働き方改革推進支援助成金「勤務間インターバル導入コース」の令和8年度交付申請は、2026年11月30日(月)17時で受付が終わります。2026年9月12日時点で残り79日。補助率は3/4(条件を満たす小規模企業は4/5)、1企業あたりの上限額は最大150万円で、勤怠管理システムや労務管理ソフト、外部コンサルティング、就業規則の整備費用などが助成対象です。しかも国の予算がなくなり次第、11月30日を待たずに受付が締め切られる可能性があると厚生労働省のリーフレットに明記されています。
つまり「11月30日まであるから10月に考えよう」は危険です。就業規則の改定と勤怠システムの導入を同時に進めたい中小企業が、締切から逆算していつ何をやるべきか。都道府県労働局への交付申請に必要な要件・金額・準備手順を、厚生労働省の令和8年度公表資料に基づいて整理しました。
| 項目 | 令和8年度の内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース) |
| 交付申請締切 | 2026年(令和8年)11月30日(月)17時※予算消化により早期終了の可能性あり |
| 補助率 | 3/4(労働者30人以下かつ機器・設備等の導入で所要額30万円超の場合は4/5) |
| 上限額 | 50万〜150万円(休息時間数と適用労働者の範囲で変動)+賃上げ等の加算あり |
| 対象 | 労災保険適用の中小企業事業主(36協定締結・月45時間超の残業実態などの要件あり) |
| 事業実施期間 | 交付決定日〜2027年(令和9年)1月31日(日) |
| 申請先 | 都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)/電子申請はjGrants |
働き方改革推進支援助成金には他にも複数のコースがあります。全体像から確認したい方は働き方改革推進支援助成金【2026年最新】全5コースの上限額と申請手順を先にどうぞ。
申請できる会社の条件 — 「残業月45時間超の実態」がカギ

このコースは誰でも申請できるわけではありません。令和8年度のリーフレットでは、次の4つすべてを満たす中小企業事業主が対象とされています。
- 労働者災害補償保険(労災保険)の適用を受ける中小企業事業主であること
- 36協定を締結しており、原則として過去2年間に月45時間を超える時間外労働の実態があること
- 年5日の年次有給休暇の取得に向けて、年休管理簿や就業規則等を整備していること
- 次のいずれかに該当する事業場を有すること
- ① 勤務間インターバルを導入していない事業場
- ② 休息時間9時間以上のインターバルを導入済みだが、対象労働者が事業場の半数以下にとどまる事業場
- ③ 休息時間9時間未満のインターバルを導入している事業場
ここでいう「中小企業事業主」の範囲は、業種ごとに資本金・出資額または常時使用する労働者数のいずれかで判定されます。厚生労働省のコース案内ページ(表1)の基準は次のとおりです。
| 業種 | 資本金・出資額 | 常時使用する労働者数 |
|---|---|---|
| 小売業 | 5,000万円以下 | または50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | または100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | または100人以下 |
| 医療・福祉(病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院) | — | 300人以下 |
| その他の事業 | 3億円以下 | または300人以下 |
資本金と労働者数は「いずれか」を満たせばよいので、たとえば資本金1,000万円で従業員120人のサービス業でも対象になり得ます。医療・福祉は労働者数のみの判定です。自社がどの業種区分に当たるか微妙な場合は、日本標準産業分類ベースでの判断になるため労働局に確認しましょう。
意外と見落とされるのが2つ目の「残業の実態」要件です。長時間労働の改善を支援する助成金なので、そもそも月45時間を超える時間外労働が過去2年間にない会社は原則対象外になります。リーフレットには「基本的には1月45時間を超える時間外労働の実態があれば要件を満たす」とあるので、判断に迷う場合は管轄の労働局か働き方改革推進支援センターに事前確認しておくのが確実です。
