2026年9月4日時点で、令和8年度の地域別最低賃金は全47都道府県で答申が出そろった。厚生労働省の答申状況によると全国加重平均は1,177円(改定前1,121円・56円引き上げ)で、東京都は7月28日の中央最低賃金審議会の目安どおり1,280円(+54円)で確定している。発効日は10月1日の都道府県が最も多く、遅い県では12月にずれ込む。発効日が県ごとに違うということは、業務改善助成金の申請期限も県ごとに違うということだ。
正直なところ、「目安」と「答申」の違いを取り違えている人は多い。目安はあくまで全国の物差しで、実際に時給が何円になるかを決めるのは各都道府県の地方最低賃金審議会だ。しかも今回は、地方の一部が目安を上回る「上乗せ答申」を出しており、都市部との賃金差が縮む異例の構図になっている。この記事では、答申の中身と、事業場内最低賃金を条件にしている補助金(省力化投資補助金、新事業進出・ものづくり補助金)への影響を整理する。
都道府県別の答申状況|確定した金額を先に見る
まず、公式に確定している数字を並べる。2026年9月4日時点で全47都道府県の答申が出そろったため、厚生労働省の答申状況にもとづく一覧を先に示す。
2026年9月4日 更新|全47都道府県の答申が出そろいました
令和8年度の地域別最低賃金は全47都道府県で答申が確定し、全国加重平均は1,177円(改定前1,121円・56円引き上げ)になりました。発効日は10月1日が最多で、最も遅いのは沖縄の12月2日です。賃上げの原資づくりに使える業務改善助成金(令和8年度)の申請期間は「9月1日から、その都道府県の最低賃金の発効日の前日または11月30日のいずれか早い日まで」で、栃木・北海道・東京など10月1日発効の都道府県は9月30日が申請期限です。下の一覧で自社の都道府県の改定額・発効日・申請期限を確認してください(出典: 厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」(PDF)、厚生労働省「業務改善助成金」)。
全47都道府県の改定額・発効日・業務改善助成金の申請期限(令和8年度)
厚生労働省が公表した答申状況(2026年9月4日時点)をもとに、発効日の前日または11月30日の早い方を業務改善助成金の申請期限として並べました。発効日は答申公示後の異議申出の状況により変更される可能性があります。
| 都道府県 | ランク | 改定額 | 改定前 | 引上げ額 | 発効日(予定) | 業務改善助成金の申請期限 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 北海道 | B | 1,131円 | 1,075円 | 56円 | 10月1日 | 9月30日 |
| 青森 | C | 1,090円 | 1,029円 | 61円 | 10月29日 | 10月28日 |
| 岩手 | C | 1,090円 | 1,031円 | 59円 | 12月1日 | 11月30日 |
| 宮城 | B | 1,098円 | 1,038円 | 60円 | 10月1日 | 9月30日 |
| 秋田 | C | 1,090円 | 1,031円 | 59円 | 10月14日 | 10月13日 |
| 山形 | C | 1,092円 | 1,032円 | 60円 | 10月30日 | 10月29日 |
| 福島 | B | 1,094円 | 1,033円 | 61円 | 10月16日 | 10月15日 |
| 茨城 | B | 1,136円 | 1,074円 | 62円 | 10月18日 | 10月17日 |
| 栃木 | B | 1,125円 | 1,068円 | 57円 | 10月1日 | 9月30日 |
| 群馬 | B | 1,120円 | 1,063円 | 57円 | 10月3日 | 10月2日 |
| 埼玉 | A | 1,196円 | 1,141円 | 55円 | 10月1日 | 9月30日 |
| 千葉 | A | 1,195円 | 1,140円 | 55円 | 10月1日 | 9月30日 |
| 東京 | A | 1,280円 | 1,226円 | 54円 | 10月1日 | 9月30日 |
| 神奈川 | A | 1,279円 | 1,225円 | 54円 | 10月1日 | 9月30日 |
