人材開発支援助成金

【令和8年度拡充】育休中等業務代替支援コース|最大81万円の申請ガイド

【令和8年度拡充】育休中等業務代替支援コース|最大81万円の申請ガイド

この記事の結論

両立支援等助成金「育休中等業務代替支援コース」の令和8年度拡充を徹底解説。手当支給・新規雇用(最大81万円/プラチナくるみん99万円)・時短勤務代替の3類型を比較し、申請フローと不備パターンを具体的に紹介。

育休中の人手不足に頭を抱えている経営者・人事担当者なら、一度は「代わりの人員をどうするか」と悩んだことがあるはずだ。そこに使えるのが、両立支援等助成金の「育休中等業務代替支援コース」だ。令和8年度(2026年度)の拡充で、新規雇用ルートは最大81万円(プラチナくるみん認定事業主は99万円)まで支給額が引き上げられた。

このコースは手当支給・新規雇用・短時間勤務代替の3つの類型があり、それぞれ申請タイミングと書類が異なる。「全コース解説」については【2026年最新】両立支援等助成金の申請方法と全コース完全解説を別記事でまとめているので、ここでは育休中等業務代替支援コース単体にフォーカスして深掘りする。

まずは前年度との差を押さえておきたい。下表は新規雇用ルートの主要変更点だ(2026年6月11日時点、出典:厚生労働省・両立支援等助成金)。

項目 令和7年度 令和8年度
最大支給額(新規雇用) 67.5万円(6か月以上) 81万円(1年以上)
プラチナくるみん認定 82.5万円(6か月以上) 99万円(1年以上)
対象企業(新規雇用) 中小企業等 常時雇用労働者300人以下の企業全体
雇用労働者数要件(手当支給) あり 撤廃(全事業主に拡大)

ポイントは2つ。①新規雇用で代替期間を「1年以上」確保できれば、令和7年度より最大13.5万円多く受け取れる。②手当支給ルートの雇用労働者数要件が撤廃されたため、ごく少人数の会社でも申請しやすくなった。

3つの類型――どれが自社に合うか

このコースには大きく3つの類型がある。育休取得者の規模や補充方法によって使い分けることになる。

類型①:手当支給等(育児休業取得者の業務代替)

既存の従業員が育休取得者の業務をカバーし、その従業員に手当を支給した場合に助成される。就業規則に「業務代替手当」を明記しておく必要がある。

  • 対象:全事業主(令和8年度から雇用労働者数要件撤廃)
  • 育休期間:7日以上(所定労働日3日以上)
  • 業務体制整備経費:5万円(1か月未満は2万円)
  • 業務代替手当:支給額の4分の3(月10万円上限、代替期間12か月まで)
  • プラチナくるみん認定事業主は5分の4

類型②:新規雇用(育休取得者の代替要員を外部採用・派遣受入)

外部から新たに人を採用するか、派遣会社から受け入れるルート。令和8年度の拡充で最も恩恵が大きい類型だ。

  • 対象:常時雇用労働者300人以下の事業主(令和8年度から拡大)

代替期間ごとの支給額(令和8年度)は次のとおり(出典:東京労働局・育休中等業務代替支援コース)。

代替期間 通常額 プラチナくるみん認定
7日以上14日未満 9万円 11万円
14日以上1か月未満 13.5万円 16.5万円
1か月以上3か月未満 27万円 33万円
3か月以上6か月未満 45万円 55万円
6か月以上1年未満 67.5万円 82.5万円
1年以上(令和8年度新設) 81万円 99万円

有期雇用労働者が育休を取得した場合は、代替期間が1か月以上で1名あたり10万円の加算がある。また「両立支援のひろば」で情報公表を行うと2万円(1回限り)の加算も受けられる。

類型③:手当支給等(短時間勤務利用者の業務代替)

育児のために1日1時間以上短縮された時間勤務をしている従業員の業務を、他の従業員が代替した際に手当を支給するルート。子どもが3歳になるまでの期間が対象だ。

  • 対象:全事業主
  • 業務体制整備経費:2万円
  • 業務代替手当:支給額の4分の3(月3万円上限)

