月末の勤怠締めで打刻漏れを追いかけながら、残業の多い部署だけを表計算ソフトで拾い直す。
年休の取得状況も別台帳に分かれ、就業規則の改定と勤怠システムの更新を同時に進めたいのに、どの費用が助成対象になるのか判断しにくい。
この場面で検討したいのが、令和8年度の「労働時間短縮・年休促進支援コース」です。
2026年8月28日現在、厚生労働省の公式ページは令和8年度分を受付中としており、交付申請期限は2026年11月30日(月)17時、事業実施は2027年1月31日(日)までです。通常の補助率は3/4。一定の小規模事業者が対象となる設備・機器等を導入し、その所要額が30万円を超える場合は4/5になります。
検索結果で目にする「上限150万円」は、時間外・休日労働の上限を大きく引き下げる成果目標①の単独上限です。年休の計画的付与25万円と、時間単位年休・特別休暇25万円は合算できるため、3つの成果目標をすべて選択して達成した場合の基本上限は200万円です。さらに賃上げ加算と割増賃金率引上げ加算がありますが、実際の助成額は「成果目標別上限と加算額の合計」と「対象経費に補助率を乗じた額」のうち低い金額になります。
上限150万円の意味を最初に整理する

労働時間短縮・年休促進支援コースは、単に勤怠ソフトを購入する制度ではありません。中小企業事業主が、研修、制度整備、労務管理ソフト、設備・機器などの改善事業を行い、申請時に選んだ労働時間や休暇制度の成果目標を達成したときに、その経費の一部が助成される仕組みです。
| 確認項目 | 令和8年度の内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース) |
| 所管 | 厚生労働省 |
| 受付開始 | 2026年4月13日(月) |
| 交付申請期限 | 2026年11月30日(月)17時。予算の制約により、期限前に受付を締め切る場合あり |
| 事業実施期限 | 2027年1月31日(日) |
| 対象者 | 労災保険の適用を受ける中小企業事業主で、年休管理簿や就業規則等の要件を満たす事業主 |
| 改善事業 | 研修、コンサルティング、就業規則等の整備、労務管理ソフト・機器、労働能率を高める設備等の7種類 |
| 成果目標 | 時間外・休日労働の上限設定、年休の計画的付与、時間単位年休と特別休暇の新規導入から1つ以上 |
| 基本上限 | 成果目標①は50万円・100万円・150万円、②と③は各25万円。選択した成果目標の上限は合算 |
| 補助率 | 3/4。常時使用する労働者数30人以下で、改善事業⑥・⑦を実施し、その所要額が30万円を超える場合は4/5 |
| 申請先 | 所在地を管轄する都道府県労働局雇用環境・均等部(室)。Jグランツによる電子申請も可能 |
5コース全体から先に選びたい場合は、働き方改革推進支援助成金の全5コース比較も参照してください。建設、運送、病院、情報通信、宿泊など特定業種の課題に対応したい場合は、業種別課題対応コースの方が合うこともあります。
申請前に4つの入口要件を照合する

1.労災保険の適用を受ける中小企業事業主か
第一の入口は、労災保険の適用事業主であることです。あわせて、資本金または常時使用する労働者数が、主たる事業ごとの中小企業要件に当てはまる必要があります。「資本金」と「労働者数」は、表に示すどちらか一方の基準を満たせば対象になり得ます。ただし、病院等は労働者数のみで判定されます。
| 主たる事業 | 資本金・出資総額 | 常時使用する労働者数 |
|---|---|---|
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院 | 基準なし | 300人以下 |
| その他の事業 | 3億円以下 | 300人以下 |
2.年5日の年休取得に向けた管理体制があるか
すべての指定事業場で、年次有給休暇の付与実績にかかわらず、時季・日数・基準日が分かる年休管理簿を作成していることが必要です。さらに、常時10人以上の労働者を使用する指定事業場では、年休の時季指定の対象者や指定方法を就業規則に記載し、交付申請前に所轄労働基準監督署へ届け出ていなければなりません。
