育休に入った社員のファイルを開くと、賃金台帳、出勤簿、母子健康手帳の写しはそろっているのに、申請書だけ見当たりません。社員からは「会社から申請書が来ないのですが」と連絡が入り、総務担当者もどの欄を誰が書くのかで手が止まります。ここで確認すべきなのが、育児休業給付金の初回申請に使う共通様式と、会社が行う手続きの順番です。
2026年10月21日時点の直答:初回は「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書」を使い、原則として会社が事業所所在地を管轄するハローワークへ提出します。社員が空の申請書を会社から受け取って返送する形に限られないため、用紙が届かないだけで未申請とは断定できません。まず会社へ、申請予定日・不足書類・提出済みかどうかを確認しましょう。
- 受給資格確認と初回申請を同時に行う期限は、育児休業開始日から起算して4か月を経過する日の属する月の末日までです。
- 初回の基本書類は、休業開始時賃金月額証明書、初回申請書、賃金・勤怠・育児の事実を確認できる資料です。
- 初回申請書は、出生後休業支援給付金も同時に申請できる共通様式です。ただし、同給付金を申請しない人が配偶者欄まで埋める必要はありません。
- 本人が希望する場合は本人申請も可能ですが、会社が保有する賃金台帳や出勤簿などが必要になります。
以下では、厚生労働省の「育児休業等給付の内容と支給申請手続(令和8年8月1日改訂版)」と、ハローワークインターネットサービスの現行帳票をもとに、初回の欄を実務順に読み解きます。給付額の上限や計算式、支給対象期間の延長要件は扱わず、申請書の作成と会社の提出作業に範囲を絞ります。
いま使う申請書と、会社・社員の役割

2026年10月21日時点で使う様式名は、「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書」です。名称が長いのは、受給資格の確認、初回の育児休業給付金、出生後休業支援給付金を一つの用紙で扱えるためです。
| 確認項目 | 2026年10月21日時点の扱い |
|---|---|
| 公式の最新案内 | 厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」令和8年8月1日改訂版 |
| 空様式 | ハローワークインターネットサービスの帳票一覧・申請書作成ページから確認 |
| 提出者 | 原則は事業主。本人が希望する場合は本人提出も可能 |
| 提出先 | 会社の事業所所在地を管轄するハローワーク。電子申請も利用可能。資本金・出資金などの額が1億円を超える法人などの特定法人は電子申請が義務 |
| 初回の期限 | 受給資格確認と初回申請を同時に行う場合、育児休業開始日から起算して4か月を経過する日の属する月の末日まで |
| 2回目以降 | ハローワークが交付する次回申請書を使い、指定された支給申請期間に提出 |
| 本人署名 | 本人が記名するか、会社が所定の同意書を取得・保存して「申請について同意済み」と記載 |
会社が作成する部分と、社員から集める情報
公式資料は「この欄は必ず会社、この欄は必ず社員」と一律の分担表を設けていません。実務では、会社が雇用保険の被保険者情報、事業所番号、休業期間、賃金・勤怠を確認し、社員から住所、電話番号、本人名義口座、子の出生日、必要に応じて配偶者情報を集める形が一般的です。
大切なのは、社員に白紙を丸ごと渡して任せないことです。賃金欄や就業日数は給与計算・勤怠記録との突合が必要で、会社側にしか確定できない情報が含まれます。賃金資料の整合性を確認する際は、助成金申請で賃金台帳を整える方法も参考になります。
出生後休業支援給付金との「同じ様式」の意味
初回の育児休業給付金と出生後休業支援給付金は、共通様式で一体的に申請するのが原則です。ただし、出生後休業支援給付金を後から単独で申請する専用様式もあります。「すべての人が配偶者欄を記入する」「共通様式以外は存在しない」という意味ではありません。
