2026年6月5日、中小企業庁は「中小企業省力化投資補助事業(一般型)第7回公募要領」を正式に公開した。申請受付は7月上旬(予定)、締切は7月下旬(予定)と、実質2か月を切ったタイムラインだ。
第6回からの最大の変化は「歯科医業を営む医療法人が補助対象に追加された」点と「生産性向上支援センター利用者への加点が新設された」点の2つ。補助率・上限額の骨格は据え置きだが、申請要件の厳格化も行われており、準備不足で見逃しやすい変更が含まれている。
| 項目 | 第6回まで | 第7回(2026年6月5日公開) | 変化 |
|---|---|---|---|
| 補助率(中小企業) | 1/2(賃上げ特例2/3) | 1/2(賃上げ特例2/3) | 変更なし |
| 補助率(小規模・再生) | 2/3 | 2/3 | 変更なし |
| 補助上限(101人以上) | 8,000万円(賃上げ特例1億円) | 8,000万円(賃上げ特例1億円) | 変更なし |
| 歯科医業の医療法人 | 対象外 | 新規追加(常勤従業員300人以下) | ↑ 拡大 |
| 生産性向上支援センター加点 | なし | 新設(生産性向上取組計画書の提出で加点) | ↑ 新設 |
| 法令違反による申請不可期間 | 過去1年 | 公募開始日から5年前以降に延長 | ↑ 厳格化 |
| 法令違反の対象範囲 | 労働関係法令 | 補助事業に関連する法令全般に拡大 | ↑ 厳格化 |
| 不正受給歴のある事業者 | 規定なし | 経産省・中小機構所管補助金での不正事業者を除外 | ↑ 厳格化 |
| 補助対象外経費の明確化 | 規定なし | 「申請者以外が主に利用するシステム・設備」を明記 | ↑ 明確化 |
| 導入設備への保険加入 | 任意 | 原則必須(付保割合50%以上) | ↑ 義務化 |
出典:中小企業省力化投資補助金 一般型トップページ(参照日:2026年6月11日)、補助金ナビ 第7回変更点解説(参照日:2026年6月11日)
第7回の補助率・上限額(確定版)
6月5日公開の公募要領で確定した数字を以下にまとめる。「予定」の段階ではなく、正式に公募要領に明記された値だ。
| 申請事業者の区分 | 補助率(通常) | 補助率(大幅賃上げ特例) |
|---|---|---|
| 中小企業者 | 1/2 | 2/3 |
| 小規模企業者・小規模事業者 | 2/3 | 2/3(変わらず) |
| 再生事業者 | 2/3 | 2/3(変わらず) |
| 従業員数 | 補助上限(通常) | 補助上限(大幅賃上げ特例) |
|---|---|---|
| 5人以下 | 750万円 | 1,000万円 |
| 6〜20人 | 1,500万円 | 2,000万円 |
| 21〜50人 | 3,000万円 | 4,000万円 |
| 51〜100人 | 5,000万円 | 6,500万円 |
| 101人以上 | 8,000万円 | 1億円 |
補助対象者は、中小企業者・小規模企業者・小規模事業者・特定事業者の一部・特定非営利活動法人・社会福祉法人、そして第7回から新たに歯科医業を営む医療法人(常勤従業員300人以下)が加わった。
一方で「事業費総額の下限は50万円(税抜)以上」「補助金交付額の下限は25万円以上」という最低基準は第7回も変わっていない。少額の設備導入では補助対象にならない点は注意が必要だ。
出典:中小企業省力化投資補助金 一般型公式サイト(参照日:2026年6月11日)
→ 補助金の横断比較はAI導入に使える補助金5選 徹底比較もあわせてご覧ください。
「生産性向上支援センター加点」とは何か — 第7回の新設ポイントを詳しく解説
第7回から新設された加点項目が「生産性向上支援センター利用加点」だ。ご存じない方も多いはずなので少し詳しく説明する。
2026年4月1日、経済産業省は全国のよろず支援拠点に「生産性向上支援センター」を開設した。中小企業・小規模事業者の現場を訪問し(約10回)、省力化計画の策定を無料でサポートする専門機関だ。
第7回公募では、このセンターの支援を受けて「生産性向上取組計画書」を作成した事業者に審査上の加点が与えられる。得点が僅差で並んだ場合の合否を左右しうる要素で、無料支援を活用しながら加点も得られる一石二鳥の仕組みだ。
