「事業場内最低賃金」は、従業員の平均時給でも、地域別最低賃金に一定額を足した数字でもありません。事業場内最低賃金とは、事業場で最も低い時間給です。これは、厚生労働省の業務改善助成金の公式ページに示された定義です。
月給・日給・歩合給の人が混在するときは、全員の賃金を時間額に換算し、最低賃金に算入しない手当を除いて比べます。2026年10月15日時点の業務改善助成金では、事業場内最低賃金を判断する基準労働者に「雇入れ後6か月を経過した雇用保険被保険者」という制度固有の条件があります。
- 最初に確認すること:賃金形態ごとの時間額と、除外する手当
- 次に確認すること:所在地で当日に適用される地域別最低賃金
- 助成金申請で確認すること:基準労働者、引上げ人数、就業規則、提出書類
以下では、厚生労働省の当日版資料をもとに、計算、就業規則の規定例、交付申請・事業実績報告の書面、ものづくり補助金系の賃上げ要件まで順に整理します。
事業場内最低賃金は「平均」ではなく最も低い時間給

一文でいうと何か
事業場内最低賃金は、同じ事業場で働く労働者の賃金を時間額にそろえたときの最小値です。会社全体の平均や中央値ではありません。複数の店舗・工場・営業所がある場合も、助成金では原則として申請する事業場単位で確認します。
たとえば、時給1,320円のパート、時間換算1,350円の月給者、時間換算1,300円の日給者がいれば、この3人だけを比較した最小値は1,300円です。ただし、業務改善助成金で誰を基準労働者にできるかは、雇用期間と雇用保険の条件を重ねて判断します。
確認の順番は「除外、換算、最小値」
- 各労働者の賃金明細から、最低賃金に算入しない賃金を除く
- 時給・日給・月給・歩合給を、それぞれ公式算式で時間額に直す
- 制度上の対象労働者だけを並べ、最も低い時間額を特定する
- 所在地で適用される地域別最低賃金や特定最低賃金と照合する
この順番を逆にし、総支給額をそのまま所定労働時間で割ると、通勤手当や時間外割増賃金を誤って含めるおそれがあります。基礎資料には、賃金台帳、雇用契約書、年間カレンダー、就業規則、雇用保険の資格状況をそろえておくと確認しやすくなります。
| 確認項目 | 見る資料 | 結論 |
|---|---|---|
| 賃金の内訳 | 賃金台帳・給与明細 | 算入額と除外額を分ける |
| 所定労働時間 | 就業規則・年間カレンダー | 月平均の所定労働時間を出す |
| 制度上の対象者 | 雇用契約・雇用保険情報 | 基準労働者と引上げ人数を分ける |
| 法定下限 | 厚生労働省の地域別・特定最低賃金 | 当日に適用される高い方と比べる |
業務改善助成金では「基準の人」と「引き上げる人」を分ける

基準労働者は雇入れ後6か月を経過した雇用保険被保険者
令和8年度の業務改善助成金では、事業場内最低賃金を決める基準労働者について、交付申請日時点で雇用保険被保険者であり、雇入れ後6か月を経過していることが求められます。その条件を満たす労働者のうち、時間給または時間換算額が最も低い人を基準にします。
また、申請時に実際に適用される法定最低賃金以上を支払っている必要があります。最低賃金法第7条の減額特例許可を受けた労働者は、公式資料が定める扱いに従います。詳しい対象要件は、令和8年9月版の業務改善助成金Q&Aと交付要領を確認してください。
新しい下限を下回る人は人数に数えなくても引上げが必要
雇入れ後6か月未満の人や雇用保険被保険者でない人が、引上げ後の事業場内最低賃金を下回る場合、その人の賃金も新しい下限まで引き上げる必要があります。基準労働者になれないことと、就業規則で定めた下限を下回ってよいことは同義ではありません。
助成上限を決める「引上げ労働者数」は別判定
引上げ労働者数に数えるには、申請日時点で雇用保険被保険者であり、選んだコースの額以上を引き上げることが必要です。基準労働者以外であれば、雇入れ後6か月未満でも条件を満たして人数に数えられる場合があります。一方、雇用保険被保険者でない人は、賃金引上げが必要でも助成上限額の人数には算入できません。
