本記事は2026年9月3日時点の各制度の公表情報に基づき更新しています。
2026年9月は、締切が1本しかない。9月29日(火)17:00のデジタル化・AI導入補助金2026 5次締切分だけだ。
ところが、その締切の前後に申請受付の開始が3件重なる。中小企業省力化投資補助金 一般型 第8回(9月中旬・予定)、中小企業成長加速化補助金 第3回(9月29日)、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回(9月30日)。9月は「出す月」と「構える月」が月末で入れ替わる。
そしてもう一つ、制度そのものより先に効いてくる変更がある。GビズID側で書類申請の審査期間が最大1か月に延び、さらにアカウントに有効期限が設けられた。締切に間に合うかどうかが、補助金の公募スケジュールではなく、この土台の状態で決まってしまう会社が出てくる。以下、9月時点で公式に確認できる日程だけを並べ、会社の状況別に整理する。
2026年9月の補助金カレンダー
日付が確定しているものだけを日付順に並べた。「予定」と付いているものは、各制度の公式サイトにその表記のまま掲載されているものだ。
| 日付 | 制度・できごと | 区分 |
|---|---|---|
| 9月2日(水) | デジタル化・AI導入補助金2026 3次締切分の交付決定事業者一覧を公表 | 結果発表(済) |
| 9月12日(土)9:00〜14:30頃 | GビズID システムメンテナンス(全機能が利用不可) | システム停止 |
| 9月中旬(予定) | 中小企業省力化投資補助金 一般型 第8回 申請受付開始 | 受付開始 |
| 9月17日(木)10:00〜18:00頃 | 中小企業省力化投資補助金 申請マイページのメンテナンス | システム停止 |
| 9月下旬(予定) | GビズIDアプリ(Android向け)の動作環境がAndroid 11以上に変更 | 環境変更 |
| 9月29日(火)17:00 | デジタル化・AI導入補助金2026 5次締切分(通常枠/インボイス枠 インボイス対応類型/インボイス枠 電子取引類型/セキュリティ対策推進枠) | 締切 |
| 9月29日(火) | 中小企業成長加速化補助金 第3回 申請開始 | 受付開始 |
| 9月30日(水) | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回 申請受付開始 | 受付開始 |
| 9月30日(水)17:00 | 小規模事業者持続化補助金(共同・協業型)第3回 締切 | 締切 |
| 2026年9月頃(予定) | 新事業進出補助金 第4回(6月19日締切分)の採択発表 | 結果発表 |
8月中に済んだ結果発表も押さえておきたい。中小企業省力化投資補助金 一般型 第6回が8月28日(金)、ものづくり補助金23次が8月7日(金)、中小企業成長加速化補助金 第2回が8月4日(火)。自社が応募していた回の結果が出ていないか、9月最初の週にまとめて確認しておきたい。
年内までまとめて見渡したい場合は「2026年8-12月 5大補助金の締切スケジュール総まとめ」も参考になる。
9月29日17時 — デジタル化・AI導入補助金2026 5次締切分
9月に実際の締切があるのはこれだけだ。通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型)、インボイス枠(電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠の4つが、いずれも2026年9月29日(火)17:00で共通の締切になっている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 締切日 | 2026年9月29日(火)17:00 |
| 交付決定日 | 2026年11月9日(月)(予定) |
| 事業実施期間 | 交付決定〜2027年4月30日(金)17:00(予定) |
| 事業実績報告期限 | 2027年4月30日(金)17:00(予定) |
| 申請の前提 | 登録済みのIT導入支援事業者と組んで申請する |
| 出典 | デジタル化・AI導入補助金2026 事業スケジュール |
補助率と補助額は枠・類型でまったく違う。取り違えたまま稟議を通す例が多いので、2026年8月28日改訂版の公募要領に沿って整理しておく。
| 枠・類型 | 補助額 | 補助率 | 主な対象経費 |
|---|---|---|---|
