人材開発支援助成金

【令和8年度】65歳超雇用推進助成金 3コース比較と最大240万円の申請手順

【令和8年度】65歳超雇用推進助成金 3コース比較と最大240万円の申請手順

この記事の結論

65歳超雇用推進助成金の3コース(継続雇用促進・評価制度改善・無期雇用転換)を徹底比較。令和8年4月改正で定年廃止・10人以上は最大240万円に増額。随時申請型で申請先はJEED各都道府県支部。

うちの会社で定年を70歳に延ばしたいが、実際いくら助成金が出るのか分からない——そんな経営者からのご相談が、令和8年4月以降に急増しています。

65歳超雇用推進助成金は、3つのコースに分かれており、会社の状況によって受け取れる金額も申請手順もまったく異なります。令和8年4月8日の支給要領改正で助成額が大幅に引き上げられたため、以前に「使えない」と判断した会社でも、今一度確認する価値があります。

結論から先に——あなたの会社に合うコースは?

こんな会社に合う 使うべきコース 最大助成額
定年を65歳超に引き上げたい/廃止したい ①65歳超継続雇用促進コース 240万円(定年廃止・10人以上)
高年齢者向けの人事評価・勤務制度を整えたい ②高年齢者評価制度等雇用管理改善コース 60万円+経費助成50万円
50歳以上の有期契約社員を正社員(無期)に転換したい ③高年齢者無期雇用転換コース 40万円×最大10人=400万円

同じ事業主が複数のコースを使うことも可能です。定年延長(①)と同時に評価制度を整備(②)するケースは珍しくありません。詳細は人材開発支援助成金との組み合わせガイドもご参照ください。また、従業員の研修費も助成を受けたい場合は人への投資促進コース活用ガイドもあわせてご確認ください。

65歳超雇用推進助成金の制度概要

項目 内容
制度名 65歳超雇用推進助成金(令和8年度)
所管 厚生労働省・独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)
目的 65歳以上の高年齢者が活躍できる職場環境の整備を支援
申請先 JEED各都道府県支部 高齢・障害者業務課(東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課)
申請タイプ 随時申請型(措置実施月の翌月から4か月以内の各月15日が期限)
対象事業主 雇用保険適用事業主(全業種、規模問わず)
令和8年4月改正 支給額大幅引上げ、1事業主1回限り制限廃止、専門家委託費要件廃止
公式サイト 厚生労働省 65歳超雇用推進助成金

助成金なので採択審査はなく、要件を満たした事業主は全員受給できます。補助金の採択率を気にする必要はありません。その代わり、要件の確認と書類の正確性が命綱です。

コース①:65歳超継続雇用促進コース——最大240万円

3コースの中で最も使われているコースです。「定年を延ばした」「定年制をなくした」という事実があれば申請できます。

4つの対象措置

  • A:65歳以上への定年引上げ——現行の定年(60〜64歳)を65歳以上に延長
  • B:定年の定めの廃止——定年制そのものをなくす
  • C:66歳以上の継続雇用制度導入——定年後も66歳以上まで雇用継続する制度(希望者全員または対象者基準あり)
  • D:他社による継続雇用制度の導入——グループ会社などが退職者を再雇用する仕組み

支給額テーブル(令和8年4月8日改正後)

実施した措置 対象被保険者数 支給額
A:65歳以上への定年引上げ 1〜3人 15万円
4〜6人 20万円
7〜9人 25万円
10人以上 30万円
B:定年の定めの廃止 1〜3人 60万円
4〜6人 120万円
7〜9人 180万円
10人以上 240万円
C:66歳以上継続雇用(希望者全員) 1〜3人(70歳以上) 22万円〜
10人以上(70歳以上) 130万円
C:66歳以上継続雇用(対象者基準あり) 10人以上 最大120万円
D:他社による継続雇用(66〜69歳) 10人以上 最大70万円

※「対象被保険者」は申請日前日時点で1年以上継続して雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者。定年引上げと継続雇用制度の導入を同時に行った場合でも、支給額はいずれか高い方の1本のみです。

申請に必要な共通要件

  • 就業規則に措置内容を定め、所轄の労働基準監督署に届け出ること
  • 高年齢者雇用等推進者を選任していること
  • 職業訓練・作業施設改善・健康管理など7項目の雇用管理措置のうち1つ以上を実施していること

