大分県は「おんせん県」として知られる温泉王国でありながら、製造業・農業・水産業・林業と多彩な産業が共存する地域だ。しかしDX化の遅れは全国的な課題でもある。国の補助金だけでなく、大分県独自の上乗せ支援や市独自の制度を組み合わせれば、実質負担を大幅に圧縮できる。
本記事では、大分市・別府市・中津市・佐伯市・日田市・由布市の業種別にどの制度が使えるかを比較しながら、7つの主要制度を詳しく解説する。正直なところ、制度の数は多いが「組み合わせ方」を知らないと効果が半減する。その組み合わせパターンも含めて整理した。
細かい制度説明に入る前に、自社の業種・規模で使いやすい制度を確認してほしい。
| 業種・用途 | 最優先の制度 | 補助率 | 上限額 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| ITツール・クラウド導入全般(大分県全域) | 大分県デジスキ(クラウド補助) | 2/3 | 25万円 | 国補助金と併用不可だが手続きが簡便 |
| 国の省力化補助・IT導入補助を活用する事業者 | 大分県省力化・生産性向上支援補助金(上乗せ) | 国補助に上乗せ | 国基準に上乗せ | 賃上げ要件あり |
| 大分市内の小規模事業者(DX推進枠) | 大分市小規模事業者競争力強化支援事業補助金 | 2/3 | 40万円 | 電子看板・ドローンも対象 |
| 温泉旅館・観光事業者(別府・由布市等) | 観光DX推進事業補助金(観光庁) | 1/2 | 1,500万円 | 予約管理・AI活用が対象 |
| 自動車・製造業(中津市・大分市等) | デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金) | 1/2〜3/4 | 450万円 | 生産管理・品質管理AIも対象 |
| 製造業・設備投資(省力化含む) | ものづくり補助金 | 1/2〜2/3 | 最大4,000万円 | AI検品・自動化設備が対象 |
| AI研修・DX人材育成 | 人材開発支援助成金(リスキリング支援コース) | 最大75% | —(受講費用の75%) | 2027年3月末廃止の時限措置 |
次に詳細説明の前に、大分県特有の事情を押さえておこう。大分県のDX補助金は「国の補助金を活用する際に県が上乗せする」という設計が軸になっており、単独で使えるデジスキ事業と組み合わせることで、国+県のダブルサポートを受けられるケースがある。
補助金制度の全体像はAI導入に使える補助金5選 徹底比較でも解説しているので、大分県固有制度と国の主要制度の両方を把握したい方はあわせて確認してほしい。
制度1: 大分県デジスキ(クラウドサービス導入支援)
制度の概要
「デジスキ」は大分県が独自に展開するクラウドサービス導入支援事業で、正式名称は「大分県中小企業デジタルスキル向上支援事業」。SaaS型のクラウドサービスを新規導入する際の費用を補助しつつ、導入後の伴走支援も付いてくる。補助率が2/3、上限25万円と金額は大きくないが、申請手続きの簡便さと「補助+伴走支援」のセットが中小企業に好評だ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 大分県中小企業デジタルスキル向上支援事業(デジスキ) |
| 所管 | 大分県商工観光労働部先端技術挑戦課 |
| 補助率 | 2/3 |
| 補助上限額 | 25万円(対象経費6万円以上が条件) |
| 対象者 | 大分県内に事業所を有する中小企業・小規模事業者(新規導入のみ) |
| 対象サービス | コミュニケーションツール、顧客管理、勤怠管理、テレワーク等のSaaS |
| 令和7年度公募期間 | 2025年7月1日〜11月14日(令和7年度実績・参考値) |
| 伴走支援 | 導入後全2回(各1〜2時間)、2026年3月末まで |
| 公式サイト | 大分県公式 デジスキ事業ページ |
大分・別府・中津での活用シーン
別府市の温泉旅館で予約管理SaaSを導入する場合、対象経費が10万円なら補助金6万7,000円(2/3)を受け取れる。中津市の自動車部品製造業者が在庫管理クラウドを入れる場合も同様に使える。金額は小さいが、伴走支援で「入れただけで終わる」を防げる点が現場では評価されている。