| 新潟 | B | 1,108円 | 1,050円 | 58円 | 10月1日 | 9月30日 |
| 富山 | B | 1,119円 | 1,062円 | 57円 | 10月1日 | 9月30日 |
| 石川 | B | 1,113円 | 1,054円 | 59円 | 10月3日 | 10月2日 |
| 福井 | B | 1,112円 | 1,053円 | 59円 | 10月4日 | 10月3日 |
| 山梨 | B | 1,113円 | 1,052円 | 61円 | 11月1日 | 10月31日 |
| 長野 | B | 1,117円 | 1,061円 | 56円 | 10月2日 | 10月1日 |
| 岐阜 | B | 1,121円 | 1,065円 | 56円 | 10月1日 | 9月30日 |
| 静岡 | B | 1,154円 | 1,097円 | 57円 | 10月15日 | 10月14日 |
| 愛知 | A | 1,195円 | 1,140円 | 55円 | 10月1日 | 9月30日 |
| 三重 | B | 1,143円 | 1,087円 | 56円 | 10月1日 | 9月30日 |
| 滋賀 | B | 1,136円 | 1,080円 | 56円 | 10月3日 | 10月2日 |
| 京都 | B | 1,180円 | 1,122円 | 58円 | 11月16日 | 11月15日 |
| 大阪 | A | 1,231円 | 1,177円 | 54円 | 10月1日 | 9月30日 |
| 兵庫 | B | 1,172円 | 1,116円 | 56円 | 10月1日 | 9月30日 |
| 奈良 | B | 1,107円 | 1,051円 | 56円 | 10月4日 | 10月3日 |
| 和歌山 | B | 1,101円 | 1,045円 | 56円 | 10月3日 | 10月2日 |
| 鳥取 | C | 1,090円 | 1,030円 | 60円 | 10月3日 | 10月2日 |
| 島根 | B | 1,092円 | 1,033円 | 59円 | 10月10日 | 10月9日 |
| 岡山 | B | 1,104円 | 1,047円 | 57円 | 10月2日 | 10月1日 |
| 広島 | B | 1,141円 | 1,085円 | 56円 | 10月11日 | 10月10日 |
| 山口 | B | 1,101円 | 1,043円 | 58円 | 10月8日 | 10月7日 |
| 徳島 | B | 1,103円 | 1,046円 | 57円 | 11月1日 | 10月31日 |
| 香川 | B | 1,092円 | 1,036円 | 56円 | 10月1日 | 9月30日 |
| 愛媛 | B | 1,093円 | 1,033円 | 60円 | 11月1日 | 10月31日 |
| 高知 | C | 1,086円 | 1,023円 | 63円 | 10月29日 | 10月28日 |
| 福岡 | B | 1,114円 | 1,057円 | 57円 | 10月4日 | 10月3日 |
| 佐賀 | C | 1,095円 | 1,030円 | 65円 | 11月15日 | 11月14日 |
| 長崎 | C | 1,087円 | 1,031円 | 56円 | 11月2日 | 11月1日 |
| 熊本 | C | 1,092円 | 1,034円 | 58円 | 12月1日 | 11月30日 |
| 大分 | C | 1,096円 | 1,035円 | 61円 | 11月1日 | 10月31日 |
| 宮崎 | C | 1,085円 | 1,023円 | 62円 | 10月24日 | 10月23日 |
| 鹿児島 | C | 1,090円 | 1,026円 | 64円 | 10月25日 | 10月24日 |
| 沖縄 | C | 1,086円 | 1,023円 | 63円 | 12月2日 | 11月30日 |
| 全国加重平均 | – | 1,177円 | 1,121円 | 56円 | – | – |

