小規模事業者持続化補助金<創業型>第4回では、クラウドサービス・SaaSの利用料は「ウェブサイト関連費」区分で計上でき、補助率2/3・補助上限200万円(インボイス特例適用で250万円)の対象になります。ただし上限は他の広報費等と合算で30万円までという制約があり、単独での申請はできません。
対象となるのは創業後1年以内の小規模事業者等で、認定市区町村または認定連携創業支援等事業者による「特定創業支援等事業」の支援を受けていることが前提条件です。この記事では、公募要領(第8版・2026年5月27日公開)をもとに、クラウド利用料の経費区分、按分計算の考え方、対象外になりやすいパターンを整理します。
創業型第4回でいくら補助されるか、まず数字を確認
持続化補助金には<一般型>と<創業型>があり、創業型は創業後1年以内の事業者向けに、賃上げ要件なしで最初から高めの上限額が設定されているのが特徴です。基本データは以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 小規模事業者持続化補助金<創業型>第4回 |
| 所管 | 中小企業庁(事務局: 小規模事業者持続化補助金<創業型>事務局・運営 株式会社日本経営データ・センター) |
| 補助率 | 2/3 |
| 補助上限額 | 200万円(インボイス特例該当者は50万円上乗せで250万円) |
| 対象者 | 創業後1年以内の小規模事業者等(法人・個人事業主・一定要件の特定非営利活動法人) |
| 対象経費8区分 | 機械装置等費/広報費/ウェブサイト関連費/展示会等出展費/旅費/新商品開発費/借料/委託・外注費 |
| 公募要領公開 | 2026年5月27日(水) |
| 申請受付期間 | 2026年11月5日(木)〜12月15日(火)17:00 ※予定は変更される場合あり |
| 事業支援計画書(様式4)発行受付締切 | 2026年12月4日(金) |
| 申請方法 | 電子申請システム(Jグランツ)のみ、郵送不可 |
| 公式サイト | 小規模事業者持続化補助金<創業型>事務局 |
制度全体の比較はAI導入に使える補助金5選 徹底比較でも整理しています。あわせて確認してください。
クラウド・SaaS利用料はどの経費区分に入るのか
公募要領7.補助対象経費のうち「①機械装置等費」の項目には、次の一文が明記されています。
「ウェブサイト、システム開発等に関連するソフトウェアは、③ウェブサイト関連費で計上してください」
つまり、業務効率化や販路開拓のために使うクラウドサービス・SaaS・システム利用料は、原則として「③ウェブサイト関連費」に計上します。この区分は「販路開拓等を行うためのウェブサイトやECサイト、システム(オフライン含む)等の開発、構築、更新、改修、運用をするために要する経費」と定義されており、業務効率化のためのソフトウェアや、販路開拓等のための特定業務用ソフトウェアも対象経費例として明記されています。
ただし、正直なところ、この区分には強い制約が2つあります。ウェブサイト関連費のみでの単独申請はできず、必ず機械装置等費や広報費など他の経費とあわせて申請する必要があること。そしてこの区分の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)であることです。クラウド費用が高額になる場合、その全額が補助対象になるわけではない点に注意してください。
混同しやすいのが「借料」との違いです。⑦借料は「補助事業遂行に直接必要な機器・設備等のリース料・レンタル料」を指すもので、パソコンやプリンターなど物理的な機器のレンタルが該当します。クラウドサービス・SaaSのように、サーバー上で提供されるソフトウェアの使用権に対する支払いは、機器のレンタルではなく③ウェブサイト関連費として整理するのが公募要領の考え方です。この線引きを取り違えると、経費区分の記載ミスで審査が長引く原因になります。
複数年契約のクラウドサービスは按分計算が必要
クラウドサービス・SaaSの多くは月額課金や年間契約ですが、公募要領には按分ルールが明記されています。
「契約期間が補助事業期間を越えるソフトウェア使用権を購入する場合は、按分等の方式により算出された補助事業期間分のみ補助対象となります」
創業型第4回の補助事業実施期限は2028年3月31日(金)です。交付決定日から補助事業実施期限までの期間分だけが対象になるため、例えば年間契約のSaaSを交付決定の途中月から契約した場合、契約期間全体ではなく補助事業期間に該当する月数分だけを按分して計上します。実績報告の際は、契約書等で契約内容・契約期間を確認されるため、按分計算の根拠を残しておくことが必須です。