| 通常枠 | 5万円〜150万円未満(1プロセス以上)/150万円〜450万円以下(4プロセス以上) | 1/2以内(一定の要件を満たす場合は2/3以内) | ソフトウェア購入費、クラウド利用費(最大2年分)、導入関連費 |
| インボイス枠(インボイス対応類型) | ITツールは下限なし〜350万円。ハードウェアはPC・タブレット等が10万円まで、レジ・券売機等が20万円まで | ITツールのうち50万円までの部分は3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、50万円超〜350万円の部分は2/3以内。ハードウェアは1/2以内 | ソフトウェア購入費、クラウド利用費(最大2年分)、ハードウェア関連費、導入関連費 |
| インボイス枠(電子取引類型) | 下限なし〜350万円 | 中小企業・小規模事業者等は2/3以内、その他の事業者等は1/2以内 | クラウド利用費(最大2年分) |
| セキュリティ対策推進枠 | 5万円〜150万円 | 中小企業は1/2以内、小規模事業者は2/3以内 | サービス利用料(最大2年分) |
ここで一番間違われやすいのが通常枠の補助率だ。「AI導入なら3/4」という説明を見かけることがあるが、3/4(小規模事業者は4/5)が適用されるのはインボイス枠(インボイス対応類型)のうち補助額50万円までの部分であって、通常枠ではない。通常枠は1/2以内が基本で、令和6年10月から令和7年9月までの間に「当該期間における地域別最低賃金以上〜令和7年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合に限り2/3以内に上がる。
正直、この条件は賃金台帳を見ないと該当するか判断できない。該当しそうなら賃金状況報告シートの準備が要るので、9月29日を狙うなら経理・労務側へ早めに声をかけておきたい。
制度の全体像は「デジタル化・AI導入補助金2026完全ガイド」にまとめている。
交付決定率で見る「どの申請類型が通っているか」
事務局は締切回ごとに申請数と交付決定数を公表している。9月2日に3次締切分の数字が追加されたので、1次から3次までの推移を並べてみた。割合は公表されている2つの数字から編集部が計算したもので、事務局が「採択率」として公表している値ではない点はご承知おきください。
| 締切回 | 枠・類型 | 申請数 | 交付決定数 | 交付決定数÷申請数 |
|---|---|---|---|---|
| 1次(交付決定日 2026年6月18日) | 通常枠 | 2,028 | 891 | 43.9% |
| 2次(交付決定日 2026年7月23日) | 通常枠 | 1,879 | 819 | 43.6% |
| 3次(交付決定日 2026年9月2日) | 通常枠 | 1,913 | 807 | 42.2% |
| 1次 | インボイス枠(インボイス対応類型) | 4,324 | 2,027 | 46.9% |
| 2次 | インボイス枠(インボイス対応類型) | 3,790 | 2,096 | 55.3% |
| 3次 | インボイス枠(インボイス対応類型) | 3,982 | 1,781 | 44.7% |
| 1次 | セキュリティ対策推進枠 | 88 | 64 | 72.7% |
| 2次 | セキュリティ対策推進枠 | 28 | 20 | 71.4% |
| 3次 | セキュリティ対策推進枠 | 18 | 13 | 72.2% |
出典: 交付決定事業者一覧・申請数および交付決定数(更新日: 2026年9月2日)
読み取れることは3つある。
1つ目。通常枠は3回とも4割台前半で安定していて、回によって急に通りやすくなる動きがない。「次の回まで待てば有利になる」という判断には根拠がない、ということでもある。
2つ目。セキュリティ対策推進枠は3回とも7割台で、通常枠より明らかに高い。ただし申請数が18〜88件と桁が違う。母数が小さいので割合の比較には慎重さが要るが、サイバーセキュリティお助け隊サービスの導入を考えている会社にとって競争の薄いレーンであることは確かだ。
3つ目。インボイス枠(電子取引類型)は1次から3次まで申請数・交付決定数ともに0件だった。制度としてはあるのに、まだ誰も使っていない類型があるということになる。取引先の中小企業・小規模事業者にアカウントを無償発行できる受発注システムを導入する発注側の企業には、検討する価値がある。
8月28日の公募要領改訂で変わった3点