都道府県ごとの詳しい解説は、姉妹サイトの栃木県最低賃金2026(1,125円・10月1日発効)、静岡県最低賃金2026(1,154円・10月15日発効)、岩手県最低賃金2026(1,090円・12月1日発効見通し)にまとめています。業務改善助成金そのものの申請手順は「業務改善助成金とは|最大600万円・助成率4/5の活用ガイド(令和8年度)」を参照してください。
以下は2026年8月17日時点(25都道府県の答申段階)の記録です。
| 都道府県 | ランク | 現行額 | 引き上げ額 | 答申額 | 答申日 | 発効予定日 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 東京都 | Aランク | 1,226円 | +54円 | 1,280円 | 2026年8月5日 | 2026年10月1日 |
| 宮城県 | Bランク | 1,038円 | +60円 | 1,098円 | 2026年8月5日 | 2026年10月1日(予定) |
| 鳥取県 | Cランク | 1,030円 | +60円 | 1,090円 | 2026年8月7日 | 2026年10月3日(予定) |
東京都は中央審議会の目安(Aランク+54円)どおりの答申。一方で宮城県・鳥取県は、目安(Bランク+56円・Cランク+56円)をそれぞれ4円上回る+60円の答申を出している。地方の審議会が目安を上回る答申を出すこと自体は珍しくないが、今回は2年連続で目安超えという地域も報じられており、地方側の賃上げ意欲がうかがえる内容になっている。
ここまで数字を見てきたが、これは「今すぐ何かを申請する」類の話ではない。むしろ、今後10月に発効する新しい最低賃金を前提に、自社の賃金水準・補助金の要件設定を見直しておくための情報だ。他の補助金制度全体の使い分けはAI導入に使える補助金5選 徹底比較も参考にしてほしい。
自県の答申額が分かったら、次に決めるのは「増える人件費をどう吸収するか」
時給が50円上がると、従業員10人・年1,920時間換算で人件費は年およそ96万円増えます(50円×1,920時間×10人)。賃上げと同時に生産性向上の設備投資(ソフトウェア導入、コンサルティング、人材育成・教育訓練を含む)を行う中小企業には業務改善助成金(賃上げ額と事業場規模に応じて最大600万円)があり、AIツールの導入や社員向けのAI研修も対象となる場合があります(要件審査あり)。
2026年度の最低賃金は確定したのか|答申・官報公示・発効の3段階
「最低賃金 2026 確定」で調べている人が知りたいのは、たぶん「もう金額は動かないのか」だろう。2026年9月24日時点の答えはこうだ。金額を決める答申は47都道府県すべてで終わり、東京都は9月1日、福岡県は9月4日に官報公示まで進んでいる。ただし新しい時給が実際に適用されるのは各都道府県の発効日からで、いちばん早い15都道府県が10月1日、いちばん遅い沖縄県が12月2日だ。
ややこしいのは、最低賃金が1つの日に全国いっせいに切り替わるわけではない点だ。都道府県ごとに、次の4段階を順に踏んでいく。
| 段階 | やること | 東京都の実例 | この時点の効力 |
|---|---|---|---|
| 1. 諮問 | 労働局長が地方最低賃金審議会に改定を諮る | 2026年6月30日 | なし |
| 2. 答申 | 審議会が「時間額◯◯円が適当」と答える | 2026年8月5日(1,280円) | なし(金額の案が固まる) |
| 3. 官報公示 | 労働局長が決定し、官報に公示する。異議の申出の手続を経る | 2026年9月1日 | なし(発効日が定まる) |
| 4. 発効 | 改定後の最低賃金額が実際に適用される | 2026年10月1日 | この日から支払い義務が生じる |
東京労働局はこの流れを、報道発表でそのまま書いている。「答申内容の公示等所要の手続を経て、東京都最低賃金を時間額1,280円とする決定を行い、本日(9月1日)、官報公示を行いました。効力発生日は令和8年10月1日です」(出典: 東京労働局「東京都最低賃金を1,280円に引上げます」2026年9月1日公表)。つまり9月の時点では、金額は決まっているが効力はまだ発生していない、という状態が正しい。