クラウド費用が対象外になる4つのパターン
公募要領の補助対象外経費のリストを見ると、クラウド・SaaS関連で見落としやすい対象外パターンが複数あります。ここは実務で最も問い合わせが多いポイントです。
パターン1: 通信費相当の「インターネット利用料金」
❌ 会社の固定インターネット回線料・通信費として計上する
⭕ 販路開拓等の取組のために新規導入・更新するクラウドサービス利用料として、③ウェブサイト関連費で計上する
公募要領の補助対象外経費には「電話代、インターネット利用料金等の通信費」が明記されています。単なる通信インフラとしてのネット回線費用は対象外です。あくまで「販路開拓等のためのウェブサイト・システムの開発、構築、更新、改修、運用」に該当する費用であることが条件になります。
パターン2: 既に導入しているソフトウェアの更新料
❌ 現在使っているクラウド会計ソフトや予約管理システムの更新料をそのまま計上する
⭕ 新たに導入する、または機能を大きく更新するクラウドサービスの契約費用を計上する
「既に導入しているソフトウェアの更新料」は対象とならない経費例として明記されています。既存契約の単純な継続更新では、新たな販路開拓等の取組とは認められません。
パターン3: クラウド導入のコンサル・アドバイス費用
❌ SaaS選定や導入設計を外部コンサルに依頼した費用を丸ごと計上する
⭕ インボイス制度対応のための専門家相談費用のみ、⑦借料や⑧委託・外注費の要件を満たす形で計上する
「コンサルティング、アドバイス費用(インボイス制度対応のための専門家への相談費用は除く)」は対象外経費に明記されています。クラウドサービスの選定支援やアドバイス自体は対象外です。
パターン4: 家庭用・一般事務用の汎用ソフトウェア
❌ 汎用のオフィスソフトやウイルス対策ソフトのサブスク費用を計上する
⭕ 補助事業計画に記載した販路開拓等の取組に直接使う、業務専用のクラウドサービスを計上する
「家庭および一般事務用ソフトウェア」はウェブサイト関連費の対象とならない経費例に含まれます。汎用ツールではなく、経営計画・補助事業計画に明記した取組専用のサービスであることが条件です。
申請までに準備しておくこと
- GビズIDプライムの取得: 電子申請システム(Jグランツ)の利用に必須。未取得の場合は早めに申請しておきましょう(GビズID登録ガイド)。
- 特定創業支援等事業の支援を受けた証明書の準備: 認定市区町村、または認定市区町村と連携した認定連携創業支援等事業者が発行する証明書の写しが必要です。証明書の有効期限が切れていても、要件に適合していれば提出書類として認められます。
- 経営計画書(様式2)・補助事業計画書(様式3)の策定: クラウドサービスをどの販路開拓等の取組に、どう使うのかを具体的に記載します。申請書全体の書き方は補助金申請書の書き方7つのコツも参考になります。
- 商工会・商工会議所への事業支援計画書(様式4)発行依頼: 受付締切は原則2026年12月4日(金)。受付締切以降はいかなる理由があっても発行を受けられません。
一般型との違いと注意点
持続化補助金<創業型>と<一般型・通常枠>は、同時に申請することができません。公募要領には「小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>において、申請中または採択を受けている事業者、または採択を受けて補助事業を実施した事業者」は創業型の対象外と明記されています。逆に、過去に創業型で採択・実施した事業者も、代表者を変更しても創業型に再度申請することはできません。
ぶっちゃけ、この2つは似ているようで設計思想が違います。一般型は賃金引上げ特例など加点・上乗せの仕組みが複数あるのに対し、創業型は賃上げ要件を満たさなくても最初から高い上限額が用意されているのが特徴です。主な違いを整理すると次のとおりです。
| 項目 | 創業型(第4回) | 一般型・通常枠 |
|---|---|---|
| 対象者 | 創業後1年以内・特定創業支援等事業の支援実績あり | 要件を満たす小規模事業者全般 |
| 補助率 | 2/3 | 2/3(赤字事業者等は3/4の場合あり) |
| 補助上限額 | 200万円(インボイス特例で250万円) | 50万円(卒業枠等の加点で上乗せあり) |