デジタル化・AI導入補助金2026の公募要領は、5つの枠すべてが2026年8月28日に改訂された。9月29日締切に申請する会社は、この改訂後の版を見ているか確認しておきたい。変更されたのは主に次の3点だ。
不採択理由の扱いが変わった
改訂前は「採択・不採択に関わらず審査内容・不採択理由については開示しない」だった。改訂後は「採択・不採択に関わらず審査内容については開示しない」「不採択理由については、事務局から通知する事項以外は開示しない」という書き方に変わった。事務局から通知される範囲では不採択の理由が伝えられる、という整理になったわけだ。落ちたときに次の回へ何を直せばいいかの手がかりが、少しだけ増える。
審査事項に「セキュリティ対策を進めているか」が加わった
加点項目・減点項目の審査事項に、この一文が追加された。セキュリティ対策推進枠に申請する会社だけの話ではなく、審査の観点として全体に加わったものだ。事業計画の中で自社のセキュリティ体制に触れているか、9月の申請前に見直しておきたい。
加点の取り方に「IT経営サポートセンター」が追加された
これまで加点対象は中小機構のデジタル化支援ポータルサイト「デジwith」の「IT戦略ナビwith」の実施だけだった。改訂後は、中小機構のIT経営サポートセンター(1回60分の無料オンライン相談窓口)を利用した場合も加点対象になった。両方を利用しても加点はどちらか一方だけだ。
ただし条件が細かい。公募要領には「第6回公募回より加点措置を実施」「2026年8月1日以降に利用申込を行うこと」「交付申請日以前かつ各公募回における交付申請締切日の前月末日までの利用が確認できた場合に加点対象とする」と書かれている。
ここが9月の実務ポイントだ。加点措置が始まるのは6次締切分からなので、9月29日の5次締切に申請する会社はこの加点を取れない。逆に6次以降を視野に入れるなら「締切日の前月末日まで」の条件があるため、9月中に利用申込まで済ませる必要が出てくる。
なお6次締切分の日程は、事務局の事業スケジュールページには「確定している募集回のスケジュールのみ公表しております」として掲載されていない。一方、中小機構の補助金活用ナビ(2026年9月2日更新)には第6次が2026年10月30日(金)、第7次が2026年12月1日(火)と掲載されている。申請の可否判断は事務局サイトの確定日程で行い、活用ナビの日程は準備計画の目安として扱うのが安全だ。
9月29日・30日に受付が始まる3制度
9月末は受付開始が集中する。それぞれ性格がまったく違うので、自社が構えるべき制度を1つに絞っておきたい。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回(9月30日受付開始)
2026年6月29日に公募が始まり、当初は8月31日受付開始・9月30日締切だったが、いずれも1か月後ろ倒しになった。現在の日程は申請受付が2026年9月30日(水)開始、応募締切が2026年10月30日(金)18:00厳守だ。中小機構の補助金活用ナビでは採択発表を2027年1月頃としている。
| 枠 | 補助率 | 補助上限額 | 補助下限額 |
|---|---|---|---|
| 革新的新製品・サービス枠 | 中小企業者1/2(2/3)/小規模企業・小規模事業者・再生事業者2/3 | 従業員1〜5人750万円、6〜20人1,000万円、21〜50人1,500万円、51人以上2,500万円(賃上げ特例適用時は順に850万円・1,250万円・2,500万円・3,500万円) | 100万円 |
| 新事業進出枠 | 中小企業者1/2(2/3) | 従業員1〜20人2,500万円、21〜50人4,000万円、51〜100人5,500万円、101人以上7,000万円(賃上げ特例適用時は順に3,000万円・5,000万円・7,000万円・9,000万円) | 750万円 |
| グローバル枠 | 中小企業者2/3 | 従業員区分は新事業進出枠と同じ(最大7,000万円、賃上げ特例適用時9,000万円) | 750万円 |
括弧内の補助率は、地域別最低賃金引上げ特例の適用を受ける事業者のものだ。むしろ注意すべきは事業計画の要件のほうで、公式サイトには補助事業終了後3〜5年の事業計画で「付加価値の年平均成長率4.0%以上増加」「1人あたり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上増加」「事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高い水準」のすべてを満たす必要があり、目標未達の場合は補助金の一部または全額の返還義務が生じる場合がある、と明記されている。金額の大きさだけで飛びつく制度ではない。
