人材開発支援助成金の職務代行助成は、長期教育訓練休暇を取得する従業員の業務を別の従業員が代替し、その業務代替手当を支給した場合に、手当の75%が助成対象となる制度です。令和8年8月3日改正で追加されたメニューで、1か月あたりの助成上限は16万円、対象となる業務代替期間は10か月が上限です。
ただし、研修費の助成とは別の制度なので、長期教育訓練休暇制度の導入・適用、業務分担の説明、就業規則等への手当規定などを満たす必要があります。以下は厚生労働省が令和8年度版の公式資料で示した内容をもとに、制度の位置づけと確認ポイントを整理した記事です。
公式資料で見る職務代行助成の位置づけ
職務代行助成は、人材開発支援助成金の人への投資促進コースに含まれる長期教育訓練休暇制度に関連する助成メニューです。対象は、長期教育訓練休暇を取得する従業員の仕事を、周囲の従業員が代替するケース。長期休暇を取りやすくするための職場側の対応を支援する制度であり、通常の訓練経費助成や賃金助成を置き換えるものではありません。
厚生労働省の令和8年度版パンフレットは、制度の適用対象を「令和8年8月3日以降に提出された職業訓練実施計画届に基づく訓練」と説明しています。経過措置の対象になり得るケースもあるため、計画届の提出日と訓練の内容は管轄の労働局に確認してください。
| 項目 | 令和8年度版公式資料で確認できる内容 |
|---|---|
| 制度名 | 人材開発支援助成金 人への投資促進コース(長期教育訓練休暇制度) |
| 追加メニュー | 新規採用助成・職務代行助成 |
| 職務代行助成 | 業務代替者に支給した手当の75% |
| 月ごとの上限 | 1か月あたり16万円 |
| 対象期間の上限 | 10か月 |
| 対象事業主 | 長期教育訓練休暇制度の経費助成の対象となる中小企業事業主で、追加要件を満たす事業主 |
| 申請先 | 事業所の所在地を管轄する都道府県労働局(場合によりハローワーク経由) |
上表の金額・率は、厚生労働省「新規採用助成・職務代行助成を追加しました」と、令和8年8月3日版の支給要領で確認したものです。助成を受けられることを保証するものではありません。
公開資料に見る活用例
事例区分: 公開事例
以下は厚生労働省が公開している令和8年度のリーフレットに掲載された事例です。
公式リーフレットでは、Aさんが1年間の有給の長期教育訓練休暇を取得し、BさんとCさんが業務を代替する例が示されています。BさんとCさんには、業務代替手当として月3万円を支給。5か月分について、3万円×2人×5か月×75%という計算で、職務代行助成は22万5,000円とされています。
同じ事例では、途中からDさんを新たに雇い入れて業務を代替するケースも説明されています。これは職務代行助成ではなく、別の新規採用助成の例です。新規採用助成は、業務代替期間が30日以上90日未満なら27万円、90日以上180日未満なら45万円、180日以上なら67万5,000円と、期間区分によって金額が変わります。
なお、同一期間について新規採用助成と職務代行助成の両方を重ねて受けられるとは限りません。公式資料も、代替要員と業務代替者の業務代替が重複する期間については、いずれか一方の助成になる場合があると注意しています。
職務代行助成を検討する企業の要件3点
長期教育訓練休暇を実際に取得させる
前提は、雇用する被保険者に有給の長期教育訓練休暇を取得させることです。職務代行者に手当を払っただけでは足りません。休暇制度の導入・適用計画、対象労働者、訓練や教育の実施状況を記録できるようにしておきます。
業務分担と手当の内容を説明する
公式リーフレットでは、業務分担を明確にし、上司などから業務代替の内容と賃金について面談で説明することが要件として示されています。誰が、どの業務を、どの期間に代替したのかを、勤務記録や業務分担表と合わせて説明できる状態にします。
業務代替手当の制度を事前に整える
業務代替に対応した賃金制度、たとえば業務代替手当を、業務代替期間の開始日までに労働協約または就業規則へ規定する必要があります。公式リーフレットは、実際に賃金が1万円以上増額していることも要件として示しています。
金額の計算方法と上限の考え方
計算の基本は、支給した業務代替手当の総額に75%を掛けます。ただし、1か月あたり16万円を超える部分は助成対象として扱われず、対象期間も10か月が上限です。
| 確認項目 | 計算・判定の考え方 |
|---|---|
| 助成率 | 業務代替者に支給した手当の75% |
| 月額上限 | 1か月あたり16万円 |
| 期間上限 | 10か月 |
| 公式事例 | 月3万円×2人×5か月×75%=22万5,000円 |
実際の支給額は、長期教育訓練休暇制度の適用状況、手当の支払い時期、書類の内容、併給調整などを含めて労働局が審査します。固定の受給額として見積もるのではなく、要件を一つずつ確認してください。
申請前にそろえる記録
- 制度の規定:長期教育訓練休暇制度と業務代替手当の根拠となる就業規則または労働協約。
- 計画と対象者:制度導入・適用計画、対象労働者、訓練・教育の内容。
- 業務分担:休暇取得者と代替者の担当業務、代替期間、上司による説明記録。
- 賃金記録:業務代替手当の支給額、支給月、賃金台帳や給与明細などの支払い記録。
- 申請様式:令和8年8月3日版の支給要領・様式を確認し、管轄労働局の案内に従う。
書類は、後から計算を合わせるために作るものではありません。実際の勤務・手当支給の記録と一致していることが重要です。
申請の流れを5段階で確認
- 制度の適用可能性を確認:長期教育訓練休暇制度と職務代行助成の最新要件を公式資料で確認します。
- 社内規定と計画を整える:職業能力開発推進者の選任、事業内職業能力開発計画、休暇制度、手当制度を確認します。
- 計画届を提出する:訓練開始日の6か月前から1か月前までの提出期間が基本です。制度のメニューによって必要書類が異なります。
