デジタル化・AI導入補助金

AI導入補助金の選び方|持続化orデジタルAI 3つの事例2026

AI導入補助金の選び方|持続化orデジタルAI 3つの事例2026

この記事の結論

小規模事業者がAIツールを導入する際、持続化補助金とデジタル化・AI導入補助金のどちらを選ぶべきか。3つの想定事例から判断基準を解説する。

「AIツールを導入したいが、持続化補助金とデジタル化・AI導入補助金のどちらを使えばいいのか分からない」という相談は、補助金ナビの読者からも多く寄せられる。どちらも中小企業・小規模事業者向けの代表的な制度だが、対象者の規模も、対象経費の性質も、そして今すぐ申請できるかどうかもまったく違う。

実は小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>は申請を受け付けていない期間があり、次回の受付開始は2026年11月5日で、今は「準備期間」にあたる。一方でデジタル化・AI導入補助金2026の通常枠は、第3次(2026年7月21日17:00)の受付をすでに終了し、次の第4次締切(2026年8月25日17:00)に向けて準備が進む局面にある。この記事では、3つの想定事例をもとに、どちらの制度を選ぶべきかの判断基準を整理する。

読む前に確認 — 2つの制度の基本データ

まず両制度の骨格を並べておく。細かい違いは後述の事例で解説するが、全体像はこの表で押さえておきたい。制度全体の位置づけはAI導入に使える補助金5選の徹底比較もあわせて参照するとわかりやすい。

項目 小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠> デジタル化・AI導入補助金2026<通常枠>
所管 経済産業省・中小企業庁 経済産業省・中小企業庁
補助率 2/3(賃金引上げ特例による赤字事業者は3/4) 1/2以内(賃上げ要件を満たす場合2/3以内)
補助上限額 50万円(通常)〜最大250万円(インボイス特例+50万円・賃金引上げ特例+150万円を併用時) 5万円〜450万円(1プロセス以上は150万円未満、4プロセス以上は150万円以上450万円以下)
対象者 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は従業員5人以下、それ以外(製造業・宿泊業・娯楽業等)は20人以下の小規模事業者 中小企業基本法上の中小企業・小規模事業者等(業種ごとの資本金・従業員数要件、持続化より対象範囲が広い)
主な対象経費 機械装置等費、広報費(上限30万円)、ウェブサイト関連費(上限30万円)、展示会等出展費、旅費、開発費、雑役務費 等 ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、機能拡張・データ連携ツール費、セキュリティ関連費、導入コンサルティング費、導入設定・研修費、保守サポート費
申請方法 電子申請のみ(jGrants経由、GビズIDプライム必須)。商工会・商工会議所の事業支援計画書(様式4)発行が必要 IT導入支援事業者と連携して電子申請(自社単独では申請不可)
2026年7月22日時点の公募状況 受付休止中。次回(第20回)は2026年11月5日〜12月15日17:00 第3次(7月21日17:00)は受付終了。次回第4次締切は2026年8月25日17:00、交付決定予定日は2026年10月7日

ここで押さえておきたいのは、持続化補助金は「回次制」で締切ごとに受付が閉じる期間があるということだ。デジタル化・AI導入補助金のように年間を通じて複数回の締切が続く制度と違い、持続化補助金は次の第20回まで約4ヶ月の空白がある。この違いが、以下の3つの事例で明暗を分けた。

事例1|美容サロン(従業員3名)がAI予約システムを急いで導入した理由

事例区分: 想定シナリオ
以下は、補助金ナビ編集部が中小企業のAI導入支援の実務知見をもとに構成した典型的な活用シナリオである。特定の実在企業の事例ではない。

なぜこの補助金を選んだか

従業員3名の美容サロンでは、電話予約の対応に1日あたり1時間以上を取られ、無断キャンセルも月に数件発生していた。オーナーはAI予約管理システムの導入を決めたが、決め手になったのは「いつ使えるか」だった。従業員数だけを見れば商業・サービス業5人以下の要件を満たし持続化補助金の対象にもなり得るが、次回受付は11月からで、今すぐの導入には間に合わない。そこで、まさに申請が進んでいるデジタル化・AI導入補助金2026の通常枠(1プロセス型)を選んだ。

