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【2026年】高年齢者無期雇用転換コース40万円の要件と申請時期

【2026年】高年齢者無期雇用転換コース40万円の要件と申請時期

この記事の結論

65歳超雇用推進助成金の高年齢者無期雇用転換コースを解説。対象は50歳以上・有期通算5年以内の労働者で、中小企業40万円・年度10人まで。転換計画は開始6〜3か月前にJEED支部へ提出が必須です。

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65歳超雇用推進助成金の高年齢者無期雇用転換コースを使えるかどうか、判断の分かれ目は「無期雇用転換計画をいつ出すか」に尽きます。対象は50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者(有期契約の通算期間が5年以内の方)で、無期雇用へ転換すると中小企業は1人あたり40万円、中小企業以外は30万円が支給されます(1支給申請年度・1適用事業所あたり10人まで)。ただし、転換してから計画を出しても間に合いません。計画書は転換開始日の6か月前から3か月前までにJEED(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)の都道府県支部へ提出する必要があり、ここを外すとその転換は助成対象外になります。

本コースは厚生労働省所管の助成金で、実施機関はJEEDです。労働局・ハローワーク経由の助成金とは窓口が違う点も、実務で迷いやすいところ。この記事では、令和8年度の公式情報(JEEDの「支給申請の手引き」令和8年5月15日掲載版に基づくページ)を裏取りしたうえで、対象労働者の要件、支給額、計画提出のタイミング、添付書類、そして関連制度との使い分けまでを実務目線で整理します。

誰を転換すれば対象になるか|対象労働者の3つの条件

まず入口の判定です。JEEDの公式ページでは、支給対象となる労働者の中核要件として次の2点が明示されています。

  • 50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者であること
  • 有期契約労働者として締結された契約に係る期間が通算5年以内であること

ここに「無期雇用への転換を実際に実施すること」が加わって、実務上は3点セットで考えると整理しやすくなります。

「通算5年以内」の意味 — 無期転換ルールとの関係

意外と知られていませんが、この「5年以内」という線引きには理由があります。労働契約法第18条のいわゆる無期転換ルールでは、有期労働契約が通算5年を超えて反復更新された場合、労働者側に無期転換の申込権が発生します。つまり通算5年超の方は、法律上すでに無期転換を求める権利を持っている状態です。本コースが評価するのは、その義務的な局面に至る前に、会社側の制度・判断として先んじて無期雇用へ転換すること。だからこそ「通算5年以内」の有期契約労働者が対象になっています。

実務での注意点はシンプルです。勤続の長いベテランパート・契約社員ほど「通算5年」を超えている可能性が高い。転換候補者をリストアップしたら、真っ先に有期契約の通算期間を雇用契約書・労働条件通知書で確かめてください。ここで対象外の方を計画に入れてしまうと、後の支給申請で崩れます。

「定年年齢未満」の確認も忘れずに

年齢要件は「50歳以上」だけでなく「定年年齢未満」との組み合わせです。たとえば定年60歳の会社で61歳の有期契約社員(定年後再雇用など)を無期転換しても、本コースの対象にはなりません。自社の就業規則上の定年年齢と、転換予定者の年齢の位置関係を先に確認しましょう。定年後の継続雇用年齢そのものを引き上げたい場合は、後述する65歳超継続雇用促進コースの領域になります。

支給額の全体像 — 中小企業40万円・それ以外30万円

支給額は対象労働者1人あたりの定額です。経費の実費補助ではないので、「何にいくら使ったか」の積算は不要。転換の実施と要件充足が確認されれば、企業規模に応じた額が支給されます。

項目 内容
制度名 65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)
所管・実施機関 厚生労働省所管/JEED(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)
支給額(中小企業) 対象労働者1人につき40万円
支給額(中小企業以外) 対象労働者1人につき30万円
支給上限 1支給申請年度・1適用事業所あたり10人まで
対象労働者 50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者(有期契約の通算期間5年以内)
計画提出 無期雇用転換計画の開始日の6か月前から3か月前までに都道府県支部へ
申請方法 都道府県支部への提出(令和7年4月1日から電子申請にも対応)

