【2026年】人材開発支援助成金の種類・金額・申請方法を徹底解説
中小企業がAI研修やDXリスキリングを実施した場合、訓練経費の最大75%・賃金助成1,000円/時が支給される制度が人材開発支援助成金です。2026年3月2日には制度改正が施行され、支給対象訓練の拡充と分割支給の導入で、以前より格段に使いやすくなりました。
「AI研修をやりたいけど費用が心配」という中小企業の経営者・人事担当者にとって、この助成金は経費負担を大幅に抑えられる有力な選択肢です。ただし、コースが7つあり、どれを使えばいいか分かりにくいのが正直なところ。この記事では、AI・DX研修に最も関係の深いコースを中心に、金額・要件・申請の流れをまとめます。
—
AI研修・DXリスキリングで受け取れる金額
| コース名 | 経費助成率(中小) | 賃金助成(中小) | 年間上限額 |
|---|---|---|---|
| 事業展開等リスキリング支援コース | 75% | 1,000円/時 | 1億円 |
| 人材育成支援コース(OFF-JT) | 45%(正規)/ 70%(有期) | 800円/時 | 1,000万円 |
| 人への投資促進コース(高度デジタル) | 75% | — | 2,500万円 |
※上記は2026年3月2日改正後の数値です。最新情報は厚生労働省 公式ページをご確認ください。
AI研修・DX研修を実施するなら、まず検討すべきは事業展開等リスキリング支援コースです。経費助成75%・賃金助成1,000円/時・年間上限1億円と、3コースの中で最も手厚い支援が受けられます。ただし「新規事業進出・DX・GXへの取り組み」という要件があるため、既存業務の単なる効率化研修は対象外になるケースがあります。
各補助金制度の詳細な比較は、AI導入に使える補助金5選 徹底比較もあわせてご覧ください。
7つのコース一覧と主な対象
| コース | 主な対象・特徴 | AI研修への適合 |
|---|---|---|
| 人材育成支援コース | Off-JT・OJT付き訓練・有期雇用労働者の正社員化訓練 | △(業務に関連する訓練全般) |
| 教育訓練休暇等付与コース | 長期教育訓練休暇の付与 | △(休暇中の自己研鑽に活用) |
| 人への投資促進コース | 定額制・高度デジタル人材・サブスク型訓練 | ◎(AIスキル習得向け) |
| 事業展開等リスキリング支援コース | DX・GX推進に伴う新分野スキル習得 | ◎(AI・DX研修が最も高助成) |
| 建設労働者認定訓練コース | 建設業向け | ✕ |
| 建設労働者技能実習コース | 建設業向け | ✕ |
| 障害者職業能力開発コース | 障害者の職業能力開発 | — |
AI・DX研修に使える2つのコースの詳細
事業展開等リスキリング支援コース(最推奨)
2022年度に創設され、令和8年度(2026年度)末(2027年3月)まで実施予定の期間限定コース。中小企業のDX・GX推進を強力にバックアップします。
対象となるAI研修の例:
- ChatGPT・生成AI活用研修(業務自動化を目的とするもの)
- Pythonプログラミング・データ分析研修
- AIを活用した製造ラインの改善に向けた技術研修
- クラウド基盤設計・構築のための技術習得研修
経費助成の上限(訓練時間別):
| 訓練時間 | 経費助成上限 |
|---|---|
| 10時間以上100時間未満 | 30万円 |
| 100時間以上200時間未満 | 40万円 |
| 200時間以上 | 50万円 |
要注意点: このコースを使うには「事業展開計画書」の策定が必要です。「なんとなくDX化したい」ではなく、「○○部門のAI導入により△業務の工数を□%削減する」という具体的な計画が求められます。
人への投資促進コース
高度デジタル人材の育成に特化したコースです。2026年度も継続して実施されています。
主な訓練類型:
- 高度デジタル人材訓練: AI・ビッグデータ・IoT分野の高度な技術習得(経費助成75%)
- 定額制訓練: サブスクリプション型のeラーニング(経費助成60%)
- 自発的職業能力開発訓練: 労働者が自ら受講する訓練への支援(経費助成75%)
申請に必要な準備と流れ
Step 1: 雇用保険適用事業所としての確認(事前確認)
人材開発支援助成金を受けるためには、雇用保険の適用事業所であることが前提です。未加入の場合はまずハローワークで手続きが必要です。所要時間: 1週間〜2週間。
Step 2: 訓練計画の策定(訓練実施の1か月前まで)
誰を・いつ・どのような内容で訓練するかを訓練計画として作成します。リスキリング支援コースでは「事業展開計画書」の添付が必要。
ポイント: 訓練内容と自社のDX方針のつながりを明確に書くことが重要です。「AIを学ばせる」ではなく、「AIを使った〇〇業務の改善を実現するための研修」という位置づけが必要です。
Step 3: 訓練計画届の提出(訓練開始日の1か月前まで)
都道府県労働局またはハローワークに訓練計画届を提出します。この届出が受理される前に訓練を開始することは認められていません。
Step 4: 研修の実施
訓練計画に沿ってAI研修を実施します。研修中の出勤管理・タイムカード等の記録は必ず保存してください(支給申請時の証拠として必要です)。