もう1つ、常時10人以上の労働者を使用する事業場は就業規則の労働基準監督署への届出が前提になります。年休管理簿が整備されていない会社は、申請書づくりの前にまずここから手を付けることになります。
いくら助成される?休息時間数×適用範囲で決まる上限額

助成額は「成果目標」の内容で決まります。成果目標は次の3つから1つ以上を選び、その達成を目指して改善事業を実施する仕組みです。
- 新規導入:新規に所属労働者の1/4を超える労働者を対象とする勤務間インターバルを導入する(上記①の事業場)
- 適用範囲の拡大:対象労働者の範囲を広げ、所属労働者の1/4または半数を超える労働者を対象とする(②の事業場)
- 時間延長:1/4または半数を超える労働者を対象に、休息時間数を2時間以上延長して9時間以上とする(③の事業場)
新規導入の場合の上限額は、導入する休息時間数と適用労働者の割合で次のように変わります。
| 休息時間数 | 労働者の1/2超に適用 | 労働者の1/4超1/2以下に適用 |
|---|---|---|
| 9時間以上11時間未満 | 100万円 | 50万円 |
| 11時間以上 | 150万円 | 75万円 |
補助率はいずれも3/4。ただし常時使用する労働者が30人以下で、改善事業のうち「労務管理用ソフトウェア・機器等の導入」「労働能率の増進に資する設備・機器等の導入」を実施し、その所要額が30万円を超える場合は4/5に引き上がります。小規模な会社ほど自己負担が軽くなる設計です。
なお、複数の事業場に導入する場合の休息時間数は「指定した事業場のうち最も短い時間数」で判定されます。1事業場だけ9時間で他が11時間だと、上限は9時間区分の金額になる点に注意してください。適用範囲の拡大・時間延長を成果目標とする場合の上限額は、厚生労働省の支給要領の別表で区分ごとに定められています。
賃上げ・割増賃金率の引き上げで上限額が加算される
成果目標に「賃金の引上げ」を加えると、引き上げ率と人数に応じて上限額が加算されます。常時使用する労働者が30人を超える場合で、3%以上の引き上げは1人当たり2万円(上限60万円)、5%以上は8万円(上限240万円)、7%以上は12万円(上限360万円)。労働者10人以上30人以下の会社は5%・7%の加算が2倍、10人未満なら2.5倍になります。
さらに、月60時間以内の時間外労働に係る所定割増賃金率を5%以上引き上げると25万円、月45時間超60時間以内の割増賃金率を5割以上とし、かつ時間外労働を労働者1人あたり月10時間以上削減すると75万円が加算されます。賃上げを予定している会社なら、同じ取り組みで受け取れる額が大きく変わるので、成果目標の設計段階で必ず検討したい項目です。
勤怠システムもAI活用も対象 — 助成される7つの取組

助成対象となる「改善事業」は次の7つです。ITツールの導入がしっかり含まれているのが、このコースがDX推進と相性のよい理由です。
- ① 労務管理担当者に対する研修
- ② 労働者に対する研修、周知・啓発
- ③ 外部専門家によるコンサルティング
- ④ 就業規則・労使協定等の整備
- ⑤ 人材確保に向けた取組
- ⑥ 労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新
- ⑦ 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
AI・DXの文脈で使いやすい具体例を挙げると、こうなります。
- クラウド勤怠管理システムの導入(⑥):打刻データからインターバル不足を自動検知・アラートする製品なら、制度運用そのものをシステムに載せられます
- AIを活用したシフト自動作成ツール(⑥⑦):終業から次の始業まで11時間を確保したシフトを自動生成し、作成担当者の残業も減らせます
- 運送業のデジタル式運行記録計(デジタコ)(⑥):ドライバーの拘束時間・休息期間の記録を自動化できます
- 業務効率化のための設備・機器の入れ替え(⑦):労働能率を高めて残業を減らし、インターバル確保につなげる位置づけで幅広く認められています
- 社労士等によるコンサルティングと就業規則の改定(③④):インターバル制度の条文設計と届出までを外部専門家に依頼する費用が対象です
研修には勤務間インターバル制度に関するものだけでなく業務研修も含む、とリーフレットに明記されています。勤怠システム選びで迷ったら、働き方改革助成金でAI勤怠導入5ステップも参考にしてください。
就業規則にどう落とし込むか — 運用方式は2パターン