産後パパ育休に伴う出生時育児休業給付金との違いを先に整理したい場合は、産後パパ育休と出生後休業支援給付金の解説を参照してください。本稿では金額計算を繰り返さず、初回様式の記入に集中します。
初回申請の前にそろえる書類

初回は申請書だけを出すのではありません。厚生労働省の全国向け案内では、次の書類と確認資料が例示されています。「など」「確認できるもの」という示し方なので、個別事情によって追加資料を求められる場合があります。
| 区分 | 代表的な書類 | 何を確認するか |
|---|---|---|
| 提出書類 | 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 | 休業開始前の賃金状況。未提出の場合に必要 |
| 提出書類 | 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書 | 受給資格、初回の支給対象期間、本人・事業所情報 |
| 賃金・勤怠 | 賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、タイムカード | 賃金額、支払状況、就業日数・時間 |
| 休業期間 | 育児休業申出書、育児休業取扱通知書 | 育児休業の開始日・終了日 |
| 子の出生等 | 母子健康手帳の出生届出済証明ページと分娩予定日記載ページ、住民票、医師の診断書など | 育児の事実、出産予定日、出生日。写しでも可 |
| 振込口座 | 本人名義の通帳・キャッシュカードの写しなど | 新規に金融機関口座を登録する場合の口座情報 |
| 出生後休業支援給付 | 配偶者との続柄、配偶者の育児休業取得状況または配偶者要件が不要となる状態を確認できる資料 | 同給付金の配偶者要件 |
母子健康手帳はどのページをコピーするか
全国向けの案内は、育児の事実、出産予定日、出生日を確認する資料として、母子健康手帳の出生届出済証明のページと分娩予定日が記載されたページを例示しています。申請内容によって住民票や医師の診断書を使うこともできます。氏名や日付が読める状態か、コピー前に確認してください。
ただし、必要なページや代替書類の扱いを全国一律に断定するのは危険です。管轄ハローワークが、申請内容に応じて追加の確認資料を求める場合があります。提出直前に、事業所所在地を管轄する窓口へ確認しましょう。
賃金月額証明書が不要になる場合
同じ子について、初回申請より前に出生時育児休業給付金または育児休業給付金の支給を受け、休業開始時賃金月額証明書を提出済みであれば、同じ証明書の再提出は不要とされています。単に「以前、別の子で育休を取った」「同じ会社に長く勤めている」という理由で省略できるわけではありません。
1〜12欄は本人・事業所・子の情報を書く

申請書の前半は、雇用保険の登録情報と、今回の育児休業に関する基礎情報です。被保険者証、雇用保険の事業所台帳、育児休業申出書、母子健康手帳を横に置いて転記すると、番号や日付の取り違えを減らせます。
| 欄 | 記載内容 | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| 1欄 | 被保険者番号 | 雇用保険被保険者証の番号を使います。古い16桁表示の場合は公式入力ページの分割方法に従います。 |
| 2欄 | 資格取得年月日 | 雇用保険の資格取得記録と照合します。 |
| 3欄 | 被保険者氏名・カナ | 雇用保険上の表記と一致させます。改姓が未反映なら先に登録状況を確認します。 |
| 4欄 | 事業所番号 | 今回の申請対象者を雇用する事業所の番号です。 |
| 5欄 | 育児休業開始年月日 | 育児休業申出書・取扱通知書と合わせます。産後休業に続けて育休を取る女性は、公式注意書き上、入力不要です。 |
| 6欄 | 出産年月日 | 母子健康手帳などと一致させます。 |
| 7欄 | 出産予定日 | 出生日と予定日が異なり、出生日前から育休を開始した場合などに記載します。一律の必須欄ではありません。 |
| 8欄 | 同じ子に係る過去の休業 | 同じ子について出生時育児休業または育児休業を取得済みなら「1」を記載します。 |
