申請ガイド 13分で読める

【2026年版】賞与・退職金制度導入コース|最大56.8万円

2026年版キャリアアップ助成金 賞与・退職金制度導入コース 最大56.8万円

この記事の結論

賞与・退職金制度導入コースは中小企業で最大56万8,000円。令和8年度の支給額、対象者、金額要件、2か月の申請期限を公式資料で整理します。

この記事の制度について、AIにその場で質問できます(無料・登録不要)→

「パート・有期契約社員にも賞与か退職金を新設したい。使える助成金はある?」という問いへの答えが、キャリアアップ助成金の賞与・退職金制度導入コースです。令和8年度は、中小企業がどちらか一方を導入すると40万円、両方を同時に導入すると56万8,000円の支給対象になり得ます。

ただし、制度を就業規則に一行追加すれば終わり、ではありません。対象となる有期雇用労働者等の全員に適用し、賞与なら6か月分相当で1人5万円以上、退職金なら1か月分相当で1人3,000円以上を6か月分、または6か月分相当で1万8,000円以上積み立てる必要があります。しかも、キャリアアップ計画は制度新設日の前日までに提出します。順番を間違えると、あとから戻せません。

更新日:2026年9月2日
厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版・2026年4月8日現在)」、同日付の支給要領・支給申請チェックリスト、2026年7月29日改訂Q&Aを照合しています。

1事業所40万円、両制度なら56万8,000円

最初に金額を整理します。これは対象労働者1人ごとの支給額ではなく、1事業所当たり1回のみの助成額です。人数を掛け合わせて増える制度ではありません。

企業規模 賞与または退職金の一方を導入 賞与・退職金を同時に導入
中小企業 40万円 56万8,000円
大企業 30万円 42万6,000円

両制度を同時に就業規則等へ新設した場合、初回の賞与支給日と初回の退職金積立日が同日である必要はありません。一方、支給申請期間の起点は、両者のうち遅い方を基準に判断します。ここは実務で迷いやすいところです。

「最大56.8万円」の意味

中小企業が賞与制度と退職金制度を同時に新設し、両制度について支給要件を満たしたときの金額です。どちらか一方だけが要件を満たす場合は、同時導入の金額ではなく一方導入の区分で審査されます。

助成率や補助対象経費は設定されていない

設備費の2分の1を補助する、といった補助金ではありません。本コースに「補助率」「補助上限」「補助対象経費」という区分はなく、制度を新設・運用した事業主に定額を支給する雇用関係助成金です。したがって、AIソフト代やシステム開発費を精算する仕組みではありません。

令和8年度は4月8日以降の公式資料で確認する

厚生労働省は令和8年度版資料を2026年4月8日に更新し、Q&Aを同年7月29日に改訂しています。令和7年度版と令和8年度版の該当箇所を比較すると、本コースの支給額、賞与5万円、退職金1万8,000円、運用6か月という中心要件は維持されています。

4月8日の制度変更は正社員化コースが中心

2026年4月8日から新設された「情報公表加算」は、正社員化コースの加算です。賞与・退職金制度導入コースに20万円が上乗せされる制度ではありません。別コースの変更点を混同しないようにしましょう。

全国一律の公募締切日はない

本コースは「第1回公募」「9月30日締切」のような一律の公募回制ではありません。各事業所の制度新設日、初回支給日・積立日、6か月分の賃金支払日から申請期間を計算します。公募回は設定されていません

年度途中の変更可能性は残る

厚生労働省のパンフレットは、年度途中に要件等が変更される場合があると注意を促しています。この記事の基準日は2026年9月2日です。実施前には必ず最新Q&A、支給要領、様式を確認してください。

まず自社が対象になり得るかを5項目で判定

次の5項目をすべて満たす方向で準備できるか、先に確認します。1つでも判断が難しければ、制度を動かす前に管轄労働局またはハローワークへ相談するのが安全です。

雇用保険適用事業所である

全コース共通要件として、雇用保険適用事業所の事業主であることが必要です。さらに事業所ごとにキャリアアップ管理者を置き、対象労働者に関するキャリアアップ計画を作成します。

対象は有期雇用労働者等である

賞与・退職金制度の新設日の前日から数えて3か月以上前の日から、新設日後6か月以上まで継続して雇用される有期雇用労働者等が基本です。初回の賞与支給または退職金積立後6か月間は、その事業所で雇用保険被保険者であることも求められます。