もう1つ、検索していると引っかかる点がある。厚生労働省の地域別最低賃金の全国一覧を2026年9月24日に開いても、掲載されているのは令和7年度の一覧のままだ。令和8年度の一覧はこのページにまだ載っていない。全国一覧は各都道府県の改定が発効してから差し替わる性格のページなので、9月・10月の時点で令和8年度の金額と発効日を確かめるなら、同じ厚生労働省の令和8年度 地域別最低賃金 答申状況(PDF)か、各都道府県労働局の発表を見るのが正しい。この記事の47都道府県一覧も、そのPDFの数字をそのまま並べたものだ。

いつから上がるのか|発効日が10月1日でない32県の一覧
先に結論を書くと、10月1日に発効するのは15都道府県だけで、残る32県は10月2日から12月2日までにばらけている(厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」2026年9月24日取得)。給与計算でいちばん事故が起きるのがここだ。
| 発効日 | 数 | 都道府県(カッコ内は発効日) |
|---|---|---|
| 10月1日 | 15都道府県 | 北海道・宮城・栃木・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・富山・岐阜・愛知・三重・大阪・兵庫・香川 |
| 10月2日〜10月31日 | 22県 | 長野(10月2日)・岡山(10月2日)・群馬(10月3日)・石川(10月3日)・滋賀(10月3日)・和歌山(10月3日)・鳥取(10月3日)・福井(10月4日)・奈良(10月4日)・福岡(10月4日)・山口(10月8日)・島根(10月10日)・広島(10月11日)・秋田(10月14日)・静岡(10月15日)・福島(10月16日)・茨城(10月18日)・宮崎(10月24日)・鹿児島(10月25日)・青森(10月29日)・高知(10月29日)・山形(10月30日) |
| 11月 | 7県 | 山梨(11月1日)・徳島(11月1日)・愛媛(11月1日)・大分(11月1日)・長崎(11月2日)・佐賀(11月15日)・京都(11月16日) |
| 12月 | 3県 | 岩手(12月1日)・熊本(12月1日)・沖縄(12月2日) |
月をまたぐ県では、給与の締め日の途中に発効日が来ることがある。この扱いについて大阪労働局は「使用者は、賃金算定期間の途中に発効日がある場合でも、発効日以降は改定後の最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります」と明記している(出典: 大阪労働局「大阪府最低賃金は、令和8年10月1日から時間額1,231円に改正されます。」)。締め日までまとめて旧単価で処理する、という運用は取れない。発効日の前後で単価を分けて計算する。
なお、答申状況のPDFには「発効日は、答申公示後の異議の申出の状況等により変更となる可能性有」という注記が付いている。実際、沖縄労働局は9月3日の発表資料の段階では効力発生日を「令和8年12月2日(水)の予定」と書いており、確定した言い方をしていない(出典: 沖縄労働局「令和8年度沖縄県最低賃金の改正答申について」2026年9月3日発表)。自社の県の発効日は、各都道府県労働局の公示・発表で最終の日付を押さえておきたい。

東京都1,280円・福岡県1,114円|検索の多い都道府県の数字
この記事に届く検索で特に多いのが東京都と福岡県だ。どちらも官報公示まで済んでいるので、日付つきで整理しておく。
| 都道府県 | 改定額 | 改定前 | 引上げ額 | 目安額との関係 | 官報公示 | 発効日 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 東京都 | 1,280円 | 1,226円 | 54円 | Aランク目安54円と同額 | 2026年9月1日 | 2026年10月1日 |
| 福岡県 | 1,114円 | 1,057円 | 57円 | Bランク目安56円を1円上回る | 2026年9月4日 | 2026年10月4日 |
| 大阪府 | 1,231円 | 1,177円 | 54円 | Aランク目安54円と同額 | 案内ページに日付の記載なし | 2026年10月1日 |
| 沖縄県 | 1,086円 | 1,023円 | 63円 | Cランク目安56円を7円上回る | 9月3日の発表時点では公示前 | 2026年12月2日(予定) |