| 9欄 | 個人番号 | 印刷後に、番号確認と身元確認を行ったうえでマイナンバーを記載します。過去に同じ子について出生時育児休業または育児休業を取得し、個人番号を登録した場合は記載不要です。メールや通常のチャットで番号を集めず、会社の安全な取扱手順に従います。 |
| 10・11欄 | 郵便番号・住所 | 現在の郵便番号と住所を記載します。過去に同じ子について出生時育児休業または育児休業を取得し、その時に登録した住所から変わっていなければ記載不要です。11欄は、市区郡・町村名、丁目・番地、建物名の各行を分けて記載します。 |
| 12欄 | 電話番号 | 項目ごとに左詰めで記載します。会社代表番号ではなく、被保険者の連絡先を確認します。 |
5欄の育児休業開始日を産休開始日と混同しない
出産した女性が産後休業に続けて育児休業へ入る場合、育児休業給付上の開始日は、出生日から起算して58日目に当たる日として扱われます。会社の社内申請日、産前休業の開始日、最終出勤日をそのまま転記する欄ではありません。公式の注意書きに従い、5欄を空欄とするケースもあるため、帳票作成ページの案内を優先してください。
7欄の出産予定日は全員が埋める欄ではない
7欄は、出生日と出産予定日が異なり、出生日前から育児休業を開始した場合などに用います。出生後休業支援給付金の対象期間を判定するために必要になるケースもあります。「母子健康手帳に予定日があるから全員記入」と処理せず、公式Q&Aの条件に照らしてください。
13〜24欄は支給単位期間・就業・賃金を対応させる

初回申請で最も間違いやすいのが、支給単位期間と勤怠・賃金を一組でそろえる部分です。給与計算の締め期間や暦月と、育児休業給付の支給単位期間は同じとは限りません。
13・17・21欄:支給単位期間
支給単位期間は、育児休業開始日から1か月ごとに区切ります。13欄がその1、17欄がその2、すでに育児休業を終了している場合などは21欄に最終の支給単位期間を記載します。初回同時申請は、原則として最初と次の2つの支給単位期間について行います(本人が希望すれば1つの支給単位期間での申請も可能です)。
支給単位期間その2の初日は、その1の初日の翌月の応当日です。応当日がない月は月末とし、その1の末日はその2の初日の前日になります。毎月1日から末日へ機械的に置き換えないでください。
14・18・22欄:就業日数
それぞれの支給単位期間中に就業した日数を書きます。出勤簿やタイムカードから集計し、賃金台帳だけで判断しないことがポイントです。短時間だけ働いた日も、公式ルールに沿って就業日として確認します。
15・19・23欄:就業時間
対応する支給単位期間の就業日数が10日を超える場合に、就業時間を記載します。1時間未満の時間は切り上げる扱いです。勤怠システムの小数表示をそのまま書かず、時間と分をいったん確認しましょう。
16・20・24欄:支払われた賃金額
各支給単位期間中に支払日のある賃金のうち、育児休業期間を対象として支払われた賃金額を記載します。臨時の賃金や、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は除きます。また、育児休業期間外を対象とする賃金を含めません。
初回の最初の支給単位期間では、一部分でも育児休業期間外を対象とする給与・手当や、対象期間がはっきりしない給与・手当は賃金に含めず、育児休業期間中を対象としていることが明確なものだけを記載します。振込額を丸ごと転記せず、給与明細と賃金台帳で支給項目ごとの対象期間を確かめてください。賃金締切日、賃金支払日、通勤手当の扱いは備考欄にも記載します。
25〜33欄は該当者だけ書く項目が多い

後半には、復職、期間延長、パパ・ママ育休プラス、出生後休業支援給付金、振込口座の欄があります。全欄を埋めるのではなく、申請内容に該当する欄だけを正確に使います。
| 欄 | 記載する場面 | 記載内容 |
|---|---|---|
| 25欄 | 申請時点ですでに復職している場合 | 職場復帰年月日 |
| 26欄 | 支給対象期間の延長手続きを行う場合 | 延長事由と期間。延長の詳細は別制度説明で確認 |