中小企業なら最大で40万円×10人=年度あたり400万円の可能性がある計算です。人件費関連の助成金としてはインパクトが大きく、シニア人材の定着策と資金面の後押しを同時に得られます。

「中小企業」に当たるかどうかの判定

40万円か30万円かを分ける中小企業の範囲は、雇用関係助成金に共通の基準で判定されます。資本金または常用労働者数のいずれか一方を満たせば中小企業です。

業種 資本金・出資額 常用労働者数
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

境界線上の企業は、申請前に自社の業種区分と直近の資本金・常用労働者数を整理しておきましょう。判定を誤ると想定支給額が10万円変わります。

最大の関門 — 転換計画は「開始6か月前から3か月前まで」に提出

本コースで最も多くの企業がつまずくのが、手続きの順序です。キャリアアップ助成金などと同じく「計画認定が先、実施が後」という構造ですが、本コースは提出できる期間の窓が明確に区切られています。

JEEDの公式ページの記載はこうです。無期雇用転換計画書に必要書類を添えて、無期雇用転換計画の開始日の6か月前の日から3か月前の日までに、主たる事務所または転換の実施に係る事業所の所在する都道府県の支部(高齢・障害者業務課等)へ提出する。郵送の場合は、この期間内に到達している必要があります。

申請から支給までの流れ

  1. 転換候補者の洗い出しと要件確認 — 50歳以上・定年未満・有期通算5年以内を雇用契約書ベースで確認します。
  2. 無期雇用転換制度の整備 — 就業規則等に無期雇用転換の制度規定を設けます(計画申請の添付書類として規程の提出が求められます)。
  3. 無期雇用転換計画書の作成・提出 — 計画開始日の6か月前〜3か月前の期間内に、JEEDの都道府県支部へ提出。令和7年4月1日から電子申請も可能になっています。
  4. 計画の認定 — 機構理事長の認定を受けてから、計画期間がスタートします。
  5. 計画期間内に無期雇用への転換を実施 — 認定された計画に沿って、対象労働者を無期雇用へ転換します。
  6. 支給申請 — 転換後6か月分(勤務日数11日未満の月は除く)の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に、必要書類を添えて支部へ申請します。
  7. 審査・支給 — 審査を経て助成金が支給されます。

逆算すると、「来年4月1日から転換したい」なら計画書の提出窓は前年10月1日から翌年1月1日まで。就業規則の改定や書類準備に1〜2か月みておくと、実質的な着手期限はさらに手前です。正直に言うと、この逆算を怠って「転換してから助成金を探す」パターンが一番もったいない。転換済みの労働者について遡って計画を出すことはできません。

計画は出して終わりではない — 失効に注意

令和8年度の運用として、計画実施期間中、1年ごとに1度も事業主都合で転換を実施しなかった場合、その計画は失効するとJEEDは案内しています。計画認定を取ったまま転換を先送りし続けることはできない設計です。計画期間と転換予定者のスケジュールは、認定後も人事側で管理し続けてください。

計画申請の添付書類 — 令和8年4月以降申請分

JEEDが公開している令和8年4月以降申請分の計画申請書類は次のとおりです。部数指定があるものが多いので、チェックリストと合わせて準備しましょう。

書類 内容・部数
無期様式第1号(1)〜(3) 無期雇用転換計画書(3部)
無期様式第1号別紙 記載事項の補正・補足票(該当する場合のみ)
事業内容を示す書類 登記事項証明書等(2部)
就業規則等 定年および継続雇用制度が確認できる書類(2部)
無期雇用転換制度の規程 転換制度が確認できる規程(2部)
雇用保険適用事業所設置届 事業主控(2部)
共通要領様式第1号 支給要件確認申立書(3部)
共通要領様式第2号 提出代行等に関する証明書(該当する場合のみ、1部)
高年齢者雇用管理措置の確認書類 就業規則・社内規定等(2部)
委任状 代理人申請の場合のみ(1部)
提出書類チェックリスト 1部

