人材開発支援助成金

【令和8年度最新】自発的職業能力開発訓練の申請方法|計画届不要で最大45%助成

【令和8年度最新】自発的職業能力開発訓練の申請方法|計画届不要で最大45%助成

この記事の結論

人材開発支援助成金「人への投資促進コース」の自発的職業能力開発訓練は、訓練実施計画届の提出が不要。中小企業は経費の45%を助成。Off-JT・eラーニングも対象。令和8年度の申請手順をステップ形式で解説。

計画届なしで申請できる——この一点が、「助成金は手続きが大変で…」と諦めていた企業の背中を押します。人材開発支援助成金「人への投資促進コース」の中に、訓練実施計画届の提出が不要な「自発的職業能力開発訓練」という枠があります。

助成率は中小企業で45%(Off-JT経費)。他のサブコースと比べると低く見えますが、社員が自分で申し込んだeラーニングや外部セミナーの受講費を事業主が負担した場合でも対象になる点が特徴的です。AI研修費・DXセミナー費を後から会社が負担した場合でも申請できるので、「まず受けさせて、後で申請する」という現実的な運用に向いています。

本記事では、令和8年度(2026年度)の申請手順をステップ形式で解説します。人への投資促進コース全6サブコースの全体比較は【2026年最終年度】人への投資促進コース|6サブコース比較と活用ガイドを先にご覧ください。本記事はその中の「自発的職業能力開発訓練」に絞った申請実務編です。

まず確認:自発的職業能力開発訓練とは何か

人への投資促進コースは6つのサブコースで構成されていますが、その中で訓練実施計画届の提出が不要なのが「自発的職業能力開発訓練」です(もう一つ、定額制訓練も計画届不要)。

制度の名称をそのまま読むと「労働者が自発的に行う職業能力の開発を支援する」という意味です。要するに、社員が自ら申し込んだ研修・セミナー・講座を、事業主が費用負担して実施した場合に助成が受けられます。

項目 内容
正式名称 人材開発支援助成金(人への投資促進コース)自発的職業能力開発訓練
所管省庁 厚生労働省
経費助成率 中小企業:45%/大企業:30%
1人当たり上限額 7万円(実訓練時間数10時間以上100時間未満)/15万円(100時間以上200時間未満)/20万円(200時間以上)
賃金助成 なし(経費助成のみ)
訓練計画届 不要
対象訓練 Off-JT(外部研修・eラーニング等)
申請窓口 事業所の所在地を管轄する都道府県労働局
公式サイト 厚生労働省 人材開発支援助成金

出典:厚生労働省「人材開発支援助成金」令和8年度版(2026年6月12日参照)

申請の前提:うちは対象になるか

申請できる事業主には以下の要件があります。1つでも満たさなければ申請不可です。申請を検討する前に、自社が全項目に該当するか確認してください。

  • 雇用保険適用事業所の事業主であること
  • 訓練を受ける労働者が雇用保険被保険者であること
  • 過去に不正受給で給付制限を受けていないこと
  • 訓練期間中・申請日に労働保険料を滞納していないこと
  • 訓練が就業規則・労働協約等に基づいて実施されること

パートタイム労働者・有期雇用労働者でも、雇用保険被保険者であれば対象です。ただし、1週間の所定労働時間が20時間未満の労働者は雇用保険の被保険者にならないため対象外です。

Step 1:対象訓練かどうかを確認する(訓練開始前)

自発的職業能力開発訓練で助成対象になる訓練は、Off-JT(業務外訓練)で、かつ専門的な知識・技能の習得を目的とするものです。以下の表で具体例と対象外を整理します。

訓練の種類 対象か 具体例
外部セミナー・研修 ○対象 AI活用セミナー、DX研修、業務改善ワークショップ
eラーニング・オンライン講座 ○対象(条件あり) Udemy・Coursera・各社オンライン研修サービス
通信教育 ○対象 資格取得通信講座、語学通信教育
社内業務の中でのOJT ×対象外 先輩による指導・日常業務内訓練
汎用PC・ソフトウェアの購入 ×対象外 ノートPC購入費・Office購入費
業務遂行中の勉強(就業時間中) ×対象外 業務時間中に書籍を読む等

eラーニングの場合は「いつ開始したか」「いつ修了したか」が記録・証明できることが要件です。受講完了証明書が発行されないサービスや、アクセスログが残らない形式は対象になりません。AI研修で多いパターンとして、Udemyのような受講証明書発行サービスは証明が取りやすく有利です。

