ものづくり補助金

新事業進出×ものづくり補助金統合の全貌

新事業進出×ものづくり補助金統合の全貌

この記事の結論

新事業進出補助金が第4回で最終、ものづくり補助金と統合へ。変更点を完全解説。

2026年度、中小企業の設備投資と新事業展開を支えてきた2本柱が一つになる。「新事業進出補助金」と「ものづくり補助金」の統合だ。

新事業進出補助金は第4回(2026年5月〜6月申請)をもって現行制度での最終公募を迎える。ものづくり補助金も第23次(2026年4月〜5月申請)が区切りとなり、両制度は令和8年度後半から「新事業進出・ものづくり補助金」として生まれ変わる。

「今のうちに旧制度で申請すべきか」「新制度まで待つべきか」——この記事では統合の全貌と、企業が取るべき判断を整理する。


状況 推奨される選択 理由
既存技術の深化・設備更新が主目的 ものづくり補助金(第23次)で今すぐ申請 新制度の類型①は要件が厳格化の見込み。現行制度が通りやすい
新市場への大型投資(2,500万円以上)を計画 新事業進出補助金(第4回)で申請 最大9,000万円の上限は現行制度ならでは
輸出体制強化・海外展開を視野に 新制度(統合後)まで準備 新制度の類型③(海外市場開拓)が新設される
革新性・賃上げ要件をしっかり満たせる 新制度で申請(6月公募開始予定) 一本化で審査基準が整合される

各補助金の詳細な比較については、AI導入に使える補助金5選 徹底比較もあわせてご覧ください。

現行2制度の基本データ

新事業進出補助金(第4回・最終)

項目 内容
制度名 中小企業新事業進出補助金(第4回公募)
所管省庁 中小企業庁
補助率 1/2(地域別最低賃金引上げ特例時: 2/3)
補助上限(従業員20人以下) 2,500万円(賃上げ特例: 3,000万円)
補助上限(21〜50人) 4,000万円(賃上げ特例: 5,000万円)
補助上限(51〜100人) 5,500万円(賃上げ特例: 7,000万円)
補助上限(101人以上) 7,000万円(賃上げ特例: 9,000万円)
補助下限 750万円
申請受付期間 2026年5月19日〜6月19日18:00(第4回)
採択発表予定 2026年9月頃
公式サイト 中小企業新事業進出補助金事務局

ものづくり補助金(第23次)

項目 内容
制度名 ものづくり・商業・サービス補助金(第23次)
所管省庁 中小企業庁
補助率 1/2(小規模・再生事業者: 2/3)
補助上限(5人以下) 750万円(大幅賃上げ時850万円)
補助上限(6〜20人) 1,000万円(同1,250万円)
補助上限(21〜50人) 1,500万円(同2,500万円)
補助上限(51人以上) 2,500万円(同3,500万円)
公式サイト ものづくり補助金事務局

統合後「新事業進出・ものづくり補助金」の3類型を比較する

統合後の新制度は3つの類型に整理される。現行2制度の機能を「深化型」「進出型」「海外展開型」に再分類したイメージだ。

類型 対象 補助率 上限(5人以下) 上限(51人以上) 旧制度との対応
類型① 技術的革新性 革新的な製品開発・生産プロセス改善 1/2(小規模2/3) 750万円 2,500万円 ものづくり補助金の後継
類型② 新事業進出 既存事業外の新市場・高付加価値事業 1/2〜2/3 2,500万円(20人以下) 7,000万円(101人以上) 新事業進出補助金の後継
類型③ 海外市場開拓 輸出体制強化・国内拠点整備 1/2〜2/3 2,500万円(20人以下) 7,000万円(101人以上) 新規追加類型

出典:新事業進出・ものづくり補助金 詳細解説(参照日: 2026-04-07)

大幅賃上げ特例(給与支給総額の年平均成長率6%以上、かつ地域最低賃金+50円以上)を満たすと、補助上限額が最大2,000万円上乗せされる。

基本要件の変化 — 新制度で厳格化される点

統合後の新制度は現行のものづくり補助金より「事業の成果目標」が明確化されている。補助事業終了後3〜5年で以下の全要件を達成することが求められる。

要件 目標値 現行制度との違い
付加価値額の年平均成長率 4.0%以上 現行も類似要件あり
1人あたり給与支給総額の年平均成長率 3.5%以上 現行より厳しい見込み
事業場内最低賃金 都道府県別最低賃金+30円以上維持 現行も類似要件あり
職場環境改善の組織的取り組み 取り組みの実施 新設要件

正直なところ、賃上げ3.5%という水準を3〜5年連続で達成するのは中小企業にとって容易ではない。「採択されたが要件未達で返還リスクが生じた」という事態を避けるため、申請前に自社の賃金推移と事業計画の現実性を慎重に確認してほしい。

対象経費の比較 — 類型によって使える経費が変わる

経費区分 類型① 類型② 類型③ 旧ものづくり 旧新事業進出
機械装置・システム構築費
建物費(店舗改装・工場改修)
技術導入費・特許使用料
外注費(試作・設計)
広告宣伝費 限定的
海外旅費・通訳・翻訳費 限定的

AI・DXシステムの導入は「機械装置・システム構築費」として3類型すべてで対象になる。AIを活用した生産性向上や新サービス開発を計画している場合、どの類型に申請するかによって使える経費の幅が変わる点を確認しておいてほしい。