東京都はAランクの目安(54円)どおりの引き上げで、目安との差は0円。金額としては全国加重平均1,177円より103円高い。福岡県はBランク目安の56円を1円だけ上回る57円の引き上げで、発効日は10月4日と10月1日から3日遅れる。「福岡県 最低賃金 2026 いつから」の答えは2026年10月4日からで、10月1日〜3日の労働には改定前の1,057円以上を支払っていれば足りる、という整理になる。
大阪府は大阪労働局の案内ページに「令和8年10月1日から時間額1,231円に改正されます」とあるが、官報公示の日付までは書かれていない(2026年9月24日時点)。沖縄県は9月3日の発表資料が公示前の「予定」表記だ。金額と発効日そのものは答申状況のPDFで押さえられるので、公示の日付が必要な場面(社内規程の改定根拠にするときなど)だけ、各労働局の発表を当たればいい。
発効日の前後で事業者がやること|賃金台帳・就業規則・助成金の期限
発効日が分かったら、実務でやることは大きく5つ。特に月給制の従業員は「時間額に直すと下回っていた」という形で違反になりやすい。時給で雇っている人だけ見て安心しない。
1. 全員の賃金を時間額に換算して比べる
最低賃金と比べるのは時間額だ。大阪労働局は換算式を次のように示している。
- 時間給制: 時間給 ≧ 最低賃金額
- 日給制: 日給 ÷ 1週間における1日の平均所定労働時間数 ≧ 最低賃金額
- 月給制: 月給 ÷ 1年間における1か月平均所定労働時間数 ≧ 最低賃金額
- 出来高払制その他の請負制: 計算された賃金の総額 ÷ 当該賃金算定期間の総労働時間数 ≧ 最低賃金額
同局が挙げている計算例はこうだ。年間所定労働日数269日・1日の所定労働時間7.5時間・月給206,800円の場合、1年間における1か月平均所定労働時間数は269日×7.5時間÷12か月=168.125時間。206,800円÷168.125時間=約1,230.03円となり、10月1日発効の大阪府最低賃金1,231円を下回って最低賃金法違反になる(出典: 大阪労働局「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」)。1円差で引っかかる世界だ、ということは押さえておきたい。
2. 比べる賃金に何を入れるかを間違えない
厚生労働省の最低賃金制度の特設サイトによると、最低賃金の対象になるのは「毎月支払われる基本的な賃金のみ」で、残業代やボーナスは対象外だ。残業代を足して「うちは足りている」と判断してしまうのが、よくある取り違えになる。また最低賃金は雇用形態に関係なくすべての労働者に適用され、派遣労働者については派遣元ではなく派遣先の最低賃金が適用される。派遣で人を受け入れている事業場は、自社の所在地の県の改定額で見る。
3. 賃金台帳と給与システムの改定日を県ごとに設定する
事業所が複数県にある会社は、ここが一番危ない。発効日は県ごとに違うので、10月1日で一括更新すると、12月発効の岩手・熊本・沖縄では早すぎる適用になり、逆に本社の県に合わせて遅らせると未払いになる。給与システムの改定日は事業場単位で設定しておく。賃金台帳は助成金の支給申請でも中身を見られる書類なので、いつからいくらに改定したかが追える形で残しておきたい(→ 助成金の支給申請で賃金台帳はどう見られる?整え方と不備例4選)。
4. 就業規則・賃金規程の改定と周知
時間給や日給を就業規則・賃金規程に金額で書いている場合は、その改定も必要になる。厚生労働省の最低賃金制度の特設サイトは、周知について「使用者は最低賃金を労働者に周知する必要があります」としている。掲示、書面の交付、社内ポータルへの掲載など、方法は事業場の実情に合わせて決めればよいが、やらないという選択肢はない。
5. 業務改善助成金を使うなら申請期限から逆算する
賃上げの原資づくりに業務改善助成金を使うつもりなら、期限は最低賃金の発効日に連動している点に注意したい。厚生労働省は2026年9月24日付で申請期間の再周知を出しており、「申請期間は令和8年9月1日~申請事業場の都道府県において適用される地域別最低賃金の発効日の前日又は同年11月30日のいずれか早い日となります。都道府県によっては9月末が申請期限になりますので、ご注意ください」と告知している(出典: 厚生労働省「業務改善助成金」)。10月1日発効の15都道府県は9月30日、12月発効の岩手・熊本・沖縄は11月30日が期限になる。県別の期限はこの記事の一覧表にも入れてあるので、自社の県の行を見てほしい。期限の考え方そのものは業務改善助成金はいつまで?申請期限は最短9月30日で詳しく整理している。
