デジタル化・AI導入補助金

デジタル化・AI導入補助金に不採択だったら|原因と再申請の立て直し方【2026】

デジタル化・AI導入補助金に不採択だったら|原因と再申請の立て直し方【2026】

この記事の結論

デジタル化・AI導入補助金2026で不採択でも次回締切(4次締切8月25日)に再申請可能。通常枠の交付決定率は4割強。典型原因5つと審査項目から逆算する立て直し手順、加点総点検の方法を公式公募要領ベースで解説。

デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)で不採択になっても、次回以降の締切に再申請できます。公募要領(通常枠)には「各締切回で公表される採択結果にて不採択となった場合、次回以降の締切りまでに交付申請は可能」と明記されており、直近では2026年8月25日(火)17:00締切の4次締切分が申請可能です。ただし、不採択理由は開示されません。だからこそ、典型的な落選パターンに自分の申請を照らして原因を推定し、計画を作り直してから出し直すことが重要です。

この記事では、事務局が公表している交付決定件数のデータと公募要領の審査項目をもとに、不採択の典型原因と、再申請までの立て直し方を想定シナリオ付きで解説します。実際、通常枠の交付決定率は1次・2次とも4割強。半数以上が落ちる補助金ですが、裏を返せば「直せば通る余地のある申請」も相当数あるということです。

不採択でも再申請できる根拠と、次の締切はいつか

まず制度上の位置づけをおさえましょう。デジタル化・AI導入補助金は、2026年(令和7年度補正予算事業)から旧IT導入補助金の名称が変更されたものです。中小企業・小規模事業者等のデジタル化・AI活用によるITツール導入を、国(中小企業庁・中小機構の監督のもとTOPPAN株式会社が事務局運営)が支援します。

項目 内容
制度名 デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)
所管 経済産業省・中小企業庁(中小機構が管理、事務局はTOPPAN株式会社)
申請枠 通常枠/インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)/セキュリティ対策推進枠/複数者連携デジタル化・AI導入枠
通常枠の補助率 1/2以内(最低賃金近傍の事業者は2/3以内)
通常枠の補助額 5万円〜150万円未満(1プロセス以上)/150万円〜450万円以下(4プロセス以上)
直近の締切 4次締切分:2026年8月25日(火)17:00(交付決定日は2026年10月7日予定)
事業実施期間 交付決定〜2027年3月31日(水)17:00(予定)
不採択後の再申請 可能(次回以降の締切までに交付申請できる)

※上記は2026年7月25日時点、デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)および事務局サイトの公表情報に基づきます。5次以降の締切日程は、公式サイトの事業スケジュールで最新情報を確認してください。

公募要領(通常枠)の「3-2(イ)申請回数」には、通常枠では1事業者あたり同時に1件しか交付申請できない一方で、「各締切回で公表される採択結果にて不採択となった場合」は次回以降の締切までに再度交付申請できると書かれています。つまり不採択は「今回は通らなかった」だけで、申請資格を失うわけではありません。制度全体の枠組みや各枠の使い分けは、デジタル化・AI導入補助金2026 完全ガイドで整理しています。

どのくらい落ちているのか|事務局公表の交付決定件数

事務局は締切回ごとの申請数と交付決定数を公表しています。2026年7月23日更新のデータは次のとおりです。

締切回(交付決定日) 申請枠 申請数 交付決定数 交付決定率(当サイト算出)
1次締切分(2026年6月18日) 通常枠 2,028件 891件 約43.9%
1次締切分(2026年6月18日) インボイス枠(インボイス対応類型) 4,324件 2,027件 約46.9%
1次締切分(2026年6月18日) セキュリティ対策推進枠 88件 64件 約72.7%
2次締切分(2026年7月23日) 通常枠 1,879件 819件 約43.6%
2次締切分(2026年7月23日) インボイス枠(インボイス対応類型) 3,790件 2,096件 約55.3%
2次締切分(2026年7月23日) セキュリティ対策推進枠 28件 20件 約71.4%
1次締切分(2026年7月23日) 複数者連携デジタル化・AI導入枠 2件 1件

出典:デジタル化・AI導入補助金2026事務局「交付決定事業者一覧(申請数および交付決定数)」(参照日: 2026-07-25)。交付決定率は公表件数から当サイトが算出した参考値です。

通常枠は2回連続で4割強。半分以上の申請が通っていません。落ちたのがあなただけではない、というのがまず知っておいてよい事実です。

不採択から再申請で立て直した2つの想定シナリオ

ここからは、審査項目に照らした「典型的な落ち方」と「立て直し方」を、想定シナリオとして具体化します。

事例区分: 想定シナリオ
以下は公募要領の審査項目・申請要件と、100社以上のAI導入支援の経験をもとに構成した典型的なシナリオです。特定の実在企業の事例ではありません。