| 27欄 | パパ・ママ育休プラスを利用する場合 | 「1」(子が1歳以降1歳2か月未満までの期間も育児休業を取得する場合) |
| 28欄 | パパ・ママ育休プラスで配偶者番号が分かる場合、または出生後休業支援給付金を同時申請し配偶者が雇用保険被保険者の場合 | 配偶者の被保険者番号 |
| 29欄 | 配偶者が公務員などで、28欄に番号を書けない場合 | 配偶者の育児休業開始年月日 |
| 30欄 | 同じ子について再び育児休業を取り、回数制限の例外事由がある場合 | 該当する例外理由 |
| 31欄 | 出生後休業支援給付金で、配偶者の育児休業を要件としない場合 | 配偶者の状態に対応する番号 |
| 32欄 | マイナポータルに登録した公金受取口座を新たに使う場合 | 「1」 |
| 33欄 | 金融機関口座を指定する場合 | 本人名義の普通預貯金口座 |
出生後休業支援給付金では28・29・31欄を状況別に選ぶ
出生後休業支援給付金を申請する場合、配偶者の状況に応じて28・29・31欄を使い分けます。複数を推測で埋める欄ではありません。配偶者が雇用保険被保険者なら28欄、配偶者番号を書けない公務員等なら29欄、配偶者の育児休業を要件としない状態なら31欄という分岐です。なお、28欄はパパ・ママ育休プラスの申請でも、配偶者の被保険者番号を書くために使うことがあります。
続柄を確認する住民票や母子健康手帳、配偶者の育児休業取得期間を確認する通知書など、状況別の添付資料も必要になります。出生後休業支援給付金を申請しない場合は、この分岐を無理に埋める必要はありません。
32欄と33欄を同時に書いた場合の優先順位
個人番号をハローワークへ届け出ており、マイナポータルに登録した公金受取口座へ新たに振り込んでほしい場合は、32欄に「1」と記載します。この場合、金融機関情報の記載は不要です。ただし33欄側にも口座情報を書いた場合は、33欄の金融機関情報が優先されます。
会社が初回申請を出すまでの6つの工程
- 育児休業の事実を社内書類で確定する
育児休業申出書と取扱通知書で、開始日・終了予定日・分割取得の有無を確認します。 - 雇用保険情報と子の出生情報を照合する
被保険者番号、資格取得日、事業所番号、出生日・出産予定日、本人住所を確認します。 - 休業開始時賃金月額証明書を作成する
賃金台帳と出勤簿を使い、休業開始前の賃金支払状況を記載します。すでに同じ子で提出済みなら、再提出要否を確認します。 - 支給単位期間ごとに勤怠と賃金を集計する
13〜24欄を、出勤簿・タイムカード・賃金台帳と1対1で突合します。 - 本人確認・同意と口座情報を整える
本人記名を受けるか、所定の同意書を会社で保存して署名省略の扱いにします。口座は本人名義か確認します。 - 管轄ハローワークへ提出し、通知を本人へ渡す
受給資格確認のみなら「育児休業給付受給資格確認通知書」と「育児休業給付金・出生後休業支援給付金支給申請書」が交付され、初回の支給申請はこの交付された申請書で行います(電子申請では2回目以降と同じ手続きを使います)。初回同時申請なら「育児休業給付金支給決定通知書」と次回申請用の支給申請書が交付され、出生後休業支援給付金も申請した場合は同給付金の支給決定通知書または不支給決定通知書も交付されます(厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続(2026年8月1日改訂版)」)。会社は本人向け通知を保管したままにせず、社員へ渡します。
電子申請を使う場合はe-Govの雇用保険育児休業等給付の手続きから行います。資本金・出資金などの額が1億円を超える法人、相互会社、投資法人、特定目的会社(特定法人)の事業所は、育児休業給付金・出生後休業支援給付金の支給申請も電子申請が義務です(厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続(2026年8月1日改訂版)」36頁)。ハローワークの申請書作成ページへ入力して印刷しただけでは、提出完了になりません。マイナポータルは公金受取口座の指定に関係しますが、この申請そのものの提出画面ではありません。