なお、賃上げと同時に設備投資や人材育成を行う中小企業を対象にした制度なので、要件審査があり、支給を保証するものではない。判断に迷う部分は、管轄の労働局や社会保険労務士に確認してほしい。
中央最低賃金審議会の目安|7月28日答申の中身
そもそもの出発点は、7月28日に開催された中央最低賃金審議会の答申だ。全国加重平均は1,176円(前年度比+55円、上昇率4.9%)で、ランク別の引き上げ額目安は次のとおりだった。
| ランク | 引き上げ額目安 | 対象都道府県数 | 主な都道府県 |
|---|---|---|---|
| Aランク | 54円 | 6都府県 | 東京・神奈川・大阪・愛知・埼玉・千葉 |
| Bランク | 56円 | 28道府県 | 北海道・宮城・福島など |
| Cランク | 56円 | 13県 | 青森・岩手・秋田・鳥取など |
注目すべきは、大都市が中心のAランクよりも、地方が中心のB・Cランクのほうが引き上げ額目安が大きい点だ。地域間の賃金格差を縮める方向性が、目安の段階からすでに表れている。この目安は法的拘束力を持たない参考値であり、実際の決定権は各都道府県労働局長にある。
目安を上回る答申が相次いだ背景
宮城県・鳥取県のように目安を上回る答申を出した地域では、報道によると人手不足を背景にした人材確保競争や、地方最低賃金審議会独自の判断が理由として挙げられている。ただし、この理由づけはあくまで各紙の報道に基づくものであり、審議会が公式に統一見解として説明しているわけではない点は留保しておきたい。
発効日にもばらつきがある。厚生労働省の答申状況によると、多くの都道府県が10月1日を予定している一方、山口県は10月8日、福岡県は10月4日、静岡県は10月15日、京都府は11月16日、沖縄県は12月2日など、独自のスケジュールになっている地域もある。自社の本社・事業所がどの都道府県に該当するかで発効日が変わるため、給与計算の担当者は「10月1日で一律」と思い込まないよう注意したい。
賃上げ特例のある補助金は、要件の基準値も一緒に動く
ここからが、補助金を検討している事業者にとって本題になる。中小企業省力化投資補助金や、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金には、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より一定額以上高く保つことを条件にした「賃上げ要件」「賃上げ特例」が設けられている。
| 制度 | 基本要件 | 賃上げ特例(補助率・上限額が優遇) |
|---|---|---|
| 中小企業省力化投資補助金(一般型) | 事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上 | 給与支給総額の年平均成長率6.0%以上 かつ 事業場内最低賃金が地域別最低賃金+50円以上 |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | 制度の基本要件に準拠(別途公募要領参照) | 給与支給総額の年平均成長率6.0%以上 かつ 事業場内最低賃金が地域別最低賃金+50円以上 |
この「地域別最低賃金+○○円」という要件は、地域別最低賃金そのものが毎年上がっていく「動く的(まと)」だ。たとえば東京都の事業所であれば、2025年度の1,226円を基準に設定していた目標値は、2026年10月以降は1,280円が新しい基準点になる。すでに交付決定を受けている事業者も、事業計画期間(補助事業終了後3〜5年)の各年で最低賃金の水準を満たし続ける必要がある点は見落としやすい。