事業主・取締役の3親等以内の親族ではない

対象労働者は、制度を新設・適用した事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族を除きます。Q&Aでは、制度新設日の前日から起算して3か月前の日を始期とし、支給申請時点までの関係で判断すると説明されています。

支給申請日に原則として在籍している

対象労働者は支給申請日に離職していないことが原則です。ただし、本人都合の離職など、パンフレットが例外として示す扱いがあります。個別事情は一律に決めつけず、労働局へ確認してください。

過去の同種コース受給歴に抵触しない

過去に旧諸手当制度共通化コース等の支給を受けた事業所は、本コースの対象外となる場合があります。健康診断制度のみの受給など例外もあるため、古い支給決定通知を確認しておきます。

Step 1:制度を作る前にキャリアアップ計画を出す

最初の行動は就業規則の改定ではありません。制度新設日の前日までにキャリアアップ計画を管轄労働局長へ提出します。紙ならコースをまとめて扱える場合がありますが、電子申請ではコースごとに計画期間を設定する運用です。

計画期間は3年以上5年以内

支給要領では、キャリアアップ計画期間を3年以上5年以内としています。計画開始日は提出日の翌日以後です。制度新設日が計画期間内に入っているか、カレンダー上で確認しましょう。

キャリアアップ管理者と労働者代表を同一人物にしない

令和8年度パンフレットでは、キャリアアップ管理者は労働者代表と兼任できないとされています。形式的に名前を置くだけではなく、役割と配置日を社内記録に残します。

電子と紙を途中で混ぜない

紙で受理された計画は、原則として紙の支給申請へつながります。電子申請を使う場合は、雇用関係助成金ポータルの運用要件を先に確認してください。

様式全体を先に見たい方は、補助金ナビの「キャリアアップ助成金の様式一覧」も参考になります。

Step 2:賞与・退職金を「全員対象」で規定する

制度は、雇用するすべての有期雇用労働者等に適用する内容として新設します。一部の職種や特定店舗だけを恣意的に外す設計は避けなければなりません。既存制度の対象範囲を広げただけでは「新設」と認められない点にも注意が必要です。

賞与は算定期間・支給時期・対象を明確にする

少なくとも誰が対象で、どの期間を算定し、いつ支給するかを読み取れる規定にします。「業績により支給しないことがある」という規定がある場合でも、助成金上は実際の支給額が要件を満たす必要があります。

退職金は事業主が費用を全額負担する

退職金制度は、積立金や掛金等の費用を事業主が全額負担することを就業規則または労働協約に規定し、実際にも負担します。事業主掛金に従業員が任意で上乗せする設計はあり得ますが、制度の適格性は事前確認が必要です。

常時10人以上なら監督署への届出も確認

常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則の変更後、所轄労働基準監督署長への届出が必要です。令和8年度Q&Aは、遅くとも支給申請前の届出が必要と説明しています。

規定作りの考え方は「キャリアアップ助成金と就業規則の整え方」もあわせて確認してください。実際の文言は会社の賃金制度に関わるため、必要に応じて社労士へ相談しましょう。

Step 3:1人ごとの最低金額を下回らない

本コースは制度全体だけでなく、対象労働者ごとの実績を見ます。対象となる全員について、原則として規定額以上の支給・積立が必要です。

賞与は6か月分相当で5万円以上

賞与制度を使う場合、対象労働者1人につき6か月分相当として5万円以上を支給します。勤務評価の結果、対象者のうち1人でも5万円未満になると申請できない場合がある、と令和8年度Q&Aは明記しています。

途中入社者は在籍期間按分の扱いがある

賞与算定期間の途中で採用された人は、在籍期間を算定期間で按分した金額以上の支給により対象となり得ます。たとえば算定期間6か月のうち4か月在籍なら、基準額に6分の4を乗じる考え方です。個別計算は賃金台帳と雇用契約書をそろえて確認します。

退職金は月3,000円以上を6か月分

退職金制度を使う場合は、1か月分相当として3,000円以上を6か月分積み立てるか、6か月分相当として1万8,000円以上を積み立てます。中小企業退職金共済を使う場合も、退職金規程、加入証明書、掛金納付が分かる資料などが必要になります。