ここは「これから助成金で整える部分」と混同しやすいところです。年5日の取得に向けた基礎的な管理体制は申請前の入口要件であり、成果目標②の「計画的付与制度を新規導入すること」とは別に扱われます。
3.労使で改善を進める計画になっているか
事業実施計画には、労使の話し合いの機会、労働時間等に関する苦情や要望を受ける担当者、計画内容を労働者へ周知する取組を盛り込みます。機器の購入理由だけでは足りません。現状の作業時間、導入後に減らせる時間、休暇取得への影響を、同じ作業単位で比較できるように整理することが重要です。
4.選ぶ成果目標の「実施前条件」を満たすか
- 成果目標①:すべての指定事業場で、2026年4月1日以前の2年間に、少なくとも1か月は月45時間を超える時間外労働の実態が必要です。1年単位の変形労働時間制の対象労働者は月42時間超が基準です。加えて、交付申請日を有効期間に含む36協定が、目標に応じて月60時間または月80時間を超える設定になっている必要があります。
- 成果目標②:年休の計画的付与を新たに導入します。すでに計画的付与の労使協定を締結している場合や、全指定事業場で年休付与日数が5日以下の労働者しか雇用していない場合は選べません。
- 成果目標③:時間単位年休と、対象となる有給の特別休暇を1種類以上、新たに導入します。既存制度の有無によって選択できない場合があるため、就業規則と労使協定を事前に照合します。
会社単位では要件を満たしていても、指定事業場の一部だけ書類が欠けると判断が変わり得ます。複数拠点を申請対象にする企業ほど、事業場ごとに年休管理簿、就業規則、36協定、実労働時間の証拠を並べることが大切です。
助成対象は7種類――制度整備とDX投資を組み合わせられる

令和8年度の公式リーフレットは、改善事業を次の7種類に整理しています。いずれか1つ以上を実施しますが、採用した取組が労働時間の削減や年休取得の促進にどう結びつくかを、客観的に説明できなければなりません。
- 労務管理担当者に対する研修:勤怠管理、休暇制度、業務手順の見直しなど。勤務間インターバルに関する研修や業務研修も含まれます。
- 労働者に対する研修、周知・啓発:新しい勤怠ルールや休暇制度の運用を定着させる研修、社内周知など。
- 外部専門家によるコンサルティング:労務管理、業務工程、健康面などの専門的な助言を受ける取組。
- 就業規則・労使協定等の整備:計画的付与、時間単位年休、特別休暇、割増賃金率などに関する規定の作成・変更。
- 人材確保に向けた取組:長時間労働の是正につながる採用活動など、制度目的に沿った取組。
- 労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新:勤怠データの収集、労働時間の集計、年休管理等を効率化するもの。
- 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新:同質の作業に要する労働時間を減らせる設備・機器など。
AI・DX関連で検討しやすい3つの方向
- 勤怠・年休管理の一元化:ICカード等の打刻機器と労務管理ソフトを組み合わせ、始業・終業時刻や年休残数の集計作業を減らす。
- シフト作成や勤務実績チェックの効率化:AI機能を含むソフトであっても、製品名や「AI搭載」だけで判断されるわけではありません。対象業務、導入前後の作業時間、必要なライセンス数を具体化します。
- 手作業工程の省力化:既存作業を機械化・自動化し、同じ成果物を処理する時間を短縮する設備を検討する。単なる生産量拡大や新規事業用設備ではなく、既存業務の労働能率向上を説明します。
勤怠・シフトDXの整理には、働き方改革助成金でAI勤怠導入5ステップも参考になります。もっとも、掲載例と同じ種類の製品でも、個別の仕様・費用・導入効果によって対象性は変わります。発注前に管轄労働局へ相談してください。
汎用端末と「買い替えだけ」は慎重に扱う
公式ページでは、乗用自動車、パソコン、タブレット、スマートフォンの導入・更新は原則対象外とされています。また、同一機種や能力が同等以下の機種への買い替え、事業経営に最低限必要な設備、新規事業を始めるためだけの設備も、労働能率の増進として認められない可能性があります。
正直、ここは製品カタログだけでは判定できません。「月次集計に何時間かかっているか」「導入後に同じ集計が何時間になる見込みか」「その差をどのログで示すか」まで計画に落とす必要があります。