ポイントは、単なる転換計画書だけでなく、定年・継続雇用制度の就業規則無期雇用転換制度の規程の提出が求められること。転換制度がまだ就業規則等に規定されていない会社は、計画提出の前に規程整備が必要になります。ぶっちゃけ、ここが一番時間を食う工程です。様式はJEEDの公式ページからダウンロードでき、最新の「支給申請の手引き(令和8年度版)」も同ページに掲載されています。

要件・手続きでつまずきやすいポイント

つまずき1: 転換を先に実施してしまう

❌ 4月に無期転換の辞令を出した後で、助成金の存在を知って計画書を出す
⭕ 転換開始日の6か月前〜3か月前に計画書を提出し、認定後の計画期間内に転換する

計画認定前に実施した転換は対象になりません。人事発令のスケジュールと助成金の計画提出窓を、年度初めにセットで設計しておくのが確実です。

つまずき2: 有期契約の通算期間を確かめずに候補者を選ぶ

❌ 「勤続が長くて信頼できる人」を基準に、通算8年のパート社員を計画に載せる
⭕ 雇用契約書・労働条件通知書で通算5年以内であることを確かめてから計画に載せる

勤続への信頼と助成対象かどうかは別問題です。通算5年超の方の無期転換は労働契約法上むしろ進めるべき対応ですが、本コースの支給対象にはなりません。

つまずき3: 支給申請の期限を逃す

❌ 転換したら自動的に支給されると思って放置する
⭕ 転換後6か月分の賃金を支給した日の翌日から2か月以内に支給申請する

支給申請には、転換した労働者を転換後6か月以上継続して雇用し、6か月分の賃金を支給していることが前提になります。カレンダーに「転換日+6か月」「賃金支給日+2か月」の2つのリマインドを入れておきましょう。

つまずき4: 窓口を労働局と取り違える

❌ キャリアアップ助成金と同じ感覚で労働局・ハローワークに書類を持ち込む
⭕ JEEDの都道府県支部(高齢・障害者業務課等)へ提出する

本コースの実施機関はJEEDです。様式も共通要領もJEED側のものを使います。電子申請を使う場合も、JEEDの案内に沿って手続きしてください。

3コースの中での位置づけと、近い制度との使い分け

65歳超雇用推進助成金には、本コースを含めて3つのコースがあります。全体像と各コースの比較は65歳超雇用推進助成金 3コース比較と申請手順の記事で整理しているので、制度選びの段階ならそちらが先です。本記事はそのうち無期雇用転換コース単体を深掘りしています。

  • 65歳超継続雇用促進コース — 定年引上げ・定年廃止・継続雇用制度の年齢引上げなど、「制度そのもの」を変える場合。定年後の高齢社員の雇用年齢を延ばしたいならこちら。
  • 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース — 高年齢者向けの評価・賃金制度や職場環境の整備に取り組む場合。
  • 高年齢者無期雇用転換コース(本記事) — 50歳以上の有期契約労働者を、定年前に無期雇用へ切り替える場合。

もうひとつ混同しやすいのが、キャリアアップ助成金の正社員化コースです。こちらは有期雇用労働者等の正社員転換を支援する制度で、年齢を問わない代わりに要件体系が大きく異なります。50歳未満の有期契約労働者の転換や、無期化ではなく正社員化まで進める場合はキャリアアップ助成金 正社員化コースの解説記事を参照してください。同一の転換について複数の助成金を重複して受けることはできないため、対象者の年齢構成と転換後の雇用形態(無期か正社員か)で制度を選び分けるのが基本です。