初回期限は「4か月後の日が属する月末」で数える
期限は、受給資格確認だけを先に行うか、初回の支給申請まで同時に行うかで異なります。
| 手続きの形 | 提出期限 |
|---|---|
| 受給資格確認のみ先に行う | 初回の支給申請を行う日まで |
| 受給資格確認と初回支給申請を同時に行う | 育児休業開始日から起算して4か月を経過する日の属する月の末日まで |
厚生労働省の公式例では、育児休業開始日が7月10日の場合、4か月を経過する日は11月9日、提出期限は11月30日です。単純に「開始日の4か月後と同じ日が締切」と覚えるとずれます。まず4か月を経過する日を出し、その日が属する月の末日を確認してください。
母親が産後休業に続けて育児休業を取る場合は、給付上の育児休業開始日を出生日から起算して58日目として扱います。会社の給与システム上の休職日だけを起点にせず、公式ルールで起算日を確認しましょう。
2回目以降はハローワークが交付した申請書を使う
初回の後は、ハローワークから「育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書」と「育児休業給付次回支給申請日指定通知書」が交付されます。次回申請書には被保険者情報や対象期間が印字されているため、白紙の初回様式を毎回使うわけではありません。
2回目以降にそろえるもの
- ハローワークが交付した次回用の支給申請書
- 申請書に記載する期間の賃金額と支払状況を確認できる賃金台帳
- 休業日数・就業日数・就業時間を確認できる出勤簿またはタイムカード
- 申請内容に応じてハローワークから案内された追加資料
申請は原則として2か月に一度ですが、本人が希望すれば1か月に一度の申請も可能です。締切日は独自に計算せず、指定通知書に印字された支給申請期間・申請日を使います。
分割取得の2回目は「2回目以降の定例申請」と別に考える
同じ子について育児休業を分割取得し、2回目の育児休業に入る場合、受給資格の再確認は不要です。一方で、改めて「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書」を提出します。1回目で休業開始時賃金月額証明書を提出済みなら、その証明書の再提出は不要です。
「申請書が会社から来ない」ときの確認順
社員の手元に用紙がないことだけでは、会社が手続きを止めているとは限りません。会社が申請書を作成し、同意書で本人記名を省略して、そのままハローワークへ提出する運用もあるからです。
- 会社の人事・総務へ提出状況を確認する
「初回申請は提出済みか」「提出予定日はいつか」「本人が出す資料は残っているか」を具体的に聞きます。 - 受給資格確認だけか、初回支給申請まで同時かを確認する
手続きの範囲によって期限と、次に会社へ届く書類が変わります。 - 本人向け通知の交付状況を確認する
支給決定通知などが会社へ届いていないかを尋ねます。 - 進まない場合は管轄ハローワークへ相談する
申請先は、社員の住所地ではなく、原則として事業所所在地を管轄するハローワークです。
制度上、本人が希望すれば本人申請も可能です。ただし、賃金月額証明書、賃金台帳、出勤簿など会社側の資料が必要です。「会社を完全に介さず、本人情報だけで申請できる」という意味ではありません。まず管轄ハローワークに事情を伝え、必要書類と提出方法を確認してください。
同意書があれば本人の署名を省略できる
会社が申請内容を社員に確認し、社員と合意のうえで「記載内容に関する確認書・申請等に関する同意書」を作成・保存している場合、申請書への本人の記名・署名を省略できます。その場合、申請者氏名欄へ「申請について同意済み」と記載します。紙申請でも電子申請でも同じ扱いです。
同意書は原則として会社で保存する
署名省略用の同意書は、原則として申請書に添付して毎回提出するものではなく、会社が保存します。公式リーフレットでは、完結の日から4年間の保存が示されています。ハローワークから後日確認を求められる場合があるため、社員別・対象の子別に追跡できるよう保管してください。
配偶者の地方税情報に関する同意書とは別物
