI人材育成に絞った制度比較や設備投資まで含めた活用事例は、それぞれ専門の記事に譲ります。AI人材育成という切り口で国・東京都・個人向けの7制度を横断比較したい場合はAI人材育成に使える助成金・補助金マップ2026|国・東京都・個人向け7制度を、AIカメラや検査システムなど設備投資とセットでリスキリング助成金を使った実例を知りたい場合はリスキリング助成金×設備投資加算事例4選をあわせてご覧ください。本記事で「自社が使える制度」の当たりをつけたあと、AI活用という具体的な目的に絞って深掘りしたい場合は、この2記事から読み進めるのがおすすめです。

よくある誤解 — ここで間違えると1円も戻らない

誤解1:個人事業主やフリーランスでも人材開発支援助成金が使える

❌ 「自分は個人事業主だが従業員代わりに研修を受けたので申請したい」
⭕ 人材開発支援助成金は雇用保険の適用事業所が、雇用する被保険者に研修を受けさせた場合に支給される制度です。個人事業主本人や、雇用契約のない業務委託の相手は対象になりません。個人として使える制度は、経産省のリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業か教育訓練給付金の系統になります。

誤解2:リスキリング助成金は無審査でもらえる

❌ 「研修さえ受ければ後から自動的にお金が戻ってくる」
⭕ どの制度も、研修を始める前の計画届・登録・交付申請が必須です。人材開発支援助成金は訓練開始日の原則1か月前までに計画届を提出しなければ助成対象になりません。先に研修を実施してから申請しようとしても間に合わないケースがほとんどです。

誤解3:経産省の個人向け支援は退職を決めてから申し込めばいい

❌ 「転職活動を始めてから、リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業に登録すればいい」
⭕ この事業はサービス登録時点で企業と雇用契約を結んでいる在職者であることが条件です。退職済みの状態では対象になりません。転職を検討し始めた段階、在職中のうちに登録しておく必要があります。

誤解4:東京都の制度と国の制度はどちらか一方しか使えない

❌ 「東京都の助成金を使うなら国の助成金は諦めるしかない」
⭕ 同一の経費を二重に計上しなければ、国の人材開発支援助成金と東京都の助成金を組み合わせて使える場合があります。研修の種類・時間・費用の内訳を分けて設計することが前提になるため、計画段階で両方の窓口に確認しておくのが安全です。

誤解5:一度使った制度は来年度も同じ条件で使える

❌ 「昨年度この助成率で使えたから、今年度も同じ条件だろう」
⭕ 事業展開等リスキリング支援コースや東京都の各事業のように、時限措置・年度ごとの予算枠が前提になっている制度が少なくありません。令和8年度で終了が予定されている制度もあるため、申請の直前には必ず最新の公募要領・要綱を確認してください。

誤解6:無料で受けられる制度は、お金が戻る助成金より価値が低い

❌ 「東京都DX実践人材リスキリング支援事業は無料だから、助成金より“おまけ”のような制度だろう」
⭕ 無料で提供される東京都DX実践人材リスキリング支援事業は、DXコンサルタントによる課題診断から60時間の個別最適化プログラムまでを含む、むしろ費用換算すれば相応の価値がある事業です。助成金のように「経費の一部が戻る」制度と、そもそも研修自体が無償提供される制度は設計思想が異なるだけで、優劣の話ではありません。自社の課題整理がまだできていない段階なら、むしろ無料の診断型プログラムを先に検討する価値があります。

申請前に用意しておきたい書類の目安

制度ごとに必要書類は細かく異なりますが、どの制度でも共通して準備しておくと動きが早くなる書類を整理しました。あくまで目安であり、実際の必要書類は各制度の最新の要領・要項で必ず確認してください。

制度 企業・個人が事前に準備しておきたいもの
人材開発支援助成金(各コース共通) 雇用保険適用事業所番号、事業内職業能力開発計画、職業能力開発推進者の選任、就業規則の写し
東京都DXリスキリング助成金 都内事業所であることを示す書類、対象研修のカリキュラム・見積書、企業規模(中小企業)を確認できる書類
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業 在職を証明する雇用契約関連書類、対象サービス事業者への登録情報
教育訓練給付金 雇用保険被保険者証、受給資格確認のための加入期間の記録、受講予定講座の教育訓練給付制度対象講座番号