助成金の要件を満たすには、勤務間インターバルを就業規則や労使協定に明文化する必要があります。実務上よく使われる設計は大きく2つです。
- 始業時刻繰り下げ方式:残業で終業が遅くなった場合、翌日の始業時刻を後ろにずらして休息時間を確保する。ずらした分を労働したものとみなすか、勤務時間を短縮扱いにするかも規程で決めておきます
- 終業時刻制限方式:翌日の始業から逆算して、当日の残業をそもそも一定時刻までに打ち切る。インターバル違反を発生させない予防型の設計です
どちらの方式でも、繁忙期や災害対応など例外的にインターバルを確保できないケースの取り扱い(適用除外事由)を規程に書いておかないと、運用が回らなくなります。正直、この例外設計が就業規則改定でいちばん頭を使うところです。外部専門家によるコンサルティング(改善事業③)や就業規則整備(④)の費用が助成対象に含まれているのは、まさにこの設計負荷があるからだと考えると分かりやすいでしょう。
なお、休息時間が深夜に及ぶ交代制勤務の職場では、シフト表の段階でインターバルを組み込んでおくのが結局いちばん確実です。勤怠システムのアラート機能と組み合わせれば、管理職が手作業でチェックする必要もなくなります。
11月30日から逆算する準備スケジュール

締切に間に合わせるための逆算です。交付申請書の作成自体より、見積もりの取得と社内の合意形成に時間がかかります。
9月中:要件確認と体制づくり(残り79日〜)
- 36協定の締結状況と、過去2年間の時間外労働の実績データを洗い出す(月45時間超の実態確認)
- 年休管理簿・就業規則の整備状況をチェック。未整備ならここで着手
- 電子申請を使うならGビズID(gBizIDプライム)を取得。書類審査に時間がかかる場合があるため先行して申請
- 導入する勤怠システム・設備の候補を選定し、ベンダーに見積もりを依頼
10月前半:成果目標と事業計画を固める
- 休息時間数を9時間にするか11時間にするかを決める(上限額が100万円/150万円と大きく変わる分岐点)
- 適用対象を労働者の1/2超まで広げられるか検討
- 賃上げ・割増賃金率引き上げの加算を使うか判断
- 見積書をそろえ、事業実施計画の中身を確定させる
10月後半〜11月:交付申請書の作成・提出
- 交付申請書(様式第1号)と事業実施計画を作成
- 添付書類(見積書、就業規則の写しなど)を準備
- 管轄の都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)へ提出。jGrantsでの電子申請も可能です
- 予算切れによる早期受付終了のリスクを考えると、11月中旬までの提出を目標にしたいところです
交付決定後〜2027年1月31日:改善事業の実施
- 交付決定の通知を受けてから、計画に沿ってシステム導入・就業規則改定・研修等を実施
- 実施期限は2027年(令和9年)1月31日(日)。発注・納品・支払いまで期限内に完了させます
事業終了後:支給申請
- 支給申請の期限は「事業実施予定期間の終了日から起算して30日後の日」または「2027年(令和9年)2月5日(金)」のいずれか早い日
- 成果目標の達成状況を報告し、支給決定を受けて助成金が振り込まれます
jGrantsを初めて使う方は、jGrantsログインと申請の完全フロー|GビズID取得からで操作手順を確認しておくとつまずきません。
審査・支給で止まりやすいポイント

要するに、この助成金で失敗するパターンはだいたい決まっています。実際の相談で多いつまずきを4つ挙げます。
❌ 交付決定前にシステムを発注してしまった
⭕ 発注・契約・支払いは交付決定日以降に行う。補助金・助成金に共通する大原則で、フライング発注分は助成対象外になります。「締切が近いから先に契約」は最悪の悪手です。
❌ 一部の事業場だけ休息時間を短く設定し、上限額が下がった
⭕ 休息時間数の判定は指定事業場のうち最も短い時間数。150万円の上限を狙うなら、指定する全事業場で11時間以上をそろえる計画にします。
❌ 就業規則にインターバル制度の規定を落とし込んでいない
⭕ 制度導入は就業規則や労使協定への明文化とセットです。「システムだけ入れて運用ルールがない」状態では成果目標の達成と認められません。改定した就業規則は労働基準監督署への届出まで完了させます。
❌ 実施期限の2027年1月31日までに支払いが終わらなかった
⭕ 納品や検収が年末年始をまたぐと支払いが遅れがちです。ベンダーとの契約時に納期と支払スケジュールを実施期限から逆算して固定しておきましょう。
よくある質問
勤務間インターバル制度は義務化されていますか?
