新事業進出補助金

【2026年最新】事業承継M&A補助金PMI推進枠|補助率・申請手順・採択ガイド

この記事の結論

M&A後の経営統合(PMI)を国が補助。PMI専門家活用類型は上限150万円(補助率1/2)、事業統合投資類型は上限800万〜1,000万円(小規模は2/3)。採択率約59%(第13次実績)。次回公募に向けた完全申請ガイド。

M&Aを成立させた後、最初の1年が経営統合(PMI)の正念場だ。システムを統合するか、人員をどう配置し直すか、ブランドをどう扱うか——この判断を間違えると、せっかくのM&Aが空振りに終わる。そのPMIに必要な専門家費用や設備投資を、最大1,000万円まで国が補助するのが「事業承継・M&A補助金 PMI推進枠」だ。

補助率は1/2(小規模事業者は2/3)。第14次公募(2026年2月27日〜4月3日)の申請受付は終了しており、現在は次回公募の準備期間にあたる。制度は継続中のため、今のうちに要件・書類・申請の流れを把握しておくことが採択への最短ルートになる。


まずここを確認——PMI推進枠を使える条件

申請ステップに入る前に、自社が対象に該当するかを確認しておこう。要件を満たしていないと審査の土俵にも上がれない。

  • 中小企業基本法に定める中小企業者または個人事業主であること
  • 日本国内に拠点を置き、日本国内で事業を営んでいること
  • M&Aによって株式・経営資源を譲り受けた(買い手)側であること
  • M&A成立前にデュー・デリジェンス(DD)を実施していること
  • クロージング(M&A最終決済)が交付申請時点で完了していること
  • 補助対象のPMI活動がクロージング日から1年以内に実施されること
  • 法人の場合、申請時点で設立登記および3期分の決算・申告が完了していること

DD要件は実務でよく見落とされる。買い手にとって「DDなしで成立させたM&A」はPMI推進枠の申請資格がない。M&A検討段階で補助金活用を想定しているなら、DDの実施(と記録保存)を先行させることが鉄則だ。

各補助金制度の補助率・上限額の比較については、AI導入に使える補助金5選 徹底比較で整理しているので参考にしてほしい。

項目 PMI専門家活用類型 事業統合投資類型
制度名 事業承継・M&A補助金 PMI推進枠(令和6年度補正)
補助率 1/2以内 1/2以内(小規模企業者は2/3以内)
補助上限額 150万円以内 800万円(賃上げ達成で1,000万円)以内
補助下限額 50万円 100万円
主な対象経費 謝金・旅費・委託費(PMI専門家費用) 設備費・外注費・委託費
対象者 M&Aで経営資源を譲り受けた中小企業・個人事業主
申請方法 jGrants(電子申請)
公式サイト 事業承継・M&A補助金事務局

※ 上記は第14次公募(2026年2月27日〜4月3日)の公募要領に基づく情報です。次回公募では変更になる可能性があります。必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

2つの類型——自社の状況でどちらを使うか

PMI推進枠は目的の違う2つの類型で構成されている。申請前に使い分けの判断をしておくことが重要だ。

PMI専門家活用類型(上限150万円)

PMIに必要な専門家(中小企業診断士、PMIコンサルタント、ITアドバイザー等)を雇うための費用を補助する。補助率は1/2で、上限は150万円。謝金・旅費・委託費が対象だが、委託費は公募要領で指定する「PMI専門家」への費用に限られる。

「統合計画の策定を外部のコンサルタントに任せたい」「システム移行の設計をITベンダーに相談したい」というフェーズに使う類型だ。単独申請のほかに、同時申請(専門家活用枠・買い手支援類型と同回申請)も可能で、M&A完了直前の段階から申請できる。

事業統合投資類型(上限800〜1,000万円)

設備の購入・工事やITシステムの構築・外注に必要な費用を補助する。補助率は原則1/2だが、中小企業基本法上の「小規模企業者」に該当する場合は2/3。補助上限は原則800万円で、賃上げ要件(事業場内最低賃金+50円以上の達成)を満たす計画なら1,000万円に引き上がる。

注意点が2つある。第一に、クロージング完了後でないと申請できない。第二に、専門家活用類型(単独申請)と同一公募回での申請は不可。「まず専門家活用類型で計画を固め、翌公募回で事業統合投資類型に申請」という2段階戦略が現実的な流れだ。

AIシステム導入(会計システム統合、顧客データ基盤、業務マニュアルのナレッジ統合等)は事業統合投資類型の対象経費に含まれる。M&A後のDX推進として使える枠として注目が高い。

