用意するものは3つです。①訓練機関が発行する受講案内(標準学習時間または標準学習期間が書かれたもの)、②LMS(受講管理システム)の受講記録を出力できるという訓練機関の確約、③契約期間の初日から1か月以上前に計画届を出せるスケジュール。この3つが揃わないeラーニングは、人材開発支援助成金では書類が埋まりません。
2026年9月時点の支給要領(令和8年8月3日版)では、eラーニングは「コンピュータなど情報通信技術を活用した遠隔講習であって、LMS等により訓練等の進捗管理が行えるもの」と定義され、通学制・同時双方向型とは訓練時間の数え方も、賃金助成の有無も別扱いになります。具体的には、通学制なら「実訓練時間数10時間以上」、eラーニングなら「標準学習時間10時間以上または標準学習期間1か月以上」。そしてeラーニングは経費助成のみで、賃金助成は支給されません。ここを取り違えたまま計画届を出すと、修了まで走ったあとに時間要件で外れます。
では手順1から進めます。
手順1:自社の研修が要領上の「どの実施方法」に当たるかを先に確定する

助成の可否は、研修の中身よりも先に「実施方法の分類」で決まります。同じAI研修でも、Zoomで講師とやり取りしながら受けるなら「同時双方向型の通信訓練」、録画講座をLMSで進めるなら「eラーニング」で、適用される要件がまるごと入れ替わります。支給要領0200の定義はこうです。
| 実施方法 | 支給要領上の定義(令和8年8月3日版) | AI研修での典型例 |
|---|---|---|
| 通学制 | eラーニング・通信制・同時双方向型・定額制サービスによる訓練を除く訓練等であって、教育訓練機関に通学し対面で受講すること | 研修会社の会場に集まる1日ハンズオン |
| 同時双方向型の通信訓練 | 情報通信技術を活用した遠隔講習で、一方的な講義ではなく、受講中に講師に対して質疑応答が行えるなど、同時かつ双方向的に実施される形態 | Web会議ツールで講師が生配信し、その場で質問できるAI研修 |
| eラーニング | コンピュータなど情報通信技術を活用した遠隔講習であって、LMS等により訓練等の進捗管理が行えるもの(同時双方向型を除く) | 生成AI講座の録画をLMSで受講し、進捗率が記録されるもの |
| 通信制 | 通信の方法により一定の教育計画の下に教材・補助教材等を提供し、指導者が設問回答、添削指導、質疑応答等を行うもの | テキスト教材+添削課題のデータ分析講座 |
| 定額制サービス | 一訓練当たりの対象経費が明確でなく、かつ同額で複数の訓練を受講できるeラーニング及び同時双方向型の通信訓練で実施されるサービス | 受け放題のサブスク型研修プラットフォーム |
厚生労働省のQ&A(令和6年11月版)でも、Web会議ツールを使う訓練は「通常の対面による訓練と同等」として同時双方向型に位置づけると明記されています。いわゆるライブ配信は、受講中に質疑応答が行える形態なら同時双方向型、そうでなければeラーニングに該当する可能性がある、という切り分けです。「オンラインだからeラーニング」ではありません。
正直なところ、ここが実務でいちばん誤解されます。受講案内に「アーカイブ視聴のみ」「質疑はチャットで後日回答」と書かれていれば、それはeラーニング側で組み立てるべき訓練です。
制度の前提データ(人材育成支援コース・人材育成訓練)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 人材開発支援助成金 人材育成支援コース(人材育成訓練) |
| 所管 | 厚生労働省(申請窓口は事業所の所在地を管轄する都道府県労働局) |
| eラーニングの位置づけ | 事業外訓練(教育訓練機関への委託)でのみ助成対象。事業内訓練は対象外 |
| 経費助成率 | 中小企業45%(正規雇用労働者等)/70%(有期契約労働者等)、中小企業以外は30%/70%。賃金要件または資格等手当要件を満たす場合は15%加算 |
| 賃金助成 | 1人1コース1時間当たり中小企業800円(加算200円)・中小企業以外400円(加算100円)。eラーニング・通信制は対象外 |