| 賃金引上げ特例 | なし(最初から上限額が高い設計) | あり(要件達成で上限上乗せ) |
| クラウド・SaaS利用料の区分 | ウェブサイト関連費(上限30万円・単独申請不可) | ウェブサイト関連費または借料(契約形態により判定) |
一般型のクラウド利用料の経費区分については、小規模事業者持続化補助金のSaaS・AI利用料は借料?経費区分早見表で詳しく解説しています。創業型と一般型で対象者要件も異なるため、自社がどちらに該当するか先に確認することをおすすめします。
経営計画書でクラウド活用をどう説明するか
事例区分: 想定シナリオ
以下は公募要領の審査項目をもとに構成した、創業型の典型的な記載パターンです。実在の申請事例ではありません。
創業から半年の飲食店が、予約管理と顧客管理を紙台帳からクラウド予約システムに切り替える場合を考えてみます。経営計画書には「現状は電話予約のみで、ダブルブッキングや聞き漏らしによる機会損失が月あたり数件発生している」といった課題を数字で示したうえで、「クラウド予約システムを導入し、ウェブ経由の新規顧客獲得と予約管理の効率化を同時に実現する」という取組内容を記載します。
ここで重要なのは、クラウドサービスの機能説明で終わらせないことです。審査員が見ているのは「販路開拓にどうつながるか」「業務効率化(生産性向上)にどう寄与するか」の2点です。ツールの説明よりも、自社の課題とセットで書くことが評価されやすい書き方だといえます。
参考・公式情報
本記事の制度内容は公募要領を根拠にしています。申請実務では以下の公式情報も必ず確認してください。
- Jグランツ(電子申請システム・デジタル庁) — 創業型の申請はGビズIDプライムを用いた電子申請が基本です。
- ミラサポplus 人気の補助金(経済産業省 中小企業庁) — 持続化補助金を含む各制度の最新の公募状況を確認できます。
- 国税庁 No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数 — クラウド利用料を「借料」として費用処理するか資産計上するかの線引きは、税務上の取扱いとあわせて判断します。
よくある不備で落ちるケース
不備1: 支援を受けた時期が公募締切から1年を超えている
❌ 開業日や特定創業支援等事業の支援を受けた日が、公募締切時から起算して1年以上前
⭕ 開業日・支援を受けた日のいずれも、公募締切時から過去1年以内であることを事前に日付で確認する
要件は「支援を受けた日」および「開業日(設立年月日)」の両方が過去1年以内であることです。どちらか一方だけでは要件を満たしません。
不備2: ウェブサイト関連費だけで申請してしまう
❌ クラウドサービス利用料(ウェブサイト関連費)のみを補助対象経費として申請する
⭕ 機械装置等費や広報費など、他の対象経費とあわせて申請計画を組み立てる
ウェブサイト関連費は単独申請不可と明記されています。販路開拓の取組全体を経営計画に落とし込み、複数の経費区分を組み合わせて計画を作りましょう。
不備3: 交付決定前にクラウドサービスの契約・支払いを済ませてしまう
❌ 採択通知を受け取った時点でSaaSの契約・支払いを開始する
⭕ 交付決定通知を受け取ってから契約・支払いを行う
交付決定前の発注・契約・支払いは補助対象外です。採択と交付決定は別のタイミングであり、交付決定には採択発表から概ね1〜2か月かかる場合があります。
採択後のスケジュールで見落としやすいポイント
創業型第4回は、申請してすぐ結果が出るわけではありません。採択発表予定日は2027年3月頃とされており、申請受付締切(2026年12月15日)から3か月以上のタイムラグがあります。クラウドサービスの導入を急いでいる場合でも、交付決定前に契約してしまうと補助対象外になるため、資金計画には注意が必要です。
また、見積書等の提出期限は2028年2月29日(火)と定められています。この期限までに経費の価格の妥当性を証明できる見積書(相見積りを含む)を提出できない場合、採択が取り消されます。クラウドサービスの契約内容や利用期間を確認できる資料(契約書・利用規約のスクリーンショット等)は、早めに整理しておきましょう。補助事業実施期限は2028年3月31日(金)で、この期間内に補助事業を終了し、実績報告書を提出する必要があります。さらに事業終了から1年後には、売上高等の状況を報告する事業効果報告書の提出も求められます。
よくある質問
Q1. 個人事業主でも創業型に申請できますか?
