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取得財産等管理台帳の作り方|様式第7・50万円基準・記載例

取得財産等管理台帳の作り方|様式第7・50万円基準・記載例

この記事の結論

ものづくり補助金の取得財産等管理台帳(様式第7)は、単価50万円以上の処分制限財産で実績報告書に添付必須。記載項目・保存期間・添付タイミングを交付規程から解説します。

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ものづくり補助金で単価50万円(税抜き)以上の設備を買った採択事業者から、実績報告の直前になって「取得財産等管理台帳って何を書けばいいんですか」という相談を受けることが少なくありません。台帳自体は交付規程に様式番号まで明記された正式書類なのに、公募要領や手引きの中では数行しか触れられていないため、見落とされがちです。

結論から言うと、単価50万円(税抜き)以上の機械・器具・備品等(処分制限財産)を取得した事業者は、様式第7による取得財産等管理台帳を作成し、実績報告書に添付して提出する義務があります。この記事では、対象になる財産の範囲、台帳に記載すべき項目、記入のタイミング、保存期間の考え方までを、交付規程の条文に沿って整理します。

まずこれだけ確認 — 台帳が必要になる財産・不要な財産

区分 対象になる財産 台帳(様式第7)の要否 管理期間の考え方
処分制限財産 取得価格または効用の増加価格が単価50万円(税抜き)以上の機械、器具、備品その他の財産 必要(様式第7を実績報告書に添付) 処分制限期間(耐用年数省令に準拠)が終わるまで
処分制限財産以外の取得財産等 単価50万円未満の機械装置・備品等 様式第7の提出義務はなし(社内の備品管理台帳等で管理) 補助事業完了の日の属する年度終了後5年間
原材料・消耗品・配布物 原材料費・広告宣伝費等で計上した物件 補助対象物件受払簿(参考様式1)で管理 使用実績に応じて按分・報告

この線引きの根拠は交付規程第21条第1項です。「処分を制限する財産は、取得財産等のうち、取得価格又は効用の増加価格が単価50万円(税抜き)以上の機械、器具、備品及びその他の財産とし、第15条第1項に定める補助事業実績報告書に様式第7による取得財産等管理台帳を添付して管理しなければならない」と定められています。50万円未満の設備にまで様式第7を作る義務はありませんが、備品台帳(参考様式13)等で存在を管理しておく必要がある点は同じです。5大補助金の対象経費や補助率の違いを含めて制度を横断で比較したい場合は、AI導入に使える補助金5選 徹底比較もあわせてご覧ください。

Step 1: 取得財産等を洗い出す(発注書・検収書を突き合わせる)

実績報告の直前にまとめて台帳を作ろうとすると、どの発注がどの検収書と対応するのか分からなくなりがちです。設備投資が発生するたびに、発注書・見積書・検収書のセットと台帳の記入をワンセットで進めるのが安全です。

まず、補助事業で発注した物件のうち、税抜きの単価(または効用の増加価格)が50万円以上のものだけを抽出します。同一規格のものは数量をまとめて記載してよい一方、単価が異なる場合は区分して記載する必要があります(手引きの記載例より)。ソフトウェアや原材料に組み込まれる部品は対象になりにくい一方、AI検品用のカメラ・エッジ端末、業務システム構築費のうち効用の増加分が50万円を超えるものは対象になりやすいので、経理担当者だけでなく現場の発注担当者にも「50万円ライン」を共有しておくと洗い出し漏れを防げます。

洗い出しの際は、単に金額だけで判定するのではなく「機械装置・システム構築費」で計上した物件かどうかも意識してください。手引きでは、機械装置等を購入した場合、取得財産等管理台帳を含めて備品台帳等を整備し、納品前(据付前)と納品後(据付後)の写真を撮っておくことが求められています。他の機械装置等に組み込まれる場合は、その組み込み状況が分かる写真も残しておく必要があります。台帳の1行を埋めるたびに、対応する写真ファイルと発注書・検収書のPDFをセットでフォルダにまとめておくと、後工程の実績報告・確定検査での提出が一気に楽になります。

Step 2: 台帳に書く項目を決める(様式第7の基本構成)

ものづくり補助金の手引きでは様式第7そのもののフォーマットは配布されつつも、記載すべき考え方は他制度の記載例とほぼ共通しています。実務で埋めるべき項目は次のとおりです。