| 経費助成限度額 | 1人1訓練当たり、訓練時間数の区分に応じて中小企業15万円〜50万円(中小企業以外は10万円〜30万円) |
| 計画届の提出期間 | 訓練開始日の6か月前から1か月前までの間 |
| 支給申請 | 訓練終了日の翌日から起算して2か月以内(電子申請または管轄労働局) |
| 根拠資料 | 人材育成支援コース支給要領(令和8年8月3日版)、同コース詳細版パンフレット |
コース全体の助成率と流れを先に押さえたい場合は、人材開発支援助成金とは?コース一覧・助成率・申請の流れを先に読んでおくと、この記事の要件が制度のどこに収まるか分かりやすくなります。
手順2:10時間を「実訓練時間数」で数えるのか「標準学習時間」で数えるのかを判定する

人材育成訓練の訓練時間要件は10時間以上ですが、10時間の数え方が実施方法ごとに違います。支給要領06013ロの整理はこうです。
- 通学制・同時双方向型の通信訓練:1コース当たりの実訓練時間数が、計画届の届出時と支給申請時の両方の時点で10時間以上であること
- eラーニング・通信制:1コース当たりの標準学習時間が10時間以上、または標準学習期間が1か月以上であること(一般教育訓練等の指定講座は本要件が不要)
- 複数の実施方法を組み合わせる場合:それぞれの実訓練時間数と標準学習時間を合算して10時間以上。標準学習期間1か月は標準学習時間10時間として計算し、1か月に満たない場合は0時間として計算
用語も押さえておきます。総訓練時間数は「昼食等の食事を伴う休憩時間を除いた訓練時間数」、実訓練時間数は「総訓練時間数から、移動時間や開講式・小休止のうち支給対象としない時間、支給対象としない訓練や要件を満たさない実施方法のカリキュラム時間を除いた時間数」。標準学習時間・標準学習期間は「訓練を習得するために通常必要な時間(期間)として、あらかじめ受講案内等によって定められているもの」です。自社見積の想定学習時間ではなく、受講案内の数字が基準になります。
組み合わせ型の合算例(厚生労働省パンフレットQ4の例示)
| 組み合わせ | 合算後の扱い | 判定 |
|---|---|---|
| 通学制 実訓練時間数10時間 + eラーニング 標準学習時間1時間 | 11時間 | 要件を満たす |
| 通学制 実訓練時間数1時間 + eラーニング 標準学習期間1か月 | 1時間+10時間換算=11時間 | 要件を満たす |
| 通学制 実訓練時間数5時間 + eラーニング 標準学習時間5時間 | 10時間 | 要件を満たす |
| 通学制 実訓練時間数5時間 + eラーニング 標準学習期間2週間 | 5時間+0時間換算=5時間 | 要件を満たさない |
4行目が落とし穴です。標準学習期間だけが定められていて、その期間が1か月未満だと0時間として計算されるため、対面部分が5時間しかなければ合算しても10時間に届きません。「2週間で終わる短期集中のオンライン講座+半日の対面ワークショップ」という組み方は、時間要件の観点では最も不利な構成になります。
なお、組み合わせて実施する場合は、それぞれの実施方法による訓練すべてが要領の要件を満たす場合にのみ助成対象になります。片方が要件を満たさなければ、その部分だけでなく設計全体を見直す必要があります。
実訓練時間数に入れられるもの・入れられないもの
通学制・同時双方向型では、訓練の合間の小休止を1日当たり通算60分まで(連続は30分まで)、簡易的な開講式・閉講式・オリエンテーションを一の職業訓練実施計画当たり通算60分まで実訓練時間数に含められます。この取扱いはeラーニング・通信制には適用されません(そもそも標準学習時間で判定するため)。
予習・復習の扱いも要注意です。受講案内や訓練カリキュラムであらかじめ定められた宿題・事前学習・確認テストは、総訓練時間数・実訓練時間数に計上せず、訓練の実施期間にも含めません。ただし、その事前学習用の動画教材が「LMS等により進捗管理できるもの」に当たる場合は、その部分がeラーニングによる訓練として扱われます。この場合は、eラーニングの標準学習時間を訓練時間数に計上し、かつeラーニングの契約期間(訓練受講可能期間)の初日の1か月前までに計画届を提出する必要があります。「対面研修の前に動画を見せるだけ」と軽く考えていると、計画届の提出期限そのものが前倒しになります。
