ものづくり補助金

【2026年最新】アプリ・AI開発費が補助対象になる制度ガイド|3制度を徹底比較

【2026年最新】アプリ・AI開発費が補助対象になる制度ガイド|3制度を徹底比較

この記事の結論

中小企業がアプリ・システム・AI開発費を補助金で賄う方法を徹底解説。ものづくり補助金・新事業進出補助金・デジタル化AI導入補助金の3制度で開発費が対象経費になる条件を比較。2026年度の最新スケジュールも掲載。

「アプリやシステムを開発したいが、補助金で費用の一部を賄えないか」——そんな相談が、中小企業の経営者から増えています。受託開発、内製システム、生成AIを使ったサービス開発。どれも費用は小さくなく、数百万円から数千万円規模になることも珍しくありません。

実は補助金によって「対象になる開発の種類」がまったく異なります。既製ツールの導入費しか補助しない制度もあれば、スクラッチ開発や生成AIを使ったサービス構築を含む制度もある。この違いを知らずに申請すると、準備に数か月かけた事業計画書が対象外で弾かれる、という事態になりかねません。

この記事では、2026年度に中小企業が使えるアプリ・システム・AI開発費対象の補助金3制度を整理し、「どの制度が自社の開発案件に使えるか」を判定できるよう解説します。公募スケジュールも最新情報に基づいて記載しています。

まず確認:「ソフトウェア開発費が補助対象」かどうかの違い

補助金で「IT・システム関連」と書かれていても、実際の対象経費は制度によって大きく異なります。

制度名 スクラッチ開発 受託開発 既製ツール導入 AI内製開発
ものづくり補助金 ○(外注費として)
新事業進出補助金 ○(新事業向け) ○(新事業向け) ○(新事業向け) ○(新事業向け)
デジタル化・AI導入補助金 ×(基本対象外) × ○(登録ツールのみ) ×(開発費は対象外)

「デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)」は、既製のITツールを「導入」する費用が対象です。スクラッチ開発費や受託開発費は原則として補助対象外。アプリやシステムを新たに開発したい場合は、後述するものづくり補助金か新事業進出補助金を軸に考えるべきでしょう。

各制度の詳細な制度比較は、AI導入に使える3大補助金を比較|中小企業はどれを選ぶべき?2026年版もご参照ください。

制度1:ものづくり補助金(第23次公募終了・第24次準備中)

項目 内容
制度名 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(第23次)
所管省庁 経済産業省・中小企業庁
補助率 中小企業1/2、小規模事業者・再生事業者2/3
補助上限額 従業員1〜5人:750万円、6〜20人:1,000万円、21〜50人:1,500万円、51人以上:2,500万円
対象経費(開発関連) 機械装置・システム構築費(専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築・借用)、外注費
第23次公募期間 2026年2月6日〜2026年5月8日(締切終了)
次回(第24次) 2026年度内に公募予定(時期は公式サイトで要確認)。または「新事業進出・ものづくり補助金」への統合再編が予定されている
公式サイト ものづくり補助金総合サイト

開発系経費で何が対象になるか

ものづくり補助金で最も重要な経費区分が「機械装置・システム構築費」です。これは必須区分として位置づけられており、「専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築・借用」が対象となります(第23次公募要領より)。

具体的には次のような開発費が含まれます。

  • 生産管理・受注管理・在庫管理システムのスクラッチ開発費
  • AIを活用した新サービスの開発・構築費(外注先への委託費含む)
  • 業務特化型アプリの開発費(iOS/Android含む)
  • クラウドSaaS型の自社サービスを構築する場合の開発費

ただし、補助対象の最低単価として1件50万円(税抜)以上の機械装置・システム構築費が必要です。また、自社従業員の人件費は対象外。開発を自社でやる場合でも、外部ベンダーへの委託費として請求書が発行されるものだけが補助対象になります。

審査で見られる「革新性」の要件

ものづくり補助金が他の制度と決定的に違うのは、「革新的な製品・サービスの開発」であることが採択の核心要件という点です。

既存業務のデジタル化・効率化だけを目的としたシステム開発は、採択されにくい傾向があります。審査委員が評価するのは「このシステム開発によって市場に新しい価値が生まれるか」「顧客に新たな便益が届くか」という視点です。

たとえば「受発注の効率化のためにシステムを作る」だけでは審査を通過しにくい。一方、「AIを活用して業界初の予測発注システムを開発し、食品ロスを30%削減する新サービスとして提供する」という形であれば革新性が認められやすくなります。

制度2:新事業進出補助金(第4回公募・2026年6月19日締切)

項目 内容
制度名 中小企業新事業進出補助金
所管 経済産業省・中小企業基盤整備機構
補助率 1/2以内
補助上限額 従業員20人以下:最大3,000万円、21〜50人:最大5,000万円、51〜100人:最大7,000万円、101人以上:最大9,000万円(賃上げ特例適用時)
対象経費(開発関連) 機械装置・システム構築費(新事業向けシステム・アプリ開発費)、クラウドサービス利用費、外注費
第4回公募期間 2026年3月27日〜2026年6月19日18:00(申請受付は5月19日から)
公式サイト 中小企業新事業進出補助金 公式サイト

開発費の使い方:「新事業向け」であることが絶対条件

新事業進出補助金は、補助上限が最大9,000万円という規模感が特徴です。システム開発費をがっつり使いたい場合にはこの制度が最も上限が高い。

ただし、致命的な制約があります。「既存事業のシステム改修」には使えません。

この制度が想定しているのは、「これまでと異なる新製品・新サービスを、新規顧客層に提供する新事業の立ち上げ」です。すでに展開しているサービスの機能拡張や、社内向け業務システムの刷新は対象外と判断されます。