申請前に揃えておく書類チェックリスト

PMI推進枠は一般的な補助金より必要書類が多い。特に「M&Aが実際に行われた」ことを証明する書類が複数必要で、取得に時間がかかるものも含まれる。公募開始の1〜2ヶ月前から準備を始めたい。

全申請者共通

  • GビズIDプライムアカウント(未取得の場合、発行に1〜3週間かかる)
  • 履歴事項全部証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
  • 直近3期分の決算書(貸借対照表・損益計算書)
  • 常時使用する従業員の労働条件通知書(1名分)
  • PMI事業計画書(申請書フォーム内で作成)

M&A実施証明(必須)

  • 最終契約書の写し(株式譲渡契約書・事業譲渡契約書等)
  • クロージング完了の証明書類(株式引渡し証明、登記変更書類等)
  • 基本合意書(LOI)の写し(同時申請の場合)

DD実施証明(必須)

  • DDレポートの写し、またはDD実施の委託契約書
  • 専門家(公認会計士・税理士・弁護士等)に依頼した場合は請求書も

見積書(事業統合投資類型のみ)

  • 導入するシステム・設備の見積書(原則2者以上から取得)
  • 1社のみの場合はその理由を申請書に記載

「相見積2者以上」は実務でよく見落とされる要件だ。仕様が固まり切る前の早い段階から複数のベンダーに声をかけておくと後が楽になる。

Step別の申請手順——GビズID取得から交付まで

Step 1: GビズIDプライムの取得(所要1〜3週間)

jGrantsでの電子申請にGビズIDプライムが必須。法人は印鑑証明書が必要で、書類の郵送・返送に時間がかかる。混雑期は3週間程度かかることもある。公募開始の1ヶ月以上前に申請しておくのが安全だ。

→ GビズIDの取得手順はGビズID登録の完全ガイドで解説している。

Step 2: PMI事業計画の策定(所要2〜4週間)

審査で最も重視されるのがこの計画書だ。記載すべき要素は以下の4つ。

  1. PMIの課題(Before): 「2社のシステムが別々で月100時間の二重入力が発生」等、数値で示す
  2. 実施する施策: 何をするか、誰が担当するか、いつまでにやるか
  3. 期待効果(After): 「月100時間→20時間(80%削減)」のようなKPIで示す
  4. 費用の内訳: 何にいくら使うか、対象経費に該当することを説明

ここで数字を曖昧にすると採択率が下がる。「業務効率が向上する」ではなく、測定可能な目標値を設定すること。

Step 3: 書類収集と見積取得(所要1〜2週間)

上記チェックリストに沿って書類を揃える。事業統合投資類型の場合は、2者以上からの見積書も取得する。DDレポートは書類として添付できる状態にしておく。

Step 4: jGrantsで申請書の作成・提出

jGrantsにログイン(GビズIDでサインイン)し、「事業承継・M&A補助金」を選択して申請書を作成。添付ファイルはパスワードなしのPDF形式で提出する。申請期間の直前は混雑するため、締切1週間前を目安に提出準備を完了させることを推奨する。

Step 5: 採択通知・交付申請(採択後2〜4週間)

採択通知が来ても、すぐに事業を開始してはいけない。採択後は交付申請を提出し、交付決定通知を受け取ってから発注・契約を行う。採択≠交付決定であることを必ず確認すること。

Step 6: 事業実施(補助事業期間内)

クロージング日から1年以内に補助対象のPMI活動を実施する。外部専門家との契約、システム構築、設備購入等はすべて補助事業期間内に検収まで完了させること。

Step 7: 実績報告・補助金交付

事業完了後に実績報告書と証拠書類(請求書・領収書・契約書等)を提出する。事務局の審査が通れば補助金が交付される(後払い)。賃上げ要件を申告している場合は、この時点で賃金台帳の提出も求められる。

採択率と審査の着眼点

第13次公募 PMI推進枠の採択実績

公募回 申請件数 採択件数 採択率
第13次(2025年10〜11月) 32件 19件 約59.4%

出典: 事業承継・M&A補助金 公式サイト 採択結果(参照日: 2026-04-28)

採択率約59%という数字は、他の補助金(ものづくり補助金の一般型が概ね50〜60%程度)と比較して決して低くない。申請件数が32件と少ないため、倍率が低く狙い目の枠だともいえる。

審査では主に以下の点が評価される。

  • PMIの目的・必要性: M&Aのシナジー実現とPMI施策が論理的につながっているか
  • PMI集中実施期の計画の適切性: 補助事業期間内に実行可能な計画になっているか
  • PMIによる効果(シナジー)・地域経済への影響: 数値目標の具体性と地域貢献