活用の注意点:センターへの支援申請から計画書完成まで一定の時間がかかる。7月下旬(予定)の申請締切から逆算すると、6月中に申請を済ませておきたい。各都道府県のよろず支援拠点の所在地は経済産業省のプレスリリースで確認できる。
申請スケジュール — 確定済みと予定の区別
公募要領の公開が確定しているのは「公募開始(2026年6月5日)」のみ。以降のスケジュールは2026年6月11日時点で「予定」の段階だ。
| マイルストーン | 時期 | ステータス |
|---|---|---|
| 公募要領公開 | 2026年6月5日 | 確定済み |
| 電子申請受付開始 | 2026年7月上旬(予定) | 予定 |
| 申請締切 | 2026年7月下旬 17:00(予定) | 予定 |
| 採択発表 | 2026年11月中旬(予定) | 予定 |
| 交付決定 | 採択後 約1か月(予定) | 予定 |
過去の実績では申請受付から締切まで約3〜4週間しかない。「申請受付が始まってから準備する」では絶対に間に合わない構造だ。公募要領が出た今が準備の正念場と考えてほしい。
スケジュールの最新情報は公式スケジュールページで随時確認されたい。
何が補助対象になるのか — 一般型の対象設備
省力化投資補助金の「一般型」は、カタログに登録されていない製品でもIoT・AI・ロボット等を活用したオーダーメイドの省力化設備・システムが対象になる点が大きな特徴だ。カタログ注文型では対応できない複雑な工程への対応に向いている。
具体的には以下のような投資が対象になりうる:
- 生産ラインへのロボット・協働ロボットの導入(バラ積みピッキング、搬送、検品など)
- AI画像検査システム(不良品の自動検出・分類)
- IoTセンサーによる設備稼働監視・予知保全システム
- 受発注・在庫管理の自動化システム(AIを活用した需要予測を含む)
- 医療・介護現場の見守りセンサー、自動搬送ロボット(今回から歯科医業法人も対象)
ただし「専ら申請者自身ではない他者が主に利用するシステム及び設備」は第7回から明示的に補助対象外と明記された。顧客向けのサービスシステムなどを自社コスト削減名目で申請する事例を排除するための改定と解釈できる。
事業計画に沿った経費が補助対象かどうかは、公募要領の「補助対象経費」セクションで個別に確認すること。導入設備への保険・共済加入(付保割合50%以上)が今回から原則必須となった点も見落としやすいので注意だ。
採択率の実績から読む「採択されやすい事業計画」の条件
第1回〜第5回の採択率は次のとおりだ(出典:中小企業省力化投資補助金 事務局)。
| 公募回 | 申請件数 | 採択件数 | 採択率 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 1,809件 | 1,240件 | 68.5% |
| 第2回 | 1,160件 | 707件 | 60.9% |
| 第3回 | 2,775件 | 1,854件 | 66.8% |
| 第4回 | 2,100件 | 1,456件 | 69.3% |
| 第5回 | 2,035件 | 1,251件 | 61.5% |
出典:中小企業省力化投資補助金 採択結果一覧(参照日:2026年6月11日)
採択率60〜70%台という数字は、他の主要補助金(ものづくり補助金:40〜50%台、事業再構築補助金:30〜50%台)と比べて高い水準だ。しかしそれは「書けば通る」という意味では全くない。不採択になった30〜40%に共通するのは、事業計画書の「課題の数値化が不十分」「省力化効果の根拠が薄い」という点が多い。
審査で評価されやすい申請計画には以下の特徴がある:
- 現状の課題を数字で示している:「人手不足で月○時間の残業が発生」「離職率が○%で採用コストが年○万円」など具体的な数字
- 省力化効果も数字で示している:「導入後は同工程の工数を月○時間削減できると試算」(根拠とともに)
- 事業計画の要件4項目を満たしている:労働生産性年平均+4.0%以上、給与支給総額の年平均成長率+3.5%以上、最低賃金+30円以上、従業員21名以上は育成支援行動計画の公表