シナリオ1: 製造業A社|労働生産性の計画数値が計算式とかみ合っていなかった

従業員30名の金属加工業A社は、生産管理システム(補助金申請額200万円)で通常枠に申請し、不採択になりました。申請書を見直すと、「業務効率30%改善」と書いてはいたものの、公募要領が定める労働生産性の計算式、すなわち「(営業利益+人件費+減価償却費)÷年間の事業者当たり総労働時間」に基づく数値計画になっていませんでした。

通常枠の申請要件では、交付申請時点の翌事業年度以降3年間の事業計画で、1年後に労働生産性を3%以上、事業計画期間の年平均成長率でも3%以上向上させる計画(過去にIT導入補助金2023通常枠等の交付決定を受けた事業者は4%以上)を策定・実行することが求められます。しかも「実現可能かつ合理的であること」が審査されます。感覚的な「30%改善」は、むしろ根拠のなさとして働いた可能性があります。

再申請でA社が直したのは3点です。第一に、現状の総労働時間・営業利益・人件費・減価償却費を実データで整理し、計算式どおりの現在値を出した。第二に、ITツールが削減する工数を工程ごとに積み上げ、1年後3.2%、3年平均3.5%という「届く数字」に置き直した。第三に、削減した工数を何に振り向けて利益につなげるかを1段落で明記した。派手さはありませんが、審査項目の「計画目標値の審査」に正面から答える形です。

シナリオ2: サービス業B社|150万円以上の申請なのに賃上げ要件の整理が甘かった

従業員12名の清掃サービス業B社は、AI搭載の配車・シフト最適化ツール(申請額180万円)で申請して不採択。ここで効いてくるのが、補助金申請額150万円〜450万円の区分では賃上げ目標の扱いが変わる点です。公募要領の補足によれば、申請額150万円未満では賃上げ関連は加点項目(過去にIT導入補助金2022〜2025の交付決定を受けた事業者は必須要件)ですが、150万円以上では必須要件になります。事業場内最低賃金の水準や1人当たり給与支給総額の年平均成長率3%以上(過去交付決定者は3.5%以上)といった計画を策定し、交付申請時点で従業員に表明していることまで求められます。

B社は賃上げ計画自体は作っていたものの、従業員への表明の扱いが曖昧で、加点項目もクラウド製品加点しか取れていませんでした。再申請では、賃金引上げ計画を書面で従業員に表明して記録を残し、加点項目を総点検。「IT戦略ナビwith」の実施、SECURITY ACTIONの宣言状況の点検、インボイス対応製品の選定可否をITツール選定段階から見直しました。あわせて、4プロセス以上という機能要件を満たすツール構成かどうかをIT導入支援事業者と突き合わせています。

2つのシナリオに共通するのは、「書き方を磨く」前に「要件と審査項目に構造的に合っているか」を直している点です。不採択理由が開示されない以上、この照合作業が再申請の出発点になります。

不採択の典型原因5つ|審査項目から逆算する自己診断

公募要領(通常枠)の「3-3 交付申請の審査」では、事業面からの審査項目(経営課題の理解、課題とITツールの機能・導入効果のマッチ、データ連携による継続的な生産性向上)、計画目標値の審査(労働生産性の向上率)、政策面からの審査項目(賃上げ、国の推進するセキュリティサービスの選定など)が示されています。ここから逆算すると、不採択の原因はおおむね次の5つに集約されます。

原因1: 申請要件そのものの不備

❌ SECURITY ACTIONの宣言、gBizIDプライム、必要書類の添付など基礎要件の抜け漏れがある。
⭕ 公募要領「2-1-1 申請の対象となる事業者及び申請の要件」と「3-2(2)交付申請に必要な書類」をチェックリスト化し、1項目ずつ潰す。

通常枠ではIPAの「SECURITY ACTION」で一つ星または二つ星の宣言が申請要件です。なお、事務局から不備訂正(再提出)の連絡が来た場合に応じなかったケースも実質的な脱落につながります。事務局・IT導入支援事業者からの連絡には必ず応答しましょう。

原因2: 申請額とITツールの機能数(プロセス数)のミスマッチ

❌ 申請額150万円以上なのに、導入ツールのプロセス数が要件の4プロセスに届いていない。
⭕ 申請額150万円以上なら4プロセス以上、150万円未満なら1プロセス以上という対応関係をIT導入支援事業者と確認する。要件を満たしていても、申請額を自主的に5万円以上150万円未満に抑える選択肢もある。