A. 商工業者である個人事業主は対象になり得ます。ただし申請時点で開業していない創業予定者は対象外です。補助事業終了までに商品・サービスの提供を開始し、事業活動を開始することが必要です。
Q2. クラウド会計ソフトの初期導入費用は対象になりますか?
A. 販路開拓等の取組に関連するシステムとして新規導入する場合は、③ウェブサイト関連費で計上できる可能性があります。ただし既存ソフトの更新料や、単なる経理効率化目的のみでは対象外と判断される場合があるため、経営計画書に取組との関連を具体的に記載してください。
Q3. 一般型と創業型、どちらが自社に合っているか分かりません
A. 創業後1年以内かつ特定創業支援等事業の支援実績があるなら創業型、それ以外は一般型が基本です。両方の対象要件を満たす場合でも、重複申請はできないためどちらか一方を選ぶ必要があります。判断に迷う場合は、商工会・商工会議所や専門家(税理士・中小企業診断士等)に相談することをおすすめします。
Q4. ウェブサイト関連費の30万円の上限は税込ですか、税抜ですか?
A. 公募要領には「補助金交付申請額の上限は30万円(税込)」と明記されています。
Q5. 医師や医療法人、一般社団法人でも申請できますか?
A. できません。公募要領の補助対象者の範囲では、医師・歯科医師・助産師、医療法人、宗教法人、学校法人、農事組合法人、社会福祉法人、一般社団法人・公益社団法人、一般財団法人・公益財団法人、任意団体等は補助対象にならない者として明記されています。会社および会社に準ずる営利法人、個人事業主(商工業者)、一定要件を満たす特定非営利活動法人が対象です。
Q6. クラウドサービスの契約期間が補助事業期間より長い場合、全額対象外になりますか?
A. 全額ではなく、按分計算によって補助事業期間分のみが対象になります。契約期間全体の費用ではなく、交付決定日から補助事業実施期限までの期間に対応する分だけを算出して計上してください。按分の考え方や根拠資料は、実績報告時に契約書等とあわせて確認されます。
今後の申請準備で押さえておきたいこと
- 今日やること: GビズIDプライムを未取得なら取得申請を行う
- 今月中: 特定創業支援等事業の支援を受けた証明書を、認定市区町村に確認・準備する
- 申請受付開始(11月5日)前まで: クラウド・SaaS利用料を含む経営計画書・補助事業計画書のドラフトを、商工会・商工会議所に相談しながら作成する
AI導入の計画策定や、クラウドサービスの経費区分についての判断に迷う場合は、公募要領の該当ページを商工会・商工会議所の窓口で一緒に確認することをおすすめします。AI導入の計画策定でお悩みの場合は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
制度は改定される可能性があるため、実際に申請書類を作成する段階では、必ず商工会・商工会議所の窓口で最新の公募要領・様式集をあわせて確認してください。
この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。
免責事項
本記事の情報は2026年7月24日時点の中小企業庁および小規模事業者持続化補助金<創業型>事務局の公表資料(公募要領 第8版・2026年5月27日公開)に基づく参考情報です。補助金・助成金の制度内容は予告なく変更される場合があります。申請にあたっては、必ず公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。
参考・出典
- 小規模事業者持続化補助金<創業型>第4回公募要領(第8版・2026年5月27日) — 小規模事業者持続化補助金<創業型>事務局(参照日: 2026-07-24)
- 「小規模事業者持続化補助金<創業型>(第4回)」の公募要領を公開しました — 中小企業庁(参照日: 2026-07-24)
- 小規模事業者持続化補助金<創業型>公式サイト — 小規模事業者持続化補助金<創業型>事務局(参照日: 2026-07-24)
