結論: ものづくり補助金は、中小企業が革新的な製品・サービスを開発する際に最大1,250万円〜4,000万円(補助率1/2〜2/3)を受給できる補助金です。第23次公募の締切は2026年5月8日です。
この記事の要点:
- 製品・サービス高付加価値化枠(通常類型)は最大1,250万円、補助率1/2
- 第23次公募の締切は2026年5月8日(木)17:00、電子申請のみ
- 採択率は第16次以降約30〜40%で推移。加点項目の活用が重要
対象読者: 新製品・新サービスの開発、生産プロセスの改善を検討中の中小企業経営者・製造業の方
読了後にできること: 自社が申請要件を満たすか確認し、第23次公募への申請準備を開始できます
ものづくり補助金の概要
ものづくり補助金(正式名称: ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業が取り組む革新的な製品・サービスの開発や、生産プロセスの改善に必要な設備投資を支援する補助金です。
「ものづくり」という名前から製造業向けと思われがちですが、実際にはサービス業・小売業・飲食業など全業種が対象です。AIを活用した新サービスの開発や、DXによる生産プロセスの自動化なども補助対象になります。
管轄は経済産業省 中小企業庁で、全国中小企業団体中央会が事務局を運営しています。2012年の制度開始以降、累計で10万件以上の採択実績がある、中小企業にとって最も知名度の高い補助金の一つです。
IT導入補助金(現: デジタル化・AI導入補助金)がソフトウェア中心なのに対し、ものづくり補助金は機械装置・システム構築費を含むハードウェア投資にも使えるのが最大の違いです。AI搭載の製造設備やロボットの導入にも適しています。
制度の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 |
| 管轄 | 経済産業省 中小企業庁(事務局: 全国中小企業団体中央会) |
| 申請枠 | 2種類(製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠) |
| 補助率 | 1/2〜2/3(事業者規模・類型により異なる) |
| 補助上限額 | 最大1,250万円(通常類型)〜4,000万円(グローバル枠) |
| 対象者 | 中小企業・小規模事業者(全業種) |
| 対象経費 | 機械装置費、技術導入費、専門家経費、クラウド利用費 他 |
| 第23次公募締切 | 2026年5月8日(木)17:00 |
| 公式サイト | ものづくり補助金総合サイト |
申請枠と補助額の詳細
① 製品・サービス高付加価値化枠
最も申請数が多いメインの枠で、3つの類型があります。
通常類型: 革新的な製品・サービスの開発、または生産プロセスの改善に取り組む事業が対象です。
| 従業員数 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 750万円 | 1/2以内(小規模・再生事業者は2/3) |
| 6〜20人 | 1,000万円 | 同上 |
| 21人以上 | 1,250万円 | 同上 |
成長分野進出類型(DX・GX): DX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)に関連する革新的な取組が対象です。通常類型と同じ補助上限額ですが、補助率が2/3に引上げになります。AI導入による生産自動化やカーボンニュートラル対応の設備投資はこの類型に該当する可能性が高いです。
グローバル展開類型: 海外展開を見据えた製品開発が対象で、補助上限額が通常の倍近く(最大3,000万円)になります。海外市場向けAIサービスの開発などが該当します。
② グローバル枠
海外事業の拡大・強化を目的とした設備投資が対象です。補助上限額は最大4,000万円で全枠中最高額ですが、海外直接投資や輸出に関する明確な計画が必要です。
| 補助上限額 | 補助率 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 最大4,000万円 | 1/2以内(小規模は2/3) | 海外直接投資、輸出、インバウンド対応 |
基本要件(事業計画に必須の4条件)
ものづくり補助金を申請するには、以下の4つの基本要件をすべて満たす事業計画を策定する必要があります。これは申請の最低条件であり、いずれか1つでも欠けると不採択になります。
- 付加価値額の向上: 事業計画期間(3〜5年)で、付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)を年率平均3%以上向上させる計画であること