成果目標は3つ、基本上限は合算できる

成果目標①:36協定の上限を引き下げる
成果目標①は、交付申請時の36協定と、改善事業後に届け出る36協定の設定時間数の組み合わせで上限が決まります。実際の残業時間だけを減らす目標ではなく、時間外労働と休日労働の合計について、36協定の設定自体を引き下げる取組です。
| 事業実施前の設定 | 実施後:月60時間以下 | 実施後:月60時間超・月80時間以下 |
|---|---|---|
| 月60時間超・月80時間以下 | 100万円 | 対象となる引下げなし |
| 月80時間超 | 150万円 | 50万円 |
たとえば、実施前が月80時間超で、実施後を月60時間以下に設定した場合の上限は150万円です。実施前が月60時間超・月80時間以下で、実施後も同じ区分にとどまる場合は、成果目標①の引下げになりません。
成果目標②:年休の計画的付与を新規導入する
すべての指定事業場で、年次有給休暇の計画的付与を新たに導入する目標で、上限は25万円です。就業規則等への規定だけでなく、対象者、対象日数、具体的な付与方法、付与日数が少ない労働者の扱い、日程変更などを定めた労使協定を有効にする必要があります。
成果目標③:時間単位年休と特別休暇を新規導入する
すべての指定事業場で、時間単位年休を新たに導入し、さらに交付要綱・支給要領の対象となる有給の特別休暇を1種類以上、新たに導入する目標です。上限は25万円。病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、不妊治療に関する休暇、裁判員休暇、ドナー休暇などが例示されていますが、無給の特別休暇は対象となる特別休暇に該当しません。
基本上限200万円でも、200万円が自動的に支給されるわけではない
成果目標①で150万円、②で25万円、③で25万円の条件をそれぞれ満たし、すべて達成すれば、成果目標部分の基本上限は合計200万円です。ただし、助成額は次の2つを比較して低い方になります。
- 選択して達成した成果目標の上限額と、適用される加算額の合計
- 助成対象経費の合計額に補助率3/4、または要件を満たす場合は4/5を乗じた額
成果目標を多く選べば有利とは限りません。達成できなかった成果目標があると交付決定の取消し等につながり得るため、現行制度、実施期限、労使協議に必要な期間を踏まえて選択します。
加算は賃上げと割増賃金率の2系統

令和8年度は、成果目標に賃金引上げを加える加算に加え、所定割増賃金率を引き上げる加算があります。加算は「申請後に考える任意の追加作業」ではなく、交付申請時の事業実施計画に成果目標として組み込み、就業規則等の変更、実際の支払い、証拠書類の提出まで行うものです。
賃上げ加算:常時使用する労働者が30人を超える場合
| 時間当たり賃金の引上げ率 | 1~3人 | 4~6人 | 7~10人 | 11~30人 |
|---|---|---|---|---|
| 3%以上 | 6万円 | 12万円 | 20万円 | 1人当たり2万円、上限60万円 |
| 5%以上 | 24万円 | 48万円 | 80万円 | 1人当たり8万円、上限240万円 |
| 7%以上 | 36万円 | 72万円 | 120万円 | 1人当たり12万円、上限360万円 |
賃上げ加算:常時使用する労働者が10人以上30人以下の場合
| 時間当たり賃金の引上げ率 | 1~3人 | 4~6人 | 7~10人 | 11~30人 |
|---|---|---|---|---|
| 3%以上 | 6万円 | 12万円 | 20万円 | 1人当たり2万円、上限60万円 |
| 5%以上 | 48万円 | 96万円 | 160万円 | 1人当たり16万円、上限480万円 |
| 7%以上 | 72万円 | 144万円 | 240万円 | 1人当たり24万円、上限720万円 |
賃上げ加算:常時使用する労働者が10人未満の場合
| 時間当たり賃金の引上げ率 | 1~3人 | 4~6人 | 7~9人 |
|---|---|---|---|
| 3%以上 | 6万円 | 12万円 | 20万円 |
| 5%以上 | 60万円 | 120万円 | 200万円 |
| 7%以上 | 90万円 | 180万円 | 300万円 |