資料は8月中に出そろっている。公募要領は8月14日に更新、応募申請ガイドは8月24日、補助事業計画検討用フォーマットと地域別・事業場内最低賃金引上げに係る要件確認書は8月31日に公開された。9月30日を待たず9月前半に読み込んで計画のたたき台を作れば、受付開始からの1か月を書類作成に使える。
また9月1日、事務局は令和8年熊本地震の被害を受けた熊本県内の事業者について、第1回公募では審査においてその事情を考慮すること、個別相談をコールセンターで受け付けることを公表している。該当する場合は申請前に相談しておきたい。
中小企業成長加速化補助金 第3回(9月29日申請開始)
公募開始は2026年8月20日(木)、申請開始が9月29日(火)、締切が10月29日(木)15時、採択発表は2027年3月下旬以降と案内されている。締切時刻が15時と他制度より早い点に注意したい。
中小企業省力化投資補助金 一般型 第8回の位置づけ
第8回は公募自体は2026年8月18日(火)にすでに始まっている。申請受付開始が9月中旬(予定)、公募締切が10月中旬(予定)、採択発表が2027年2月上旬(予定)だ。日付が「中旬」表記のままなので、確定日は公式スケジュールページで追いかけることになる。
| 従業員数 | 補助上限額 | 大幅な賃上げを行う場合 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 750万円 | 1,000万円 |
| 6〜20人 | 1,500万円 | 2,000万円 |
| 21〜50人 | 3,000万円 | 4,000万円 |
| 51〜100人 | 5,000万円 | 6,500万円 |
| 101人以上 | 8,000万円 | 1億円 |
補助率は中小企業が1/2、小規模企業者・小規模事業者・再生事業者が2/3。最低賃金引上げ特例に該当する場合は中小企業の補助率が2/3に引き上げられる(小規模・再生事業者は対象外)。補助対象経費は機械装置・システム構築費が必須で、そのほか技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費が対象になる。事業実施期間は交付決定日から18か月以内(採択発表日から20か月以内)だ。
9月に急ぐ必要がない会社でも、押さえておきたい選択肢がもう一つある。カタログ注文型は当面の間、随時受付中で、採択・交付決定は申請から概ね1〜2か月程度、補助事業期間は原則として交付決定日から12か月以内とされている。カタログに載っている製品で解決する課題なら、一般型の公募回を待つ理由はない。
制度の詳細と申請の進め方は「省力化投資補助金 完全ガイド|一般型第8回対応」にまとめている。
10月〜12月に締切が来る制度の逆算
9月は締切が1本だけのぶん、その先の準備に時間を回せる。年内に締切を迎える主な制度を並べておく。
| 締切 | 制度 | 受付開始 |
|---|---|---|
| 2026年10月16日(金) | 小規模事業者持続化補助金(災害支援枠)第10回 | 2026年7月27日(月) |
| 2026年10月中旬(予定) | 中小企業省力化投資補助金 一般型 第8回 | 2026年9月中旬(予定) |
| 2026年10月29日(木)15:00 | 中小企業成長加速化補助金 第3回 | 2026年9月29日(火) |
| 2026年10月30日(金)17:00 | デジタル化・AI導入補助金2026 複数者連携デジタル化・AI導入枠 3次締切分 | 2026年3月30日(月) |
| 2026年10月30日(金)18:00厳守 | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回 | 2026年9月30日(水) |
| 2026年12月15日(火)17:00 | 小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回 | 2026年11月5日(木) |
この中で9月から動き出す必要があるのは、実は一番先の持続化補助金 第20回だ。締切は12月15日でも、商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)の受付締切が2026年12月4日(金)に設定されている。様式4は自社では作れず、地域の商工会・商工会議所に依頼して発行してもらう書類だ。締切直前は依頼が集中する。経営計画の骨子を9月〜10月に作って相談に行けるかどうかで、12月の余裕がまるで変わる。