注意点が一つ。令和8年度(2026年度)の公募内容はまだ確定していないため、公式サイトで最新情報を確認すること。令和7年度は7月から公募が始まったが、年度によって変動する。
制度2: 大分県省力化・生産性向上支援補助金(上乗せ補助)
「国の補助金+県の上乗せ」という設計
この制度は独立した補助金ではなく、「国が採択した補助金に県が上乗せする」という形式をとる。具体的には、国の省力化投資補助金(カタログ注文型)またはIT導入補助金(インボイス対応型)の採択を受けた中小企業・小規模事業者に対して、県が追加補助を行い、実質的な補助率を引き上げる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 大分県省力化・生産性向上支援補助金 |
| 所管 | 大分県商工観光労働部先端技術挑戦課 |
| 対象 | 国の省力化投資補助(カタログ注文型)またはIT導入補助金の採択事業者 |
| 補助の形態 | 国の補助に上乗せして指定補助率に引き上げ |
| 賃上げ加算 | 「大幅な賃上げ」を行う場合、上乗せ率がさらに増加 |
| お問い合わせ | 補助金窓口 097-529-8161(平日9:00〜17:00) |
| 公式サイト | 大分県公式 省力化・生産性向上支援補助金 |
詳細な補助率・上限額は公募要領が更新されるたびに変わるため、専用サポートサイト(大分県省力化・生産性向上支援補助金サポートポータル)で最新版を確認してほしい。
中津市の自動車部品メーカーへの応用
ダイハツ九州の城下町である中津市には自動車関連のサプライヤーが多数集積している。省力化投資補助金(カタログ注文型)でロボット・自動搬送設備を入れながら、県の上乗せ補助を組み合わせることで実質負担をさらに下げるという使い方が考えられる。製造ラインのAI化を検討している工場は、まず国の省力化補助の採択を取ってから、県の上乗せを申請するという順序が基本だ。
制度3: 大分市小規模事業者競争力強化支援事業補助金(DX推進枠)
大分市独自の中小企業DX支援
大分市が設ける独自補助で、市内の小規模事業者がDXに取り組む費用を直接支援する。令和7年度から対象機器に電子看板とドローンが追加され、「新規の取り組み以外も対象」になった点が大きな変更だ。
| 項目 | DX推進枠 | 一般枠 |
|---|---|---|
| 補助率 | 2/3 | 1/2 |
| 補助上限額 | 40万円 | 30万円 |
| 対象経費 | ソフトウェア導入費、機器導入費、DX広報費、ウェブサイト構築費 | — |
| 対象者 | 大分市内に事業所を有する小規模事業者(従業員:製造業等20人以下、小売・サービス業5人以下) | |
| 創業要件 | 創業から12か月経過かつ補助対象事業を12か月以上継続 | |
| 令和7年度後期募集開始 | 2026年8月8日〜(予定) | |
| 公式サイト | 大分市公式 小規模事業者補助金ページ | |
大分市内の飲食・小売業者が使うパターン
大分市内の個人飲食店がPOSレジシステムとWebサイトを同時に整備した場合、対象経費60万円に対して2/3の補助、つまり40万円(上限)を受け取れる。ドローンを使った農産物の圃場管理を検討している農業法人(大分市内)も令和7年度からは対象になった。前期募集を見逃した場合でも後期(8月〜)に申請できる。
ただし、「前年度に本補助金の交付を受けていないこと」が要件なので、毎年申請し続けることはできない。計画的に使うタイミングを選ぼう。
制度4: 観光DX推進事業補助金(観光庁・宿泊業向け)
別府・由布市の温泉旅館が活用できる国の制度
観光庁が展開する観光DX推進事業は、宿泊業・観光関連事業者のDX化を直接支援する補助金だ。別府温泉、湯布院温泉という国内屈指の観光地を抱える大分県にとっては、活用しやすい制度の一つといえる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 全国の観光地・観光産業における観光DX推進事業 |