| 区分 | 雇用保険 | 雇入れ後6か月 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 基準労働者 | 申請時に被保険者 | 経過が必要 | 引上げ前の事業場内最低賃金を決める |
| 引上げ人数に数える人 | 申請時に被保険者 | 基準労働者以外は未経過でも可 | コース額以上の引上げで上限区分を決める |
| 新下限を下回るその他の人 | 不問 | 不問 | 人数算入外でも新下限まで引き上げる |
時給・日給・月給・歩合給を同じ時間額へ換算する

厚生労働省「最低賃金のチェック方法」では、賃金形態ごとの換算式を示しています。複数の賃金形態を組み合わせているときは、各部分を別々に時間額へ直してから合計します。
| 賃金形態 | 時間額への換算 | 確認点 |
|---|---|---|
| 時間給 | 時間給をそのまま使用 | 除外賃金が別に支払われていないか |
| 日給 | 日給 ÷ 1日の所定労働時間 | 日によって所定時間が違う場合は該当日の式を確認 |
| 月給 | 算入する月給額 ÷ 1か月平均所定労働時間 | 年間所定労働時間から月平均を求める |
| 出来高払・請負制 | 賃金算定期間の出来高払総額 ÷ その賃金を得るための総労働時間 | 固定給があれば別に換算して加える |
| 日給と月給などの併給 | 各賃金を時間額へ換算して合計 | 片方だけで判定しない |
月給は年間の所定労働時間から月平均を出す
月によって所定労働時間が異なる場合は、1年間の1か月平均所定労働時間を使います。年間所定労働日数と1日の所定労働時間が分かるなら、次の形で計算できます。
算入する月給額 × 12か月 ÷(年間所定労働日数 × 1日の所定労働時間)
残業した実時間ではなく所定労働時間を使う点が重要です。年度途中の採用、変形労働時間制、複数の勤務パターンなどで算式の選択に迷う場合は、自己判断で都合のよい月だけを使わず、管轄労働局へ確認してください。
歩合給は一般の最低賃金判定と助成金申請の期間が異なる
一般の最低賃金チェックでは、賃金算定期間の歩合給総額を、その賃金を得るための総労働時間で割ります。一方、令和8年度の業務改善助成金では、各労働者の申請直近1年間の歩合給合計額を同期間の総実労働時間で割り、雇入れ後1年未満なら少なくとも6か月分を使う特則があります。固定給があれば、その時間換算額を加えます。
古い解説で見かける短い集計期間をそのまま採用せず、申請時点のQ&Aを確認してください。歩合給の変動によって引上げ後の時間額がコース額を下回るおそれがあるときは、不足額以上を別途支払う定めも検討対象になります。
月給者は「手当なし」「手当あり」でこう計算する

例1:手当なしの月給者
次は公式算式を使った編集部の計算例です。公式資料に掲載された個別事例そのものではありません。
- 月給:217,600円
- 年間所定労働日数:240日
- 1日の所定労働時間:8時間
年間所定労働時間は240日 × 8時間 = 1,920時間です。したがって、時間換算額は217,600円 × 12か月 ÷ 1,920時間 = 1,360円です。この1,360円を、所在地で当日適用される地域別最低賃金や、該当する場合は特定最低賃金と比較します。
例2:算入する手当と除外する手当がある月給者
厚生労働省の公式例では、基本給150,000円、職務手当30,000円、通勤手当5,000円、時間外手当35,000円、年間所定労働日数250日、1日8時間と設定しています。通勤手当と時間外手当は最低賃金の計算に入れないため、算入額は180,000円です。
180,000円 × 12か月 ÷(250日 × 8時間)= 1,080円
この例が示すのは計算方法です。1,080円が2026年10月15日時点の各地域で適法という意味ではありません。実際の判定では、勤務地の都道府県と発効日を確認し、その日に適用される金額と比べます。
総支給額で割らない
例2の総支給額220,000円をそのまま割ると1,320円になりますが、最低賃金の対象外である通勤手当と時間外手当が混ざっています。見かけ上は下限を上回っても、正しい算入額では下回る可能性があります。給与ソフトの「課税支給額」と最低賃金への算入額も同じとは限りません。