項目 記入内容 実務上の注意
財産名・規格 設備名、型式・型番 見積書・カタログの表記と揃える
数量・単価・金額 税抜き金額で記載 振込手数料を受取人負担にした場合は、割引扱いとして手数料を差し引いた税抜き額を記入
取得年月日 検収年月日 発注日や支払日ではなく検収日を記載する
耐用年数・処分制限期間 減価償却資産の耐用年数等に関する省令に基づく年数 開発研究用の機械装置は4年、ソフトウェアは3年など特例あり
保管場所 設置場所の住所・部署 移設した場合は台帳も更新する
備考 転用・無償譲渡等の履歴 財産処分の承認を受けた場合はその経緯を追記

振込手数料の扱いは見落としやすいポイントです。手引きには「振込先手数料の先方負担は実質的な割引であることから、取得財産等管理台帳は、振込手数料を引いた(税抜き)金額を記入してください」という注記があります。請求書の税込金額をそのまま転記すると、確定検査で金額の不一致を指摘されることがあります。

手引きに掲載されている計算例で考えてみます。機械装置1,100,000円(税込)を振り込む際、振込手数料880円(税込)を受取人(発注先)が負担した場合、補助事業に要する経費(税込)は1,099,120円(消費税率10%で算出)、補助対象経費(税抜き)は999,200円になります。この999,200円が、そのまま台帳の「金額」欄に記入すべき数字です。振込明細の記載金額をそのまま使うと、この差額分だけ台帳と実際の補助対象経費がずれてしまいます。

Step 3: 処分制限期間を確認して欄を埋める

処分制限期間は、税務上の実際の使用年数ではなく、減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)と経済産業大臣が定める期間を機械的に準用します(交付規程第21条第2項)。開発研究用の機械及び装置は4年、ソフトウェアは3年、特許権は8年、実用新案権は5年、意匠権は7年、商標権は10年と、資産の種類ごとに個別に定められているため、一般的な機械装置の法定耐用年数とは別枠で扱うものがある点に注意してください。「設備投資のみを目的とした事業者」の場合はこの限りではないという例外規定もあるため、迷ったときは事務局への確認が確実です。

参考として、国税庁が公表している耐用年数表では、器具備品のうち「パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く)」は4年、それ以外の電子計算機(サーバー等)は5年と区分されています。AI・DX導入で処分制限財産になりやすい機器を例に整理すると、次のようになります。

資産の種類 耐用年数の目安 根拠
パソコン(サーバー用を除く) 4年 耐用年数省令 別表第一(国税庁公表の耐用年数表)
サーバー等その他の電子計算機 5年 同上
開発研究用の機械及び装置 4年 耐用年数省令に基づく特例(手引きに明記)
ソフトウェア 3年 同上
特許権/実用新案権/意匠権/商標権 8年/5年/7年/10年 同上

AI検品用のカメラ・センサーや業務システム構築費のように、耐用年数省令上どの区分に当たるか一見して判断しづらい資産もあります。その場合は、購入した機器の用途・設置場所を踏まえて省令の該当区分を確認し、判断に迷う場合は事務局に照会したうえで台帳に記載する年数を確定させてください。

Step 4: 実績報告書(様式第6)と一緒に提出する

台帳は単独で提出する書類ではありません。交付規程第15条第1項に基づく補助事業実績報告書(様式第6)を提出する際、様式第7による取得財産等管理台帳を添付する構成になっています。提出期限は、補助事業完了日から起算して30日を経過した日、または交付決定通知書記載の補助事業完了期限日のいずれか早い日までです。試作品等を無償譲渡・無償貸与・無償供与した場合は、譲渡先からの成果受領書の写しや使用状況が分かる写真も、台帳に添付したうえで実績報告書と一緒に提出する必要があります(交付規程第22条)。遂行状況報告書と実績報告書の違いや、それぞれの提出書類の全体像は遂行状況報告書とは|中間監査・実績報告との違いと書き方で整理しています。