審査で評価されやすい申請書の3要素

1. Before/Afterの数値化: 「受注管理システムが2系統あり月100時間の二重入力→統合後20時間」のように定量化されているか。数字のない申請書は審査委員の記憶に残らない。

2. M&A戦略とPMI施策の一貫性: 「なぜこのM&Aを行ったか」→「どんな課題がPMIで残るか」→「補助金で何を解決するか」という論理の流れが通っていること。PMI施策が付け焼き刃に見えると採点が下がる。

3. 実施体制の具体性: 誰が・いつまでに・何をするかが書かれているか。外注する場合はベンダーの実績・提案書も添付できると評価が上がる。

申請でよくある不備と落とし穴

不備1: 交付決定前に発注してしまう

❌ 採択通知が来たらすぐにシステム開発を発注する
⭕ 交付決定通知を受け取ってから発注・契約する

採択≠交付決定。採択後も交付申請の審査があり、交付決定までに2〜4週間かかる。この期間に動いた経費は一切補助対象外になる。補助金事業で最も多い失敗パターンだ。

不備2: DDなしでM&Aを成立させている

❌ 「DDは省略した」「簡単な調査だけやった」
⭕ 公認会計士・弁護士等の専門家によるDDを実施し、レポートを保存している

DDを実施したことの証明書類(DDレポートまたは委託契約書)が必要。書類が残っていない場合、申請資格自体がない。

不備3: 見積書が1社しかない

❌ 長年取引しているITベンダー1社にだけ見積もりを依頼する
⭕ 原則2者以上から見積書を取得する(1社のみの場合は理由を記載)

2者見積もりは補助金申請の基本中の基本だが、PMI推進枠のように「早期に事業を進めたい」状況では抜けやすい。仕様書の段階から複数社に声をかけておくことが現実的な対策だ。

不備4: PMI計画の数値目標が曖昧

❌ 「業務効率が向上する予定」「シナジーを発揮する」
⭕ 「受注管理工数を月100時間→20時間(80%削減)」「顧客提案数を3件→8件(2.7倍)」

審査委員は数十〜数百件の申請書を読む。曖昧な表現は記憶に残らない。期間・測定方法・目標値の3点セットで数字を示すこと。

他の枠との使い分けと組み合わせ戦略

事業承継・M&A補助金は4つの枠で構成されており、M&Aの各フェーズで対応している。PMI推進枠はその最後の「実行」フェーズを担う枠だ。

枠名 フェーズ 補助上限額
事業承継促進枠 承継前(親族・社内承継) 800万円〜1,000万円
専門家活用枠(買い手) M&A実行前(DD・仲介費) 600万円
PMI専門家活用類型 M&A後(統合専門家費) 150万円
PMI事業統合投資類型 M&A後(設備・システム投資) 800万円〜1,000万円

PMI専門家活用類型と事業統合投資類型は同一公募回での同時申請不可。「まず専門家活用類型で統合計画を固め(第N次)、次の公募回で事業統合投資類型に申請(第N+1次)」という2段階の戦略が現実的だ。

廃業・再チャレンジ枠との組み合わせは可能で、PMI推進枠に廃業費300万円を上乗せして申請することも認められている。M&A後に被承継者側の一部事業を整理する場合に活用できる。

今すぐ始める申請準備の3ステップ

第14次公募(2026年2月27日〜4月3日)は申請受付を終了しており、現在は採択審査中だ。次回公募の開始時期は未公表だが、過去の傾向から半年〜1年以内に実施される可能性が高い。今の「待機期間」を準備に使うことが採択率向上の鍵になる。

今すぐやること: GビズIDプライムの取得申請(→ GビズIDの取得手順はこちら

今週中にやること: 自社M&Aの課題を数値で書き出す。「統合前の月次工数」「重複している業務プロセス」「2社間で統一できていないシステム」を洗い出す。

今月中にやること: 公式サイトで最新の公募情報を確認し、次回公募の準備スケジュールを立てる。PMIに関わる専門家・ITベンダーの候補をリストアップしておく。

PMIの申請書作成や事業計画策定でお悩みなら、AI導入・DX推進の観点でお気軽にお問い合わせください。どの補助金が自社に合うか分からない場合も、整理をお手伝いします。

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参考・出典

本記事の情報は2026年4月28日時点の公募要領等に基づく参考情報です。制度内容は予告なく変更される場合があります。申請にあたっては必ず公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。

この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。

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