申請で工夫したこと

自社だけでは申請できないため、まず登録済みのIT導入支援事業者に相談した。事業計画では「電話対応時間」「無断キャンセル率」という2つの指標を軸に、AI予約システム導入後の改善目標を具体的な数値で示すことを意識した。ソフトウェア購入費とクラウド利用料(2年分)をあわせて計上し、7月21日17:00の第3次締切に間に合わせるスケジュールを組んだ。

導入後の想定成果

想定シナリオとしては、電話予約対応にかかる時間が1日1時間から20分程度に短縮され、無断キャンセルは事前リマインドの自動送信によって半減する、という改善が見込まれる水準感になる。ただし、これはあくまで一般的な導入効果の目安であり、実際の効果は業態や運用方法によって変わる。

事例2|税理士事務所(従業員6名)がデジタル化・AI導入補助金しか選べなかった理由

事例区分: 想定シナリオ
以下は、AI導入支援の実務知見をもとに構成した典型的な活用シナリオである。

なぜこの補助金を選んだか

従業員6名の税理士事務所では、議事録作成や書類の下書き作成にAIを活用したいという相談があった。ここでの分岐点は「そもそも対象になるかどうか」だ。持続化補助金の対象は、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)で従業員5人以下と定められている。6名という時点で、この事務所は持続化補助金の対象外になる。デジタル化・AI導入補助金は業種ごとの中小企業基本法の定義に基づくため対象範囲が広く、選択肢はこちらに絞られた。

申請で工夫したこと

士業特有の守秘義務があるため、導入するAIツールがデータの取り扱い・セキュリティ要件を満たしているかをIT導入支援事業者と一緒に確認した。対象経費としては、クラウド利用料と導入時の設定・研修費を中心に計上し、機能拡張費(他の業務システムとのデータ連携)も含めて申請した。

導入後の想定成果

議事録作成・要約にかかる作業時間の圧縮と、繁忙期の書類ドラフト作成の効率化が主な狙いになる。数値目標は「作業時間の削減率」で設定するのが一般的だが、士業の場合は最終チェックを必ず人が行う前提で、効率化の範囲を限定的に見積もる事務所が多い。

事例3|金属部品加工会社(従業員18名)が11月の持続化補助金をあえて待った理由

事例区分: 想定シナリオ
以下は、AI導入支援の実務知見をもとに構成した典型的な活用シナリオである。

なぜこの補助金を選んだか

従業員18名の金属部品加工会社は、製造業に該当するため持続化補助金の対象(20人以下)に入る。この会社が検討していたのは、AIチャットボットを組み込んだ自社ホームページのリニューアルと、展示会でのAI活用事例の紹介パネル制作という「販路開拓」寄りの取り組みだった。対象経費の性質を見ると、ウェブサイト関連費や展示会出展費は持続化補助金の方が守備範囲が広い。急ぎの案件ではなかったため、今すぐデジタル化・AI導入補助金で妥協するのではなく、11月開始の第20回に照準を合わせて準備を進めることにした。

申請で工夫したこと

準備期間が約4ヶ月あることを逆に活用し、商工会議所の窓口に早めに相談して事業支援計画書(様式4)の発行スケジュールを確認した。ウェブサイト関連費・広報費はそれぞれ上限30万円と定められているため、見積書を複数の制作会社から取り、上限内に収まる構成にあらかじめ調整した。

導入後の想定成果

ホームページ経由の問い合わせ増加と、展示会での商談化率の向上が主な狙いになる。製造業の場合、成果が出るまでのリードタイムが長くなりやすいため、申請時の事業計画では半年〜1年単位の指標を設定するケースが多い。

3つの事例から見える選び方のパターン

3つの想定事例を並べると、判断基準は大きく3つに整理できる。

判断軸 デジタル化・AI導入補助金が向くケース 持続化補助金が向くケース
タイミング 今すぐ導入したい(次の締切に間に合わせたい) 急ぎではなく、次回受付(11月〜)まで待てる
従業員数 小規模事業者の要件(5人・20人以下)を超えている 要件の範囲内である
経費の中身 ソフトウェア・クラウド利用料など「AI・ITツールそのもの」が中心 ホームページ制作・広報費・展示会出展など「販路開拓のための手段」としてAIを使う