2026年9月12日時点では、労働時間等設定改善法に基づく努力義務です(2019年4月から)。導入しないことへの罰則は定められていません。ただし努力義務化とあわせて国が助成金で導入を後押ししている段階であり、制度の最新動向は厚生労働省の公表情報で確認してください。
休息時間は9時間と11時間のどちらで設計すべきですか?
助成金の上限額だけ見れば11時間以上が有利です(1/2超適用で150万円、9時間区分は100万円)。一方で、交代制勤務や繁忙期の残業が多い職場では11時間の確保が運用上難しいケースもあります。まず自社の直近3か月の終業〜始業の実データを取り、無理なく守れる時間数から決めるのが現実的です。
予算がなくなると本当に締め切られますか?
厚生労働省のリーフレットに「本助成金は国の予算額に制約されるため、11月30日以前に、予告なく受付を締め切る場合があります」と明記されています。締切日はあくまで最終期限であり、確実に申請するなら前倒しの提出が安全です。
すでに9時間のインターバルを導入済みですが申請できますか?
できる可能性があります。休息時間9時間以上を導入済みでも対象労働者が事業場の半数以下なら「適用範囲の拡大」、9時間未満のインターバルを導入済みなら「休息時間数を2時間以上延長して9時間以上にする」時間延長が成果目標として用意されています。完全な未導入企業だけのコースではありません。該当する上限額の区分は支給要領の別表で確認してください。
申請書は自分で書かないといけませんか?
交付申請書(様式第1号)や事業実施計画は事業主自身が作成・提出するのが原則です。書き方に迷ったら、全国の働き方改革推進支援センターで社会保険労務士などの専門家に無料で相談できますし、管轄労働局の雇用環境・均等部(室)も申請前の問い合わせに応じています。厚生労働省のコース案内ページには申請マニュアルも掲載されているので、まずそれを一読してから着手すると迷いが減ります。
他のコースと併せて申請できますか?
働き方改革推進支援助成金には労働時間短縮・年休促進支援コースなど複数のコースがあり、それぞれ要件・成果目標が異なります。自社の課題が残業削減や年休取得にある場合は、労働時間短縮・年休促進支援コース|上限150万円との比較検討をおすすめします。併給の可否は取組内容ごとの判断になるため、管轄労働局に確認してください。
結論
勤務間インターバル導入コースは、補助率3/4・最大150万円で就業規則の整備から勤怠システム・AIツールの導入までまとめて支援してくれる、令和8年度でも使い勝手のよいコースです。ただし交付申請の最終期限は2026年11月30日(月)17時、しかも予算次第で早く閉まる。動くなら順番はこうです。
- 今日やること:過去2年の時間外労働データと36協定・就業規則・年休管理簿の整備状況を確認する
- 今週中:勤怠システム・設備の見積もり依頼と、電子申請用のGビズID取得手続きを始める
- 10月中:休息時間数(9時間か11時間か)と適用範囲を決めて交付申請書を作成し、11月中旬までの提出を目指す
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参考・出典
- 働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース) — 厚生労働省(参照日: 2026-09-12)
- 令和8年度「働き方改革推進支援助成金」勤務間インターバル導入コースのご案内(リーフレット) — 厚生労働省(参照日: 2026-09-12)
- 働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)支給要領 — 厚生労働省(参照日: 2026-09-12)
- jGrants(補助金の電子申請システム) — デジタル庁(参照日: 2026-09-12)
この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。
免責事項
本記事の情報は2026年9月12日時点の厚生労働省の公表資料に基づく参考情報です。助成金の制度内容は予告なく変更される場合があります。申請にあたっては、必ず厚生労働省の公式ページで最新の交付要綱・支給要領をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。