なお、シニア人材の活躍はAI・デジタル活用と組み合わせると効果が出やすい領域です。定型業務をAIで軽くし、経験の要る判断業務にシニアを充てる再設計は、無期転換後の活躍の場づくりとしても機能します。人材育成面では人材開発支援助成金の解説記事も併せてどうぞ。

活用イメージ — 卸売業C社の場合

事例区分: 想定シナリオ — 以下は制度要件をもとに構成した典型的な活用イメージであり、実在の支給事例ではありません。

従業員80人・資本金3,000万円の卸売業C社(中小企業に該当)には、52歳と57歳の有期契約社員が2名います。いずれも入社3年目で、有期契約の通算期間は5年以内。倉庫管理と受発注の中核を担っており、会社としては長く働いてほしい人材です。

C社はまず就業規則に無期雇用転換制度の規程を追加し、翌年4月1日を計画開始日とする無期雇用転換計画書を、前年10月〜12月のうちにJEED支部へ提出。認定後の計画期間内に2名を無期雇用へ転換し、転換から6か月分の賃金支給を経て支給申請を行うと、40万円×2名=80万円の支給が見込める、という流れになります。C社にとっては、雇止め不安の解消による定着効果と、受発注業務のデジタル化投資の原資確保を同時に狙える設計です。

細かい疑問への回答

Q1. 転換後の雇用形態は「正社員」にする必要がありますか?

本コースが求めるのは有期雇用から無期雇用への転換です。フルタイム正社員化までは要求されていません。正社員転換への助成を狙うなら、制度体系の異なるキャリアアップ助成金正社員化コースの検討になります。ただし、転換後の労働条件をどう設計するかは支給要件全体に関わるため、実際の設計時は必ず最新の「支給申請の手引き(令和8年度版)」で詳細要件を確かめてください。

Q2. 何人まで申請できますか?

上限は1支給申請年度・1適用事業所あたり10人です。中小企業なら最大400万円。対象者が10人を超える場合は、年度をまたいだ計画的な転換スケジュールを組む選択肢もあります。

Q3. 電子申請はできますか?

できます。JEEDの案内では、令和7年4月1日から助成金の申請が電子申請で行えるようになっています。なお、過年度に紙申請で計画認定を受けた事業主が支給申請を電子申請で行う場合は、電子申請用パスワードの手続きが必要とされています。紙申請の場合は、提出期間内に支部へ到達していることが条件です(消印ではありません)。

Q4. どこに相談すればいいですか?

制度・様式・要件の一次窓口は、主たる事務所または転換実施事業所の所在する都道府県のJEED支部(高齢・障害者業務課等)です。労働局・ハローワークではない点にご注意ください。

ここまでの要点

  • 対象は50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者で、有期契約の通算期間が5年以内の方。無期転換ルール(労働契約法18条)で申込権が発生する前の、会社主導の転換を支援する制度です。
  • 支給額は中小企業40万円/中小企業以外30万円(1人あたり)。上限は1支給申請年度・1適用事業所につき10人。
  • 無期雇用転換計画書は転換開始日の6か月前から3か月前までにJEEDの都道府県支部へ提出。認定前の転換は対象外です。
  • 計画申請には無期雇用転換制度の規程や定年・継続雇用制度の就業規則など、令和8年4月以降分の所定書類一式が必要。規程が未整備なら先に整備を。
  • 支給申請は転換後6か月分の賃金を支給した日の翌日から2か月以内。期限管理までが申請です。

まず着手すべきは、転換候補者の有期契約通算期間の棚卸しと、無期雇用転換規程の有無の確認。この2つが揃えば、計画提出窓から逆算したスケジュールが引けます。

シニア人材の定着とAI活用を両輪で進めたい、どの助成金が自社に合うか整理したいという場合は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。

参考・出典

免責事項
本記事の情報は2026年8月17日時点のJEED・厚生労働省の公表資料に基づく参考情報です。助成金の制度内容・支給額・手続きは予告なく変更される場合があります。申請にあたっては、必ずJEEDの公式ページで最新の「支給申請の手引き」をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。

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