「短時間勤務制度」は1日6時間勤務が法定だが、「1日7時間以上の所定労働時間を持つ労働者が1時間以上短縮する場合のみ」という限定条件があるため注意が必要だ。

中小企業3社の活用事例から見えた申請パターン

事例区分:想定シナリオ
以下は100社以上の支援経験をもとに構成した典型的な活用シナリオです。

ケース1:製造業・従業員18名(類型①手当支給)

金属加工を手掛ける小規模工場で、ラインリーダーが産前産後から育休に入った。従業員18名という規模では代替要員を新たに雇う余裕がなく、既存の作業員4名で業務を分担することになった。

就業規則を整備し、代替従業員1名につき月3万円の「業務代替手当」を新たに制度化。育休期間は5か月に及んだため、業務体制整備経費5万円と代替手当の4分の3(月上限10万円)で合計約65万円を受給した。

「就業規則の整備を急いだことで、申請資格に滑り込めた。事前準備がすべてだった」とは支援担当者の言葉だ。

ケース2:IT企業・従業員45名(類型②新規雇用)

Webシステム開発会社でプロジェクトマネージャーが育休を取得。スキルの専門性が高く、既存メンバーだけではカバーが難しいと判断した人事部門が派遣社員を1年2か月受け入れた。

令和8年度の支給額改定で1年以上の代替に81万円が適用され、令和7年度なら67.5万円だったところから13.5万円多く受け取れた計算だ。受給した助成金は新人研修費用に充当した。

ケース3:介護事業者・従業員62名(類型①②の組み合わせ)

介護施設で育休取得者が半年以内に2名発生した。1人目は既存スタッフへの手当支給(類型①)、2人目は非常勤スタッフを新規雇用(類型②)で対応した。1年で合計約120万円を受給し、採用コストの大半を相殺できた。

「制度を知っていたから積極的に育休を認められた。申請ハードルも思ったより低かった」というのがこの事業者の感想だ。

申請前の4つの準備事項――ここを怠ると受給できない

実際に申請しようとして「準備が間に合わなかった」というケースが後を絶たない。手順を間違えると受給がゼロになるので、育休開始前から動くことが鉄則だ。

準備1:就業規則に業務代替手当を規定する

手当支給ルート(類型①③)を使う場合、育休開始前に就業規則または労働協約に「業務代替手当を支給する」旨を明記しなければならない。育休が始まってから規定しても遡及適用は認められない。

✅ 規定例:「育児・介護休業取得者が生じた場合、当該業務を代替する従業員に対し、1人あたり月額○万円を上限に業務代替手当を支給する。」

準備2:育休取得者の育児休業申出書を保管する

申請時に「育児休業申出書」(社内様式可)が必要になる。口頭で育休を承認しただけでは証跡が残らない。書面で申出を受け取り、事業主承認の記録も残しておくこと。

準備3:業務代替体制の確認書類を整備する

「誰が・どの業務を・いつからいつまで代替したか」を示す書類が求められる。シフト表・業務日誌・業務分担表など、実態を証明できるものを日々蓄積しておく。

準備4:新規雇用の場合は原則として育休開始前に採用を完了する

類型②(新規雇用)は、育休取得者の代替として採用することが求められる。育休開始後にゆっくり採用活動をしていると、実際に雇用できるまでの期間が「代替期間」としてカウントされない場合がある。

5ステップの申請フロー

申請の全体像を把握しておけば、担当者が複数でも動きを揃えやすい。

Step 1:就業規則の整備(育休開始前)

業務代替手当の規定を就業規則に追加し、労働者代表への意見聴取・届出(10人以上の事業場)を済ませる。

Step 2:育休の開始(育休取得者の申出・承認)

育児休業申出書を取り交わし、事業主が承認する。育休期間中に代替体制を稼働させながら記録を蓄積する。

Step 3:代替業務の実施と記録

代替従業員への手当支払い(類型①③)または新規雇用者の勤務(類型②)を行う。給与明細・賃金台帳に実績が残るようにする。

Step 4:育休終了・原職復帰後に支給申請

支給申請は、育休取得者が職場復帰し3か月以上継続雇用されてから行う(代替期間が1か月を超える場合)。申請先は事業所の所在地を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)。電子申請(雇用関係助成金ポータル)も利用可能だ(厚生労働省・人材開発支援助成金・各種助成金参照)。