賃上げ対象労働者は30人以下で、雇入れ日の翌日から交付申請日までが3か月を超えない労働者は対象に指定できません。交付申請日から事業実施予定期間の終期までに、就業規則等を作成・変更して施行し、引上げ後の賃金を1か月分以上支払う必要があります。支給後にも賃金の支払状況を報告する義務があるため、一時的な引上げとして考えないことが大切です。
割増賃金率引上げ加算は25万円・75万円・両方で100万円
| 成果目標 | 主な達成要件 | 加算額 |
|---|---|---|
| 所定割増賃金率を5%以上引き上げ | 月60時間以内の時間外労働に係る所定割増賃金率を5%以上引き上げる | 25万円 |
| 割増賃金率50%以上と時間削減 | 月45時間超・月60時間以内の時間外労働に係る所定割増賃金率を50%以上とし、いずれか1か月の時間外労働を申請月基準で労働者1人当たり10時間以上削減する | 75万円 |
| 上記2つを両方達成 | それぞれの要件を満たす | 100万円 |
75万円の加算を選ぶには、すべての指定事業場で、2026年4月1日以前の2年間に少なくとも1か月、月45時間超の時間外労働実態が必要です。1年単位の変形労働時間制では月42時間超です。割増賃金率の規定変更だけでなく、実際の時間削減まで成果に含まれます。
11月30日17時を「準備開始日」にしない
公式ページの現在表示は受付中、予算残額は公表されていない
厚生労働省の制度ページを2026年8月28日に確認した時点では、「2026年4月13日から申請受付を開始」と掲載され、受付終了の告知は掲載されていません。一方、制度ページと公式リーフレットは、国の予算額に制約があるため、11月30日より前に予告なく受付を締め切る場合があると明記しています。
公開資料には予算消化率や残額の数値が示されていません。そのため「まだ予算に余裕がある」「何月までは受け付ける」とは判断できません。申請時点の受付状況は、厚生労働省の労働時間短縮・年休促進支援コース公式ページと管轄労働局で確認してください。
令和8年度の固定日程
| 手続 | 期限・時点 | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| 交付申請 | 2026年11月30日(月)17時 | 予算状況により期限前に変更される場合があります。電子申請も17時までです。 |
| 改善事業の実施 | 交付決定日から2027年1月31日(日)まで | 契約・発注・納品を含む計画は、交付決定後の実施期間内に収めます。 |
| 支給申請 | 事業実施予定期間の終期から30日後、または2027年2月5日(金)のいずれか早い日 | 様式第10号、事業実施結果報告書、支払・成果の証拠をそろえます。 |
締切前に整えるのは「要件・見積・規程」の3束
申請書だけを書き始めても、36協定や年休管理簿の状態が成果目標に合わなければ進みません。先に、事業場別の要件資料、導入予定品の仕様・見積、就業規則や労使協定の改定案を分けて整理します。設備やソフトウェアは製品名・型番・費用内訳が分かる見積を用意し、「一式」だけの記載を避けます。労働局のチェックリストでは相見積書も挙げられているため、提出困難な場合の扱いを含めて管轄窓口に確認しましょう。
交付申請から支給まで、順番を崩さない
1.管轄労働局へ相談し、指定事業場を固める
所在地を管轄する都道府県労働局雇用環境・均等部(室)を確認し、会社の業種区分、常時使用する労働者数、指定事業場の範囲、予定する改善事業を伝えます。制度相談は各都道府県の働き方改革推進支援センターでも受け付けています。
2.成果目標と実施前の証拠を対応させる
成果目標①なら36協定とタイムカード・賃金台帳等、②なら現行の就業規則と計画的付与の導入状況、③なら時間単位年休・特別休暇の既存規定を確認します。賃上げや割増賃金率の加算を選ぶ場合は、対象労働者、現行賃金、就業規則の変更方法まで決めます。
3.改善事業と費用の根拠を事業実施計画に落とす
改善する業務、現状の作業時間、導入するソフト・機器、削減見込み、測定方法をつなげます。研修やコンサルティングは実施内容と時間数、設備は仕様・数量・費用内訳が分かる資料を準備します。単に「生産性が上がる」ではなく、同じ作業単位で前後比較できる形にします。