Step 5: 保存する — 台帳・証憑・現物の3つを揃えておく

台帳を作って提出したら終わり、ではありません。処分制限財産は処分制限期間が満了するまで、承認なしに使用目的の変更・譲渡・貸付・担保提供・廃棄ができません。経理証拠書類(伝票類)は交付規程第9条第2項に基づき5年間の保存が原則ですが、処分制限期間が5年を超える設備の場合は、証憑よりも長く現物と台帳を管理し続ける必要があります。実務としては、処分制限期間が終わるまで台帳・見積書・検収書の写真・納品前後の写真をひとまとめにしたファイルを、経理証拠書類の保管ルールと同じ場所に置いておくのが安全です。

処分制限財産を売却・廃棄・転用したくなったときの台帳の役割

処分制限期間中に「リースに切り替えたい」「事業所を移転するので売却したい」「生産設備に転用したい」となった場合は、台帳を作って終わりではなく、そこから先の手続きにも台帳の記載内容が使われます。交付規程第21条第3項〜第7項の流れを整理すると、次のとおりです。

ケース 必要な書類 台帳との関係
通常の処分(譲渡・貸付・担保提供・廃棄等) 様式第10-1 財産処分承認申請書 → 承認後に様式第10-2 財産処分承認通知書 台帳に記載した財産名・取得価額・処分制限期間をもとに申請書を作成する
成果活用型生産転用(研究開発の成果を生産設備に転用) 様式第11-1 取得財産の処分承認申請書 承認を受ければ国庫納付(収入納付)が免除される特例あり
災害・立地上の理由による取り壊し・廃棄 様式第11-2 財産処分報告書 提出をもって処分の承認を受けたものとみなされる

いずれのケースでも、台帳に記録された取得年月日・金額・処分制限期間の情報がないと申請書自体を正確に作成できません。台帳を「実績報告のためだけの書類」と捉えず、将来の処分・転用の判断材料として残しておく意識が重要です。

ものづくり補助金以外でも様式第7は登場する

取得財産等管理台帳(様式第7)と50万円(税抜)基準は、ものづくり補助金に限った運用ではありません。たとえば中小企業新事業進出促進補助金の交付規程でも、第23条2項で「補助事業者は、取得財産等について、様式第7による取得財産等管理台帳を備えるものとし」、第24条1項で「処分制限財産は、取得価格又は効用の増加価格が単価50万円(税抜)以上の機械、器具及びその他の財産とする」と、様式番号・金額基準ともにほぼ同じ枠組みで定められています。

ただし細部の運用は制度ごとに異なります。ものづくり補助金では処分制限財産(50万円以上)のみを実績報告書に添付する構成ですが、新事業進出補助金の交付規程第23条3項は「取得財産等があるときは、実績報告書に様式第7による取得財産等管理明細表を添付しなければならない」と、50万円未満の取得財産等も含めて明細表の添付を求める書きぶりになっています。複数の補助金を併用している事業者や、新事業進出補助金の活用を検討している場合は、思い込みで台帳を省略せず、その制度の交付規程を必ず確認してください。返還・交付取消の典型パターンは制度をまたいで共通するため、あわせて補助金の返還・交付取消はいつ起きる?典型5パターンと予防策も参考にしてください。

書類作成でよくある不備4選

❌ 発注日を「取得年月日」として記入してしまう
⭕ 検収年月日を記入する。発注から検収までの期間が長い設備ほど、この取り違えが起きやすい

❌ 請求書の税込金額をそのまま台帳に転記する
⭕ 税抜き金額(振込手数料を受取人負担にした場合はその分を差し引いた額)で記入する

❌ 50万円未満の設備まで様式第7を作ってしまい、逆に対象財産の管理が埋もれる
⭕ まず50万円ラインで対象財産を絞り込んでから台帳を作成する。50万円未満は備品台帳等の社内管理で十分

❌ 台帳を実績報告書提出後にまとめて作ろうとして記載内容の裏付け(写真・検収書)が足りなくなる
⭕ 設備が納品されるたびに写真撮影・台帳記入をセットで進める

台帳が不十分だとどうなるか

取得財産等管理台帳の不備そのものが直接の返還事由になるわけではありませんが、確定検査で財産の存在・金額・処分制限期間の裏付けが取れないと、経費が補助対象外と判断されたり、追加の証憑提出を求められたりする可能性があります。確定検査で実際にチェックされる証憑の種類は補助金の確定検査で見られる5つの証憑と減額回避術で解説していますので、台帳と合わせて準備しておくと安心です。また、処分制限期間中に無断で設備を処分してしまった場合の返還リスクについては、補助金の返還・交付取消はいつ起きる?典型5パターンと予防策で典型パターンをまとめています。事業化状況報告の対象期間中(交付決定から5年間・合計6回)も、処分制限財産があれば台帳の管理は並行して続く点は、ものづくり補助金 事業化状況報告とは|交付規程改正の変更点でも触れています。