| 所管 | 観光庁 |
| 補助率 | 1/2 |
| 補助上限額 | 1,500万円(伴走支援は別枠800万円) |
| 対象 | 宿泊事業者・観光関連事業者 |
| 主な対象経費 | 予約管理システム、顧客管理(CRM)、POS、レベニューマネジメント、生成AI活用ツール等 |
| 令和8年度公募期間 | 2026年4月24日〜5月29日17時(令和8年度第1回・参考値) |
| 公式サイト | 観光DX推進事業公式サイト |
別府・湯布院の温泉旅館が狙うべきポイント
インバウンド需要が回復している別府市・由布市の旅館では、多言語対応の予約システムや、AIを使った客室単価の最適化(レベニューマネジメント)へのニーズが高まっている。この補助金は「売上向上と業務効率化を同時に実現する取り組み」と相性がよい。チェックイン・チェックアウトのデジタル化(タブレット、キーレス化)も対象になりうるため、フロント業務の省力化と組み合わせて計画するといい。
公募期間が年1〜2回で締切が短いため、「公募開始を知らなかった」という事態を防ぐには、観光庁の公式メールマガジンや大分県観光振興課のお知らせを事前にチェックしておくことが重要だ。
制度5: デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
2026年度から名称変更・AI強化
中小企業庁が運営するIT導入補助金が2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」に改称された。AI・データ連携・セキュリティ分野の強化が柱で、生産管理・品質管理・受発注管理といった業務効率化ツールからAIソリューションまで幅広く対象になる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | デジタル化・AI導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業) |
| 所管 | 経済産業省・中小企業庁 |
| 補助率 | 原則1/2(要件充足で2/3〜3/4に拡大) |
| 補助額 | 5万円〜450万円 |
| 対象者 | 中小企業・小規模事業者(IT導入支援事業者との連携が必要) |
| 主な対象経費 | ソフトウェア費、クラウド利用料、導入関連費(ハードウェアは一部対象) |
| 2026年度第1次公募期間 | 2026年3月30日〜2026年5月12日17時(参考値) |
| 申請方法 | jGrants(電子申請) |
| 公式サイト | デジタル化・AI導入補助金 公式サイト(中小機構) |
中津市の製造業・佐伯市の水産業での活用
中津市のダイハツサプライヤー(自動車部品製造業)が生産管理システムをAIクラウドに移行する場合、対象経費300万円なら補助額150万円(1/2)になる。賃上げ要件や最低賃金要件を満たせば補助率が2/3に上がるため、人件費計画と同時に検討する価値がある。
佐伯市の水産加工業者が受発注管理・在庫追跡のSaaSを導入する場合も同様に活用できる。IT導入支援事業者として登録されている企業のツールに限られるため、まず公式サイトのツール検索で候補を絞り込んでから支援事業者に相談するのが正しい順序だ。
制度6: ものづくり補助金(製造業・設備投資型DX)
大分の製造業が狙うなら設備投資込みのこの制度
AIだけでなく、ロボットや自動化設備とシステムをセットで入れる場合に強いのがものづくり補助金だ。2026年度も補助上限は最大4,000万円(大幅賃上げ特例時)と群を抜いて高い。大分県には日田市の林業・木工業、佐伯市の造船業、大分市の化学・製造業など、設備投資と組み合わせたDXニーズが高い業種が多い。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金) |
| 所管 | 経済産業省・中小企業庁 |
| 補助率 | 1/2(小規模事業者は2/3) |
| 補助上限額 | 従業員数によって異なる(51名以上で最大2,500万円〜4,000万円) |
| 対象 | 革新的な製品・サービス開発や生産プロセスの改善に取り組む中小企業 |
