人材開発支援助成金

【2026年最新】業務改善助成金でAI導入|事例と申請のコツ

【2026年最新】業務改善助成金でAI導入|事例と申請のコツ

この記事の結論

業務改善助成金でAIシステムを導入した中小企業3社の活用事例。補助率最大4/5・上限600万円で設備投資と賃上げを両立する方法と申請書のコツを解説します。

「AIを入れたいけどコストが心配」という中小企業の経営者にとって、業務改善助成金は見落としがちな選択肢です。補助率最大4/5、上限600万円と、ソフトウェア専門のIT導入補助金と比べても遜色ない水準で、しかも機械設備からITシステムまで幅広く使えます。

さらに、この制度は設備投資と賃上げを同時に進めることで助成額が増える仕組みになっています。AI導入で生産性が上がれば賃上げの原資も生まれる——この好循環を補助金でスタートさせた企業の事例を3つ紹介します。

【令和8年度の申請受付は2026年9月1日から】
現在(2026年4月時点)は令和8年度の公募は未開始です。令和8年度よりコース体系が50円・70円・90円の3コースに再編される予定。今から計画を立て、9月の申請開始に備えましょう。

業務改善助成金 基本データ(令和7年度参考)

項目 内容
制度名 業務改善助成金
所管省庁 厚生労働省
助成率 最低賃金1,050円未満:4/5、1,050円以上:3/4
助成上限額 最大600万円(90円コース・10人以上)
賃上げ要件 事業場内最低賃金を50円以上引き上げる(令和8年度予定)
AI導入向き経費 業務管理システム、AI-OCR、受注・予約管理システム、コンサルティング等
申請方法 都道府県労働局(書面提出)
公式サイト 厚生労働省 業務改善助成金

※上記は令和7年度の参考データです。令和8年度(2026年9月申請開始予定)の詳細は公募要領発表後にご確認ください。

他の補助金との比較は AI導入に使える補助金5選 徹底比較 をご参照ください。

業務改善助成金でAI導入が可能な経費の具体例

「AI導入補助金」と聞くとIT導入補助金が最初に浮かぶかもしれませんが、業務改善助成金も「生産性向上に資するもの」であれば対象が広く、AI関連の経費に充てることができます。

補助対象になるAI関連経費

  • 業務管理システム・AI予測機能付き予約・在庫管理ソフト:SaaS形式でも対象になる場合がある
  • AI-OCRシステム:請求書・帳票の自動読み取りで手入力を削減
  • AIチャットボット導入費:顧客対応の自動化(クラウド型)
  • 業務プロセス改善のコンサルティング:AI活用の計画策定費を含む場合がある
  • POSレジ・タブレット端末(専用システムと一体の場合):汎用端末単体では不可

注意: IT導入補助金との併用は不可

同じ経費に対してIT導入補助金と業務改善助成金を重複申請することはできません。どちらで申請するかは、賃上げの意向と経費の性質を踏まえて選択してください。

事例1: 介護施設でAI記録システムを導入した事業者

事例区分: 想定シナリオ
以下は100社以上の支援経験をもとに構成した典型的な活用シナリオです。

課題: 介護記録の手書きに月200時間

従業員12名の小規模介護施設。日々の介護記録をすべて手書きで行っており、記録業務に月間200時間以上を費やしていた。音声記録システムの導入を検討していたが、初期費用150万円の捻出が難しい状況。事業場内最低賃金は地域別最低賃金より30円高いだけ。

業務改善助成金で音声AI記録システムを導入

90円コース(10人以上の場合、上限600万円)に申請。音声入力でケア記録を自動文字起こしするAIシステムを150万円で導入。助成率4/5(事業場内最低賃金が1,050円未満)が適用され、助成額は120万円。

申請と並行して最低賃金を90円引き上げ、最低賃金適用者3名の時給をそれぞれ改定。就業規則に明記し、労基署へ届け出た。

導入後の効果

項目 Before After 改善率
介護記録の月間作業時間 200時間 60時間 70%削減
記録ミス・漏れの件数(月) 平均12件 平均2件 83%削減
夜勤担当者の残業時間 月20時間 月5時間 75%削減

削減された140時間は、利用者とのコミュニケーションや余暇活動の充実に充てられた。スタッフの離職率も翌年度に低下した(測定期間: 導入後12ヶ月)。

事例2: 飲食店でAI需要予測と食材発注管理を自動化

事例区分: 想定シナリオ
以下は100社以上の支援経験をもとに構成した典型的な活用シナリオです。

課題: 食材ロスと発注ミスで月30万円の損失

従業員8名の地域密着型レストラン。店長が経験則で食材を発注していたが、季節・天候による来客数のブレが大きく、過剰発注による廃棄ロスが月平均15万円。発注業務に週8時間を費やしていた。

