新事業進出補助金

【2026年8月公募開始】新事業進出・ものづくり統合補助金|事前準備ガイド

【2026年8月公募開始】新事業進出・ものづくり統合補助金|事前準備ガイド

この記事の結論

2026年8月公募開始予定の新事業進出・ものづくり統合補助金。3つの申請枠の選び方から事業計画書の書き方、書類準備まで、公募要領公開前の今すぐやるべき準備を完全ガイド。

統合で何が変わるのか——まず押さえるべき3つのポイント

2026年度(令和8年度)、中小企業向け補助金の地図が大きく塗り替わる。従来は別々に運用されてきたものづくり補助金「新事業進出補助金」が統合され、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として8月から新たな公募が始まる予定だ。

予算規模は約2,960億円、採択見込件数は約6,000件と過去最大級。統合によって申請枠は3つに再編され、グローバル枠の上限額は最大7,000万円〜9,000万円へと大幅に拡充される見込みだ。

ぶっちゃけ、6月末の今が正念場。公募要領が公開されてからでは、質の高い事業計画書を書くには時間が足りない。この記事では、8月の申請開始までに今すぐやるべき準備を、3つの枠の選び方から事業計画書の骨子づくりまで、実務ベースで整理する。

まずこれだけ確認——申請の前提条件をクリアしているか

申請を考える前に、自社が対象になるかをざっくりチェックしておこう。

  • 中小企業・小規模事業者であること:業種ごとに資本金・従業員数の基準がある(製造業は300人以下または資本金3億円以下など)
  • 新規性があること:単なる設備更新ではNG。「既存事業とは異なる市場・分野」への進出、あるいは「革新的な製品・サービスの開発」である必要がある
  • GビズIDプライムを取得済みか:未取得なら今日中に申請を。発行まで2〜3週間かかる
  • 付加価値額の年平均成長率4%以上を事業計画で達成できる見込みがあること
  • 給与支給総額の年平均成長率3.5%以上をコミットできること
  • 最低賃金の引き上げ職場環境改善の行動計画策定・公表も必須

ひとつでも「まだ」があれば、今日から動き始めるのが得策だ。申請書を書く前に、まず土台を固める。

旧制度との違いをざっくり理解する

統合前と統合後で何が変わるのか、混乱している人も多い。要点を表にまとめた。

項目 旧制度(〜2026年6月) 新制度(2026年8月〜)
制度名 ものづくり補助金/新事業進出補助金(別々) 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(統合)
申請枠 各制度で複数枠(類型・コース) 3枠(革新的新製品・サービス/新事業進出/グローバル)
グローバル枠 一部制度で海外展開類型あり 独立したグローバル枠として大幅拡充
上限額 3,000万円〜9,000万円(制度・枠による) 最大7,000万円〜9,000万円(グローバル枠大幅UP)
補助率 1/2〜2/3 1/2(小規模2/3)※大幅賃上げ特例あり
公募頻度 年3〜4回(制度ごと) 年3回程度(統一スケジュール)

最大の変更点は、海外展開に特化したグローバル枠の新設と、申請窓口の一本化だ。これまで「ものづくり補助金と新事業進出補助金のどちらがいいのか」と迷っていた企業にとっては、制度選びのハードルが下がったとも言える。

Step 1: 狙う枠を1つに絞る——3つの枠の戦略的な選び方

統合後の新制度は3つの申請枠で構成される。それぞれ特徴がまったく違うので、まずはどの枠で勝負するかを決めるのが最優先だ。

① 革新的新製品・サービス枠——技術力で勝負する

旧ものづくり補助金に最も近い枠。自社のコア技術を活かして、市場にない新しい製品やサービスを開発したい企業向け。

  • 向いている企業:研究開発型の製造業、独自技術を持つIT企業
  • 補助率:1/2(小規模事業者は2/3)
  • 対象経費:機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、クラウド利用費
  • 審査のポイント:技術的優位性と市場性の両立。試作・実証データがあると強い