正直なところ、この2つの制度は競合というより補完関係にある。同一の経費を両方の補助金に重複して計上することはできないが、経費を明確に区分すれば、時期をずらして両方を活用する事業者も少なくない。判断に迷う場合は、事業計画を作る前に各事務局や商工会・商工会議所、またはIT導入支援事業者に確認するのが確実だ。

【要注意】制度選びでよくある失敗と回避策

想定シナリオを検討する過程で見えてきた、制度選びの典型的なつまずきをまとめる。

❌ 持続化補助金は「いつでも申請できる」と思い込む
⭕ 持続化補助金は回次制。2026年7月12日時点では受付休止中で、次回は11月5日開始と締切を必ず確認する

❌ デジタル化・AI導入補助金を自社だけで申請しようとする
⭕ IT導入支援事業者との連携が必須。登録事業者を通さない直接申請はできない

❌ 持続化補助金のウェブサイト関連費だけで販路開拓費を一式まかなおうとする
⭕ 第20回からウェブサイト関連費・広報費はそれぞれ上限30万円(税込)に変更されている。上限を超える見積は自己負担になる

❌ 従業員数がボーダーラインなのに確認せず持続化補助金の前提で計画を進める
⭕ 商業・サービス業は5人以下、それ以外は20人以下という線引きを事前に商工会・商工会議所へ確認する

これから申請する企業がやるべきこと

  1. 今日やること:自社の従業員数と業種区分を確認し、持続化補助金の対象になるかを判定する
  2. 今週中:導入したいAIツールの費用が「ソフトウェア・クラウド利用料」中心か、「ホームページ制作・広報」中心かを整理する
  3. 今月中:急ぎならIT導入支援事業者に相談し8月25日の第4次締切に向けた準備を、急がないなら商工会・商工会議所に11月開始の第20回について相談する

よくある質問

Q1. 持続化補助金とデジタル化・AI導入補助金は同時に申請できますか?
同一の経費を両方の補助金に重複して計上することはできません。ただし経費を明確に区分すれば、両制度を組み合わせて活用する事業者もいます。詳細は各事務局に確認してください。

Q2. 持続化補助金には「共同・協業型」という枠もあると聞きましたが、個人でも申請できますか?
共同・協業型は商工会・商工会議所などの地域振興等機関が主体となって複数の小規模事業者を支援する枠で、個々の事業者が単独で申請するものではありません。2026年は7月8日に公募要領が公開され、申請受付は8月14日〜9月30日の予定です。

Q3. デジタル化・AI導入補助金は従業員が多い会社でも使えますか?
対象は中小企業基本法上の中小企業・小規模事業者等で、業種ごとの資本金・従業員数の定義に該当すれば申請できます。持続化補助金より対象範囲が広く設定されています。

Q4. 持続化補助金の次回(第20回)はいつから準備すればいいですか?
申請受付は2026年11月5日〜12月15日17:00の予定で、商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)は12月4日締切です。書類作成や見積取得には一定の時間がかかるため、早めの相談をおすすめします。

Q5. どちらの補助金を選ぶべきか自社だけでは判断がつきません。
従業員数・業種区分・導入したい経費の性質という3つの軸で整理すると判断しやすくなります。それでも迷う場合は、商工会・商工会議所、IT導入支援事業者、またはAI導入の計画策定支援を行う専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

持続化補助金とデジタル化・AI導入補助金は、どちらも中小企業のAI導入を後押しする制度だが、対象者の規模も、経費の性質も、そして申請できるタイミングもまったく異なる。2026年7月12日時点で「今すぐAIツールを導入したい」なら、選択肢は実質的にデジタル化・AI導入補助金に絞られる。一方で従業員規模が要件内に収まり、急ぎでないなら、11月開始の持続化補助金第20回に照準を合わせる準備期間として今を使うという判断もある。

自社の状況を整理したうえで、AI導入の計画策定に迷う場合は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談いただきたい。

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この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。

免責事項
本記事の情報は2026年7月12日時点の中小企業庁・各補助金事務局の公表資料に基づく参考情報です。補助金・助成金の制度内容は予告なく変更される場合があります。申請にあたっては、必ず各制度の公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。

参考・出典

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