子の看護等休暇を有給にして社員に使わせた中小企業事業主には、1事業主あたり30万円が支給されます。2026年9月25日時点で公表されている令和8年度の支給要領では、この30万円は両立支援等助成金の「柔軟な働き方選択制度等支援コース」のなかの「子の看護等休暇制度有給化支援」という支給メニューです(両立支援等助成金(柔軟な働き方選択制度等支援コース)支給要領 令和8年4月8日版 0302b)。
ただし、就業規則に「有給にします」と一行足しただけでは、この30万円は出ません。付与日数、時間単位で取れるかどうか、規定した日付、そして「実際に10時間以上使った社員がいるか」まで、要領は細かく条件を切っています。しかも申請期限の起算日が、他の助成金と違って「利用時間が10時間に達した日の翌日」です。ここを読み違えると、制度は整えたのに申請だけ間に合わない、ということが起こります。
この記事では、まず2025年4月の育児・介護休業法改正で「子の看護休暇」が何に変わったのかを押さえたうえで、有給化して30万円を受け取るまでの手順を、令和8年度の支給要領とQ&Aの原文にあたりながら順に追っていきます。
30万円が出るのは「柔軟な働き方選択制度等支援コース」の2番目のメニュー

まず制度の位置づけを誤解しないでほしいのですが、「子の看護等休暇助成金」という名前の助成金は存在しません。正式には、両立支援等助成金という大きな枠のなかの1コース、さらにそのコースのなかの1メニューです。検索していると「子の看護休暇 助成金」という言い方をよく見かけますが、労働局に問い合わせるときは下の正式名称で話したほうが早く通じます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 両立支援等助成金 柔軟な働き方選択制度等支援コース(子の看護等休暇制度有給化支援) |
| 所管 | 厚生労働省(申請先は本社等を管轄する都道府県労働局) |
| 支給額 | 1事業主あたり30万円(同一事業主について1回限り) |
| 対象事業主 | 雇用関係助成金共通要領0202に定める中小企業事業主 |
| 制度を規定した日 | 令和8年4月8日以降に労働協約または就業規則へ規定したこと |
| 利用実績の要件 | 9歳に達する日以後の最初の3月31日までの子について、10時間以上利用した被保険者が在籍していること |
| 申請期限 | 制度を利用した被保険者の利用時間数が10時間に達した日の翌日から起算して2か月以内 |
| 上乗せ | 制度利用期間延長加算20万円/障害児等要配慮支援加算20万円/育児休業等に関する情報公表加算2万円 |
| 申請方法 | 【柔】様式第1〜5号を管轄労働局長へ提出(電子申請も可) |
※ 上記は令和8年4月8日付の支給要領および2026年4月作成のリーフレットに基づく、2026年9月25日時点の内容です。金額・要件は改正されることがあるため、申請前に厚生労働省「子ども・子育て両立支援等助成金のご案内」で最新の支給要領をご覧ください。
このコースにはもう一つ、柔軟な働き方選択制度を3つ以上導入して社員に使わせる①柔軟な働き方選択制度(1人あたり20万円、4つ以上導入なら25万円、1事業主5人まで)というメニューがあります。今回扱うのは②子の看護等休暇制度有給化支援のほうです。①の設計や制度の選び方は、柔軟な働き方選択制度等支援コース 令和8年度改正点|最大25万円で詳しく整理しています。コース全体の地図がほしい方は両立支援等助成金 全6コースの支給額と申請方法【2026年度】から先に読むとつながりが見えます。
「育児休業等支援コースにあるのでは?」という誤解
ここは実務でよく混乱するポイントです。過去には育児休業等支援コースのなかに「職場復帰後支援(子の看護休暇制度)」という支給メニューがありました。ところが令和8年度の育児休業等支援コース支給要領を見ると、支給の種類は①育休取得時(30万円)②職場復帰時(30万円)③育児休業等に関する情報公表加算の3つだけで、子の看護等休暇に関するメニューはありません。
さらに注意が必要なのは、柔軟な働き方選択制度等支援コースの支給要領0301bが、「令和5年度以前の育児休業等支援コースの職場復帰後支援における『子の看護休暇制度』を受給済の中小企業事業主」を対象から除くと明記していることです。昔この助成を受け取った会社は、今回の30万円は受け取れません。過去の受給履歴は、申請前に社内で必ず洗い出してください。