② 新事業進出枠——事業ポートフォリオを変える

既存事業とは異なる新市場・新分野への進出を支援する枠。旧新事業進出補助金の後継で、業態転換や第2の柱づくりを考えている企業にフィットする。

  • 向いている企業:新規事業部門を立ち上げたい中堅中小企業、BtoCからBtoBへ展開したい企業
  • 補助率:1/2(小規模事業者・再生事業者は2/3)
  • 上限額:2,500万円〜(事業規模により変動)
  • 特記事項:建物・構築物費も対象経費に含まれる可能性がある(要領で要確認)

③ グローバル枠——海外展開で一気にスケールする

今回の統合で最も注目すべき枠。上限額が従来の3,000万円程度から最大7,000万円〜9,000万円へ大幅に引き上げられる見込みで、海外市場への本格進出を後押しする。

  • 向いている企業:輸出拡大を狙う製造業、越境ECを展開したい企業
  • 対象経費:機械装置費に加え、海外旅費・通訳翻訳費・海外広告宣伝費も対象
  • 補助率:1/2
  • 注意点:海外事業計画の具体性が問われる。取引先候補や販路の目処が立っていることが前提

枠の選び方の鉄則:あれもこれもと欲張らず、自社の強みが最も活きる1枠に集中すること。複数枠への同時申請はできない。

Step 2: 事業計画書の骨子を今から書く——審査突破に必要な5つの柱

事業計画書は採択の7〜8割を決める最重要書類だ。公募要領が公開されてから慌てて書き始めても、締切までの1〜2ヶ月では到底間に合わない。以下の5つの柱を、今週中にA4用紙1枚分で叩き台としてまとめておく。

柱1: 自社の「なぜ今、この事業なのか」を言語化する

審査員が最初に見るのはここ。市場環境の変化、自社の強み、機会のタイミングを論理的に説明する。単なる「儲かりそうだから」では通らない。

書くべきこと:業界の構造変化(具体的なデータ付き)、自社の独自資源(技術・人材・顧客基盤)、なぜ今がタイミングなのか(時限性の根拠)

柱2: 新規性・革新性を具体的に定義する

「新しいことをやります」だけでは弱い。何が・どの程度・既存とどう違うのかを明確に。できれば先行事例や競合との比較を入れると説得力が増す。

柱3: 付加価値額の年平均成長率4%以上を数字で裏付ける

これは必須のKPI。売上高ではなく付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)で計算する点に注意。3〜5年分の計画を、実現可能な前提条件付きで示す。

項目 基準年 1年目 2年目 3年目
付加価値額 ○億円 ○億円 ○億円 ○億円
成長率 +○% +○% +○%(平均4%超)

柱4: 給与支給総額3.5%以上成長の実現シナリオ

賃上げ計画は本気度が試される。単に「上げます」ではなく、どの職種で・いつ・いくら上げるかを明示する。大幅賃上げ(例:事業場内最低賃金+45円以上)で補助上限が引き上げられる特例もある。

柱5: 投資の内訳と資金調達計画

導入する機械・システムの候補を3〜5案挙げ、概算見積もりを取れる範囲で取っておく。自己資金と補助金の割合、金融機関からの借入予定も明記する。

Step 3: 基礎書類をかき集める——意外と時間がかかる行政書類

事業計画書と並行して、今すぐ取りかかれる事務作業がある。これらは待っていても準備できないので、早めに片付けておく。

  • 直近2〜3期分の決算書(貸借対照表・損益計算書・製造原価報告書)
  • 登記簿謄本(登記事項証明書):法務局で取得。オンライン申請も可
  • 納税証明書(その2・その3):税務署で取得。発行まで1〜2週間
  • 会社概要書(パンフレット・事業内容がわかる資料)
  • GビズIDプライムのアカウント:https://gbiz-id.go.jp/top/から申請

正直、この書類集めだけで2〜3週間は見ておいたほうがいい。特に納税証明書はオンライン請求できないケースもあるので注意。

補足すると、納税証明書(その2・その3)は税務署の窓口か郵送で請求する必要があり、発行まで1〜2週間かかることが多い。また登記事項証明書は法務局のオンライン請求(登記ねっと)を使えば最短2〜3日で入手できるが、事前に利用者登録が必要だ。これらの行政手続きは申請書を書く前に片付けておくべきタスク。書類が揃っていないと申請画面で詰んでしまう。