原因3: 労働生産性の計画が計算式・要件水準とかみ合っていない

❌ 「効率化する」「生産性を上げる」という定性的な記述、または根拠のない大きな数字。
⭕ 「(営業利益+人件費+減価償却費)÷総労働時間」で現在値を出し、1年後3%以上・年平均3%以上(過去交付決定者は4%以上)を、工数削減の積み上げ根拠付きで示す。

原因4: 賃上げ関連の要件・表明の抜け

❌ 150万円以上の申請で賃金引上げ計画の策定・従業員への表明が整っていない。
⭕ 事業場内最低賃金の引上げ水準と給与支給総額の成長率を要件どおり設定し、従業員への表明を記録に残す。表明したと申告して実際にしていなかった場合は交付決定の取消し対象になるため、形式だけの対応は厳禁。

原因5: 加点不足・減点該当

❌ 加点ゼロのまま、事業計画の弱さを挽回できずに相対評価で沈む。
⭕ 後述の加点項目一覧を総点検して取れるものを確実に取る。なお、IT導入補助金2022〜2025の間に交付決定を受けた事業者や、同年のインボイス枠で申請・交付決定を受けた事業者は通常枠の審査で減点措置の対象になることも織り込んでおく。

正直なところ、どの原因が効いたかを断定する方法はありません。審査内容・不採択理由は採択・不採択にかかわらず開示しない、と公募要領に明記されているためです。だからこそ上の5つを全部つぶす、が実務上の正解になります。

再申請までの立て直し手順

次の締切(4次締切分・2026年8月25日17:00)から逆算しつつ、順番に進めます。申請作業自体の操作手順はデジタル化・AI導入補助金 4次締切8/25の申請手順にまとめているので、ここでは「立て直し」に焦点を絞ります。

手順1: IT導入支援事業者と不採択のふりかえり会議を持つ

この補助金は単独申請ではなく、登録されたIT導入支援事業者と組んで申請する仕組みです。前回の交付申請の控えを開き、上の典型原因5つを一緒に照合しましょう。支援事業者は他社の採択・不採択も見ているため、自社だけでは気づけない弱点の指摘が期待できます。逆に、ふりかえりに応じてくれない支援事業者なら、パートナー変更も検討材料です。

手順2: 要件チェックリストをゼロから作り直す

前回の申請書を「直す」のではなく、公募要領の最新版を読み直して要件チェックリストを新規に作ります。公募要領は改訂されることがあり、たとえば通常枠の公募要領は2026年2月27日の新規作成後、3月に補助率・補助額の補足や加点項目の記載が改訂されています。前回申請時の記憶で作業すると、変更点を踏み抜きます。

手順3: 労働生産性計画を実データで再構築する

シナリオ1で述べたとおり、計算式に基づく現在値→ツール導入による工数削減の積み上げ→1年後・3年間の目標値、という順で数字を組み直します。ここが事業計画の背骨です。数値の妥当性に自信が持てないときは、直近決算書と勤怠データから機械的に算出するのが早道です。

手順4: 加点項目を総点検して取れるものを全部取る

次のセクションの一覧を使って、交付申請前に着手できるものから順に潰します。健康経営優良法人のように年度認定でいまから間に合わないものもあるため、「今回取れるもの」と「次年度に仕込むもの」を分けるのがコツです。

手順5: 提出前に第三者の目でセルフ審査する

審査項目(事業面・計画目標値・政策面)をそのまま採点表にして、社内の別の人かIT導入支援事業者に読んでもらいます。「経営課題→ツールの機能→導入効果」が一本の線でつながっているか。ここが切れていると、個々の記述がよくても評価されにくい構造です。

手順6: 締切の数日前までに申請を完了させる

締切当日はコールセンターも混み合うと事務局が案内しています。一度提出した交付申請は、事務局から再提出の指示があった場合を除き、結果公表まで取下げできません。提出前の最終チェックに時間を残すためにも、前倒しで完了させましょう。

再申請前に総点検したい加点項目一覧(通常枠)

公募要領(通常枠)3-3(2)に列挙されている主な加点対象は次のとおりです。

加点項目 着手のポイント
クラウド製品の選定 ITツール選定段階でクラウド型を優先検討
「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の選定 セキュリティ系ツールを併せて導入する場合に検討
インボイス制度対応製品の選定 会計・受発注系ツールなら対応製品かを確認
デジタル化セカンドオピニオンの実施 第3回公募回より加点。交付申請前に確認者との面談完了が必要
賃金引上げ計画(申請額150万円未満は加点、150万円以上は必須要件側) 最低賃金+30円以上等の水準と従業員への表明。+50円以上でさらに加点
「IT戦略ナビwith」(デジwith)の実施 申請に使うgBizIDプライムで実施し、IT戦略マップを添付
健康経営優良法人2026の認定 令和7年度認定が対象。未認定なら次年度への仕込み
えるぼし・くるみん等の認定 女性活躍推進法・次世代法に基づく認定の有無を人事部門と照合
「成長加速マッチングサービス」への課題登録 交付申請締切日時点で課題が「掲載中」であること
「省力化ナビ」の活用 gBizIDプライムで活用し「解決策」PDFをダウンロード
最低賃金近傍の事業者であること 該当する場合は補助率2/3以内の引上げ対象にもなる
事業場内最低賃金を令和7年7月比+63円以上に 直近月の賃金水準で判定