予習・復習の時間数や教材数が訓練本体に対して著しく多く、予習・復習が主目的と判断される場合は支給対象として認められません。業務上義務付けている場合は労働時間に該当するため、その時間の賃金支払いも必要です。
手順3:LMSの受講記録と修了証を出せるか、訓練機関に先に確約を取る

eラーニングで対象労働者の要件になるのは、受講時間の8割ではなく「訓練期間中に訓練等を修了したこと」です(支給要領06012ロ)。通学制・同時双方向型が「実訓練時間数の8割以上受講」なのに対し、eラーニングは修了したかどうかの一点で判定されます。修了を証明できなければ、どれだけ受講していても支給対象労働者になりません。
支給申請時には次の3点セットが必要です(支給要領06054イ(ホ)b)。
- eラーニング訓練実施結果報告書(様式第8-3号) — 申請事業主と対象労働者の二者による証明が必要。対象労働者の証明は直筆の署名であることが確認されます
- 修了証の写し等 — 教育訓練機関が対象労働者の訓練の修了を証明していることが分かるもの
- LMS情報の写し等 — 各訓練を修了した日、受講開始日時、受講終了日時、受講時間数、進捗率等が分かるもの
要領には、LMS情報等により実施状況を確認できないものは支給対象労働者とならない旨が明記されています。パンフレットの要件一覧でも、eラーニング・通信制の受講要件は「訓練期間中に訓練を修了すること。ただしLMSや添削課題により実施状況を確認できない場合は×」です。訓練機関側の機能に依存する要件なので、契約前に「受講開始日時・終了日時・受講時間数・進捗率を含む受講ログを出力できますか」と確認しておくのが安全です。
様式第8-3号の「内容」欄も注意が必要です。公式Q&A(Q65)は受講内容と習得できた知識・技能等を具体的に記入するよう求め、「とてもためになった」といった感想だけを記入したものは支給対象となりませんと明言しています。受講者に書かせる前に記入例を共有しておくべき箇所です。
訓練機関側の書類では、支給申請承諾書(様式第12号)の提出も必要です。これは訓練機関が記載するものなので、協力を得られる機関かどうかを計画届提出前に確認しておく必要があります。様式の全体像は人材開発支援助成金の支給申請様式一覧で確認できます。
一方で、eラーニング・通信制の場合は賃金台帳・出勤簿またはタイムカードの写しは原則不要です(支給要領06054イ(ト)(チ))。ただし労働時間中に訓練が実施されていないことが疑われる場合は、これらの提出を求められることがあります。
手順4:計画届は「契約期間の初日」を起点に1か月前までに出す

職業訓練実施計画届(様式第1-1号)の提出期間は、訓練開始日の6か月前から1か月前までの間です。要領には「6か月前の同日が提出期間の初日」という日付の数え方まで例示されています。
eラーニングで起点を間違えやすいのは、訓練の実施期間の定義が通学制と違う点です。支給要領0200カでは、通学制・同時双方向型は「総訓練時間数に計上される訓練等の初日から最終日までの期間」、eラーニング・通信制は「契約期間(訓練受講可能期間)」とされています。受講者が動画を見始めた日ではなく、アカウントが使える期間の初日が起点です。ここから逆算して1か月前までに計画届が出ていなければ助成対象になりません。
実務の順番はこうなります。受講案内と見積の取得 → 契約期間の初日を決定 → その1か月以上前に訓練カリキュラムと計画届を管轄労働局へ提出(提出日時点で訓練機関のホームページに講座情報が公開されているかも確認)→ 契約・労働時間中の受講開始 → 訓練期間中に修了し修了証とLMS情報を回収 → 支給申請。
計画届の内容を後から変えるときは、変更届の提出期限が別に定められています。実施期間・標準学習期間・教育訓練機関・実施場所を修正する場合は計画の変更が必要になるため、人材開発支援助成金の変更届で期限を確認しておいてください。期限までに変更届を出さずに変更後の訓練を実施した場合、その部分は助成の対象になりません。