Step 4: 過去の採択事例を研究する——勝ちパターンを盗む

統合初年度とはいえ、個別の採択事例には共通の「勝ちパターン」がある。旧ものづくり補助金・旧新事業進出補助金の直近の採択事例を5件以上読み込み、以下の観点で分析する。

  • 事業計画書の「課題認識」部分はどのような切り口か
  • 数値目標の具体性のレベル(どこまで細かく書いているか)
  • 実施体制の書き方(外部連携の記載の有無)
  • 新規性をどう表現しているか

公式の採択事例は補助金活用ナビの事例ページや旧各事務局サイトで公開されている。分析結果を自社の事業計画書に反映させよう。

Step 5: 外部の目を入れる——専門家の壁打ちで穴を塞ぐ

ひとりで書いた事業計画書は、詰めが甘くなりがち。以下のリソースを活用して、第三者の視点を早めに入れる。

  • 商工会議所・商工会の無料相談:地域の経営指導員が制度の基本を教えてくれる
  • 認定支援機関(中小企業診断士・行政書士):補助金申請の専門家。事業計画のブラッシュアップから申請書作成支援まで
  • よろず支援拠点:各都道府県に設置。無料でセカンドオピニオンが得られる

特に「この市場は本当に成長するのか」「数値計画に無理はないか」といった根本的な問いに対して、遠慮なく指摘してくれる相手を見つけることが重要だ。

書類作成でよくある不備——統合初年度こそ気をつけたい落とし穴

不備1: 古い様式で書いてしまう

❌ 旧ものづくり補助金や旧新事業進出補助金の様式を流用する
⭕ 統合後の新様式を公募要領公開後に必ず確認し、最新フォーマットで作成する

統合初年度は様式が大幅に変わる可能性が高い。旧制度のテンプレートは参考程度に留め、必ず新要領の様式を使うこと。

不備2: 「新規性」が単なる設備更新になってしまう

❌ 「老朽化した工作機械を最新のAI搭載機に入れ替えます」
⭕ 「AI搭載機の導入により、これまで不可能だった0.1mm精度の微細加工を受託し、医療機器分野へ新規参入します」

審査員が見たいのは「設備更新」ではなく「事業変革」。導入後の事業が今とどう変わるのかを明確に書く。

不備3: 付加価値額の計算方法を間違える

❌ 売上高成長率だけで計画を立てる
⭕ 付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費で計算し、3年で年平均4%以上を達成する計画を示す

補助金審査で見られるのは売上ではなく付加価値額。計算式を理解していない事業計画書は一発で不備扱いになる。

不備4: 実施体制が社長ひとり

❌ 「代表取締役がプロジェクトを統括します」(担当者1名のみ)
⭕ 「プロジェクトリーダー:営業部長、技術統括:製造課長、外部支援:ITベンダーA社、顧問:中小企業診断士B氏」

数千万円の補助事業をひとりで回せるはずがない——これが審査員の本音。社内外の役割分担を具体的に書くことで実現可能性を示す。

不備5: 賃上げ計画が抽象的すぎる

❌ 「業績向上に応じて給与を引き上げます」
⭕ 「事業場内最低賃金を現行1,050円から1,100円へ(+50円、2027年4月実施)。全従業員の給与支給総額を基準年比3.5%以上増」

いつ・いくら・誰に対して——この3要素を具体的に書かないと加点どころか要件未達で門前払いだ。

審査で加点される3つのポイント——統合初年度の狙い目

統合初年度の公募は、審査の傾向がまだ読めない反面、制度の趣旨を正しく理解した事業計画が目立ちやすいというメリットもある。以下の加点要素を押さえて差をつけよう。

加点1: 大幅賃上げで補助上限アップを狙う

事業場内最低賃金を+45円以上引き上げる計画を盛り込むと、補助上限が引き上げられる特例がある。人件費の増加は事業計画上はコスト増に見えるが、むしろ積極的に書くことで審査上の評価が上がる

加点2: 大学・研究機関との連携を明記する

産学連携は審査で明確な加点要素。連携先の大学・高専・公設試と具体的にどのような共同研究・技術指導を受けるかを明記する。連携の覚書(MOU)の締結予定があればさらに強い。

加点3: DX・GX要素を事業計画に織り込む

AI導入やデータ活用による生産性向上、カーボンニュートランへの対応を事業計画に盛り込むと加点されやすい。とくに製造業の場合、AI検品・IoTによる工程管理・デジタルツインといったキーワードを、単なる飾りではなく具体的な投資計画として書くことがポイントだ。

事前準備で多い質問——みんなが躓くポイント

Q: 公募要領がまだ出ていないのに、今から準備しても無駄では?