第20回の変更点と準備の進め方は「持続化補助金 第20回の準備スケジュールと変更点」で詳しく扱っている。なお第20回は採択発表が2027年3月頃予定、補助事業実施期間が交付決定日から2028年3月31日(金)までと、事業期間の設計にかなり余裕があるタイプの回になっている。
一方、事業承継・M&A補助金は9月時点で応募できる回がない。十五次公募の申請受付は令和8年6月19日(金)から7月24日(金)17:00までで終了しており、採択発表は「確定次第更新」とされている。十六次公募の日程は公表されていない。事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠・廃業・再チャレンジ枠のいずれかを検討している会社は、9月は情報を追う月と割り切ってよい。
締切が重なる時期の優先順位の付け方は「補助金3制度、9-10月の締切が重なる時の準備優先順位」も参考にしてほしい。
AI研修の助成金は「令和8年度末」からの逆算に入る
設備やソフトウェアではなく人への投資を考えている会社にとって、9月は逆算を始める月になる。人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースは、厚生労働省のパンフレットに「令和8年度末までの時限措置」と明記されている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 経費助成率 | 75%(中小企業以外は60%) |
| 賃金助成額 | 1人1時間当たり1,000円(中小企業以外は500円) |
| 設備投資加算 | 導入費用の50%(中小企業のみ)。上限は1人につき15万円、10人以上で150万円 |
| 計画届の提出 | 訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に労働局へ提出 |
| 訓練時間 | 10時間以上 |
| 実施期限 | 令和8年度末までの時限措置 |
計画届は訓練開始日の1か月前までに出す必要があるので、10月開始の研修なら9月中の提出が前提になる。年度内に訓練を終えて支給申請まで持っていくことを考えると、9月は「動き出す最後のまとまった時間」に近い。
そのうえで、2026年8月3日からの改正内容を必ず踏まえておきたい。厚生労働省のリーフレットは変更点を2つ挙げている。
1つ目は「対象とならない訓練」の変更だ。DX化・GX化に関する訓練のうち、職業または職務に間接的に必要となる知識・技能を習得させる内容のもの、職業または職務の種類を問わず職業人として共通して必要なものは助成対象外となった。リーフレットは具体例まで示している。
| 判定 | 訓練の例 | 理由 |
|---|---|---|
| 助成対象 | 生成AIを活用して商品提案書の構成案作成、文章生成、修正方法を学ぶ営業担当者向けの訓練 | 営業担当者の具体的な業務に直結しており、そのまま活用可能な内容であるため |
| 助成対象外 | 生成AIを利用するために汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練 | 特定の業務への具体的適用を伴わない汎用的内容であるため |
| 助成対象外 | DXの概念、デジタル技術の概要、データ活用の考え方を学ぶ訓練 | 共通知識の習得にとどまり、具体的作業として業務に直接適用される内容ではないため |
2つ目は受講回数の上限だ。同一の労働者に対して一の年度で3回までという上限は変わらないが、このうちeラーニングによる訓練は同一の労働者に対して一の年度で1回までになった。「一の年度」は支給申請日を基準とした4月1日から翌年3月31日までを指す。算入されるのは令和8年8月3日以降に提出された計画届に基づく訓練の受講のみで、この変更には経過措置がある(詳細は支給要領・パンフレットに記載されている)。
要するに、研修名に「AI」「DX」と入っているかは判断材料にならない。受講者の具体的な職務と訓練内容がどう結びつくかを計画届の段階で説明できるかが分かれ目だ。判断に迷う場合は労働局や社会保険労務士にご相談ください。制度の全体像は「人材開発支援助成金2026|AI研修費用75%助成の全手順」にまとめている。
なお賃金の引き上げに取り組む会社向けには業務改善助成金という別制度もあります(詳細は厚生労働省の公式ページをご確認ください)。