支給申請のタイミングには、eラーニング特有の緩和があります。原則は訓練終了日の翌日から2か月以内ですが、eラーニングは「職業訓練実施計画届の『訓練の実施期間』内に受講が実際に修了した日(複数の支給対象労働者がいる場合はすべての対象労働者の受講が実際に修了した日)の翌日から支給申請ができる」とされています。契約期間が1年でも、全員が3か月で修了すればその翌日から申請できます。
手順5:対象外になる5つのパターンを計画前に消す

ここが最も事故が起きる部分です。いずれも支給要領の「表2 OFF-JTのうち助成対象とならない訓練等の実施方法」と公式Q&Aに根拠があります。
パターン1:自社の講師が自社LMSで配信する(事業内訓練のeラーニング)
❌ 社内のAI推進担当が講義動画を撮り、自社のLMSで全社に配信して助成金を申請する
⭕ 教育訓練機関のeラーニング講座を委託(事業外訓練)として受講させる
なぜ重要か:支給要領06013は「eラーニングによる訓練等及び通信制による訓練等については、事業内訓練においては支給対象外の訓練等とする」と定めています。パンフレットにも「事業内訓練は、通学制・同時双方向型の通信訓練に限り助成します。eラーニング・通信制は対象となりません」と明記されています。社内講師でオンライン研修をしたいなら、同時双方向型(質疑応答ができる生配信)で組むのが要領に沿った設計です。
パターン2:自社専用にカスタマイズした講座を発注する
❌ 研修会社に「自社の業務データを使った専用カリキュラム」をeラーニングで作らせる
⭕ 広く受講者を募集している公開講座を選ぶ
なぜ重要か:表2の4号は「広く国民の職業に必要な知識及び技能の習得を図ることを目的としたものではなく、特定の事業主に対して提供することを目的としたもの(eラーニングによる訓練等及び通信制による訓練等に限る)」を対象外としています。さらに要領06013ニ(ロ)は、計画届の提出日時点で、教育訓練機関が自社のホームページに当該訓練の情報(訓練の概要、連絡先、申込みや資料請求が可能な状態であることが分かること)を掲載していない民間の教育訓練機関である場合は支給対象としない、としています。公式Q&A(A60)も、労働局が計画届提出時に訓練機関のホームページでの公開状況を確認することになると説明しています。カスタマイズ前提のAI研修をeラーニングで組むと、この条件に抵触します。
パターン3:資料を画面に表示して読ませるだけ
❌ スライドPDFをLMSに置き、既読をチェックさせる形式にする
⭕ 講師の説明・解説が収録された講座を選ぶ
なぜ重要か:公式Q&A(A47)は「専ら資料を閲覧することのみによるもので、講師による具体的な説明、解説等の実施時間がないもの又は著しく短いものは助成対象となりません」としています。加えて「eラーニングシステムとして市場に流通しているサービスが対象となるため、例えば、メール等で作成した資料や動画を個別に事業主へ送付し、訓練を実施するものなどは、eラーニングによる訓練とは認められません」とも書かれています。動画を個別送付する運用は、LMS要件の観点でも認められません。
パターン4:受け放題のサブスク型サービスで申請する
❌ 定額受け放題の研修プラットフォームの費用を人材育成支援コースで申請する
⭕ 人への投資促進コースの「定額制訓練」または事業展開等リスキリング支援コースで申請する
なぜ重要か:表2の2号は「eラーニングによる訓練等及び同時双方向型の通信訓練のうち、定額制サービスによるもの」を人材育成支援コースの助成対象外としています。公式Q&A(A49)も「人材育成訓練コースでは対象になりません。『人への投資促進コース(定額制訓練)』または『事業展開等リスキリング支援コース』の助成対象となります」と振り分けを示しています。同じeラーニングでも、料金体系が「1訓練当たりの対象経費が明確でない定額制」ならコースが変わります。詳細は後述の比較と、定額制訓練の助成金|サブスク型AI研修の対象要件で確認してください。
パターン5:受講を本人任せにする(自発的学習の扱い)
❌ アカウントを配って「空いた時間に各自進めておいて」と案内する
⭕ 業務上の義務として、労働時間中に受講させる(受講計画を明示する)