| 主な対象経費 | 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、クラウドサービス費 |
| 申請方法 | jGrants(電子申請) |
| 公式サイト | ものづくり補助金 総合サイト |
日田市の木工業・佐伯市の造船業での活用シーン
日田市は全国有数の木工・家具産地であり、林業DXへの関心も高い。木材加工ラインへのAI画像検査システムや、受発注管理の自動化をものづくり補助金で申請するパターンは現実的だ。造船業の佐伯市では、船体設計の3D化やCAD/CAMシステムとAI連携が申請対象になりうる。
ものづくり補助金は「事業計画書の質」が採択の鍵を握る。特に「現在の業務課題を数字で示せるか」が評価に直結する。「溶接工数が月200時間、熟練工不足で2024年から残業時間が月30時間増加」といった具体的な現状分析があってはじめて審査員に刺さる計画書になる。
制度7: 人材開発支援助成金(リスキリング支援コース)
2027年3月末廃止前に使い切れ——AI研修の必携制度
AI研修やDX人材育成に特化した助成金として最も使いやすいのが、厚生労働省の人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)だ。中小企業の研修費用の最大75%が助成され、訓練中の賃金の一部(1人1時間あたり1,000円)も別途支給される。2027年3月末廃止という時限措置なので、2026年度に申請するのが実質最後のチャンスだ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース) |
| 所管 | 厚生労働省 |
| 助成率(中小企業) | 訓練経費の75% |
| 賃金助成 | 1人1時間あたり1,000円(大企業480円) |
| 対象研修 | 生成AI・ChatGPT研修、AIリテラシー研修、DXリスキリング等 |
| 時限措置 | 2027年3月31日廃止予定 |
| 申請手順 | 訓練実施計画届(訓練開始1か月前まで)→訓練実施→支給申請 |
| 公式サイト | 厚生労働省 人材開発支援助成金 |
大分市・中津市の企業が社員にAI研修を受けさせるケース
社員10名が20時間のAI研修を受けた場合(1名あたり研修費20万円):
経費助成 = 20万円 × 75% = 15万円 × 10名 = 合計150万円
賃金助成 = 1,000円 × 20時間 × 10名 = 合計20万円
合計助成額 = 170万円という試算になる。これは「想定シナリオ」であり実際の支給額は申請内容・審査結果による。
2025年4月から計画届の「確認・受理行為」が廃止された点に注意が必要だ。計画届が受付されても、申請時に要件不備が発覚すれば全額不支給になる。申請前に管轄の大分労働局またはハローワークで確認することを強く勧める。
大分県6都市の業種別組み合わせパターン
単独で使うより、複数制度を組み合わせたほうが実質負担は小さくなる。以下に大分県主要6都市の業種別パターンを示す。
大分市(県庁所在地・製造・流通・サービス業)
大分市内の中小企業は「デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入)+大分市小規模事業者補助金(DX推進枠)」の組み合わせが基本。ただし同一経費に二重申請はできないため、ソフトウェア費用を国補助金で賄い、ウェブサイト構築費やDX広報費を市の補助で賄うという分担が現実的だ。加えて社員研修は人材開発支援助成金でカバーする。
別府市(温泉観光・サービス業)
別府市の旅館・ホテルは観光DX推進事業(最大1,500万円)が最大の武器になる。予約管理・レベニューマネジメントをこの補助で整備しながら、フロントスタッフのAIリテラシー研修は人材開発支援助成金で補う形が理想的だ。温泉を核にした観光体験のデジタル化(多言語対応アプリ等)もこの補助の対象になりうる。
中津市(自動車・製造業)
ダイハツ九州の城下町である中津市では、サプライヤー各社が大規模な設備投資を伴うDXを進めている。ものづくり補助金で生産ライン自動化を進めながら、大分県の省力化・生産性向上支援補助金(上乗せ)を活用して実質負担を圧縮するパターンが有効だ。研修費用は人材開発支援助成金が受け皿になる。