最低賃金に入れない6種類の賃金を先に外す

厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金」によると、最低賃金の対象は毎月支払われる基本的な賃金です。次の賃金は除いて計算します。
- 臨時に支払われる賃金:結婚手当など
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金:賞与など
- 所定労働時間を超える労働への賃金:時間外割増賃金など
- 所定労働日以外の労働への賃金:休日割増賃金など
- 深夜労働で通常の労働時間の賃金を超える部分:深夜割増部分
- 特定の手当:精皆勤手当、通勤手当、家族手当
職務手当は名称だけで除外しない
職務手当、役職手当、資格手当などは、上の除外項目に当然に含まれるわけではありません。一方で、手当名だけを見て一律に算入できるとも限りません。支給目的、支給条件、支給間隔、時間外労働の対価を含むかを規程と賃金台帳で確認します。
厚生労働省は、すべての手当名を網羅した「算入可否一覧」を公表していません。2026年10月時点で、手当名だけですべてを自動判定できる公式一覧は記載されていません。判断が複雑な手当は、資料を持って都道府県労働局または労働基準監督署へ相談するのが安全です。
地域別最低賃金との違いは「法定の下限」と「事業場の実額」
| 比較点 | 事業場内最低賃金 | 地域別最低賃金 |
|---|---|---|
| 意味 | 事業場で実際に支払う賃金の最小時間額 | 最低賃金法に基づく法定の下限 |
| 単位 | 申請・判定対象の事業場 | 都道府県ごとに1件、全国47件 |
| 金額の決まり方 | 各労働者の賃金を換算して求める | 都道府県ごとに決定・告示される |
| 関係 | 原則として適用される法定最低賃金以上が必要 | 雇用形態や呼称を問わず広く適用 |
地域別最低賃金は都道府県内のすべての労働者と使用者に適用されます。産業別の特定最低賃金が適用される場合は、地域別最低賃金と比べて高い金額が下限です。事業場内最低賃金は、その法定下限を守ったうえで事業場の実際の最小値を表します。
2026年度の改定額は発効日が都道府県ごとに違う
厚生労働省の令和8年度地域別最低賃金全国一覧では、改定額は1,085円から1,280円、全国加重平均は1,177円、引上げ額は54円から65円です。発効日は2026年10月1日から12月2日まで分かれています。
- 東京都:1,280円、2026年10月1日発効
- 宮崎県:1,085円、2026年10月24日発効
したがって、2026年10月15日時点では改定額がすでに適用される地域と、まだ旧額が適用される地域が混在しています。「2026年度の改定額」と「今日の適用額」を混同しないでください。所在地別の確認には、最低賃金特設サイトの全国一覧を使えます。都道府県別の金額・発効日を一覧で見たい場合は、当サイトの最低賃金47都道府県の改定額と発効日も参照してください。
令和8年度の業務改善助成金は50円・70円・90円コース
2026年10月15日時点の業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者が生産性向上につながる設備投資等を行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、その費用の一部を助成する制度です。事業場単位で申請し、解雇や賃金引下げなどの不交付事由がないことも必要です。
| コース | 必要な引上げ額 | 助成上限額の範囲 |
|---|---|---|
| 50円コース | 50円以上 | 30万円~130万円 |
| 70円コース | 70円以上 | 40万円~300万円 |
| 90円コース | 90円以上 | 90万円~600万円 |
上限額は引き上げる労働者数、事業場規模、特例区分で変わります。助成率は、引上げ前の事業場内最低賃金が1,050円未満なら5分の4、1,050円以上なら4分の3です。実際の助成額は対象経費、助成率、上限額、審査結果によって決まるため、採択や支給を約束することはできません。制度の全体像は令和8年度の業務改善助成金ガイドで確認できます。