なぜ重要か:表2の1号は「業務上の義務として実施されるものではなく、労働者が自発的に行うもの」(育児休業中訓練を除く)を対象外としています。要領0200リ(ト)は、eラーニング・通信制であっても支給対象訓練は業務上義務付けられ労働時間に該当するため、訓練中に賃金を支払うことが必要と明記しています。公式Q&A(A50)は、労働時間中であれば業務の合間に自席からeラーニングを受講する形でも助成対象になるとしつつ、業務命令として労働時間中に実施させる意図がなく専ら労働者が自発的に実施していると判断される場合には助成金が支給されないとしています。同Q&Aでは、パソコンのログやログイン・ログアウトの記録の提出を求めることがあり、労働時間外に訓練を実施させていると判断される場合は不支給となることもあると説明されています。
不支給になった実際の原因パターンを類型で押さえておきたい場合は、人材開発支援助成金の不支給事例も参考になります。
eラーニングを選ぶと助成額の内訳がどう変わるか
要件を満たしたうえで、金額面の違いを確認します。人材育成訓練の助成率・助成額は次のとおりです(令和8年8月3日版)。
| 区分 | 経費助成率(1人1コース当たり) | 賃金助成額(1人1コース1時間当たり) |
|---|---|---|
| 中小企業事業主/正規雇用労働者等 | 45%(賃金要件・資格等手当要件を満たす場合は15%加算) | 800円(同要件を満たす場合は200円加算) |
| 中小企業事業主/有期契約労働者等 | 70%(同15%加算) | 800円(同200円加算) |
| 中小企業以外/正規雇用労働者等 | 30%(同15%加算) | 400円(同100円加算) |
| 中小企業以外/有期契約労働者等 | 70%(同15%加算) | 400円(同100円加算) |
ここで効くのが、支給要領06023の「イからニのいずれかに該当する場合、賃金助成は支給しない」という規定です。そのイが「eラーニングによる訓練等及び通信制による訓練等の場合」。パンフレットも「eラーニング、通信制による訓練は経費助成のみです。賃金助成は対象外です」と注記しています。同時双方向型は賃金助成の対象ですが、その場合も対象は所定労働時間内に実施された訓練時間数だけで、所定労働時間外や休日の実施分は算定から除かれます(所定休日をあらかじめ振り替えた場合を除く)。
経費助成の限度額は訓練時間数の区分で決まります。
| 企業規模 | 10時間以上100時間未満 | 100時間以上200時間未満 | 200時間以上 |
|---|---|---|---|
| 中小企業事業主・事業主団体等 | 15万円 | 30万円 | 50万円 |
| 中小企業以外 | 10万円 | 20万円 | 30万円 |
eラーニング・通信制で標準学習時間が定められていないもの(標準学習期間のみが示されているもの)は、一律で「10時間以上100時間未満」の区分が適用されます。長期の受講可能期間がついたサービスでも、標準学習時間の記載がなければ左端の区分に収まります。標準学習時間が明示されていれば、その時間数に応じた区分です。組み合わせ型は、標準学習時間が設定されているなら実訓練時間数と合算して区分を判定し、標準学習期間のみなら原則として通学制等の実訓練時間数で判定(10時間未満なら一律で最小区分)となります。
そのほか、1人当たりの賃金助成時間は一の職業訓練実施計画につき1,200時間(専門実践教育訓練の指定講座は1,600時間)、同一労働者の受講回数は一の年度で3回まで、1事業所・1事業主団体等の一の年度当たりの支給額は1,000万円が限度です。
なお、実際の支給額は対象労働者の区分・訓練経費の内訳・加算要件の充足状況で変わります。受講料の設定は助成金の有無と無関係でなければならず、助成金を前提とした値引きを受けることはできません(受講料等の価格設定に関する疎明書=様式第28号の趣旨)。見積の段階で助成金を織り込んだ金額提示を受けている場合は、様式第28号(疎明書)の書き方を確認したうえで訓練機関に照会してください。
定額制(サブスク型)と他コースでのeラーニングの扱い