佐伯市(水産・造船業)
佐伯港を拠点とする水産業・造船業では、受発注管理・在庫管理のデジタル化ニーズが根強い。デジタル化・AI導入補助金でSaaSを導入し、大分県デジスキ事業と使い分けるのが基本。造船業の場合は設備投資と一体のDXが多いため、ものづくり補助金を先に検討するのが正しい順序だ。
日田市(林業・木工業)
日田市の木工メーカーはものづくり補助金との親和性が高い。木材加工ラインへのAI導入や品質管理システムが対象経費に当てはまる。小規模の木工業者は大分県デジスキ事業からスタートして段階的にDXを進める方が現実的かもしれない。スマート林業については農林水産省のデジタル基盤整備事業との組み合わせも視野に入れてほしい。
由布市(観光・湯布院)
湯布院温泉を抱える由布市の旅館・民宿は別府市と同様に観光DX推進事業が主力補助だ。インバウンド対応の観点から多言語予約システムや生成AIを活用したコンシェルジュ機能への投資が注目されている。従業員数が少ない小規模旅館は観光DX推進事業の申請ハードルが比較的低いため、まず公式サイトで公募要件を確認してほしい。
申請する前に確認すべき5つのポイント
ポイント1: GビズIDの取得(最優先)
国の補助金(デジタル化・AI導入補助金、ものづくり補助金、人材開発支援助成金等)はすべてjGrantsまたはGビズID経由で申請する。GビズIDプライムの取得には法人の場合2〜3週間かかる場合があるため、「申請しよう」と決めたその日に手続きを始めるのが鉄則だ。申請締切の2週間前に気づいても間に合わないケースが多い。
GビズID取得の完全手順はGビズID登録ガイドを参照してほしい。
ポイント2: 「採択≠交付決定」を絶対に間違えない
採択通知が届いても、それは「交付申請を出してよい」というステップであり、事業を開始する許可ではない。交付決定通知が届く前に発注・契約した経費はすべて補助対象外になる。「採択おめでとうございます」の通知に浮かれて見積もりにサインしてしまうケースが後を絶たない。交付決定→発注→契約→実施の順序を徹底しよう。
ポイント3: 同一経費の二重計上は即アウト
国の補助金と県・市の補助金を組み合わせる際に「同じ経費を複数の補助金に計上する」のは禁止されている。たとえば、デジタル化・AI導入補助金でSaaSのライセンス料を申請しながら、大分市小規模事業者補助金でも同じライセンス料を申請することはできない。経費を明確に分けて、それぞれ別の取り組みに充当する計画を立てること。
ポイント4: 公募期間は年に数回しかない
主要な補助金は年2〜4回の公募が設けられているが、大分県独自の補助金(デジスキ等)は年1回の場合もある。公募情報を見逃すと1年待つことになるため、おおいた中小企業支援ポータルのメールマガジンに登録しておくことを強く勧める。国の制度はjGrantsのメール通知も活用できる。
ポイント5: 事業計画の「数字」が採否を決める
審査員が見るのはツールの説明ではなく「なぜこの会社にこの投資が必要か」という論拠だ。現状の業務工数・コスト・不良率・クレーム件数など、数字で示せる課題があってはじめて説得力ある計画書になる。申請前に自社の現状を数字で把握することが、採択率向上の最短路だ。
申請から交付までの全工程(Step形式)
- GビズIDの取得(所要:2〜3週間)
法人はgBizIDプライムを取得する。印鑑証明書等が必要。郵送審査のため締切直前では間に合わない。 - 公募情報の収集と制度選定(所要:1〜2週間)
おおいた中小企業支援ポータル・jGrantsで最新の公募要領を確認し、自社が対象要件を満たすか確認する。複数制度を組み合わせる場合は同一経費の重複がないか確認。 - IT導入支援事業者または専門家の選定(所要:1〜2週間)
デジタル化・AI導入補助金は登録済みIT導入支援事業者との連携が必須。ものづくり補助金は認定支援機関の確認書が必要なケースがある。 - 事業計画書の策定(所要:2〜4週間)