- 給与支給総額の増加: 事業計画期間中に、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる計画であること
- 最低賃金の引上げ: 事業場内の最低賃金が、地域別最低賃金+30円以上であること
- 事業計画の策定: 認定経営革新等支援機関(通称: 認定支援機関。税理士、中小企業診断士、商工会議所など)の確認を受けた事業計画を策定すること
特に要件4の「認定支援機関の確認」が必須です。補助金額が3,000万円を超える場合は、さらに金融機関の確認も必要になります。初めての申請の場合は、地元の商工会議所や取引先の税理士に相談しましょう。
対象となる経費
ものづくり補助金で認められる経費は以下の通りです。
- 機械装置・システム構築費: 製造設備、AI搭載ロボット、検査装置、専用ソフトウェアなど(最も一般的な経費項目)
- 技術導入費: 特許権やノウハウの導入に係る費用
- 専門家経費: コンサルタント、技術指導者への謝金
- 運搬費: 設備の運搬・設置に係る費用
- クラウドサービス利用費: AI分析プラットフォームのクラウド利用料(最大2年分)
- 原材料費: 試作品の原材料費
- 外注費: 加工や設計の外注費用
- 知的財産権関連経費: 特許出願費用
注意: 土地・建物の取得費用、車両の購入費用、人件費、消耗品費は対象外です。
第23次公募のスケジュール
| イベント | 日程 |
|---|---|
| 公募開始 | 2026年3月上旬(公表済み) |
| 申請締切 | 2026年5月8日(木)17:00 |
| 採択発表 | 2026年7月頃(予定) |
| 交付決定 | 採択発表後、順次 |
| 補助事業実施期間 | 交付決定日〜2027年3月末(予定) |
申請はすべて電子申請です。gBizIDプライムアカウントが必須なので、未取得の場合は今すぐ申請してください(取得に2〜3週間かかります)。
申請の流れ(6ステップ)
ステップ1: gBizIDプライムの取得と認定支援機関の選定
gBizIDは全ての補助金申請の共通IDです。並行して、事業計画の確認を依頼する認定支援機関を選定します。顧問の税理士や、地域の商工会議所が対応してくれるケースが多いです。
ステップ2: 事業計画書の作成
ものづくり補助金の審査は事業計画書の内容で決まります。A4で10ページ程度の計画書が必要で、以下の項目を盛り込みます。
- 自社の概要と強み
- 現在の課題と解決方法
- 導入する設備・システムの詳細
- 事業の革新性・独自性
- 3〜5年の収益計画(付加価値額・給与支給総額の数値計画)
ステップ3: 認定支援機関による確認
作成した事業計画書を認定支援機関に提出し、確認書を発行してもらいます。確認書の発行には1〜2週間かかることがあるため、締切の3週間前までに依頼しましょう。
ステップ4: 電子申請
gBizIDでログインし、申請フォームに必要事項を入力。事業計画書、認定支援機関の確認書、決算書等をアップロードして申請完了です。
ステップ5: 採択・交付決定後に設備導入
採択発表後、交付申請を行い交付決定を受けてから設備の発注・導入を行います。交付決定前の発注は補助対象外です。
ステップ6: 実績報告・補助金受給
設備導入完了後に実績報告書を提出。確定検査を経て補助金が振り込まれます。その後5年間の事業化報告が義務です。
採択率の推移と審査のポイント
ものづくり補助金の採択率は近年低下傾向にあります。
| 回次 | 申請数 | 採択数 | 採択率 |
|---|---|---|---|
| 第14次(2023年4月) | 4,865 | 2,470 | 50.8% |
| 第16次(2023年11月) | 5,608 | 2,738 | 48.8% |
| 第18次(2024年4月) | 3,454 | 1,729 | 50.1% |
| 第19次(2024年7月) | 4,584 | 1,936 | 42.2% |
| 第20次(2024年10月) | 3,353 | 1,108 | 33.0% |
| 第22次(2025年7月) | — | — | 約34%(速報) |
第20次以降、採択率は30〜35%程度まで低下しています。これは申請の質が問われるようになったことを意味します。以下の審査ポイントを意識しましょう。
審査で重視されるポイント:
- 革新性: 自社にとって新しい取り組みであること。業界で一般的な設備更新は採択されにくい
- 実現可能性: 技術的に実現可能で、自社のリソースで遂行できること