AI需要予測システムの導入

70円コース(7人以上、上限230万円)で申請。過去の売上データ・天候・曜日を学習したAI需要予測ツール(月額利用型)と初期導入費用合計80万円を申請。助成率3/4が適用され、助成額は60万円。

申請書で工夫したポイント

事業実施計画書に「現在の食材ロス月15万円×12ヶ月=年間180万円の損失。AI需要予測により廃棄率を40%削減し、月6万円の原価改善を見込む」と具体的な数字を記載。生産性向上の根拠が明確だったため、審査で評価された(担当窓口からのフィードバックによる)。

導入後の効果(導入6ヶ月後)

  • 食材廃棄ロス:月15万円→月8万円(47%削減)
  • 発注業務時間:週8時間→週2時間(75%削減)
  • 賃上げ後も人件費増加を上回る原価削減を実現

事例3: 建設業の工程管理にAIスケジューリングを活用

事例区分: 想定シナリオ
以下は100社以上の支援経験をもとに構成した典型的な活用シナリオです。

課題: 工程管理の抜け漏れで工期遅延が頻発

従業員15名の地域工務店。現場担当者がExcelと紙の工程表を手動更新しており、天候変化や職人のスケジュール調整のたびに作業が止まった。工期遅延によるクレームが年3〜4件発生していた。

AI工程管理システムの導入

90円コース(10人以上、上限600万円)を申請。AI工程管理・自動リスケジューリングシステムの導入費200万円と、運用研修費20万円の計220万円を申請。助成率3/4で助成額は165万円。

申請のポイントは「工程遅延の実績データ」の記載。過去12ヶ月の工期遅延件数・日数・損失額(補償費・追加人件費)を具体的に示したことで、生産性向上の必要性が明確に伝わった。

導入後の効果(導入9ヶ月後)

  • 工程遅延件数:年4件→年1件(75%削減)
  • 工程管理の週間作業時間:12時間→3時間(75%削減)
  • 顧客満足度(アンケート):3.2/5.0→4.1/5.0

3事例に共通する申請書のコツ

3つの事例を振り返ると、採択につながった申請書には共通のパターンがあります。

コツ1: 現状の損失を金額で示す

「作業時間が削減できる」ではなく「年間○万円の原価損失が発生している」という形で、現状の非効率をコスト換算して示す。審査担当者が「投資効果がある」と判断しやすくなります。

コツ2: 賃上げの原資が設備投資によって生まれることを説明する

業務改善助成金は「生産性向上→賃上げの原資確保→賃上げ実施」という因果関係を審査で見ています。「AIを入れると○時間が削減され、その分を人件費に回せる」という論理を計画書に書きましょう。

コツ3: 賃上げ対象者を具体的に特定する

「全従業員を賃上げします」ではなく、「パートタイム3名(氏名・現在の時給・引き上げ後の時給)」と具体的に記載することで、計画の実現可能性が高まります。

コツ4: 事前相談を必ず活用する

都道府県労働局の窓口では、申請前の事前相談を受け付けています。「この経費は対象になりますか?」「この書き方で大丈夫ですか?」を事前に確認することで、書類の差し戻しを防げます。

「設備投資と賃上げ両取り」のメリット

業務改善助成金を活用すると、次の3つのメリットが同時に得られます。

  1. AI・システム導入コストの3/4〜4/5が助成される:初期投資のハードルが大幅に下がる
  2. 賃上げで採用競争力が上がる:最低賃金付近の人材市場では、数十円の差が採用に直結する
  3. 生産性向上で人件費増を吸収できる:AI導入により削減された工数が賃上げの原資になる

この3つの好循環を、補助金という形でスタートさせることが、業務改善助成金の本質的な活用法です。

参考・出典


あわせて読みたい:
業務改善助成金の申請書の書き方 — 事業計画書・賃上げ計画の記入例
AI導入に使える補助金5選 徹底比較


AI導入と業務改善助成金の活用プランについてご相談がある場合は、お問い合わせフォームからご連絡ください。どの設備・システムが助成対象になるか、賃上げ計画の立て方も含めてアドバイスします。


執筆: 株式会社Uravation 補助金ナビ編集部
監修: 佐藤 傑(株式会社Uravation 代表取締役)
100社以上のAI研修・導入支援実績をもとに、中小企業のAI活用×補助金申請をサポートしています。


免責事項

本記事の情報は2026年4月9日時点の厚生労働省・各事務局の公表資料に基づく参考情報です。業務改善助成金の制度内容(コース体系・助成率・上限額・申請期間)は令和8年度より変更される予定であり、予告なく内容が変わる場合があります。本記事に掲載の事例は想定シナリオ(実際の支援経験をもとにした典型例)であり、特定企業の実績を保証するものではありません。申請にあたっては必ず厚生労働省の公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。

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