4.交付申請書を提出する
様式第1号、事業実施計画、成果目標に応じた添付書類、見積書等を都道府県労働局へ提出します。Jグランツによる電子申請を選ぶ場合は、アカウントと添付データの準備も必要です。電子申請の全体像は、GビズIDからJグランツ申請までの流れで確認できますが、本コース固有の様式は厚生労働省公式ページを正本にしてください。
5.交付決定後に契約・発注し、改善事業を実施する
交付申請を出しただけでは実施期間は始まりません。交付決定通知を受けてから、承認された計画に沿って契約、発注、導入、研修、規程整備を進めます。内容を変更する場合は、軽微な変更を除き、あらかじめ計画変更申請と承認が必要です。
6.成果目標を達成し、支払いと証拠をそろえる
新しい36協定の届出、就業規則・労使協定の施行、賃金の支払い、設備の稼働など、選択した成果目標と改善事業の実施を証明します。請求書、納品書、振込記録、勤務データ、規程、届出控えを、事業実施計画の項目と対応させて保管します。
7.支給申請後、交付額の確定を待つ
様式第10号と事業実施結果報告書等を提出し、労働局の審査を受けます。交付決定額がそのまま振り込まれるとは限らず、実施内容、成果の達成、対象経費、支払証拠を踏まえて交付額が確定します。助成金は後払いです。
申請実務で詰まりやすい4つの分岐
交付決定前に契約・発注してしまう
❌ 交付申請を提出した時点で、勤怠システムの年間契約を開始する。
⭕ 交付決定通知と承認された事業実施期間を確認してから、契約・発注する。
交付要綱では、助成対象経費は交付決定日から支給申請日までに実際に支出した費用で、改善事業は原則として交付決定日から実施します。既存契約の更新時期が迫っている場合は、契約前に労働局へ相談してください。
36協定の数字だけを見て、実労働時間の条件を落とす
❌ 申請時の36協定が月80時間超なら、成果目標①を選べると判断する。
⭕ 36協定に加え、2026年4月1日以前の2年間に月45時間超の時間外労働実態があるかを事業場ごとに確認する。
協定上の上限と、タイムカード等で示す実態は別の証拠です。どちらか一方だけでは足りません。
既存の休暇制度を「新規導入」として計画する
❌ 就業規則に計画的付与や時間単位年休の規定があるのに、新規導入として25万円を計上する。
⭕ 現行の就業規則、労使協定、実際の運用を照合し、制度が未導入であることを申請前に整理する。
規定はあるが運用していないケースなどは個別判断が必要です。自己判断で規定を削除・再導入するのではなく、労働局や社労士へ相談しましょう。
上限額を見積額と同じ意味で扱う
❌ 上限150万円の成果目標を選べば、150万円が支給される前提で契約する。
⭕ 成果目標別上限、対象経費、補助率、対象外経費を分けて試算し、支給は審査後であることを資金繰りに織り込む。
ソフトウェアや設備の全費用が対象になるとは限りません。消費税仕入控除税額の扱い、対象期間、オプション費用なども申請書類で整理します。
よくある質問
労働時間短縮・年休促進支援コースとは何ですか?
中小企業が生産性向上と労働時間等の設定改善に取り組む際、研修、就業規則等の整備、労務管理ソフト、設備・機器などの経費の一部を助成する、厚生労働省の働き方改革推進支援助成金の1コースです。改善事業を行うだけでなく、時間外・休日労働の上限設定や休暇制度の新規導入といった成果目標を1つ以上達成する必要があります。
「上限150万円」と「基本上限200万円」はどちらが正しいですか?
どちらも指す範囲が違います。150万円は成果目標①の最大額です。成果目標②と③は各25万円で、複数の成果目標を選択してすべて達成した場合は合算できるため、成果目標部分の基本上限は200万円になります。賃上げ・割増賃金率の加算は別枠ですが、最終的な助成額は対象経費と補助率による計算額との比較で決まります。
AI勤怠管理やAIシフト作成ソフトは対象ですか?
労務管理用ソフトウェアは改善事業に含まれます。ただし、AI機能があるだけで対象になるわけではありません。労働時間の適正把握や、同じ作業単位の工数削減にどう寄与するか、仕様・数量・費用が妥当かを労働局が審査します。個別製品の契約前に、管轄労働局へ資料を示して相談してください。
労働者30人以下なら補助率4/5になりますか?