令和8年度から専門家委託費要件が撤廃

改正前は「社会保険労務士などの専門家に委託した経費を支出すること」が要件でした。令和8年4月の改正でこの縛りが廃止されたため、自社単独で制度を整備した場合でも申請可能になっています。これが実質的に適用範囲を大幅に広げた最大の改正ポイントです。

コース②:高年齢者評価制度等雇用管理改善コース——最大110万円

正直、このコースは知名度が低い。でも、高齢化対応に本腰を入れたい会社には重要な選択肢です。

「高齢者が長く働き続けやすい職場の仕組みを作ること」に助成が出るコースで、定年延長は必要ありません。現在の定年制のまま、評価や勤務体系を変えるだけでも使えます。

対象となる6つの措置

  • 措置①:職業能力の評価の仕組みと賃金・人事処遇制度の導入・改善(最も助成額が高い)
  • 措置②:短時間勤務・隔日勤務などの労働時間制度の導入・改善
  • 措置③:在宅勤務・テレワーク制度の導入・改善
  • 措置④:研修制度の導入・改善
  • 措置⑤:医師・保健師による健康管理制度の導入
  • 措置⑥:その他高齢者の雇用継続のための制度の導入

支給額の構造

項目 中小企業 中小企業以外
措置①を実施した場合(定額助成) 60万円 45万円
措置②〜⑥を実施した場合(定額助成) 30万円 23万円
機器等の導入経費(定率助成・上限50万円) 経費の60% 経費の45%

措置①を実施し、機器購入もした中小企業の場合、60万円+最大50万円で合計最大110万円の助成が受けられます。

注意点:「雇用管理整備計画」の事前認定が必須

このコースは申請前に「雇用管理整備計画書」をJEEDに提出し、計画開始の3か月前までに認定を受ける必要があります。実施してから申請する①③コースと比べて、事前準備のリードタイムが長い点が特徴です。計画書作成は早めに動き出すことが肝要です。

コース③:高年齢者無期雇用転換コース——1人40万円・年間最大400万円

「パートや契約社員の高齢者を正社員にしたら助成が出る」というコースです。令和8年度から1人あたり40万円(改正前は30万円)に増額されました。

対象となる労働者の要件(全て満たすこと)

  • 転換日時点で50歳以上かつ定年年齢未満であること
  • 転換日時点で64歳未満であること
  • 有期労働契約の通算期間が1年以上5年以内であること
  • 転換後は65歳以上まで雇用される見込みがあること
  • 転換前に無期雇用契約の期間が過去3年以内にないこと
  • 派遣労働者でないこと

事業主側の主な要件

  • JEEDに「無期雇用転換計画書」を提出し、計画開始の3か月前までに認定を受けること
  • 認定計画に基づいて無期雇用転換を実施すること
  • 転換後6か月分の賃金を支払うこと
  • 転換前後の6か月〜1年の間に、事業主都合による離職者がいないこと
  • 7項目の雇用管理措置のうち1つ以上を実施すること

支給額と上限

区分 1人あたり支給額 年間上限(1事業所)
中小企業事業主 40万円(令和8年度改正で増額) 10人分=最大400万円
中小企業以外 30万円 10人分=最大300万円

3コースの違いを一目で比べる

比較項目 ①継続雇用促進 ②評価制度改善 ③無期雇用転換
主な対象 定年制を変える会社 評価・勤務制度を整える会社 50歳以上の有期社員を転換する会社
最大助成額 240万円 110万円(定額60+経費50) 400万円(40万×10人)
事前計画の認定 不要 必要(計画開始3か月前) 必要(計画開始3か月前)
申請タイミング 措置実施月の翌月から4か月以内 計画完了後、所定期間内 転換後6か月の賃金支払い後
申請難易度 低〜中 中(事前計画が必要) 中(転換要件の確認が必要)
定年制の変更 必須 不要 不要

「どの会社がどのコースか」判断フロー

迷ったときは以下の順で考えてみてください。

  1. 定年を延ばす・なくすことを検討している→ まずコース①が対象です。定年廃止で10人以上なら最大240万円。
  2. 定年制は変えないが、高齢者が働きやすい職場を整備したい→ コース②が適しています。評価制度や勤務体系の見直しセットで最大110万円。
  3. 50〜64歳の有期契約社員を正社員にしたい(または既に検討中)→ コース③の出番です。1人40万円・年間最大10人分。
  4. ①と②を同時に進めたい→ 両方申請可能です。ただし書類管理が煩雑になるため、社会保険労務士への相談を検討してください。