ぶっちゃけ、このあたりの数字合わせは後回しにされがちだが、賃上げ要件を満たせなかった場合は補助金額の一部返還を求められることもある制度設計になっている。10月の発効を待たずに、今のうちに自社の事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差分を確認しておくと、後で慌てずに済む。省力化投資補助金の最新公募スケジュールは省力化投資補助金 第8回|8月中旬公募・10月中旬締切予定にまとめている。
今のうちに確認しておきたい3点
- 自社の事業所がある都道府県の改定額と発効日:全47都道府県の答申はすでに出そろっている。上の一覧で自社の都道府県の改定額・発効日・業務改善助成金の申請期限を確認する。
- 補助金の賃上げ目標値の設定水準:省力化投資補助金・新事業進出ものづくり補助金を交付決定済みの事業者は、10月の最低賃金改定後も基準を満たせる水準になっているか、改めて確認する。
- 給与規定・賃金台帳の改定スケジュール:発効日は都道府県ごとに異なるため、10月1日一律で処理しないよう給与システムの改定日を個別に設定する。
この3点を自社の数字で確認したい、あるいは「賃上げ分をAI導入や業務効率化で吸収する計画」を助成金込みで組み立てたい場合は、Uravationの無料相談で現状を伺って整理します。研修や導入支援の費用は助成金の対象となる場合があります(要件審査あり)。
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よくある質問
Q. 2026年度の最低賃金はいつから適用されますか?
2026年10月1日発効の都道府県が最も多いが、厚生労働省の答申状況によると、山口県は10月8日、福岡県は10月4日、静岡県は10月15日、京都府は11月16日、岩手県・熊本県は12月1日、沖縄県は12月2日と、都道府県ごとに異なる。発効日は答申公示後の異議の申出の状況等により変更となる可能性があるため、各都道府県労働局の公式発表で最終確認してほしい。
Q. 全国平均はいくらになりましたか?
中央最低賃金審議会が7月28日に示した目安は、全国加重平均で1,176円(前年度から55円の引き上げ)だった。その後の地方答申が全47都道府県で出そろい、2026年9月6日時点の厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額答申状況」では、全国加重平均は1,177円(改定前1,121円・56円の引き上げ)になっている。
Q. すべての都道府県で答申は出そろいましたか?
2026年9月6日時点で、令和8年度の地域別最低賃金は全47都道府県の答申が出そろっている。厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額答申状況」によると、全国加重平均は1,177円(改定前1,121円・56円の引き上げ)。発効日は10月1日が最も多く、最も遅いのは沖縄県の12月2日。ただし発効日は、答申公示後の異議の申出の状況等により変更となる可能性があるため、各都道府県労働局の発表で最終確認してほしい。
Q. 最低賃金の引き上げは補助金の審査に直接影響しますか?
審査そのものへの直接的な影響というより、交付決定後の賃上げ要件の「基準値」が動く点に注意が必要だ。省力化投資補助金・新事業進出ものづくり補助金のように、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より一定額以上に保つことを条件にしている制度は、最低賃金が上がるたびに満たすべき水準も切り上がる。
Q. 事業場内最低賃金の設定を今すぐ変更する必要がありますか?
発効日(多くは10月1日)より前に対応すれば問題ない制度が大半だが、給与規定の改定や賃金台帳の更新には社内調整の時間がかかる。交付決定済みの事業者は、発効日から逆算して準備を始めることをすすめる。判断に迷う場合は、社会保険労務士など専門家に確認してほしい。
Q. 2026年度の最低賃金はもう確定したのですか?
金額を決める答申は47都道府県すべてで終わっている。東京都は2026年9月1日、福岡県は9月4日に官報公示まで進んだ。ただし「確定=すぐ適用」ではなく、実際に支払い義務が生じるのは各都道府県の発効日(10月1日〜12月2日)からだ。厚生労働省の答申状況(PDF)には、発効日が答申公示後の異議の申出の状況等により変更となる可能性がある旨の注記も付いている。