出生後休業支援給付金では、配偶者が無業者、または自営業・フリーランスなど雇用される労働者でない場合に課税(非課税)証明書を出す際、マイナンバーで地方税情報を取得できるか検証する試行運用のため、配偶者の同意書もあわせて提出します(厚生労働省「出生後休業支援給付金の支給申請における配偶者の同意書の提出について」)。これは申請者本人の署名省略に使う会社保管の同意書とは目的が異なります。「同意書を1枚取れば、本人署名も配偶者確認書類もすべて省略できる」とまとめないでください。
令和8年8月1日の変更は対象を限定して読む
厚生労働省は、令和8年8月1日から育児休業等給付の申請事務を見直しました。ただし、通常の初回育児休業給付の様式全体や、同意書による署名省略をこの日から新設したわけではありません。
| 変更項目 | 内容 | この記事での注意 |
|---|---|---|
| 出生時育児休業給付金の賃金申告 | 令和8年8月1日以降に開始する出生時育児休業では、休業期間中に支払日のある賃金を申告する扱いへ見直し | 通常の育児休業給付の賃金欄へ一律に広げない |
| 出生後休業支援給付金の配偶者確認 | 母親が申請する場合も、条件を満たす母子健康手帳の写しを配偶者確認資料に利用可能 | 母子健康手帳で確認できない場合は住民票等を求められる場合がある |
| 育児時短就業給付 | 確認書類や週所定労働時間の確認方法などを見直し | 初回の育児休業給付申請そのものの変更と混同しない |
同じ子について育児休業給付を受給済みの場合、育児時短就業給付の申請では母子健康手帳等を改めて提出しなくてよい扱いも示されています。これは育児時短就業給付の確認書類に限った話です。初回の育児休業給付申請で、育児の事実を確認する資料が全面的に不要になった、と解釈しないでください。
申請書で起きやすい不備と直し方
支給単位期間を暦月で区切る
❌ 月初から月末をそのまま13・17欄へ記載する
⭕ 育児休業開始日の応当日を基準に、1か月ごとの支給単位期間を作る
給与の振込額をそのまま賃金欄へ入れる
❌ 支払日に振り込まれた給与総額を16・20・24欄へ転記する
⭕ 育児休業期間を対象とする賃金を給与明細・賃金台帳で切り分ける
出生後休業支援給付金の欄を全部埋める
❌ 28・29・31欄を念のためすべて記載する
⭕ 配偶者の状態に合う欄を一つ選び、対応する確認資料を添える
申請書作成ページへの入力で提出が終わったと思う
❌ ハローワークのWeb画面からPDFを作成した時点で申請済みと判断する
⭕ 印刷した書類を提出するか、e-Govの対象手続きで電子申請を完了する(特定法人は電子申請)
他社・他県のチェックリストをそのまま使う
❌ 別の労働局が公開した一覧だけを見て、添付書類を全国一律に断定する
⭕ 厚生労働省の全国案内を基本にし、最後は自社の事業所所在地を管轄するハローワークへ確認する
よくある質問
育児休業給付金の申請書は誰が書きますか?
原則として会社が申請手続きを行い、会社が把握する雇用保険・賃金・勤怠情報を記載します。社員は、住所、電話、口座、子や配偶者の情報を提供し、申請内容を確認します。実際の記入分担は会社の運用によりますが、賃金・勤怠欄まで社員だけに任せるのは避けましょう。
申請書は誰が提出しますか?
原則は事業主経由です。本人が希望する場合は本人申請も可能です。提出先は、原則として会社の事業所所在地を管轄するハローワークです。
申請書はどこでダウンロードできますか?
ハローワークインターネットサービスの帳票一覧から、育児休業給付の初回様式を確認できます。現行の申請書作成・注意事項ページも併せて読んでください。Web上で作成しただけでは申請完了になりません。
会社から申請書が来ないときは、すぐ本人申請に切り替えるべきですか?
まず会社へ、提出済みか、提出予定日はいつか、不足資料があるかを確認してください。会社が同意書を保存して申請する運用では、社員へ白紙の申請書が届かないこともあります。手続きが進まない場合は、管轄ハローワークへ本人申請の方法と会社資料のそろえ方を相談しましょう。
初回申請はいつまでですか?