2025年4月、「子の看護休暇」は名前も中身も入れ替わった

助成金の話に入る前に、土台になっている法定制度の変更を押さえます。2025年(令和7年)4月1日施行の改正育児・介護休業法で、制度名が「子の看護休暇」から「子の看護等休暇」に変わりました。「等」の一文字が増えただけに見えますが、対象の子も取得事由も広がっています。
| 改正内容 | 2025年3月31日まで | 2025年4月1日から |
|---|---|---|
| 名称 | 子の看護休暇 | 子の看護等休暇 |
| 対象となる子の範囲 | 小学校就学の始期に達するまで | 小学校第3学年修了まで |
| 取得事由 | ①病気・けが ②予防接種・健康診断 | ①病気・けが ②予防接種・健康診断 ③感染症に伴う学級閉鎖等 ④入園(入学)式、卒園式 |
| 労使協定で除外できる労働者 | ①週の所定労働日数が2日以下 ②継続雇用期間6か月未満 | ①週の所定労働日数が2日以下のみ(②は撤廃) |
| 取得できる日数 | 子が1人なら年5日、2人以上なら年10日 | 変更なし(子が1人なら年5日、2人以上なら年10日) |
出典は厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」(令和7年4月1日から段階的に施行)です(参照日: 2026-09-25)。
入社半年未満のパート社員も対象になった
地味ですが影響が大きいのが、労使協定による「継続雇用期間6か月未満」除外の撤廃です。改正前は、入社から半年経っていない社員を労使協定で対象外にできました。今は週の所定労働日数が2日以下の人しか除外できません。入社2か月のパート社員から「子どもが学級閉鎖になったので休みます」と言われたら、原則として応じる必要があります。古い労使協定をそのまま置いている会社は、助成金以前に法違反の状態になっている可能性があります。
運動会と授業参観は、法定の取得事由には入らない
取得事由に「入園式・卒園式」が加わったことで、「では運動会や授業参観も?」という質問が現場で急増しました。厚生労働省のQ&Aは、はっきり線を引いています。
授業参観や運動会に参加する場合は、法的には子の看護等休暇の取得事由として認められませんが、法を上回る措置として事業主が独自の判断で取得事由に含めることは差し支えありません。(令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A A2-32)
つまり運動会は法定事由ではない。会社が上乗せで認めるのは自由、ということです。同じQ&Aでは、運動会や参観日は「育児目的休暇」の利用例として整理されています。就業規則を書くときに、法定の子の看護等休暇と、会社独自の育児目的休暇を同じ条文に混ぜてしまうと、後で助成金の審査時に「どこまでが法を上回る部分か」が読み取れなくなります。条文は分けてください。
有給化して30万円の対象になるための4つの条件

ここからが本題です。支給要領0301bイは、法定の子の看護等休暇を「上回る措置として付与する」休暇について、次の4点すべてを満たす制度を、令和8年4月8日以降に労働協約または就業規則へ規定することを求めています。
| 要領の記号 | 条件 | 実務で落ちやすい点 |
|---|---|---|
| (イ) | 有給の休暇であること。労働基準法第39条の年次有給休暇として与えられるものを除き、年次有給休暇を取得した場合と同等の賃金が支払われるもの | 「年休を充当できる」という書き方は対象外。年休とは別枠の有給休暇として設計する |
| (ロ) | 一の年度において10労働日以上が付与されるものであること | 法定は子1人なら年5日。年10日以上に増やして初めて「法を上回る」になる |
| (ハ) | 時間を単位として(時間未満単位も可)取得でき、始業の時刻から連続せず、かつ終業の時刻まで連続しない時間単位での取得(いわゆる中抜け)を認める制度であること | 法令が義務づけているのは中抜けなしの時間単位。中抜けを認めるところまで書かないと要件を満たさない |