現状の課題を数字で整理し、AI導入後のBefore/Afterを具体的なKPIで示す。「月40時間の受発注対応工数を月15時間に削減」といった具体性が採択の鍵。 - 申請書類の提出(jGrants経由)
必要書類(確定申告書、賃貸借契約書等)を揃えてオンライン申請。提出後は修正できない制度が多いため、提出前に再確認を。 - 採択発表の待機(採択から交付決定まで1〜2か月)
採択通知が届いても発注・契約は禁止。交付申請を提出し、交付決定通知を受け取ってから初めて発注できる。 - 事業の実施と実績報告
採択時の計画に沿って事業を実施。完了後に実績報告書を提出し、証拠書類(請求書・領収書・入金確認書)を添付する。 - 補助金の交付
実績報告の審査完了後に補助金が振り込まれる(後払い)。資金繰りに注意が必要。
よくある申請ミス——大分県の中小企業が陥りやすいパターン
ミス1: デジスキ事業の対象経費を確認せず申請
❌ 「クラウドなら何でもいいだろう」と既に使っているツールのアップグレード費用で申請した
⭕ 新規導入のツールのみが対象。既存ツールの継続利用・機能追加は原則対象外。申請前に必ずチェックすること。
ミス2: 大分市補助金の「12か月経過要件」を見落とす
❌ 創業直後の法人が「経費がかかるから今すぐ申請したい」と手続きを進めた
⭕ 大分市の補助金は創業から12か月経過かつ補助対象事業を12か月以上継続していることが必要。
ミス3: 人材開発支援助成金の「計画届」を研修直前に出す
❌ 研修の2週間前に計画届を出せば間に合うと思っていた
⭕ 計画届は訓練開始日の1か月前までに管轄の都道府県労働局に提出が必要。遅れると助成金が不支給になる。
ミス4: ものづくり補助金で「交付前に見積書にサイン」してしまう
❌ 採択通知が届いた当日に機械メーカーと発注書を交わした
⭕ 交付決定通知を受け取ってからしか発注・契約はできない。採択通知と交付決定通知は別物。
ミス5: 観光DX補助金の公募期間を見逃す
❌ 「春に申請しよう」と考えていたが公募が4月から始まっており、気づいたときには締切間際だった
⭕ 観光DX推進事業の公募期間は約5週間と短い。観光庁の公募情報を年初からウォッチしておくこと。
参考・出典
- 大分県ホームページ 中小企業等のDX推進支援制度(専用ページ) — 大分県商工観光労働部先端技術挑戦課(参照日:2026年6月4日)
- 大分県ホームページ 令和7年度デジスキ事業(デジタルスキル向上支援) — 大分県(参照日:2026年6月4日)
- 大分県省力化・生産性向上支援補助金(公式ページ) — 大分県(参照日:2026年6月4日)
- 大分市 令和7年度 小規模事業者競争力強化支援事業補助金 — 大分市(参照日:2026年6月4日)
- 全国の観光地・観光産業における観光DX推進事業(公式サイト) — 観光庁(参照日:2026年6月4日)
- デジタル化・AI導入補助金 公式サイト(旧IT導入補助金) — 中小企業基盤整備機構(参照日:2026年6月4日)
- ものづくり補助金 総合サイト — ものづくり補助金事務局(参照日:2026年6月4日)
- 人材開発支援助成金(厚生労働省) — 厚生労働省(参照日:2026年6月4日)
- おおいた中小企業支援ポータル — 大分県(参照日:2026年6月4日)
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- GビズID登録ガイド — 補助金申請の第一歩を画像付きで解説
- AI導入に使える補助金5選 徹底比較 — 国の主要制度を横断比較
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免責事項
本記事の情報は2026年6月4日時点の各省庁・事務局・自治体の公表資料に基づく参考情報です。補助金・助成金の制度内容(補助率・上限額・公募期間・対象要件)は予告なく変更される場合があります。申請にあたっては、必ず各制度の公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。
この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。