すべての制度の土台 — GビズID側で9月に起きていること
ここが2026年9月でいちばん見落とされやすい。補助金の電子申請はjGrantsや各事務局の申請マイページを通すが、その入口はGビズIDプライムだ。そのGビズID側で、7月以降に無視できない変更が入っている。
アカウントに有効期限が設けられた
2026年7月9日(木)から、GビズIDプライムおよびGビズIDメンバーに有効期限が設定された。有効期限はGビズIDマイページで確認・更新でき、期限が切れた場合は行政サービスへのログインなど一部の機能が利用できなくなる。公式サイトは「既にアカウントをご利用中の皆さまに直ちに行っていただく手続はありません」としているが、締切当日にログインできない事態を避けるなら、9月のうちにマイページで自社アカウントの状態を見ておく価値はある。「持っているから大丈夫」がいちばん危ない。
書類申請の審査期間が最大1か月に延びた
同じ2026年7月9日の変更で、書類申請の審査期間が従来の最大2週間から最大1か月に変更された。さらに、申請内容に不備があった場合でも提出書類の返送は行われず、GビズIDマイページと登録メールアドレス宛に不備内容が通知される形になった。
これは9月のスケジュールに直結する。書類申請でGビズIDプライムを取ろうとする会社が10月30日締切の制度を狙う場合、審査に最大1か月、不備があれば再提出の時間もかかる。逆算すると9月前半には申請を出しておきたい。一方、法人代表者によるオンライン審査はアカウント作成も有効期限の更新も24時間365日、速やかに行われるようになった。急ぐならオンライン申請一択だ。
9月に予定されているシステム停止と不具合
- 2026年9月12日(土)9:00〜14:30頃: GビズIDのシステムメンテナンス。全機能が利用できない
- 2026年9月17日(木)10:00〜18:00頃: 中小企業省力化投資補助金の申請マイページのメンテナンス
- 2026年8月28日公表の不具合: GビズIDアプリでマイナンバーカードを利用した際に「リクエストエラー:操作が無効になりました お手数ですがQRコードの発行からやり直してください」と表示され、GビズIDプライムオンライン申請などが完了できない事象。9月上旬に解消の予定と案内されている
- 2026年9月下旬: GビズIDアプリ(Android向け)の動作環境がAndroid 11以上に変更(2026年9月1日更新。当初は8月下旬の予定だった)。Android 10以下の端末では新規インストールとアップデートができなくなる
Android端末でGビズIDアプリを使う担当者がいる会社は、9月下旬の変更前にOSバージョンを確認しておきたい。締切直前に「アプリが使えない」が最悪のパターンだ。
GビズIDプライムをこれから取る場合の手順は「GビズIDプライムの登録手順|必要書類・認証変更対応」で解説している。
会社の状況別 9月の動き方
ソフトウェア・AIツールの導入が中心の会社
第1優先はデジタル化・AI導入補助金2026 5次締切分(9月29日17:00)。9月に実際の締切があるのはここだけで、IT導入支援事業者との連携がすでに進んでいるなら迷う理由がない。ただし通常枠の補助率は1/2以内が基本である点を踏まえて、投資額と自己負担を先に固めておくこと。
第2優先はIT経営サポートセンターの利用申込。加点措置は6次締切分から始まり「締切日の前月末日まで」の利用が条件なので、5次を見送るなら9月中に申し込んでおきたい。
設備投資・新規事業が中心の会社
第1優先は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回。9月30日に受付が始まり、10月30日18:00で締め切られる。実質の書類作成期間は1か月しかない。8月末までに出そろった公募要領・応募申請ガイド・補助事業計画検討用フォーマットを使って、9月中に事業計画のたたき台を完成させておきたい。
第2優先は中小企業成長加速化補助金 第3回(9月29日申請開始・10月29日15:00締切)。大型投資を計画している場合の選択肢になる。
人手不足の解消が最優先の会社
第1優先は中小企業省力化投資補助金 一般型 第8回。申請受付開始が9月中旬(予定)なので、9月上旬に事業計画と設備の見積もりを固めておく。第2優先はカタログ注文型。随時受付なので、カタログ掲載製品で解決するならこちらのほうが早い(採択・交付決定まで概ね1〜2か月程度)。
社員のAI活用力を上げたい会社