中退共そのものの掛金助成とは別制度です。制度の違いは「中退共の新規加入掛金助成ガイド」で整理しています。

Step 4:初回支給・積立後の6か月を記録する

初回の賞与支給または退職金積立をしたら、そこで終わりではありません。その後6か月以上制度を運用し、賃金支払実績を積み上げます。対象者の勤務日数が11日未満の月は、原則として6か月のカウントから除きます。

基本給・定額手当を減らさない

賞与や退職金を新設する代わりに基本給を下げる、固定手当を減らす、という設計は認められません。制度適用前後の賃金台帳を比較できるように保管します。

同時導入は遅い方の日を基準にする

賞与と退職金を同時に規定しても、初回の実施日がずれることはあります。その場合、6か月分の賃金支払期間は、初回賞与支給日と退職金積立日のうち遅い方を基準に確認します。

「導入」だけでなく実運用が必要

Q&A上の「適用」は、就業規則に書くことだけではなく、制度に基づく賞与の支給または退職金の積立が実際に行われている状態を指します。中退共などで初回に複数月分をまとめて積み立てた場合も、初回積立時から適用とみなす扱いが示されています。

Step 5:賃金支払日の翌日から2か月以内に出す

支給申請は、初回の賞与支給または退職金積立後、6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内です。固定の年次締切ではなく、会社ごとに申請期間が変わります。

賞与を6月30日に支給した例

賃金支払日が毎月10日で、6月30日に初回賞与を支給した場合、最初に到来する賃金支払日は7月10日です。6か月分の賃金支払日は12月10日となり、Q&Aの例では申請期間は12月11日から翌年2月10日です。

賃金支払日と同日に実施した場合

初回の賞与支給日または退職金積立日が賃金支払日と同日なら、その翌月の賃金支払日から6か月分を数えます。1か月のずれが申請期間に直結します。

前倒し支給は実際の支給日で計算する

金融機関の休日により給与を前倒しした場合、就業規則上の日ではなく実際の支給日を基準に申請期間を計算する、とQ&Aは説明しています。給与振込データまで含めて日付をそろえましょう。

チェックリストでそろえる申請書類

厚生労働省は「令和8年4月8日以降に取組を行った場合」の支給申請チェックリストを公開しています。主な書類は次のとおりです。

共通の申請書類

  • キャリアアップ助成金支給申請書(様式第3号)
  • 賞与・退職金制度導入コース内訳(様式第3号・別添様式5)
  • 支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)
  • 支払方法・受取人住所届(未登録または口座変更時)

制度新設と対象者を示す資料

  • 受理されたキャリアアップ計画書の写し
  • 制度新設前後の就業規則または労働協約等
  • 対象労働者全員の制度新設前後の雇用契約書または労働条件通知書
  • 初回支給・積立前3か月と後6か月分、必要に応じ賞与支給月分の賃金台帳
  • 賃金台帳等に関する確認書

退職金制度で追加する資料

積立額と対象者への適用を客観的に示す資料が必要です。制度に応じて退職金規程、対象者名簿、加入証明書、規約、掛金納付が分かる書類などを用意します。労働局が追加資料を求める場合もあります。

このコースで起きやすい4つの不備

❌ 計画提出より先に就業規則を施行した

⭕ 対応:制度新設日の前日までに計画を提出し、受理状況を確認してから制度を施行します。新設日、賞与支給日、積立日が計画期間内かも確認します。

❌ 一部社員だけ既存の賞与対象だった

⭕ 対応:既存制度を全員へ拡大しただけでは、新設と認められない場合があります。変更前の就業規則と慣行を確認し、制度の新設性を労働局へ事前相談します。

❌ 査定で1人だけ5万円未満になった

⭕ 対応:対象労働者全員の見込額を賞与計算前に点検します。途中入社者の按分を使う場合は、算定期間と在籍期間の根拠を残します。

❌ 申請期限を年度末だと思い込んだ

⭕ 対応:初回実施日、6回の賃金支払日、申請開始日、申請期限を1枚の表で管理します。制度の年度末と、会社ごとの2か月の期限は別物です。

AI・DX導入と組み合わせるなら役割を分ける

この助成金はAIツールの購入費を対象にする制度ではありません。ただ、AI・DX導入と同時期に非正規雇用労働者の処遇制度を整える企業では、プロジェクトを切り分けて管理する価値があります。