eラーニングを使ったAI・DX研修は、人材育成支援コース以外でも申請できます。ただし料金体系と訓練内容で入口が変わります。2026年9月時点の主要3コースの扱いを並べます。
| コース・メニュー | eラーニングの扱い | 経費助成率 | 賃金助成 | 時間要件 |
|---|---|---|---|---|
| 人材育成支援コース(人材育成訓練) | 事業外訓練のみ対象。定額制サービスは対象外 | 中小45%/70%、中小企業以外30%/70%(各15%加算あり) | 対象外 | 1コースの標準学習時間10時間以上、または標準学習期間1か月以上 |
| 人への投資促進コース(定額制訓練) | 定額制サービスによる訓練が対象 | 中小60%(15%加算)/中小企業以外45%(15%加算) | 対象外 | 修了した訓練の標準学習時間が、支給申請時において合計10時間以上 |
| 事業展開等リスキリング支援コース | eラーニング・通信制・定額制サービスいずれも対象(事業内訓練は対象外) | 中小75%/中小企業以外60% | eラーニング・通信制・定額制サービスは対象外(通学制・同時双方向型は中小1,000円/中小企業以外500円) | eラーニング・通信制は標準学習時間10時間以上または標準学習期間1か月以上。定額制サービスは修了分の合計10時間以上 |
違いの本質は「1訓練当たりの経費が明確かどうか」です。1講座ごとに受講料が決まっているeラーニングなら人材育成支援コース、受け放題で1訓練当たりの経費を切り出せないなら定額制訓練という振り分けです。定額制訓練は経費助成限度額が1人1月当たり2万円、訓練の実施期間は1年以内、支給対象訓練の講座数が全体の5割以上であることも要件になります。
時間要件の数え方も違います。人材育成支援コースは1コース単位で10時間、定額制訓練は支給申請時までに修了した訓練の標準学習時間の合計で10時間。後者は短い講座を積み上げて10時間に届かせる設計が前提です。実例は人への投資促進コースのAI・DX研修活用事例を参照してください。
事例区分:想定シナリオ(構成例)
以下は支給要領の記載から組み立てた設計例で、特定企業の実績値ではありません。実際の可否は管轄労働局の判断によります。
たとえば、標準学習時間12時間と受講案内に明記された公開eラーニング講座を対象労働者に受講させる構成なら、時間要件は満たし、経費助成の区分は「10時間以上100時間未満」。事業外訓練で、講座情報が訓練機関のホームページに公開され、LMSの受講ログと修了証が出るなら書類も揃います。同じ内容を社内講師が自作して自社LMSで配信する形に変えると、事業内訓練のeラーニングとして対象外になります。設計の差だけで結果が反転します。
よくある質問
人材開発支援助成金はeラーニングも対象ですか?
対象になり得ます。ただし、支給要領で定めるeラーニングの定義(LMS等により進捗管理が行えるもの)に当たり、かつ事業外訓練として教育訓練機関に委託する形であることが必要です。事業内訓練として実施するeラーニングは対象外です。
対象となるeラーニングとはどのようなものですか?
LMS等により訓練の進捗管理が行えるもので、各訓練を修了した日、受講開始日時、受講終了日時、受講時間数、進捗率等が分かるものです。公式Q&Aでは、メール等で資料や動画を個別に送付して実施するものはeラーニングによる訓練と認められないとされています。
Web会議ツールで行うオンライン研修はeラーニング扱いですか?
受講中に講師に対して質疑応答が行えるなど、同時かつ双方向的に実施される形態であれば「同時双方向型の通信訓練」として扱われ、通常の対面による訓練と同等の要件(実訓練時間数10時間以上・8割以上の受講)が適用されます。この場合は賃金助成の対象にもなります。
録画のアーカイブ視聴だけの場合はどうなりますか?
受講中の質疑応答ができない形態は、eラーニングに該当する可能性があります。その場合は標準学習時間または標準学習期間で時間要件を判定し、賃金助成は対象外になります。実施方法の判定は受講案内の記載をもとに、計画届の提出前に管轄労働局へ確認するのが確実です。
受講案内に標準学習時間が書かれていない場合はどうすればよいですか?