- 相見積もりが適切に取られている:特定業者への依存を排し、複数社からの見積もりが揃っている
省力化投資補助金 第7回で「落ちやすい」パターン4つ
採択率の高さに油断して準備不足で落ちる事例を、よく見られるパターンに絞ってまとめる。
パターン1: GビズIDを未取得で申請期限を逃す
電子申請にはGビズIDプライムアカウントが必須だ。法人の場合、印鑑証明書を使った本人確認手続きが必要で、取得まで通常1〜2週間かかる。申請受付開始後に慌てて申請すると、IDが間に合わない。今すぐ取得状況を確認すること。
パターン2: 「交付決定前の発注・契約」で補助対象外になる
採択通知が届いたからといって、すぐに設備メーカーへ発注してはいけない。補助金の対象になるのは「交付決定通知を受けた後に発生した費用」のみ。採択通知と交付決定は別物であり、この間に発注・契約した経費は全額自己負担になる。
パターン3: 保険加入を後回しにする
第7回から導入設備への保険・共済加入(付保割合50%以上)が原則必須になった。実績報告時に加入証明を提出できない場合は補助金が交付されない可能性がある。設備の搬入・稼働開始と同時に保険契約の手配を進めておく必要がある。
パターン4: 法令違反歴の確認を怠る
第7回から法令違反による申請不可期間が「過去1年」から「公募開始日から5年前以降」に延長された。労働関係法令に限らず、補助事業に関連する法令全般が対象だ。過去5年間に是正指導を受けた経歴がある場合は、申請前に専門家(弁護士・社労士)に確認することをお勧めする。
今すぐやるべきこと — 優先度順のアクションリスト
7月下旬(予定)の申請締切まで残り約6週間。優先度の高い順に並べる。
-
GビズIDプライムの取得確認(今日中)
未取得の場合は即申請。取得済みでも有効期限を確認する。 -
第7回公募要領のダウンロードと通読(今週中)
公式ダウンロードページから最新の公募要領(第7回)を入手する。前回との変更点をマーカーで確認すると効率がよい。 -
生産性向上支援センターへの支援申請(6月中)
加点を狙う場合は早急に地元のよろず支援拠点へ問い合わせる。訪問支援には一定の準備時間が必要なため、6月中に動き出さないと間に合わない可能性がある。 -
省力化したい業務・工程の洗い出しと現状数値の記録(今週〜再来週)
「今この工程に月何時間かかっているか」「離職・採用に年いくらかかっているか」を記録する。これが事業計画書の核心部分になる。 -
設備ベンダーへの相談・見積依頼(来週以降)
相見積もりが必要なため、複数のベンダーに声をかけておく。見積取得にも2〜3週間かかることがある。
参考・出典
- 中小企業省力化投資補助事業(一般型)の第7回公募要領を公開しました — 中小企業庁(2026年6月5日)
- 中小企業省力化投資補助金 一般型 トップページ — 中小機構(参照日:2026年6月11日)
- スケジュール(一般型) — 中小機構(参照日:2026年6月11日)
- 採択結果(一般型) — 中小機構(参照日:2026年6月11日)
- 全国のよろず支援拠点に「生産性向上支援センター」を開設しました — 経済産業省(2026年4月1日)
省力化投資補助金の申請に向けて、AI導入の計画策定や事業計画書の作成方針についてご相談がある場合は、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。弊社ではAI導入支援の実績をもとに、省力化計画の整理をサポートしています(申請書の代行ではなく、AI導入の計画策定支援として)。
この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。
免責事項
本記事の情報は2026年6月11日時点の公式公募要領および各省庁・事務局の公表資料に基づく参考情報です。補助金・助成金の制度内容は予告なく変更される場合があります。申請にあたっては、必ず公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。
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