なお、eラーニングで助成対象になる経費の範囲について詳しくは厚生労働省の申請書類一覧(令和8年5月14日版)に掲載のパンフレットで確認できます。

Step 2:訓練を実施する(計画届は不要)

他のコースでは「訓練開始の1か月前までに計画届を提出する」というステップが必要です。自発的職業能力開発訓練ではこのステップが不要です。先に社員が訓練を受け、後から申請するという流れが可能です。

ただし、以下の点は訓練実施時から記録しておく必要があります:

  • 訓練の名称・訓練機関名・訓練内容
  • 訓練開始日・終了日・実訓練時間数
  • 受講費用の領収書(または請求書+振込証明書)
  • 受講完了の証明書類(修了証・受講証明書等)
  • 事業主が受講費用を負担したことの証明

訓練が終わってから書類を集めようとすると、領収書の再発行ができないケースや、受講完了証明書の発行に時間がかかるケースがあります。訓練開始時点から証憑の保管を始めることを強くおすすめします。

Step 3:支給申請書類を準備する(訓練終了後2か月以内)

訓練終了後、2か月以内に管轄の都道府県労働局へ支給申請を行います。申請期限を過ぎると受け付けてもらえません。必要書類は以下のとおりです。

書類名 取得先・注意点
支給申請書(様式第6号) 厚生労働省ウェブサイト(申請書類ダウンロードページ)から取得
訓練実施状況確認書 訓練機関に記載してもらう場合あり
受講料等の領収書(写し) 事業主名義での領収書が必要
訓練修了証明書(写し) 訓練機関が発行。修了の事実が分かるもの
出勤簿・賃金台帳(写し) 雇用保険被保険者であることの確認用
雇用保険被保険者資格取得確認書(写し) 対象労働者分
受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号) 令和8年5月14日以降の申請から必須(新追加書類)

令和8年5月14日付の制度改正による重要変更:令和8年5月14日以降に支給申請を行う場合、「受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)」の提出が必要になりました。この書類は厚生労働省ウェブサイトからダウンロードできます(45KB)。申請書類の最新一覧は厚生労働省 申請書類一覧(令和8年5月14日版)で確認してください。

Step 4:都道府県労働局へ申請する

書類を揃えたら、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に提出します。窓口での直接提出か、電子申請(雇用関係助成金ポータル)のどちらかを選べます。

電子申請の場合はGビズIDプライムが必要です。GビズIDを取得していない場合は、先に取得手続きを進めておきましょう(法人の場合、取得まで1〜2週間かかります)。

窓口申請の場合は、管轄の都道府県労働局に事前に書類の確認を相談することができます。北海道労働局の人への投資促進コースページのように、各都道府県労働局でも詳細案内が掲載されています。管轄労働局の連絡先は厚生労働省ウェブサイトから確認できます。

助成額の計算方法:AI研修費で試算すると

助成額の計算式は以下のとおりです。

助成額 = 実際に支払った受講料 × 助成率(中小45%・大企業30%)

ただし、1人当たりの上限額(実訓練時間数によって変動)を超えた分は助成されません。

ケース 受講料 実訓練時間 上限額(中小) 助成額(中小45%)
AI活用セミナー(1日8h) 50,000円 8時間※ (10時間未満は対象外の可能性) 要確認
オンラインAI研修(20時間) 80,000円 20時間 70,000円 36,000円
DXリスキリング講座(120時間) 200,000円 120時間 150,000円 67,500円(上限150,000×45%)
総合AI人材育成プログラム(250時間) 300,000円 250時間 200,000円 90,000円(上限200,000×45%)

※10時間未満の訓練は助成対象要件を満たさない場合があります。詳細は最新のパンフレットを確認してください。

助成額はあくまで試算であり、実際の支給額は申請内容の審査によって決定されます。「試算値」としてご参照ください。

申請でつまずきやすいポイント3つ

つまずき1:「自発的」の意味を誤解して対象外の訓練で申請してしまう

❌ 「うちの研修プログラムを受けさせた——でも自社主催の研修だから自発的では?」

⭕ 「社員が自分で申し込んだ、または会社が社員のニーズを受けて外部機関の訓練を受けさせた」

「自発的」とは訓練形式の分類であって、必ずしも社員が個人で申し込む必要はありません。ポイントは外部の訓練機関が実施する訓練(Off-JT)であることです。自社内で講師を招いて実施するOJT形式は対象外です。