答えはノー。公募要領で変わるのは主に様式と細かい審査基準であって、事業計画書の骨子——課題分析、市場調査、数値計画、実施体制——の部分は制度が変わっても必要だ。要領公開後にゼロから書き始めると、締切までに間に合わないケースが多い。

Q: 3つの枠のうち、どれが一番通りやすい?

現時点では断言できないが、過去の傾向から言えばグローバル枠は挑戦者が少なく穴場の可能性がある。ただし海外展開の実績や具体的な取引先候補がないと計画の説得力が弱いので、準備のハードルは高い。まずは自社の強みと最もマッチする枠を選ぶのが鉄則だ。

Q: 補助金が不採択だった場合、同じ内容で再申請できる?

できる。ただし不採択理由を踏まえて事業計画書をブラッシュアップすることが前提。審査コメントは非公開だが、認定支援機関に相談すれば、採択事例との差分から改善点を推測できる。初回不採択→改善→2回目採択のパターンは実際に多い。

8月の公募開始までのカウントダウン——今週やること、来月までにやること

最後に、いつ何をすればいいかを時系列で整理しておく。プリントアウトして壁に貼っておくくらいの気持ちで。

時期 やること 所要時間の目安
今週中(6月末) 狙う枠の決定、GビズID申請、事業計画骨子A4 1枚作成 3〜5時間
7月上旬 基礎書類の収集(決算書・登記簿・納税証明書)、概算見積もり依頼 5〜10時間
7月中旬 公募要領を読み込み、事業計画書の詳細版作成。専門家に壁打ち依頼 15〜25時間
7月下旬 事業計画書の最終ブラッシュアップ。電子申請システムの操作確認 10〜15時間
8月 公募開始後、速やかに申請。jGrants経由で電子申請 2〜3時間(入力作業)

合計で35〜55時間の準備時間を見込んでおきたい。週20時間の工数を確保できるなら2〜3週間、週5時間なら2ヶ月以上かかる計算だ。今すぐ動き始める理由がここにある。

補助金申請は早い者勝ちではない——これは多くの申請経験者が口を揃えて言うことだ。むしろ、準備不足で突っ込んで不採択になるより、1回見送って事業計画を練り直し、次の公募回で万全の状態で出すほうが現実的な戦略と言える。統合初年度の第1回公募は、制度の趣旨を正しく理解した本気の事業計画が評価されやすい。焦らず、でも手を止めず——そのバランスが採択を引き寄せる。

参考・出典

本記事の内容は2026年6月27日時点の情報に基づきます。統合後の新制度の詳細は、2026年6月〜7月に公開予定の公募要領で正式に確定します。申請を検討される際は、必ず事務局の公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。

執筆: 株式会社Uravation 補助金ナビ編集部
監修: 佐藤 傑(株式会社Uravation 代表取締役)

100社以上のAI研修・導入支援実績をもとに、中小企業の補助金活用×事業戦略策定をトータルでサポートしています。AI導入の計画策定や補助金活用についてのご質問は、お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

本記事の情報は参考情報であり、申請の結果について一切の責任を負いません。補助金の申請手続きそのものは、必要に応じて認定支援機関(中小企業診断士・行政書士等)にご相談ください。当社はAI導入・DX投資計画の整理をサポートします。

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この記事の執筆・運営

佐藤 傑 株式会社Uravation 代表取締役CEO

生成AI研修・AI導入コンサルティングの株式会社Uravation代表。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。法人向けAI研修の受講者4,000名以上、AI導入支援100社以上。

補助金・助成金の金額・要件・締切等は、省庁・自治体の公式公表資料(一次情報)を確認のうえ執筆しています。制度は改定されるため、申請前に必ず公式サイトの最新情報をご確認ください。

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