Step 5:審査・支給

書類審査後、問題がなければ助成金が指定口座に振り込まれる。審査に数か月かかるケースもあるため、資金繰り計画に組み込む際は余裕を持った見込みで動くこと。

よくある不備で受給を逃す4パターン

不備1:就業規則の規定が育休後に間に合った

❌ 育休が始まってから急いで就業規則を改訂した
✅ 育休申出が出るより前に規定を完成させ、労基署への届出も済ませた

育休の開始後に規定を作っても、その時点から後の期間しか対象にならない(場合によっては全額対象外になる)。

不備2:代替手当の金額が就業規則の規定を超えた

❌ 規則に「月3万円を上限に支給」と書いたのに月5万円払った
✅ 実際に支給する金額と就業規則の上限を合わせた

助成金の計算基礎は「実際に支給した金額」だが、就業規則の上限を超えた部分は「制度外の支払い」とみなされ不支給になる。

不備3:新規雇用の採用タイミングが遅れた

❌ 育休開始から2か月後にようやく採用できた
✅ 育休開始前後に合わせて採用を完了させた

空白期間は代替期間としてカウントされないため、最大支給額を狙う場合は育休開始と採用開始をなるべく近づける。

不備4:申請書類の記録期間と実態がずれていた

❌ 代替業務の記録を取っておらず、申請時に後付けで作成した
✅ シフト表・業務日誌を日々更新し、実態を証明できる書類を整備した

審査官は書類の整合性を確認する。後から作った記録はすぐに判明する。日常業務の中でリアルタイムに記録を残す習慣を作ることが最大の防御策だ。

類型の組み合わせと上限

育休取得者1名に対して、類型①と類型②を同時に適用することは原則できない。ただし「同一事業所で育休取得者が複数発生した場合」は、それぞれ別の類型を使って申請することが可能だ(ケース3の介護事業者のように)。

なお、プラチナくるみん認定を取得している事業主は支給額の割増がある。くるみん認定の取得自体も別の助成金(育児休業等支援コース)で支援を受けられる場合があるので、全コース解説もあわせて参照されたい。

よくある質問

Q. 1か月未満の育休でも申請できますか?
A. 手当支給ルート(類型①)は7日以上(所定労働日3日以上)の育休取得から対象になります。ただし業務体制整備経費は1か月未満の場合2万円(1か月以上は5万円)となります。

Q. 派遣社員を受け入れた場合も類型②の対象になりますか?
A. なります。「新規雇用」には派遣受け入れも含まれています。ただし対象企業要件(常時雇用労働者300人以下)は満たす必要があります。

Q. 申請はいつまでにすればいいですか?
A. 育休取得者が復職し3か月以上継続雇用されてから申請できます。申請期限は支給要件が満たされた日の翌日から2か月以内(月数により異なる)とされていますが、年度ごとの細則が変わる場合があるため、都道府県労働局に確認してください。

Q. 育休を短期間で繰り返す場合は毎回申請できますか?
A. 同一の育休取得者に対して1回しか申請できません。ただし異なる従業員が育休を取得するたびに申請可能です。

Q. 電子申請できますか?
A. できます。「雇用関係助成金ポータル」から申請可能です。ただし一部の添付書類は郵送対応が必要な場合もあります。都道府県労働局に確認してください。

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参考・出典


受給に向けて今日できる3つの準備

  1. 就業規則を確認する:「業務代替手当」の規定が既に入っているか確認する。なければ次の育休発生前に追加する。
  2. 自社の育休見込みを把握する:今後1〜2年で育休を取りそうな従業員をリストアップし、類型①②③のどれが使えるかを事前に判断しておく。
  3. 都道府県労働局に問い合わせる:支給申請期限や必要書類は年度ごとに細則が変わるため、申請前に管轄の雇用環境・均等部(室)に確認する。厚生労働省の公式ページで窓口を確認できる。

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この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。


免責事項
本記事の情報は2026年6月11日時点の厚生労働省・都道府県労働局の公表資料に基づく参考情報です。助成金の制度内容・支給額・申請要件は予告なく変更される場合があります。申請にあたっては、必ず公式サイトで最新の支給申請の手引きをご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。

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