申請スケジュール — 旧2制度の最終公募と新制度の開始時期

マイルストーン 時期 対象制度
ものづくり補助金 第23次 申請受付 2026年4月〜5月頃 現行ものづくり補助金
新事業進出補助金 第4回 申請受付 2026年5月19日〜6月19日 現行新事業進出補助金(最終)
新事業進出補助金 第4回 採択発表 2026年9月頃(予定) 現行新事業進出補助金
新事業進出・ものづくり補助金 公募開始 2026年6月頃(予定) 統合新制度
新事業進出・ものづくり補助金 申請受付開始 2026年8月頃(予定) 統合新制度
採択予定件数 6,000件程度(3回分合計) 統合新制度

出典:補助金ポータル 新事業進出・ものづくり補助金解説(参照日: 2026-04-07)、起業の「わからない」を「できる」に(参照日: 2026-04-07)

重要な注意点として、統合新制度の詳細な公募要領は2026年6月の公募開始まで公表されていない。上記スケジュールや補助内容は現時点で判明している情報をまとめたものであり、公式発表で変更される可能性がある。申請を検討している方は中小企業基盤整備機構の公募スケジュールページを定期確認してほしい。

制度選びの落とし穴 — 混乱しやすいポイント

落とし穴1: 旧制度と新制度で申請タイミングが重複する

❌ 「旧制度で5月に申請しながら、新制度でも8月に申請する」(同一事業での二重申請)
⭕ 旧制度の採択状況を確認してから、補助対象期間が重ならない別事業計画で新制度に申請する

同一の設備投資・事業計画に対して2つの補助金を申請することはできない。旧制度の第4回(6月締切)と新制度の第1回(8月申請開始予定)が近い時期に重なるため、計画の切り分けが重要になる。

落とし穴2: 類型①と類型②の境界が曖昧

❌ 「新しい製品を作るから類型②(新事業進出)」と思い込んで申請する
⭕ 「既存技術の延長線上の改良=類型①」「既存事業の枠を超えた全く新しい市場進出=類型②」で区分する

類型①は補助上限が低い分、審査基準が比較的シンプルだ。類型②は大型補助が狙えるが、「既存事業と明確に異なる新規性」を計画書で示せないと採択されにくい。

落とし穴3: 賃上げ要件を達成できないのに特例を申請する

❌ 「補助上限を増やすために」大幅賃上げ要件(給与6%以上増、最低賃金+50円)を申請する
⭕ 過去3期の賃金推移と今後の事業計画を照らし合わせ、確実に達成できる場合のみ申請する

採択後に要件を達成できなかった場合、補助金の返還が求められる。「採択率を上げるために特例を付ける」という考えは危険だ。

落とし穴4: 「新制度が出るまで待つ」のが正解とは限らない

❌ 「新制度の方が条件が整うはず」と現行制度の申請機会を見送る
⭕ 今の事業課題に対応できる現行制度があれば、待機コストを考慮した上で判断する

新制度は詳細が未公表の部分が多い。要件が厳しくなる可能性もある。設備の老朽化対応や直近の受注増への対応が急がれる場合は、現行制度での申請を優先することも一つの判断だ。

AIシステム導入にどの類型を使うべきか

統合後の新制度でAIを活用したシステム導入を補助金でカバーするなら、事業の内容によって類型が変わる。

  • 既存製品の製造工程にAI画像検査を導入 → 類型①(技術的革新性のある生産プロセス改善)
  • AIを使った新たな顧客向けサービスを立ち上げ(既存事業と異なる) → 類型②(新市場への高付加価値事業進出)
  • AIを使った海外向け製品の品質管理体制構築 → 類型③(海外市場開拓に向けた国内拠点整備)

どの類型に該当するかは計画書の書き方でも変わるため、申請前に認定経営革新等支援機関(認定支援機関)に相談することをお勧めする。認定支援機関の選び方については認定経営革新等支援機関の選び方5つの基準を参照してほしい。

今から準備できること — 新制度の公募要領が出るまでの間に

新制度の公募要領は2026年6月以降の公表が見込まれる。それまでの期間で以下の準備を進めておくと、公募開始後にスムーズに動ける。

  1. GビズIDプライムの取得(未取得の場合は1〜2週間かかるため今すぐ)
  2. 自社の事業計画の骨格を固める(何を開発・導入するか、どんな成果を目指すか、数値目標の仮設定)
  3. 認定支援機関の選定(新制度でも認定支援機関の確認書が必要になる可能性が高い)
  4. 自社の賃金推移の確認(過去3期分の賃金データを整理し、賃上げ特例の適用可能性を判断)
  5. 設備・システムの見積取得(概算レベルでOK。補助上限に対して費用規模が合っているか確認)

ものづくり補助金の申請経験がある方は、第23次で採択された実績があると新制度への移行もスムーズになる可能性がある。過去の申請書類を社内に保管しておくことも有用だ。

まとめ — 補助金活用の時間軸で考える

新事業進出補助金とものづくり補助金の統合は、中小企業の成長投資支援を一本化する大きな制度改革だ。現行制度での最終公募(新事業進出第4回: 6月締切、ものづくり第23次: 4〜5月頃)と新制度の公募開始(8月頃)が短期間に重なるため、今年の補助金活用計画は慎重に時間軸を整理してほしい。

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参考・出典


※ この記事は2026年4月7日時点の公開情報に基づいています。最新情報は各制度の公式サイトをご確認ください。補助金の申請・採択を保証するものではありません。

この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。

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