2026年9月以降申請分は地域ごとに期限が違う
交付申請期間は2026年9月1日から、各都道府県の令和8年度地域別最低賃金発効日の前日と2026年11月30日のうち早い日までです。郵送は消印ではなく労働局への到達が基準です。10月15日時点で受付が終わった地域も多く、全国一律で11月30日まで申請できるわけではありません。
申請時の賃金はその日に適用される地域別最低賃金以上であり、事業場内最低賃金は令和8年度改定後の地域別最低賃金未満であることが、現行申請分の要件です。予算の範囲内で交付されるため、期限前に受付を終了する場合もあります。必ず厚生労働省の最新案内と管轄労働局の受付状況を確認してください。
賃上げと設備発注のタイミングは同じではない
- 賃金引上げ:交付申請後、所在地の改定地域別最低賃金発効日の前日まで
- 就業規則等の施行日:交付申請後に設定
- 設備の発注・導入・支払:原則として交付決定後
- 事業完了:原則として2027年1月31日まで
- 実績報告:事業完了後1か月を経過する日と2027年4月10日の早い方まで
やむを得ない理由で事業完了期限の延長を求める場合も、事前の手続と承認が前提です。後から日付を合わせる、二段階の賃上げを合算する、といった処理は避けてください。
就業規則には金額と施行日を明記する
業務改善助成金では、引上げ後の事業場内最低賃金を、事業場で使用する労働者の下限として就業規則等に定めます。実際に引き上げた金額と規定額を一致させ、いつから適用するかも明記します。
就業規則の記載例
次は、令和8年度の交付要綱、Q&A、労働局の参考様式にある必要項目を整理した編集部例です。厚生労働省が全国一律で指定する唯一の条文ではありません。
(事業場内最低賃金)
第○条 当事業場における最も低い賃金額は、時間給又は時間換算額○○円とする。ただし、最低賃金法第7条に基づく減額特例許可を受けた労働者を除く。
2 前項の賃金額には、最低賃金法第4条第3項に定める賃金を算入しない。時間換算は最低賃金法施行規則第2条による。
附則 この規程は令和○年○月○日から施行する。
「○○円」には引上げ後の実額を、「令和○年○月○日」には実際の施行日を入れます。就業規則の既存条文、賃金規程の参照関係、減額特例許可者の有無によって調整が必要です。提出前に管轄労働局へ確認してください。
常時10人以上は変更届と意見書、周知が必要
常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則を変更し、過半数労働組合または過半数代表者の意見書を添えて、所轄労働基準監督署へ届け出ます。変更後は労働者への周知も必要です。届出手続は厚生労働省「就業規則作成(変更)届」で確認できます。
常時10人未満は「就業規則に準ずるもの」も選べる
令和8年度Q&Aでは、常時10人未満の事業場が「就業規則に準ずるもの」を作る場合、少なくとも引上げ後の事業場内最低賃金、賃金引上げ日、事業場名、作成年月日を記載し、労働者代表の意見書を添付して労働者へ周知するよう求めています。この書面の労働基準監督署への届出は不要です。ただし、一般的な労働契約書や労働条件通知書だけでは代用できません。
交付申請と事業実績報告では提出時点が違う
申請前から完成済みの就業規則を出すのではなく、交付申請時は賃上げ計画を示し、申請後に規程を施行し、事業実績報告で実施証拠を出すのが基本の流れです。書面の新旧や対象期間が混ざらないように分けて保管します。
| 段階 | 主な書面 | 確認点 |
|---|---|---|
| 交付申請 | 様式第1号、別紙1・2、見積書、申請前6か月分の賃金台帳 | 歩合給・変動手当は1年分等を求められる場合あり |
| 事業実績報告・支給申請 | 様式第9号と別紙1・2、様式第10号 | 完了後の結果と支給申請を提出 |
| 賃上げの証拠 | 引上げ日から報告日前日までの賃金台帳、改定後の就業規則等 | 規定額・施行日・実際の支給額を一致させる |
| 設備投資の証拠 | 納品書、導入写真、請求書、領収書、振込明細等 | 発注・納品・支払の時系列を確認 |