つまずき2:申請期限(訓練終了後2か月以内)を過ぎてしまう

❌ 「訓練が終わったのに書類準備が後回しになり、気づいたら2か月を超えていた」

⭕ 「訓練終了と同時に書類収集を開始し、1か月以内に申請する」

他の多くの助成金と違い、自発的職業能力開発訓練は計画届が不要な分、申請期限を後から知らされる機会がありません。自社でスケジュール管理を徹底する必要があります。

つまずき3:令和8年5月以降の新様式(疎明書)を添付し忘れる

❌ 「令和8年4月以前に印刷した申請書類一式で申請してしまった」

⭕ 「申請直前に必ずウェブサイトで最新様式を確認し、様式第28号(疎明書)を添付する」

令和8年5月14日からの改正で、新たに受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)の提出が必須となりました。旧書類のままでは受け付けてもらえない可能性があります。申請前は必ず厚生労働省公式サイトで最新情報を確認してください。

他のサブコースとの使い分け:自発的職業能力開発訓練が向いているケース

人への投資促進コースには6つのサブコースがあります。自発的職業能力開発訓練が最も有利に機能する場面は次のとおりです。

状況 推奨コース 理由
経産省認定の高度AI研修を受けさせたい 高度デジタル人材訓練(75%) 助成率が高い
社員が自己啓発的に申し込んだ外部研修費を会社が負担 自発的職業能力開発訓練(45%) 計画届不要・手続き最小
サブスク型eラーニングを全社導入 定額制訓練(60%) 月額課金に対応
AI研修プログラムをまだ選定中で計画が立てられない 自発的職業能力開発訓練(45%) 計画届締切に縛られない

計画届が必要なコースでは、訓練開始の1か月前までに計画を確定して届出する必要があります。「どの研修にするかまだ検討中」「急遽研修の機会が生まれた」という場合、自発的職業能力開発訓練が実務的に使いやすい選択肢です。

全コースの詳細比較は【2026年最終年度】人への投資促進コース|6サブコース比較と活用ガイド(ID 1994)をご覧ください。

よくある質問

Q:令和8年度で制度が終わるというのは本当ですか?

A:人への投資促進コース全体が令和4〜8年度の5年間時限措置として設計されています。令和8年度(2026年4月〜2027年3月)が現行ルールで申請できる最終年度です。次年度以降の継続・改編については、現時点で厚生労働省から正式な発表はありません。

Q:助成金をもらえるのはいつですか?

A:支給申請後、審査を経て支給決定通知が届きます。審査には一般的に数か月かかります。訓練終了から申請・審査・支給まで半年以上かかるケースもあります。資金繰りの計画には十分な余裕をもって組み込んでください。

Q:eラーニングで英語学習(TOEICスコアアップ目的)は対象になりますか?

A:「職務に関連した専門的な知識・技能の習得」が要件です。業務上必要な語学能力向上であれば対象になる場合がありますが、個人的な語学習得や趣味的な学習は対象外とみなされる可能性があります。事前に管轄労働局に確認することを強くおすすめします。

まとめ:自発的職業能力開発訓練の活用ステップ

  1. 自社・対象労働者が申請要件を満たすか確認(雇用保険適用・被保険者)
  2. 受けさせる訓練がOff-JTの対象訓練かを確認(外部機関・eラーニング等)
  3. 訓練実施時から証憑を保管(領収書・修了証・受講記録)
  4. 訓練終了後2か月以内に申請書類を準備(様式第28号を含む最新版で)
  5. 管轄の都道府県労働局へ提出(窓口 or 電子申請)

申請手続きのポイントは、「計画届が不要」「証憑管理は自社で徹底」「申請期限を自己管理」の3点です。AI研修やDX研修への助成金活用を検討するなら、計画届の締切に縛られないこのコースを選択肢の一つに加えてください。

AI導入・DX研修の計画策定でお悩みの場合は、お問い合わせフォームからご相談ください。研修内容の設計や、どのコースの助成金と組み合わせると効果的かについてアドバイスいたします(申請代行は行政書士の業務のため対応外ですが、計画策定のご支援はいたします)。

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この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。


免責事項

本記事の情報は2026年6月12日時点の厚生労働省公表資料に基づく参考情報です。人材開発支援助成金の制度内容・申請要件は予告なく変更される場合があります。申請にあたっては、必ず厚生労働省公式サイトおよび管轄の都道府県労働局で最新情報をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。

参考・出典

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