Q. 東京都の最低賃金は2026年10月からいくらになりますか?
時間額1,280円になる。改定前の1,226円から54円の引き上げで、東京労働局が2026年9月1日に官報公示を行い、効力発生日は2026年10月1日。中央最低賃金審議会のAランクの目安(54円)と同額の引き上げで、目安との差は0円だ。
Q. 福岡県の最低賃金は2026年いつから1,114円になりますか?
2026年10月4日からだ。改定前の1,057円から57円の引き上げで、Bランクの目安56円を1円上回る。福岡労働局によると官報公示は2026年9月4日に行われた。10月1日ではないため、給与計算の切り替え日を3日ずらす必要がある。
Q. 厚生労働省の「地域別最低賃金の全国一覧」が令和7年度のままなのはなぜですか?
2026年9月24日時点で、このページに掲載されているのは令和7年度の一覧だ。全国一覧は各都道府県の改定が発効してから差し替わる。令和8年度の金額と発効日を確認したい場合は、厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」(PDF)か、各都道府県労働局の公表資料を見てほしい。
Q. 給与の締め日の途中に発効日が来る場合はどう計算しますか?
大阪労働局は「使用者は、賃金算定期間の途中に発効日がある場合でも、発効日以降は改定後の最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります」としている。締め日まで旧単価でまとめて処理することは認められないため、発効日の前後で単価を分けて計算する。
Q. パートやアルバイト、派遣社員にも適用されますか?
厚生労働省の最低賃金制度の特設サイトによると、最低賃金は雇用形態に関係なくすべての労働者に適用される。派遣労働者については派遣元ではなく派遣先の最低賃金が適用されるため、派遣で人を受け入れている事業場は、自社の所在地の県の改定額で確認する。
この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。
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参考・出典
- 令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について — 厚生労働省(2026年7月28日公表、参照日: 2026-08-17)
- 東京都最低賃金の54円引上げを答申 — 東京労働局(2026年8月5日公表、参照日: 2026-08-17)
- 中小企業省力化投資補助金(一般型)スケジュール・基本データ — 中小企業基盤整備機構(参照日: 2026-08-17)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公式サイト — 中小企業基盤整備機構(参照日: 2026-08-17)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募要領の公開について — 中小企業庁(参照日: 2026-08-17)
- 中小企業向け補助金・支援制度一覧 — ミラサポplus・中小企業庁(参照日: 2026-08-17)
- 令和8年度 地域別最低賃金 答申状況(PDF) — 厚生労働省(参照日: 2026-09-06)
- 業務改善助成金 — 厚生労働省(令和8年9月1日受付開始、参照日: 2026-09-06)
- 地域別最低賃金の全国一覧 — 厚生労働省(2026年9月24日時点の掲載は令和7年度版、参照日: 2026-09-24)
- 東京都最低賃金を1,280円に引上げます — 東京労働局(2026年9月1日公表・同日官報公示、参照日: 2026-09-24)
- 福岡県最低賃金の1時間1,114円への引上げ決定〜効力発生日は、令和8年10月4日〜 — 福岡労働局(参照日: 2026-09-24)
- 大阪府最低賃金は、令和8年10月1日から時間額1,231円に改正されます。 — 大阪労働局(参照日: 2026-09-24)
- 最低賃金額以上かどうかを確認する方法 — 大阪労働局(参照日: 2026-09-24)
- 令和8年度沖縄県最低賃金の改正答申について(PDF) — 沖縄労働局(2026年9月3日発表、参照日: 2026-09-24)
- 最低賃金制度(特設サイト) — 厚生労働省(参照日: 2026-09-24)
免責事項
本記事の情報は2026年9月24日時点の厚生労働省・各都道府県労働局・中小企業基盤整備機構・中小企業庁の公表資料および各種報道に基づく参考情報です(47都道府県の一覧は2026年9月6日時点の答申状況にもとづき、2026年9月24日に同じ公表資料で再突合しています)。最低賃金の発効日は、答申公示後の異議の申出の状況等により変更となる可能性があります。補助金の賃上げ要件についても、最新の公募要領で必ずご確認ください。本記事の情報に基づく判断の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。