| 交付後の状況確認 | 様式第8号、賃金台帳の写し | 引上げ後の賃金維持を報告 |
交付申請時の中央版チェックリストでは、改正済み就業規則の写しは必須添付として列挙されていません。様式第1号別紙2に、定める予定の条文と施行日を記載します。実績報告では、事業場内最低賃金規程を含む就業規則等の写しが必要です。詳しい書き方は業務改善助成金の申請書と賃上げ計画の書き方、書類の全体確認は交付申請・実績報告の必要書類チェックリストも利用できます。
都道府県労働局が独自のチェックリストや追加書類を求める場合があります。令和8年度の申請マニュアルと申請先労働局の案内を両方確認してください。
ものづくり補助金系は当該公募要領の定義で判定する
「事業場内最低賃金」という言葉が同じでも、業務改善助成金の6か月・雇用保険の条件を、別の補助金へそのまま当てはめてはいけません。2026年10月15日時点で公募中の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」第1回公募要領1.3版は、事業場内最低賃金を本補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金と定義しています。
第1回公募要領では、補助事業終了後3~5年の事業計画期間に毎年、補助事業実施場所の都道府県の地域別最低賃金より30円以上高い水準にすることが基本要件です。複数の補助事業実施事業場がある場合は、その中で最も低い事業場を判定に使います。
現行の応募申請ガイドは、労働基準法上の事業場の考え方を準用し、補助事業に従事しない人も含む事業場内のすべての常勤従業員を算出対象としています。最低賃金の減額特例許可者は除外し、対象賃金と時間換算は国の最低賃金算出ルールを準用します。
第1回は2026年6月29日に公募を開始し、同年10月30日18時が応募締切です。この新制度は、締切済みの旧「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」とは別制度です。賃上げ特例や地域別最低賃金引上げ特例には別の数値・対象期間があります。申請する回次の公募要領、応募申請ガイド、様式を一組として確認してください。制度横断の違いは補助金4制度の賃上げ要件比較でも整理しています。
計算・規定で起きやすい4つの不備
総支給額をそのまま割る
誤り:通勤手当、家族手当、時間外手当を含む総支給額で計算する。
確認:最低賃金に算入しない6種類を先に除き、算入額だけを時間換算します。
地域別最低賃金の改定額を発効日前から使う
誤り:答申や公表時点から新額が適用されたと考える。
確認:所在地の発効日を見て、申請日・賃上げ日・給与計算日のそれぞれに適用される金額を確認します。
基準労働者と引上げ人数を同じ条件で数える
誤り:雇入れ後6か月未満の被保険者を必ず全員除く、または非被保険者を人数に含める。
確認:基準労働者、引上げ人数、新下限まで引き上げるその他の人を別々に判定します。
就業規則の金額・施行日と賃金台帳がずれる
誤り:規程は50円引上げ、実支給は別額、施行日は申請前など、証拠の時系列が一致しない。
確認:申請書、改定規程、賃金台帳、振込記録の金額と日付を一つの一覧で照合します。
申請前から報告までの確認順序
- 労働者一覧を作る:雇入れ日、雇用保険、賃金形態、勤務地を整理する
- 算入賃金を確定する:除外手当を外し、時間額へ換算する
- 法定最低賃金と照合する:申請日に適用される地域別・特定最低賃金を確認する
- コースと人数を決める:基準労働者と引上げ人数を分け、引上げ後の全員の下限を確認する
- 規程案と申請書をそろえる:新しい金額、施行日、設備計画、見積書を整える
- 交付申請後に賃上げを実施する:所在地の地域別最低賃金発効日前日までに規程を施行する
- 交付決定後に設備事業を進める:発注、納品、支払の証拠を保存する
- 実績報告を行う:様式第9号・第10号、賃金台帳、就業規則、設備関係書類を提出する
この順番は一般的な確認用です。申請先の労働局から追加書類や個別の指示があれば、そちらを優先してください。
事業場内最低賃金についてよくある質問
Q1. 事業場内最低賃金は従業員の平均時給ですか?