第1優先は人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の計画届。10月開始の研修なら9月中の提出が必要で、令和8年度末までの時限措置である以上、年度内に完了させる設計を9月に固めることになる。第2優先は8月3日改正後の要件でカリキュラムを見直すこと。「概念理解」中心になっていないか、受講者の職務との結びつきを説明できるかを提出前に確認しておきたい。
まだ検討段階の会社
9月に無理に申請を目指す必要はない。実際の締切は9月29日の1本だけで、それ以外の主要制度は受付がこれから始まる。9月にやるべきことは、GビズIDプライムの有効期限とログイン可否の確認、自社の課題を数字で書き出すこと、そして10月〜12月のどの制度に向かうかを1つに決めることだ。制度の横並び比較は「中小企業向け補助金5制度 早見表」が早い。
9月に起きやすい3つの判断ミス
通常枠の補助率を3/4だと思って稟議を通す
❌「デジタル化・AI導入補助金なら費用の3/4が補助されるので、自己負担は4分の1で済む」
⭕「通常枠は1/2以内が基本。3/4(小規模事業者は4/5)はインボイス枠のインボイス対応類型で、補助額50万円までの部分に適用される」
枠と類型を取り違えたまま投資判断をすると、交付決定後に資金計画が崩れる。稟議書に補助率を書く前に、申請予定の枠の公募要領で確認すること。2026年8月28日に全枠が改訂されているので、古い版を見ていないかも合わせて確認したい。
GビズIDを「持っているから大丈夫」と考える
❌ 数年前に取得したGビズIDプライムがあるので申請は問題ない
⭕ 2026年7月9日から有効期限が設定されたため、申請前にGビズIDマイページで期限を確認し、必要なら更新する
締切当日にログインできず申請できない、というのは制度の中身とは無関係に起きる事故だ。しかも9月12日にはメンテナンスでGビズIDの全機能が止まる。申請作業をこの日に当て込まないことも含めて、日程を組み直しておきたい。
採択の連絡が来た時点で発注してしまう
❌ 採択(交付決定)の通知が来たので、その日のうちに業者へ発注した
⭕ 交付決定通知の内容と交付決定日を確認し、交付決定日以降に発注・契約した
交付決定前に発注・契約した経費は補助の対象にならない。5次締切分の交付決定日は2026年11月9日(月)(予定)、事業実施期間は交付決定から2027年4月30日(金)17:00(予定)まで。9月29日に申請してから約6週間は、契約書に判を押さずに待つ期間になる。
9月中に着手しておきたいこと
- 9月上旬: GビズIDマイページで有効期限と担当者端末の状態を確認する。書類申請で新規取得するなら、審査に最大1か月かかる前提で出す
- 9月中旬まで: 9月29日の5次締切に出すかを決める。出すなら申請する枠・類型を確定し、8月28日改訂版の公募要領で補助率を確認する。出さないならIT経営サポートセンターの利用を申し込む
- 9月中: 10月30日締切の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金を狙うなら事業計画のたたき台を完成させる。10月開始のAI研修に助成金を使うなら計画届を労働局へ提出する
- 9月〜10月: 12月15日締切の持続化補助金 第20回を視野に入れるなら、経営計画の骨子を作って商工会・商工会議所へ様式4の相談に行く(発行の受付締切は12月4日)
よくある質問
デジタル化・AI導入補助金2026の次の締切はいつですか?
通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型)、インボイス枠(電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠は5次締切分が2026年9月29日(火)17:00です。複数者連携デジタル化・AI導入枠は3次締切分が2026年10月30日(金)17:00です。6次以降の日程は事務局の事業スケジュールページに掲載されておらず、確定した募集回から順次公表されます。
省力化投資補助金 一般型 第8回のスケジュールは決まっていますか?
公募開始は2026年8月18日(火)で確定しています。申請受付開始は2026年9月中旬(予定)、公募締切は2026年10月中旬(予定)、採択発表は2027年2月上旬(予定)と公式スケジュールに掲載されており、日付までは確定していません。急ぐ場合は、随時受付中のカタログ注文型も選択肢になります。
新事業進出補助金 第4回の採択発表はいつですか?