1点注意があります。加点を受けて採択されたのに加点要件を達成できなかった場合、効果報告で未達が報告されてから18カ月間、ものづくり補助金や持続化補助金など中小企業庁所管の補助金の審査で大幅減点される仕組みがあります。取れる加点は取るべきですが、達成できる計画に限る、が鉄則です。

再申請でも変わらない基本ルール

  • 交付決定前の発注・契約は補助対象外。再申請の準備中に「どうせ通るだろう」と先行発注するのが最悪のパターンです。採択(交付決定)を待ってから契約・発注してください。
  • 通常枠は同時に1申請のみ。ただし他の枠への同時申請は可能です。自社の導入内容がインボイス枠やセキュリティ対策推進枠に合うなら、枠の選び直しも立て直しの選択肢になります。
  • 不採択理由は開示されない。事務局への問い合わせで理由を聞き出すことはできません。本記事の自己診断で代替します。
  • 申請は申請マイページ経由。結果通知も申請マイページで行われ、交付決定事業者は事務局サイトで名称等が公表されます。

なお、そもそも導入したい内容が「ITツール導入」より「設備・ロボットによる省力化」に近いなら、制度の選び直しも視野に入ります。判断の分かれ目はデジタル化・AI導入補助金 vs 省力化投資補助金の比較記事で整理しています。

再申請で採択率を上げるには加点の取り方が要になります。詳しくは「デジタル化・AI導入補助金の加点項目一覧」をご覧ください。

よくある質問

不採択になったら、同じ内容のまま再申請してもよいですか?

制度上は同じ内容でも再申請自体は可能です。ただし、審査項目に変化がない以上、同じ申請内容なら同じ結果になる公算が大きいと考えるべきです。本記事の典型原因5つを点検し、事業計画・加点・要件のいずれかを具体的に改善してから出し直すことをおすすめします。

再申請の回数に制限はありますか?

公募要領(通常枠)では、不採択となった場合は次回以降の締切までに交付申請が可能とされており、回数の上限は明記されていません。ただし通常枠で同時に複数の交付申請はできないため、直近では4次締切分(2026年8月25日17:00)が実質的なターゲットになります。5次以降の日程は公式サイトの事業スケジュールで確認できます。

不採択の理由を事務局に教えてもらえますか?

教えてもらえません。公募要領に「採択・不採択に関わらず審査内容・不採択理由については開示しない」と明記されています。審査項目から逆算した自己診断と、IT導入支援事業者とのふりかえりで原因を推定するのが現実的な対処です。

前回と違うITツール・違うIT導入支援事業者で再申請できますか?

できます。不採択後の再申請にあたって、ツールや支援事業者を前回と同一にする義務はありません。むしろプロセス数の要件や自社課題との適合性を見直した結果、ツールや枠を変えることは合理的な立て直しです。

落ちてからが本番|再申請に向けて今週やること

不採択の通知は堪えます。ただ、この補助金は年度内に締切が複数回あり、不採択者の再申請が制度として想定されています。通常枠の交付決定率が4割強で推移している以上、1回の不採択は珍しいことではありません。

  • IT導入支援事業者にふりかえり会議を申し入れ、前回申請の控えと典型原因5つを照合する
  • 公募要領の最新版をダウンロードし、要件チェックリストを新規に作る
  • 労働生産性の計算式に沿って、直近決算書と勤怠データから現在値を算出する

あわせて読みたい:

AI導入の計画策定からやり直したい、どのITツールなら自社の課題と数字がつながるのか整理したい、という場合は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。100社以上のAI研修・導入支援の経験をもとに、AI導入計画の立て直しをサポートします(補助金申請書の作成代行は行っていません)。

この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。

免責事項

本記事の情報は2026年7月25日時点の中小企業庁・デジタル化・AI導入補助金2026事務局の公表資料に基づく参考情報です。補助金の制度内容・スケジュールは予告なく変更される場合があります。申請にあたっては、必ずデジタル化・AI導入補助金2026 公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。

参考・出典

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