特に人材開発支援助成金は「職業能力開発推進者」の選任や「事業内職業能力開発計画」の策定が支給要件に含まれているため、研修そのものよりも先に社内の体制整備が必要になる点は見落とされがちです。事業内職業能力開発計画の書き方はAI人材育成の助成金|事業内職業能力開発計画の書き方・記載例で具体的に解説しています。

まとめ — 今日から確認すべきこと

  1. 今日やること:自社(自分)が「企業として申請する側」か「個人として申請する側」かを、上の判断フローに沿って1つに絞り込む
  2. 今週中:候補になった制度の詳細記事(本記事内のリンク先)を読み、対象要件と申請期限を確認する
  3. 今月中:該当する公式窓口(労働局・経済産業省の事業者ポータル・ハローワーク・東京しごと財団のいずれか)に一次情報を確認し、計画届・登録の準備を始める

AI研修の内容設計や、どの制度がAI・DX活用の目的に合っているか判断がつかない場合は、AI導入の計画策定に関するご相談をお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

よくある質問

Q. 「リスキリング助成金」で検索すると出てくる制度は、結局どれが一番お得ですか?

一番お得かどうかは、申請者が企業か個人か、そして事業展開を伴う研修かどうかで変わるため一概には言えません。企業として中小企業の立場で事業展開に伴う研修を行うなら、助成率75%の事業展開等リスキリング支援コースが数字の上では最も有利になりやすい傾向がありますが、令和8年度末までの時限措置である点は踏まえておく必要があります。

Q. 会社の助成金と、自分自身が使う教育訓練給付金は同時に使えますか?

受給者が異なれば、制度上は別枠として扱われます。ただし同じ研修・同じ経費に対して、会社側の助成金と個人側の給付金の両方を重ねて申請することはできません。会社が経費を全額負担して助成金を受ける研修と、個人が自己負担で受けて給付金を申請する研修は、区別して計画する必要があります。

Q. 個人事業主でも使える制度はありますか?

雇用保険の被保険者であった期間などの要件を満たせば、教育訓練給付金は個人事業主でも対象になり得ます。一方、リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業は在職者(雇用契約を結んでいる人)を前提とした設計のため、個人事業主単独では対象外となるのが原則です。詳細な要件は各制度の公式窓口で必ず確認してください。

Q. 東京都以外の自治体にも同様の制度はありますか?

自治体によってDX・リスキリング関連の独自助成金の有無や内容は異なります。本記事は国の制度と東京都の制度を中心に整理していますが、他の道府県・市区町村の制度を確認したい場合は、各自治体の産業振興部門の公式サイトを確認することをおすすめします。

Q. 助成金が振り込まれるまで、どのくらい期間がかかりますか?

制度によって異なりますが、いずれも研修を実施し、実績報告・支給申請を行ってから審査を経て支給される「後払い」が基本です。人材開発支援助成金は訓練終了後の支給申請から数か月程度、東京都DXリスキリング助成金も支給申請後の審査を経ての交付となるため、研修開始前に自己資金で経費を立て替えられることを前提に計画してください。

Q. 人材開発支援助成金は、正社員以外(パート・契約社員)の研修にも使えますか?

雇用保険の被保険者であれば、雇用形態そのもので一律に対象外になるわけではありません。ただし訓練対象者としての要件(被保険者であること、訓練期間中も被保険者であること等)を満たす必要があるため、対象になるかどうかは労働局への確認が確実です。

Q. 東京都以外の企業でも、経産省のリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業は使えますか?

この事業は経済産業省が全国を対象に実施しているもので、都道府県は問いません。東京都の助成金・支援事業とは異なり、全国どこに勤務していても、在職中で対象要件を満たす個人であれば登録を検討できます。

参考・出典


この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。


免責事項
本記事の情報は2026年7月28日時点の各省庁・自治体の公表資料に基づく参考情報です。補助金・助成金の制度内容は予告なく変更される場合があります。申請にあたっては、必ず各制度の公式窓口・公式サイトで最新の公募要領・募集要項をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。

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