受給資格確認と初回支給申請を同時に行う場合は、育児休業開始日から起算して4か月を経過する日の属する月の末日までです。受給資格確認だけを先に行う場合は、初回支給申請を行う日までです。
2回目の申請書はどこから入手しますか?
受給資格確認や前回の支給申請後に、ハローワークから会社等へ次回用の申請書が交付されます。指定通知書に記載された申請期間を確認し、対象期間の賃金台帳・出勤簿等と一緒に提出します。
育児休業給付金は協会けんぽへ申請しますか?
いいえ。育児休業給付金は雇用保険の給付で、申請先は事業所所在地を管轄するハローワークです。健康保険の出産手当金などとは申請先が異なります。
同意書があれば社員の確認は不要ですか?
不要にはなりません。同意書は、会社が申請内容を本人に確認し、合意したことを残すためのものです。作成・保存したうえで、申請者氏名欄に「申請について同意済み」と記載します。疑問があれば社会保険労務士または管轄ハローワークへ相談してください。
要点の整理
- 初回は、受給資格確認票と育児休業給付金・出生後休業支援給付金を兼ねる共通様式を使います。
- 原則は会社経由ですが、本人希望による本人申請も制度上可能です。
- 初回同時申請の期限は、育児休業開始日から起算して4か月を経過する日の属する月末です。
- 賃金台帳、出勤簿、母子健康手帳などは「記載内容を確認できる資料」としてそろえ、個別の追加資料は管轄ハローワークへ確認します。
- 2回目以降はハローワーク交付の次回申請書と指定申請期間を使います。
- 同意書を本人確認のうえ会社が保存すれば、申請者氏名欄を「申請について同意済み」として署名を省略できます。
- 令和8年8月の変更は対象が限定されており、初回様式全体の全面変更ではありません。
会社側では、育児休業申出書、雇用保険情報、賃金台帳、出勤簿、出生確認資料を一つのチェックリストにまとめ、申請予定日と本人への通知返却まで担当者を決めておくと、抜けを減らせます。社員側は「用紙が来るか」だけでなく、「会社がいつ、どこまで申請するか」を確認するのが近道です。
なお、育児休業給付金は社員本人が受ける雇用保険給付であり、会社向けの両立支援等助成金とは別制度です。会社側の支援制度を確認したい場合は、育児休業等支援コースの対象要件をご覧ください。
人事・総務の手続きを整えるための3つの確認
- 対象社員ごとに、育休開始日と初回申請期限を記録する
- 賃金台帳・出勤簿・休業通知の数字と日付を申請書へ転記後、別担当者が照合する
- 申請日、通知書の受領日、本人へ渡した日を残す
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参考・公式情報
- 厚生労働省「育児休業等給付について」(参照日:2026年10月21日)
- 厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続(令和8年8月1日改訂版)」(参照日:2026年10月21日)
- 厚生労働省「Q&A~育児休業等給付~」(参照日:2026年10月21日)
- ハローワークインターネットサービス「育児休業給付 初回申請書の注意事項」(参照日:2026年10月21日)
- 厚生労働省「事業主等が雇用継続給付のお手続きを行う場合、被保険者の署名・押印を省略できる場合があります」(参照日:2026年10月21日)
- 厚生労働省「育児休業等給付の申請手続きを見直します」(参照日:2026年10月21日)
この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。
免責事項
本記事は2026年10月21日時点の厚生労働省・ハローワークの公表資料に基づく一般的な参考情報です。個別の勤務状況、育児休業の取り方、配偶者の状態、管轄ハローワークの確認内容により、必要書類や記載方法が異なる場合があります。申請前に最新の公式様式を確認し、事業所所在地を管轄するハローワークまたは社会保険労務士へご相談ください。本記事は支給を保証するものではなく、申請結果について当サイトは責任を負いません。