| (ニ) | 1日の所定労働時間を変更することなく利用できるものであること | 「時短勤務に切り替えたうえで取得」という設計は不可 |
加えて0301bロで、支給申請日において、9歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子について、この制度を10時間以上利用した被保険者が在籍していることが求められます。この10時間は、同じ社員の複数の子にかかる取得時間を合計しても構いませんし、配偶者が同じ事業主に雇われていて同じ休暇を取っているなら、その配偶者の取得時間と合算しても構いません。
もともと有給だった会社は、原則として対象外
2026年度版のQ&A(Q看1)に、意外と知られていない取扱いがあります。
本コースでは、支給要件に合致した制度を新規に導入することを求めており、お尋ねのような令和7年4月に導入された制度が既に現在の支給要件に合致する制度であった場合には、支給対象とはならない。有給ではあっても付与日数が少ないなど、現在の支給要件には合致していない制度であって、それを新たに合致した制度に改正するという場合は支給対象となり得る。(両立支援等助成金(柔軟な働き方選択制度等支援コース)Q&A(2026年度) A看1)
正直に言うと、両立支援に早くから取り組んできた会社ほど不利になる設計です。ただし救いもあって、「有給だが年5日しかない」「時間単位で取れない」など、現行の4条件を満たしていない制度を、満たす制度に改正するのであれば対象になり得ます。自社の現行規定がどこまで達しているかを、上の表の4行で採点してみてください。
なお、同じQ&Aは「従前から就業規則等に子の看護等休暇の規定のない事業主」も対象外としています。要領イのただし書きも、4条件を満たす前の法定制度としての規定が確認できなければ支給対象とはならないと書いています。法定制度を規定しないまま、いきなり上乗せ制度だけを作るルートは通りません。
「うちには対象の子を持つ社員がいない」は通らない
制度を整えるだけで受け取れるのか、という質問への回答も明確です。Q看2の答えは「対象とならない」。子の看護等休暇の対象となり得る子がいる社員を雇用していて、その社員が10時間以上制度を利用した事業主である必要があるとされています。同じ回答のなかで、対象となる子は支給申請日において小学校3年生までである、とも確認されています。
さらにQ看3では、「有給は令和〇年〇月〇日取得分まで」といった時限措置を設けた場合は対象にならない、と明言されています。助成金の申請期間だけ有給にして後で戻す、という設計は通用しないということです。
制度づくりから入金までを6つのステップで進める

順番を間違えると受け取れない助成金です。以下は令和8年度の支給要領から組み立てた進め方で、実際の所要期間は会社規模や労働局の処理状況で変わります。
Step 1: 一般事業主行動計画を策定し、労働局に届け出る
支給要領0301ハは、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定して管轄労働局長に届け出ており、申請時にその行動計画が有効であること、さらに計画を公表し労働者に周知していることを求めています(プラチナくるみん認定を受けた事業主は除く)。ここが未着手だと、他をすべて整えても支給されません。届出だけして計画そのものを作っていない、という状態も認められません。
Step 2: 育児休業制度と育児短時間勤務制度が規定されているか点検する
0301ロは、育児休業の制度と育児のための短時間勤務制度を労働協約または就業規則に規定していることを求めます。しかも「単に育児・介護休業法に準拠する旨の規定を置くだけでは、当該制度を規定しているとは判断しない」と釘を刺されています。「詳細は法令による」で済ませている就業規則は、この段階で書き直しが必要です。規定の水準は、支給申請日において施行されている育児・介護休業法を満たしている必要があります。
Step 3: 令和8年4月8日以降に、有給の子の看護等休暇を就業規則へ規定する