- 市場性: 開発する製品・サービスに明確な市場ニーズがあること
- 収益計画の妥当性: 付加価値額や給与支給総額の数値目標が根拠に基づいていること
よくある失敗と注意点
❌ 「設備更新」の計画で申請してしまう
⭕ ものづくり補助金は「革新的な製品・サービスの開発」が目的です。老朽化した設備の単純な入れ替えは対象外。「新設備で何が新しくできるようになるか」を明確にしましょう。
❌ 事業計画書の数値に根拠がない
⭕ 「売上が20%増加する見込み」と書くだけでは不十分です。「既存顧客○社への追加提案で年間○万円、新規営業○件で○万円」のように、積み上げ根拠を示しましょう。
❌ 認定支援機関への依頼が遅く、締切に間に合わない
⭕ 確認書の発行に1〜2週間かかります。申請締切の最低3週間前には依頼しましょう。年度末は特に混み合います。
❌ 補助事業期間内に設備導入が完了しない
⭕ 特注設備は納期が長い場合があります。見積もり段階で納期を確認し、補助事業期間内(通常10か月程度)に導入完了できるか確認してください。間に合わない場合、補助金は全額不支給になります。
2026年度以降: ものづくり補助金と新事業進出補助金の統合
中小企業庁は、ものづくり補助金と新事業進出補助金(旧: 事業再構築補助金)の統合を検討中です。2026年度中に制度統合が実施される可能性があります。
統合が実施された場合、現在の申請枠や要件が変更される見込みです。最新情報はものづくり補助金総合サイトで確認してください。
なお、統合前の公募(第23次)で採択された事業には影響はありません。現在の枠組みで申請を検討している場合は、統合前の第23次公募に申請しておく方が安全です。
よくある質問(FAQ)
Q. サービス業でも申請できますか?
はい、全業種が対象です。「ものづくり」という名前ですが、サービス業の新サービス開発やプロセス改善も対象です。飲食業のセントラルキッチン構築、IT企業のAIサービス開発なども採択実績があります。
Q. AIを使った製品開発は対象になりますか?
はい。AI画像認識による検査装置の導入、AI需要予測システムの構築、AIチャットボットを活用した新サービスなど、AIに関連する設備投資や開発は積極的に採択されている傾向にあります。「成長分野進出類型(DX)」で申請すると補助率が2/3に引き上げられます。
Q. デジタル化・AI導入補助金との違いは?
主な違いは対象経費です。デジタル化・AI導入補助金はソフトウェア・クラウドサービスが中心(最大450万円)。ものづくり補助金は機械装置・システム構築を含むハードウェア投資にも使え、補助上限も最大4,000万円と高額です。設備投資を伴うプロジェクトにはものづくり補助金が適しています。
Q. 不採択だった場合、再申請はできますか?
はい、次回以降の公募に再申請可能です。不採択理由は公表されませんが、事務局に問い合わせると概要を教えてもらえる場合があります。事業計画を改善して再申請することで、2回目以降に採択されるケースも少なくありません。
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日やること: 公式サイトで第23次公募要領をダウンロードし、基本要件(付加価値額3%以上、給与1.5%以上、最低賃金+30円)を自社が満たせるか確認
- 今週中: 認定支援機関(顧問税理士、商工会議所、中小企業診断士)に相談し、事業計画書の作成を開始
- 4月中旬まで: 事業計画書を完成させ、認定支援機関の確認書を取得。gBizIDプライムが未取得の場合は並行して申請
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著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。100社以上の企業向けAI研修・導入支援の実績を持ち、補助金を活用したAI導入プロジェクトも多数支援。X (@SuguruKun_ai)
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免責事項: 本記事の情報は2026年3月時点の公表資料に基づく参考情報です。補助金の内容は年度や公募回次により変更される場合があります。申請にあたっては、必ず公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。本記事の情報に基づく申請結果について、当サイトおよび株式会社Uravationは一切の責任を負いません。
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