30人以下という条件だけでは4/5になりません。常時使用する労働者数が30人以下で、改善事業⑥の労務管理ソフト・機器等または⑦の労働能率を高める設備・機器等を実施し、その所要額が30万円を超える場合が対象です。それ以外は原則3/4です。
すでに年休の計画的付与を導入していても25万円を加算できますか?
成果目標②は「新規導入」が条件です。すでに年休の計画的付与に関する労使協定を締結している場合は、原則としてこの成果目標を選べません。現行規程と運用状況に迷う場合は、申請前に都道府県労働局または社労士へ相談してください。
令和8年度分はまだ申請できますか?
2026年8月28日時点の厚生労働省公式ページは受付開始中の表示で、交付申請期限を2026年11月30日17時としています。ただし、予算状況により期限前に予告なく締め切る場合があります。提出前に公式ページと管轄労働局で受付状況を確認してください。
紙申請とJグランツのどちらを使えますか?
厚生労働省は都道府県労働局への申請に加え、Jグランツによる電子申請も案内しています。いずれの場合も本コースの交付申請期限は17時です。電子申請ではアカウント準備や添付ファイルの整形が必要になるため、Jグランツ公式ポータルと厚生労働省の申請様式を確認してください。
申請書の作成や提出を誰に相談すべきですか?
制度要件と申請書類は、まず管轄の都道府県労働局や働き方改革推進支援センターへ相談できます。就業規則、36協定、助成金手続の専門的な判断や提出代行が必要な場合は、社会保険労務士へ相談してください。AI・DX導入の業務整理と助成金の申請手続は役割を分けて進めるのが安全です。
結論
令和8年度の労働時間短縮・年休促進支援コースは、残業上限の引下げ、年休の計画的付与、時間単位年休と特別休暇の新規導入を、研修・規程整備・労務管理DX・省力化設備と結びつける制度です。成果目標①の上限は150万円。②と③を含む成果目標部分は最大200万円まで合算でき、要件を満たせば賃上げ加算と割増賃金率引上げ加算もあります。
- すべての指定事業場について、年休管理簿、就業規則、36協定、過去の時間外労働実績を並べる。
- 改善する作業、導入候補、作業時間の前後比較、見積の内訳を事業実施計画に対応させる。
- 2026年11月30日17時を待たず、受付状況と個別要件を管轄労働局へ照会する。
建設・運送・病院・情報通信・宿泊などに該当する企業は、業種別課題対応コースの申請ガイドも比較してください。AI導入の目的整理、業務工程の可視化、導入計画の設計で悩んでいる場合は、株式会社Uravationのお問い合わせフォームから相談できます。助成金申請書の作成・提出代行を案内するものではありません。
参考・公式情報
- 働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース) — 厚生労働省。受付状況、対象要件、申請様式、申請期限、窓口を確認(参照日:2026年8月28日)
- 令和8年度 労働時間短縮・年休促進支援コースのご案内 — 厚生労働省。7種類の改善事業、成果目標別上限、補助率、加算、期限を確認(参照日:2026年8月28日)
- 働き方改革推進支援助成金交付要綱(労働時間短縮・年休促進支援コース) — 厚生労働省。成果目標の実施前条件、上限額、加算、申請・実施・支給申請の規定を確認(参照日:2026年8月28日)
- 働き方改革推進支援助成金支給要領(労働時間短縮・年休促進支援コース) — 厚生労働省。中小企業要件、年休管理簿、設備の労働能率要件、休暇制度の詳細を確認(参照日:2026年8月28日)
- 交付申請時の提出書類チェックリスト — 兵庫労働局。36協定、勤務実績、見積書、相見積書、規程等の提出資料を確認(参照日:2026年8月28日)
- 都道府県労働局所在地一覧 — 厚生労働省。申請窓口の確認用(参照日:2026年8月28日)
- Jグランツ — デジタル庁。電子申請ポータル(参照日:2026年8月28日)
この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。
免責事項
本ページは2026年8月28日時点の厚生労働省公表資料に基づく参考情報です。制度内容、受付状況、申請様式、審査上の取扱いは変更される場合があります。助成金の交付・支給を保証するものではなく、個別の対象性と交付額は都道府県労働局の審査により決まります。申請時は厚生労働省の最新資料を読み、管轄労働局または社会保険労務士へご相談ください。