人事DXで期限管理を仕組みにする

人事システムで雇用区分、制度適用日、賞与算定期間、勤務日数、賃金支払日を管理すると、対象者の漏れを見つけやすくなります。重要なのは、システムの出力と就業規則・賃金台帳・雇用契約書の記載を一致させることです。

AIはチェック補助にとどめる

生成AIで規定案や書類の確認観点を整理することはできますが、会社固有の就業規則や法的判断をそのまま任せるのは危険です。個人情報を入力せず、最終確認は担当者と必要に応じて社労士が行ってください。

別制度との同一経費ではなく併給要件を見る

定額助成のため設備費の二重計上とは論点が異なりますが、他の雇用関係助成金との併給調整があります。過去受給歴と同一の取組・対象労働者に関する制限を労働局へ確認します。

よくある質問

Q1. 正社員が1人もいなくても対象になりますか?

令和8年度Q&Aでは、正規雇用労働者が1人も存在しない場合でも、本コースの支給対象になり得るとされています。ただし、他の事業主要件・対象労働者要件は満たす必要があります。個別判断は労働局または社労士に相談してください。

Q2. 賞与だけならいくらですか?

1事業所当たり、中小企業は40万円、大企業は30万円です。対象者全員への支給額など、すべての要件を満たした場合に支給対象となり得ます。申請前に最新資料を確認し、必要に応じて社労士へ相談してください。

Q3. 賞与と退職金を同じ日に実施する必要がありますか?

就業規則等への同時導入が必要ですが、初回賞与支給日と退職金積立日は同日でなくても構いません。遅い方の日を基準に6か月分の賃金支払期間を確認します。日付計算は労働局または社労士へ相談してください。

Q4. 既に一部のパートへ賞与を出していても使えますか?

既存制度の対象を広げただけでは「新設」と認められない場合があります。一方、就業規則に規定せず慣例的に支給していた制度を正式に規定した場合は対象となり得る、とQ&Aは示しています。事実関係を整理し、制度施行前に労働局または社労士へ確認してください。

Q5. 申請期限はいつですか?

全国一律の日付ではありません。初回の賞与支給または退職金積立後、6か月分の賃金を支給した日の翌日から2か月以内です。勤務日数11日未満の月などで変わるため、労働局または社労士へ相談してください。

Q6. AIソフトや勤怠システムの費用も対象ですか?

本コースはIT費用を補助対象経費として精算する制度ではありません。AI・勤怠システム導入に使える制度は別に検討し、同時に利用する場合は併給条件を各事務局や専門家へ確認してください。

制度新設前に4つの日付を決める

実務の出発点は、計画提出日、制度新設日、初回支給・積立日、6か月目の賃金支払日の4つを並べることです。この順序が固まれば、必要書類と申請期限が見えてきます。正直、このコースは「いくら」より「いつ」の管理が難しい制度です。

キャリアアップ助成金の全体像や正社員化コースとの違いは「2026年キャリアアップ助成金ガイド」をご覧ください。AI導入計画と人材・処遇改善をどう切り分けるか迷う場合は、株式会社Uravationへのお問い合わせからご質問ください。申請手続きそのものについては、必要に応じて提携社労士にご相談ください。


公式情報リンク集

制度詳細・支給額・期限計算は改正される場合があります。実施前に、以下の一次情報で最新資料を確認してください。

免責事項:本記事は2026年9月2日時点の公開情報をもとに編集しています。支給を保証するものではありません。制度の適用可否、申請期限、就業規則の変更、他制度との併給は個別事情で異なります。最新の支給要領を確認し、管轄労働局・ハローワークおよび必要に応じて社労士へご相談ください。

この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。

この制度についてAIに質問する 「【2026年版】賞与・退職金…」について、無料・登録不要でその場で質問できます
0 / 400文字

AIの回答は参考情報です。申請判断は公式情報・専門家にご確認ください。入力内容は保存されません(1人1日10問まで)。

Need help turning subsidy knowledge into action?

補助金を使ったAI導入を検討中の方へ

制度の最終適用可否は公募要領の確認が必要ですが、AI研修・PoC・導入計画の整理はUravationが無料相談でサポートしています。

この記事をシェア

X Facebook LINE