前章の4条件を満たす条文を作り、労働協約または就業規則に規定します。日付が要件になっているので、規定した日が分かる形(改正前後の就業規則、労働基準監督署への届出日など)で残してください。常時10人未満の労働者を雇用していて就業規則の作成・届出義務がない事業主の場合は、制度が明文で定められ労働者に周知されていることを確認できる書類(周知日が分かるもの)で代えられます。
Step 4: 制度と利用方針を社内に周知する
リーフレットは「子の看護等休暇制度を有給化し、利用に関する方針を社内周知」を主な要件に挙げています。規程を作って終わりにせず、社内報、イントラネットの掲示、全社員へのメールなど、日付が確認できる方法で知らせてください。周知の形跡は後で書類として提出することになります。
Step 5: 社員に実際に使ってもらい、10時間到達日を記録する
ここが実務上いちばん取りこぼしやすい工程です。対象になる社員が、9歳に達する日以後の最初の3月31日までの子について、この休暇を通算10時間以上使う必要があります。時間単位で取れる制度なので、1日単位の休暇簿だけだと通算時間が追えません。休暇簿に取得時間数を分単位で記録し、通算が10時間に達した日をはっきり残す運用にしておきましょう。この日付が次のステップの起点になります。
Step 6: 10時間到達日の翌日から2か月以内に労働局へ申請する
支給要領0402bは、制度を利用した被保険者の利用時間数が10時間に達した日の翌日から起算して2か月以内に、支給申請書を管轄労働局長へ提出しなければならない、と定めています。提出先は人事労務管理の機能を有する部署が属する事業所(本社等)の管轄労働局です。電子申請も選べます。
申請期限の起算日を「就業規則の改正日」だと思い込まない

両立支援等助成金の他のメニューは、たとえば柔軟な働き方選択制度の場合、制度利用開始日から6か月を経過する日の翌日から2か月以内が申請期間です。同じコースのなかでも起算のしかたが違います。
| メニュー | 申請期間の起算 | 提出期限 |
|---|---|---|
| ①柔軟な働き方選択制度 | 対象制度利用者の制度利用開始日から6か月を経過する日の翌日 | その翌日から2か月以内 |
| ②子の看護等休暇制度有給化支援 | 制度を利用した被保険者の利用時間数が10時間に達した日の翌日 | その翌日から2か月以内 |
| ③制度利用期間延長加算 | ― | ①または②の申請書類と同時に提出 |
②は6か月の待機期間がない代わりに、10時間に達した瞬間から2か月のカウントが始まります。社員が休暇を取っていることを人事が把握しないまま数か月が過ぎ、気づいたときには期限切れ、というのがいちばんありがちな失敗です。時間単位の休暇は「短いので報告が後回しになる」性質があるため、勤怠システム側で通算時間のアラートを立てておくのが現実的です。
なお加算(③④⑤)は単独では申請できません。いずれも①または②の申請と同時に手続きします。
申請でそろえる書類は5種類
支給要領0402bが挙げている、子の看護等休暇制度有給化支援の添付書類は次のとおりです(すべて写し。電子申請の場合、支給要件確認申立書は不要)。
| 書類 | 要領が求めている中身 |
|---|---|
| 労働協約または就業規則および関連する労使協定 | 有給の子の看護等休暇を導入した改正前と改正後の両方。育児休業制度と育児短時間勤務制度を規定している部分、0301bに該当する休暇制度を規定している部分を含めること |
| 制度利用状況が確認できる書類 | 利用申出書、休暇簿など。合算で申請する場合は配偶者の分も含める |
| 子がいることを確認できる書類 | 母子健康手帳の出生証明部分、児童手当関係書類、医療証、住民票などの公的証明書類。姓が一致せず書類がない場合は申立書 |
| 一般事業主行動計画に係る書類 | 労働局に届け出た策定届の写しなど(プラチナくるみん認定事業主は除く) |
| 支給申請書・支給要件確認申立書 | 【柔】様式第1〜5号、共通要領様式第1号(電子申請の場合は電子申請用様式) |
見落としやすいのは1行目の「改正前および改正後の両方」です。新しい就業規則だけを出すと、「法を上回る措置として付与した」ことが証明できず、補正を求められます。補正期間は共通事項Q&AのA共1で1週間とされているので、差し替えの余裕は大きくありません。改正前の版を捨てずに保管してください。