2026年6月19日18時締切分の採択発表は、中小機構の補助金活用ナビで「予定 2026年9月頃」と案内されています。なお2026年9月30日から受付が始まる「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」は、公式サイトの記載のとおり「中小企業新事業進出補助金」とは異なる別の補助金です。
事業承継・M&A補助金は9月に申請できますか?
できません。十五次公募の申請受付は令和8年6月19日(金)から7月24日(金)17:00までで終了しています。十六次公募の日程は公表されていないため、公式サイトの更新を待つことになります。
ものづくり補助金は今後どうなるのですか?
「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は23次の採択発表が2026年8月7日(金)に行われ、現時点で新たな公募回の日程は公表されていません。2026年6月29日に公募が始まった「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」が別制度として立ち上がっているため、設備投資を計画している会社はそちらの第1回(10月30日18:00締切)を検討することになります。
複数の補助金を同時に申請してもよいですか?
同一の事業・同一の経費に対して複数の補助金を重複して受けることは原則できません。事業の切り分けができている場合の取り扱いは制度ごとに異なるため、申請前に各事務局のコールセンターへ確認してください。
あわせて読みたい:
- 省力化投資補助金 完全ガイド|一般型第8回対応 — 第8回の申請準備を制度の基礎から
- 持続化補助金 第20回の準備スケジュールと変更点 — 12月15日締切に向けた逆算
- GビズIDプライムの登録手順 — すべての電子申請の入口
「どの制度が自社に合うかわからない」「複数の補助金を組み合わせたい」など、AI導入の計画策定でお悩みならお問い合わせフォームからご相談ください。
運営元 Uravation より助成金を使ってAI研修を進める場合に、対象者の選び方・カリキュラム・効果測定・申請準備で確認しておく項目を、無料のチェックリストにまとめています。 AI研修導入40項目チェックリストを受け取る(無料)
参考・出典
- デジタル化・AI導入補助金2026 事業スケジュール — 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局/中小機構(参照日: 2026-09-03)
- 交付決定事業者一覧・申請数および交付決定数 — 同事務局(更新日 2026年9月2日・参照日: 2026-09-03)
- デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠・2026年8月28日改訂) — 同事務局(参照日: 2026-09-03)
- 2026年度(R8年度)最新の小規模事業者・中小企業向け補助金スケジュール — 中小機構 補助金活用ナビ(更新日 2026年9月2日・参照日: 2026-09-03)
- 中小企業省力化投資補助金 スケジュール(一般型) — 中小機構(参照日: 2026-09-03)
- 中小企業省力化投資補助金(一般型)事業概要・補助率 — 中小機構(参照日: 2026-09-03)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公式サイト(公募スケジュール・補助率・事業計画要件) — 中小機構(参照日: 2026-09-03)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回公募要領を公開しました — 中小企業庁(2026年6月30日・参照日: 2026-09-03)
- 中小企業生産性革命推進事業「事業承継・M&A補助金」(十五次公募)の公募要領を公表します — 中小企業庁(2026年5月22日・参照日: 2026-09-03)
- 小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠> 第20回 公募スケジュール — 持続化補助金事務局(参照日: 2026-09-03)
- 人材開発支援助成金 — 厚生労働省(参照日: 2026-09-03)
- 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正:令和8年8月3日からの変更点について — 厚生労働省(参照日: 2026-09-03)
- 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正:設備投資加算を新設しました — 厚生労働省(参照日: 2026-09-03)
- GビズID 公式サイト(2026年7月9日の変更・メンテナンス情報) — デジタル庁(参照日: 2026-09-03)
- jGrants(補助金電子申請システム) — デジタル庁(参照日: 2026-09-03)
- 補助金・助成金一覧 — 中小企業庁 ミラサポplus(参照日: 2026-09-03)
著者・監修情報
この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。
免責事項
本記事の情報は2026年9月3日時点の各省庁・事務局の公表資料に基づく参考情報です。補助金・助成金の制度内容は予告なく変更される場合があります。「予定」と記載した日程は各制度の公式サイトにその表記のまま掲載されているもので、確定した日付ではありません。申請にあたっては、必ず各制度の公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。