- 休暇・代替業務・手当支給を実施する:計画に沿って実施し、変更があれば定められた期限までに変更届を提出します。
- 支給申請を行う:訓練や制度の実施後、公式資料で定める申請期間に、管轄労働局へ必要書類を提出します。
人材開発支援助成金の一般的な訓練では、訓練終了日の翌日から起算して2か月以内が支給申請期間の基本です。長期教育訓練休暇制度の追加助成では制度ごとの期間があるため、職務代行助成の申請日を自己判断せず、最新の支給要領と労働局の案内で確認してください。
対象外になりやすい進め方
手当だけ先に支給する
❌ 休暇制度や計画の確認をせず、業務代替手当だけを支給する。
⭕ 休暇取得、業務分担、規定、支払い記録をそろえ、制度の流れに沿って実施する。
規定を後から整える
❌ 代替期間が始まった後に、手当制度を就業規則へ追加する。
⭕ 業務代替期間の開始日までに、必要な賃金制度を規定する。
新規採用助成と同じものとして扱う
❌ 従業員が業務を代替する場合と、新たに人を雇い入れる場合を同じ申請区分で整理する。
⭕ 職務代行助成と新規採用助成の要件・金額・重複期間の扱いを分けて確認する。
公式資料の改定日を見落とす
❌ 令和8年8月3日より前の説明だけを見て判断する。
⭕ 令和8年8月3日版のパンフレット・支給要領を確認し、経過措置を含めて管轄労働局へ相談する。
よくある質問
職務代行助成は誰が受け取りますか?
長期教育訓練休暇を取得する従業員の業務を代替し、業務代替手当を支給した事業主が申請する助成メニューです。支給要件の最終判断は管轄労働局が行います。
業務代替手当の75%が必ず支給されますか?
75%は公式資料に記載された助成率ですが、制度全体の要件、対象期間、上限、書類審査を満たす必要があります。支給を保証するものではありません。
新規採用助成と併用できますか?
同一の長期教育訓練休暇に関して要件を満たす場合がありますが、代替業務の重複期間は、いずれか一方の助成になる場合があります。重複可否は事例ごとに労働局へ確認してください。
AI研修にも使えますか?
職務代行助成そのものは、業務を代替する職場側の手当が対象です。AI・DX研修の訓練経費は、訓練の内容やコースに応じて人材開発支援助成金の別メニューを検討します。研修の職務関連性や対象経費は、公式パンフレットで確認してください。
Uravationに申請書の作成を依頼できますか?
当社はAI導入や研修計画の整理を支援しますが、助成金の申請書作成・提出を代行するものではありません。申請手続きについては、必要に応じて管轄労働局や提携社労士へご相談ください。
制度を検討するときの次の一歩
まずは、長期教育訓練休暇を取得する予定の従業員、業務を代替する従業員、支給する手当、代替期間を1枚の表に整理しましょう。そのうえで、令和8年8月3日版の公式資料と照らし、制度導入・適用計画や就業規則の確認事項を管轄労働局に相談してください。
AI・DX研修の内容をどのコースで検討するか、社内の業務課題や訓練目的の整理で悩む場合は、AI導入・研修計画についての相談フォームからご連絡ください。申請書の作成・提出代行ではなく、導入計画や研修内容の整理を支援します。
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参考・出典
- https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html(厚生労働省「人材開発支援助成金」制度案内、参照日: 2026-10-07)
- https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001687556.pdf(厚生労働省「新規採用助成・職務代行助成を追加しました」、参照日: 2026-10-07)
- https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731974.pdf(令和8年8月3日版 人への投資促進コース詳細版パンフレット、参照日: 2026-10-07)
- https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731978.pdf(令和8年8月3日版 事業展開等リスキリング支援コース詳細版パンフレット、参照日: 2026-10-07)
- https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731973.pdf(令和8年8月3日版 人への投資促進コース支給要領、参照日: 2026-10-07)
公式情報リンク集(最新の公募要領・支給要領で確認してください)
助成金の制度内容、助成率、上限額、対象経費、提出期間は改定される場合があります。申請前に必ず公式情報源をご確認ください。
- 厚生労働省公式サイト — https://www.mhlw.go.jp/
- 厚生労働省 人材開発支援助成金 — https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
- 雇用関係助成金ポータル — https://www.esop.mhlw.go.jp/
- Jグランツ — https://www.jgrants-portal.go.jp/
- 中小企業庁公式サイト — https://www.chusho.meti.go.jp/
- 経済産業省公式サイト — https://www.meti.go.jp/
免責事項:本記事は2026年10月7日時点で公開されている厚生労働省資料をもとにした参考情報です。個別の支給可否や必要書類は、訓練内容・事業所の状況・提出時期によって異なります。最終的な判断は管轄労働局、ハローワーク、必要に応じて社労士等の専門家へご相談ください。
この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。