就業規則の条文で、審査に引っかかる4つの書き方
要領とQ&Aを読み合わせると、条文の表現だけで支給対象から外れるパターンが見えてきます。
「会社が認めた場合」と書く
共通事項Q&AのA共4は、「会社が(個別に)認めた場合には」という規定では労働者が事前に自分が対象になるか判断できないため、環境整備に資するものでなく対象としない、としています。該当する基準やケースの例示を明確にし、労働者側から対象かどうか判断できる内容にする必要があります。
時限を切る
Q看3のとおり、「有給は令和〇年〇月〇日取得分まで」のような時限措置は対象外です。恒久的な制度として規定してください。
パートを一律に除外する
Q柔2は、パートタイム労働者を一律に対象から除外する規定について「一般的に合理的な理由があるとは認められない」と判断すると述べています。そもそも法定の子の看護等休暇も、有期雇用労働者を含めて対象を狭められません。労使協定で除外できるのは週の所定労働日数が2日以下の人だけです。
年休の振替として書く
要領(イ)は年次有給休暇として与えられるものを除いています。「失効年休を充当する」形式は、この助成の対象になる有給休暇にはあたりません。年休とは別枠で、年休を取ったときと同等の賃金が支払われる休暇として設計します。条文の書き方は厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例[簡易版](令和7年4月1日、10月1日施行対応版)」の第4条が土台になります。まず規定例どおりに法定制度を置き、そのうえで上乗せ部分を条文化するのが安全です。
30万円に上乗せできる3つの加算
子の看護等休暇制度有給化支援には、要件を満たせば重ねられる加算が用意されています。金額はいずれも支給要領(0302c・0302d・0302e)の数字です。
| 加算 | 金額 | 要件(子の看護等休暇ルートの場合) |
|---|---|---|
| 制度利用期間延長加算 | 20万円 | 有給の子の看護等休暇制度を中学校修了前の子を養育する労働者について利用できる措置とした場合(同一事業主についていずれか1回限り) |
| 障害児等要配慮支援加算 | 20万円 | 障害のある子・医療的ケアを必要とする子を養育する労働者が、18歳になる年度末まで利用できる措置とした場合(同一事業主についていずれか1回限り) |
| 育児休業等に関する情報公表加算 | 2万円 | 男性の育児休業取得割合、女性の育児休業取得割合、男女別の育児休業平均取得日数を「両立支援のひろば」の一般事業主行動計画サイトで公表した場合 |
Q&AのA障3は、障害児等要配慮支援加算と制度利用期間延長加算について「それぞれの支給要件を満たした場合に、併給可能」と回答しています。したがって本体30万円に3つの加算をすべて重ねた場合の合計は72万円になります。ただしこれは要件をすべて満たした場合の計算であって、支給を約束するものではありません。
障害児等要配慮支援加算は令和8年度の新設です。改正内容は愛媛労働局「令和8年度 両立支援等助成金改正内容について」でも案内されています(参照日: 2026-09-25)。
情報公表加算については、出生時両立支援コース、育児休業等支援コース、育休中等業務代替支援コースで既に受給している場合でも、1回に限り支給される取扱いです。業務代替まわりの助成を検討している会社は、育休中等業務代替支援コース|最大81万円の申請ガイド【令和8年度】もあわせて見ておくと、加算の重複を整理しやすくなります。
対象になる会社、ならない会社
このコースは中小企業事業主に限定されています。判定は支給申請日の属する月の初日における資本金等の額、または企業全体で常時雇用する労働者の数で行います。どちらか一方を満たせば中小企業事業主です。
| 主たる事業 | 資本金の額または出資の総額 | 常時雇用する労働者の数 |
|---|---|---|
| 小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
出典は雇用関係助成金共通要領(令和8年4月8日)0202です。業種区分は日本標準産業分類によります。
そのうえで、次のいずれかに当てはまると支給されません(支給要領0302)。