いいえ。事業場で最も低い時間給または時間換算額です。高い賃金の人を含めた平均ではありません。
Q2. 通勤手当や家族手当は計算に入れますか?
入れません。精皆勤手当、通勤手当、家族手当は最低賃金の計算から除外します。時間外・休日・深夜の割増部分なども除外対象です。
Q3. 月給者は残業を含む実労働時間で割りますか?
通常の月給制は、最低賃金に算入する月給額を1か月平均所定労働時間で割ります。残業を含む総実労働時間を分母にする計算ではありません。
Q4. 雇入れ後6か月未満の人は賃上げしなくてもよいですか?
いいえ。業務改善助成金の基準労働者にはできませんが、引上げ後の事業場内最低賃金を下回るなら、新しい下限まで引き上げる必要があります。申請時に雇用保険被保険者であれば、基準労働者以外の引上げ人数に数えられる場合があります。
Q5. 常時10人未満なら書面は不要ですか?
不要ではありません。業務改善助成金では、就業規則に準ずるものを作成し、引上げ後の金額、引上げ日、事業場名、作成年月日を記載し、労働者代表の意見書を添えて周知する方法があります。一般的な労働条件通知書だけでは代用できません。
Q6. 就業規則の施行日を申請日より前にできますか?
令和8年度の業務改善助成金ではできません。賃上げと就業規則等の改正・適用は交付申請後に行い、所在地の改定地域別最低賃金の発効日前日までに実施します。
Q7. ものづくり補助金でも6か月・雇用保険の条件を使いますか?
一律には使いません。2026年10月15日時点で公募中の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、事業場内のすべての常勤従業員を対象にし、事業計画期間中の地域別最低賃金との差額要件を定めています。必ず申請する制度・回次の公募要領で判定してください。
Q8. 申請すれば助成金を受給できますか?
受給は保証されません。対象要件、書類、設備投資内容などの審査があり、予算の範囲内で交付されます。交付決定前の設備発注など、対象外になる時系列にも注意が必要です。
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参考にした公式情報
- 業務改善助成金(厚生労働省)
- 業務改善助成金Q&A(令和8年9月~)
- 令和8年度 業務改善助成金申請マニュアル
- 最低賃金の対象となる賃金(厚生労働省)
- 最低賃金のチェック方法は?(厚生労働省)
- 地域別最低賃金の全国一覧(厚生労働省)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募要領
ここまでの要点
- 事業場内最低賃金とは、事業場で最も低い時間給であり、平均賃金ではない
- 月給は算入月額を1か月平均所定労働時間で割り、日給・歩合給も公式算式で時間額へ直す
- 通勤手当、家族手当、精皆勤手当、時間外・休日・深夜の割増部分などは計算から除く
- 業務改善助成金の基準労働者は、雇入れ後6か月を経過した雇用保険被保険者である
- 就業規則等には引上げ後の正確な金額と施行日を記載し、賃金台帳と一致させる
- 交付申請は様式第1号、実績報告は様式第9号と第10号を中心に、賃金・規程・設備の証拠をそろえる
- 地域別最低賃金は都道府県ごとに発効日が違うため、改定額と当日の適用額を分けて確認する
- 別の補助金で同じ用語が出ても、その制度の当日版公募要領で定義と対象者を確認する
賃金形態や手当が複雑な場合、計算の端数や対象者の扱いだけで結論が変わることがあります。制度選択や設備投資計画の整理に迷う場合は、Uravationへのお問い合わせもご利用ください。申請可否や交付を保証するものではなく、最終判断は管轄労働局・事務局の公式案内に従ってください。
この記事は補助金DX編集部がお届けしました。
本記事は2026年10月15日時点の公式情報をもとに作成しています。制度、地域別最低賃金、様式、受付状況は変更される場合があります。実際の申請前に、厚生労働省、管轄労働局、各補助金事務局の最新資料をご確認ください。