標準学習期間のみが示されている場合は、その期間が1か月以上であることが要件になります。経費助成限度額は一律で「10時間以上100時間未満」の区分が適用されます。標準学習時間・標準学習期間はいずれも「あらかじめ受講案内等によって定められているもの」である必要があるため、記載がない場合は訓練機関に明示を依頼してください。
eラーニングでも賃金助成は受けられますか?
受けられません。支給要領06023により、eラーニングによる訓練等および通信制による訓練等は賃金助成を支給しないと定められています。賃金助成を組み込みたい場合は、通学制または同時双方向型の通信訓練の部分を設計に入れる必要があります。ただし、eラーニングであっても支給対象訓練は業務上義務付けられ労働時間に該当するため、訓練中の賃金の支払いそのものは必要です。
複数のeラーニング講座を組み合わせて10時間にできますか?
可能です。公式Q&A(A58)では、内容に連続性があり一連のものである場合で、それぞれがLMSを有している等の要件を満たしていれば、複数のeラーニング・通信制の訓練を組み合わせて標準学習時間10時間以上または標準学習期間1か月以上を満たせるとされています。通学制と組み合わせる場合の合算ルールも同様です。
結論
eラーニングを人材開発支援助成金の対象にできるかどうかは、研修の質ではなく要領上の分類・時間の数え方・記録の残し方の3点で決まります。2026年9月時点で押さえるべき線はこうです。
- 分類:LMSで進捗管理する非同期型はeラーニング、受講中に質疑応答できる同期型は同時双方向型。事業内訓練のeラーニングは対象外で、事業外訓練(公開講座)のみが対象
- 時間:eラーニングは1コースの標準学習時間10時間以上または標準学習期間1か月以上。組み合わせ時は標準学習期間1か月=10時間、1か月未満は0時間で合算
- 記録:様式第8-3号(労働者の直筆署名つき)、修了証、LMS情報の3点。労働時間中の受講であることが前提で、疑義があればPCログの提出を求められることがある
今日できるのは1つです。導入を検討しているeラーニング講座の受講案内を開き、標準学習時間(または標準学習期間)の記載を確認してください。記載がなければ、その時点で訓練機関に照会が必要です。そのうえで契約期間の初日を仮決めし、1か月以上前に計画届を出せるか逆算します。判断に迷う要件は、計画届の提出前に事業所を管轄する都道府県労働局へ確認し、必要に応じて社会保険労務士にご相談ください。
AI・DX研修そのものの設計(どの業務から着手し、どのスキルを社内に残すか)でお困りの場合は、お問い合わせフォームからご相談ください。研修内容が人材開発支援助成金の対象となる場合がありますが、要件審査があり、支給を保証するものではありません。助成金の申請手続きそのものについては、社会保険労務士等の専門家にご確認ください。
参考・出典
- 事業主の方のための雇用関係助成金(人材開発支援助成金) — 厚生労働省(参照日: 2026-09-15)
- 人材開発支援助成金 人材育成支援コース 支給要領(令和8年8月3日版・PDF) — 厚生労働省(参照日: 2026-09-15)
- 人材育成支援コース 詳細版パンフレット(PDF) — 厚生労働省(参照日: 2026-09-15)
- 人材育成支援コース よくある質問(Q&A・令和6年11月版・PDF) — 厚生労働省(参照日: 2026-09-15)
- 人への投資促進コース 詳細版パンフレット(PDF) — 厚生労働省(参照日: 2026-09-15)
- 事業展開等リスキリング支援コース 詳細版パンフレット(PDF) — 厚生労働省(参照日: 2026-09-15)
この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。
免責事項
本記事の情報は2026年9月15日時点で厚生労働省が公表している支給要領(令和8年8月3日版)、詳細版パンフレットおよびQ&A(令和6年11月版)に基づく参考情報です。助成金の制度内容・様式・要件は予告なく変更される場合があります。申請にあたっては、必ず厚生労働省の公式ページで最新の支給要領を確認し、個別の可否は事業所を管轄する都道府県労働局または社会保険労務士にご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。