- 支給申請日の前日から起算して1年前の日から支給申請日の前日までの間に、育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法、男女雇用機会均等法などの重大な違反があり、助成金を支給することが適切でないと認められる場合
- 支給申請時点で育児・介護休業法に違反し、同法第56条に基づく助言または指導を受けたが是正していない場合
- 対象となる労働者について、労働基準法第4条または第6章の2の規定に違反する取扱いを行っていることが明らかな場合
- 令和5年度以前の育児休業等支援コース「職場復帰後支援(子の看護休暇制度)」を受給済みの場合
- 法を上回る子の看護休暇を導入して「柔軟な働き方選択制度」を受給済みの場合
経過措置がある点にも注意
子の看護等休暇有給化支援そのものは、令和7年9月30日付の改正で新設され、2025年10月1日に施行されたメニューです。その後、令和8年4月8日付の改正で「対象労働者が実際に制度を利用したこと」が要件に加わりました。支給要領0702ロは、令和8年4月7日までに制度導入を行った事業主については、令和8年4月8日付改正前の規定を適用するとしています。2025年10月から2026年4月7日までの間に制度を整えた会社は、適用される要領の版が違います。自社がどちらに当たるかを労働局に確認してから書類を作ってください。
よくある質問
子の看護休暇の助成金はいくらもらえますか?
令和8年度は、有給の子の看護等休暇制度を導入し労働者が利用した場合に1事業主あたり30万円です(同一事業主について1回限り)。要件を満たせば制度利用期間延長加算20万円、障害児等要配慮支援加算20万円、育児休業等に関する情報公表加算2万円を上乗せできます。金額は支給要領0302b・0302c・0302d・0302eの記載によります。
有給にしないと申請できませんか?
できません。支給要領0301bイ(イ)が「有給の休暇」であることを要件にしており、しかも年次有給休暇として与えられるものは除外されています。年休とは別枠で、年休を取得した場合と同等の賃金が支払われる休暇として規定する必要があります。無給のまま日数だけ増やしても、このメニューの対象にはなりません。
小学生はいつまで対象ですか?
法定の子の看護等休暇は、2025年4月1日から小学校第3学年修了までに拡大されました。条文上は「9歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子」です。厚生労働省のQ&A(A2-33)は、就学猶予で入学が1年遅れた子の場合、取得できるのは小学校2年生修了まで(=9歳になった年度の終わりまで)になると説明しています。学年ではなく年齢で決まると覚えておくと間違えません。
運動会や授業参観でも取得できますか?
法定の取得事由には入りません。認められるのは①病気・けが、②予防接種・健康診断、③感染症に伴う学級閉鎖等、④入園(入学)式・卒園式の4つです。ただし厚生労働省のQ&A(A2-32)は、法を上回る措置として事業主が独自の判断で取得事由に含めることは差し支えない、としています。会社が上乗せで認めるのは可能です。
もともと有給にしていた会社でも申請できますか?
現行の支給要件にすでに合致している制度を持っていた場合は対象になりません(Q看1)。一方、有給ではあるが付与日数が年5日しかない、時間単位で取れない、中抜けを認めていないなど、現行の要件に届いていない制度を、要件を満たす制度に改正する場合は対象になり得ます。まずは自社の現行規定を、要領の4条件(有給・年10労働日以上・中抜けを含む時間単位・所定労働時間を変えずに利用可)で点検してください。
何時間使わせれば申請できますか?
対象になる子(9歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子)について、通算10時間以上です。同じ社員の複数の子にかかる取得時間を合計することも、配偶者が同一事業主に雇用されていて同じ休暇を取得している場合にその配偶者の取得時間と合算することもできます。申請期限は、利用時間数が10時間に達した日の翌日から起算して2か月以内です。
従業員が育児中の社員だけ有給にする形でもよいですか?