Step 5: 支給申請(訓練終了後2か月以内)
訓練実施後、2か月以内に支給申請書を提出します。2026年3月の改正で分割支給申請が可能になり、長期研修でも途中で助成金を受け取れるようになりました。
Step 6: 支給決定・口座振込
審査通過後、指定口座に助成金が振り込まれます。申請から支給まで概ね2〜4か月が目安です。
よくある不支給事例と対策
不支給事例1: 計画届なしで訓練を開始してしまった
❌ 訓練計画届を提出する前にAI研修を始めてしまった
✅ 訓練計画届が受理されたことを確認してから研修をスタートさせる
「先に研修を受けてから申請すればいい」という理解は大きな誤りです。事前届出が絶対条件です。
不支給事例2: 訓練内容と業務のつながりが不明確
❌ 「ChatGPT研修を社員に受けさせた」(なぜ受けさせたのかが不明)
✅ 「新規AI顧客対応システム構築に向け、○○社員がChatGPT API活用研修(20時間)を受講」
訓練の目的・対象者・内容の3点が明確に書かれていないと審査で弾かれるケースがあります。
不支給事例3: タイムカードや出席記録が不備
❌ eラーニングのログデータを保存していなかった
✅ 訓練期間中の参加記録(タイムカード・受講履歴・署名済み出席簿)を全て保存する
正直なところ、この書類不備による不支給は非常に多いです。研修ベンダーに受講履歴の出力方法を事前に確認しておくことをお勧めします。
不支給事例4: 賃金支払いの遅延
❌ 助成金が受け取れる前に訓練期間中の賃金を未払いにしていた
✅ 訓練期間中も通常通り賃金を支払い、支払い証明(給与明細・振込記録)を保管する
助成金は後払いです。まず事業主が費用を立て替え、後から助成金を受け取る仕組みです。
事業展開等リスキリング支援コースが令和8年度末で終了予定
AI・DX研修に最も手厚いこのコースは、令和8年度(2026年度)末、すなわち2027年3月31日が最終期限とされています(現時点での制度スケジュール)。
AI研修の実施を検討している企業は、今年度中に訓練計画届を提出しておくことが重要です。特に「今年度は研修を計画しているが、来年度の予算で」という先送りは、この制度を利用できなくなるリスクを伴います。
ただし、制度が終了するか延長されるかは、厚生労働省の方針次第です。必ず厚生労働省の公式ページで最新情報を確認してください。
GビズIDは人材開発支援助成金では不要
IT導入補助金やものづくり補助金ではGビズIDが必須ですが、人材開発支援助成金の申請はハローワーク・都道府県労働局への書類提出(電子申請も可)です。GビズIDは原則不要です(一部電子申請システムでは必要な場合あります)。
AI研修費用のシミュレーション例
例えば、従業員10名にChatGPT・生成AI活用研修(1人15時間、研修費用1人あたり15万円)を実施した場合:
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 研修費用合計(10名×15万円) | 150万円 |
| 経費助成(75%) | ▲112.5万円 |
| 賃金助成(1,000円×15時間×10名) | ▲15万円 |
| 実質負担額(目安) | 約22.5万円 |
※上記は概算です。実際の助成額は訓練内容・雇用形態等により異なります。
AI研修の費用を大幅に抑えながら、社内のAI活用能力を高められるのが人材開発支援助成金の最大のメリットです。申請書の書き方については、補助金申請書の書き方完全ガイドもあわせてご参照ください。
今日から始める3つのアクション
- 今日やること: 自社の雇用保険適用事業所番号を確認し、利用するコースを決める(AI研修なら事業展開等リスキリング支援コースが最優先候補)
- 今週中: 研修ベンダー(AI研修会社)に問い合わせ、研修内容と受講履歴の出力方法を確認する
- 今月中: 都道府県労働局またはハローワークに訓練計画届の事前相談を行い、研修開始1か月前までに届出を提出する
AI導入の計画策定や研修ベンダーの選定でお悩みなら、Uravationのお問い合わせフォームからご相談ください。100社以上のAI研修支援実績から、自社に最適な研修プランと助成金活用のアドバイスをお伝えします。
あわせて読みたい:
- AI導入に使える補助金5選 徹底比較 — 人材開発支援助成金と他制度の使い分け
- 補助金申請書の書き方完全ガイド — 採択率を高める7つのポイント
この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。
参考・出典
- 人材開発支援助成金(各コース一覧) — 厚生労働省(参照日: 2026-03-19)
- 人材開発支援助成金 パンフレット(令和8年3月2日版) — 厚生労働省(参照日: 2026-03-19)
- 人材開発支援助成金【最新版】の全6コースを解説 — 補助金ポータル(参照日: 2026-03-19)
免責事項
本記事の情報は2026年3月19日時点の厚生労働省・各都道府県労働局の公表資料に基づく参考情報です。補助金・助成金の制度内容は予告なく変更される場合があります。申請にあたっては、必ず厚生労働省の公式ページで最新の要件をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。