申請手順(コース①の場合)

コース①を例にとります。コース②③は事前計画認定が入るため、担当窓口との事前相談を先に行うのが現実的です。

  1. 就業規則の変更・届出——定年延長または定年廃止を就業規則に記載し、所轄の労働基準監督署に届け出る(10人未満の事業所でも届出は必要)。
  2. 高年齢者雇用等推進者の選任——任意の従業員(管理職が多い)を選任し、氏名を記録する。
  3. 雇用管理措置の実施——職業訓練の実施・作業施設の改善・健康管理の配慮など7項目のうち1つ以上。具体的な実施記録を残すこと。
  4. 支給申請——措置実施月の翌月から4か月以内の各月1〜15日の間に、JEED都道府県支部に書類を持参または郵送(郵送は期間内必着)。
  5. 支給決定・振込——審査後、支給決定から約2〜3週間で振込。

申請書類の中心は「支給申請書」「就業規則(変更箇所を含む)」「労働基準監督署受理印入りの就業規則届控え」「雇用保険被保険者名簿」などです。JEED各都道府県支部のウェブサイトで最新の様式をダウンロードしてください。

失敗しやすい落とし穴4つ

落とし穴1:申請期限を1日でも過ぎると受付不可

コース①の申請期限は「措置実施月の翌月から4か月以内の各月15日まで」です。15日が土日祝日に当たる場合は翌開庁日になりますが、郵送の場合は消印日ではなく到着日が基準です。余裕を見て2週間前には発送しましょう。

落とし穴2:就業規則の届出前に措置を実施しても対象外

「とりあえず定年を延ばすと口頭で決めた」時点では助成金の要件を満たしません。就業規則に明記し、労基署に届け出た日以降の措置が対象です。この順番を間違えると助成金を受け取れません。

落とし穴3:コース②③は事前計画認定なしで動くと無効

「先に制度を作ってから申請しよう」という進め方は、コース②③では通用しません。計画書をJEEDに提出して認定を受けた後でなければ、実施した措置が助成金の対象になりません。必ず計画書認定→実施→支給申請の順で進めてください。

落とし穴4:支給対象被保険者の要件を確認せずに申請する

コース①の「対象被保険者」は「申請日前日時点で1年以上継続雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者」です。1年未満の方は頭数に含まれないため、支給額の算定を間違えるケースがあります。事前に人事記録で確認を。

よくある質問

Q:複数のコースを同時に申請できますか?
A:可能です。例えばコース①で定年を70歳に延ばしながら、コース③で有期社員を無期転換することを同時進行で進められます。ただし書類管理が複雑になるため、社会保険労務士への相談をおすすめします。

Q:令和7年度に一度申請した場合、令和8年度も申請できますか?
A:令和8年4月の改正で「1事業主1回限り」という制限が廃止されました。ただし同一の措置について2度支給されるわけではなく、新たな措置(例:65歳→70歳への再引上げ)を実施した場合に再度申請できます。詳細はJEEDに確認してください。

Q:申請の電子化はできますか?
A:e-Govによる電子申請が可能です。ただし事業所によって対応状況が異なるため、JEED都道府県支部に事前確認することをおすすめします。

参考・出典


まとめ:3コースの使い分けポイント

  • 定年廃止で10人以上の事業主→コース①で最大240万円
  • 評価制度や勤務体系を整備したい→コース②で最大110万円(経費助成込み)
  • 50〜64歳の有期社員を正社員化したい→コース③で1人40万円・年最大400万円
  • ①と②は同時申請可能。どのコースも申請先はJEED都道府県支部

3コースをうまく組み合わせることで、高齢化対応にかかるコストを大幅に下げながら職場環境を整備できます。補助金・助成金の活用や、AI・DX推進と組み合わせた人材戦略についてご相談がある方は、お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。


この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。


免責事項

本記事の情報は2026年6月11日時点の厚生労働省・独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の公表資料に基づく参考情報です。助成金の制度内容・支給額は予告なく変更される場合があります。申請にあたっては、必ず各制度のJEED公式サイトで最新情報をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。

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