対象になりません。共通事項Q&AのA共2は、対象労働者のみに法を上回る運用を適用するのではなく、就業規則等に規定化されているものを対象とする、としています。同A共3も、所定の要件を満たすすべての労働者が制度を利用できるよう措置されている場合を対象とする、と述べています。特定の社員だけに適用する運用は、この助成の趣旨から外れます。
最後に確認すべきこと
子の看護等休暇の有給化は、助成金の30万円よりも、制度を整えたあとに社員が実際に使えるかどうかで価値が決まります。時間単位で中抜けまで取れる休暇は、保育園からの呼び出しや学級閉鎖のような、予測できない中断に対してかなり効きます。助成金はその整備費用を一度だけ支える性格のものだと捉えてください。
申請を検討するなら、順番はこうなります。第一に、一般事業主行動計画の届出が有効かを人事で確認すること。第二に、現行の就業規則が「法に準拠する」で済ませていないか、育児休業制度と育児短時間勤務制度が具体的に書かれているかを読み返すこと。第三に、勤怠システムで子の看護等休暇の通算取得時間を追える状態にしておくこと。この3つが揃っていれば、制度改正から申請までの流れは詰まりません。
なお、同じ発想の助成メニューが介護側にもあります。令和8年度は介護休暇を有給化して労働者が利用した場合に30万円が支給される「介護休暇制度有給化支援」が新設されました。詳しくは介護離職防止支援コース|支給額4区分と有給化30万円【令和8年度】を参照してください。育児と介護の両方を同時に整えると、就業規則の改正が一度で済みます。
就業規則の条文や労使協定の締結は、社会保険労務士に相談しながら進めることをおすすめします。制度の設計と申請の可否について、不明点は本社等を管轄する都道府県労働局に直接お問い合わせください。AI活用やDXを前提にした人事制度・業務設計のご相談は、お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
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参考・出典
- 両立支援等助成金(柔軟な働き方選択制度等支援コース)支給要領(令和8年4月8日) — 厚生労働省(参照日: 2026-09-25)
- 2026(令和8)年度 両立支援等助成金のご案内(リーフレット) — 厚生労働省(参照日: 2026-09-25)
- 両立支援等助成金(柔軟な働き方選択制度等支援コース)Q&A(2026年度) — 厚生労働省(参照日: 2026-09-25)
- 子ども・子育て両立支援等助成金のご案内 — 厚生労働省(参照日: 2026-09-25)
- 両立支援等助成金 支給申請の手引き(2026(令和8)年度版) — 厚生労働省(参照日: 2026-09-25)
- 雇用関係助成金共通要領(令和8年4月8日) — 厚生労働省(参照日: 2026-09-25)
- 子の看護等休暇|育児休業制度特設サイト — 厚生労働省(参照日: 2026-09-25)
- 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内(令和7年4月1日から段階的に施行) — 厚生労働省(参照日: 2026-09-25)
- 令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A — 厚生労働省(参照日: 2026-09-25)
- 育児・介護休業等に関する規則の規定例[簡易版](令和7年4月1日、10月1日施行対応版) — 厚生労働省(参照日: 2026-09-25)
- 令和8年度 両立支援等助成金改正内容について — 愛媛労働局(参照日: 2026-09-25)
この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。
免責事項
本記事の情報は2026年9月25日時点の厚生労働省および都道府県労働局の公表資料に基づく参考情報です。両立支援等助成金の支給要件・支給額は年度ごとに改正されることがあり、個別の事案が支給対象となるかどうかは管轄労働局の判断によります。申請にあたっては必ず最新の支給要領および支給申請の手引きをご確認のうえ、本社等を管轄する都道府県労働局または社会保険労務士にご相談ください。本記事は支給を保証するものではなく、本記事の情報に基づく申請の結果について当サイトは責任を負いません。