よくある質問

Q. 取得財産等管理台帳は決まったフォーマットのExcelファイルが配布されていますか?

ものづくり補助金の手引きでは、台帳に記載すべき考え方は示されていますが、記事執筆時点で全事業者共通の様式第7のフォーマットファイルが手引き本文に添付されているわけではありません。財産名・規格・数量・単価・金額・取得年月日・処分制限期間・保管場所といった必要項目を満たしていれば、自社で作成した表でも問題ありません。不安な場合は事務局に問い合わせるのが確実です。

Q. 50万円の判定は税込・税抜どちらで見ますか?

交付規程上、処分制限財産の基準は「単価50万円(税抜き)以上」です。税込金額で判断すると対象範囲を誤るため、必ず税抜き金額で判定してください。

Q. 同じ設備を複数台購入した場合、1台ごとに単価を見ますか?

手引きの記載例では、同一規格であれば数量をまとめて記載してよいとされています。ただし単価が異なる場合は区分して記載する必要があるため、単価そのものが50万円の判定基準になる点は変わりません。

Q. 台帳の記載内容を後から訂正してもよいですか?

保管場所の変更や処分の履歴など、状況が変わった場合は台帳を更新するのが原則です。訂正した場合は、いつ・何を・なぜ変更したかが分かるように記録を残しておくと、確定検査や事業化状況報告の際に説明しやすくなります。

Q. 台帳と一緒に提出する必要がある書類はありますか?

無償譲渡・無償貸与・無償供与を行った場合は、譲渡先等からの成果受領書の写しと使用状況が分かる写真を台帳に添付します(交付規程第22条)。それ以外の通常の処分制限財産については、実績報告書(様式第6)と台帳(様式第7)をあわせて提出する構成です。

Q. 処分制限期間が終わったら台帳は捨ててよいですか?

処分制限期間中は現物・台帳・関連証憑をセットで管理する必要がありますが、期間満了後は原則として承認なしに処分できるようになります。とはいえ、事業化状況報告の対象期間(交付決定から5年間・合計6回)と処分制限期間が重なるケースもあるため、報告義務がすべて終わったことを確認してから廃棄するほうが安全です。

Q. 台帳の管理を担当者任せにして問題ありませんか?

処分制限期間は長いものだと10年前後に及ぶこともあり、その間に担当者が異動・退職するケースは珍しくありません。台帳と証憑一式の保管場所・引き継ぎ方法をあらかじめ社内ルールにしておかないと、いざ処分や事業化状況報告のタイミングで台帳の所在が分からなくなるという事態が起きやすくなります。

台帳は「後回しにできない書類」として扱う

取得財産等管理台帳は、公募要領や手引きの中では目立たない存在です。しかし処分制限期間という、補助事業完了後も何年も続く義務の起点になる書類でもあります。設備を検収したその日に、台帳への記入と写真撮影をルーティン化しておくことが、実績報告直前の慌ただしさと確定検査での指摘リスクを同時に減らす一番の近道です。

この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。AI・DX関連設備の導入計画づくりや、補助金活用を前提とした業務設計についてのご相談は、お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。


免責事項
本記事の情報は2026年7月30日時点で確認できた、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の交付規程(19次締切以降適用・2025年2月27日改正版)および補助事業の手引き(22次締切版・2026年4月30日発行)に基づく参考情報です。交付規程・手引きは公募回ごとに改定される場合があります。取得財産等管理台帳の記載方法や処分制限期間の判定については、採択時点で有効な最新の交付規程・手引きを必ずご確認のうえ、不明点は事務局へお問い合わせください。本記事の情報に基づく手続きの結果について、当サイトは一切の責任を負いません。

参考・出典

関連記事: 補助金で買った機器の処分制限|IT導入・ものづくり補助金を比較【2026】

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