生成AIを活用した新しいBtoBサービスを立ち上げる、業種を超えた新しいプラットフォームを開発するといった案件であれば、この制度との相性は抜群です。補助事業終了後3〜5年で付加価値額の年平均成長率4.0%以上を見込む事業計画の策定も要件になっています。

ものづくり補助金との使い分け

「新事業」かどうかが分水嶺です。新しい市場・顧客・事業領域への進出なら新事業進出補助金、既存事業の延長線上でシステムをバージョンアップするならものづくり補助金、という整理が基本になります。

制度3:デジタル化・AI導入補助金(通常枠・第2次締切6月15日)

項目 内容
制度名 デジタル化・AI導入補助金2026(旧:IT導入補助金)通常枠
所管省庁 経済産業省・中小企業庁
補助率 1/2以内(従業員30%以上が最低賃金近傍の場合は2/3)
補助上限額 1プロセス以上:5万円以上150万円未満、4プロセス以上:150万円以上450万円以下
対象経費(開発関連) ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入設定費。スクラッチ開発・受託開発費は対象外
第2次公募締切 2026年6月15日(第3次は7月21日予定)
公式サイト デジタル化・AI導入補助金 公式サイト

「開発」には使えないが、AIツールの「活用」には使える

率直に言うと、この制度でアプリやシステムを「開発」することはできません。中小企業庁に登録されたITツールを「導入」する費用を補助するのがこの制度の趣旨です。

ただし、活用の仕方次第で開発プロジェクトの補助的な役割を果たすことはあります。たとえば、

  • 開発するシステムの設計支援ツールとして使う生成AIサービスの利用料
  • 開発後の運用管理に使うSaaSツールの導入費
  • 社内のAIリテラシー向上のためのクラウド学習ツール

こうした周辺ツールの導入費として活用しながら、中核の開発費はものづくり補助金や新事業進出補助金で賄うという組み合わせが現実的です。

2026年6月時点の公募状況まとめ

制度 状況 締切・次回予定
ものづくり補助金(第23次) 締切終了(5月8日) 第24次公募予定時期は公式サイト参照
新事業進出補助金(第4回) 公募中 2026年6月19日18:00締切
デジタル化・AI導入補助金(第2次) 公募中 2026年6月15日(第3次は7月21日予定)
新事業進出・ものづくり補助金(統合版) 公募準備中 2026年8月申請開始予定

特筆すべきは、2026年度内に「新事業進出補助金」と「ものづくり補助金」が統合再編される見通しです。詳細は【2026年8月申請】新事業進出・ものづくり統合補助金|申請5ステップで解説しています。

アプリ・システム・AI開発費の対象経費になるか:具体例3ケース

ケース1:飲食チェーンが注文・在庫管理AIシステムを自社開発する場合

事例区分:想定シナリオ
以下はモデルケースです。実在の特定企業の事例ではありません。

  • 開発内容:POS連動の需要予測AIシステム(スクラッチ開発)、開発費1,200万円
  • 推奨制度:ものづくり補助金(機械装置・システム構築費として計上)
  • 補助率:1/2(中小企業)→ 補助見込み600万円(上限1,000万円・従業員6〜20名の場合)
  • 注意点:システムが自社業務改善だけでなく「新たな顧客価値を提供するサービス」として位置づけられているかが採択の鍵

ケース2:製造業がAIを活用した新規BtoBサービスを立ち上げる場合

事例区分:想定シナリオ

  • 開発内容:既存製品の稼働データを分析して顧客に提供するAI予知保全SaaS、開発・構築費3,500万円
  • 推奨制度:新事業進出補助金(新規顧客層への新サービス提供が要件を満たす)
  • 補助率:1/2 → 補助見込み1,750万円(従業員51〜100名・賃上げ特例で上限7,000万円)
  • 注意点:補助事業終了後3〜5年で付加価値額年平均4.0%以上成長の見込みが必要

ケース3:小売業がChatGPT連携の顧客対応ボットを導入する場合

事例区分:想定シナリオ

  • 導入内容:登録済みAIチャットボットサービスの月額利用料(クラウド型)、年間利用料60万円
  • 推奨制度:デジタル化・AI導入補助金 通常枠
  • 補助率:1/2 → 補助見込み30万円(2年分で最大)
  • 注意点:中小企業庁に登録されたITツールであることが必須。スクラッチで作るボットは対象外

申請で陥りやすい4つの失敗パターン

失敗1:開発費をものづくり補助金に申請したが「業務改善のみ」で落ちた

❌ 申請書に「受発注システムを作って業務を効率化する」とだけ書いた
⭕ 「受発注データのAI分析機能を組み込み、業界初の需要予測サービスとして外部顧客向けに提供する」という革新的な価値提供を前面に出す

ものづくり補助金は「業務改善」ではなく「革新的製品・サービス」が主旨です。既存業務の効率化だけを書いた申請書は採択率が低くなる傾向があります。

失敗2:交付決定前にベンダーと契約・発注してしまった

❌ 採択通知が届いた時点で開発ベンダーと契約し、着手金を支払った
⭕ 採択後に交付決定通知を受け取り、その後に発注・契約する

採択=交付決定ではありません。交付決定前に支払った費用は補助対象外になります。システム開発は開発着手までの時間的余裕が必要なため、採択スケジュールを逆算して計画を立ててください。

失敗3:「新事業向け」要件を満たさずに新事業進出補助金を申請した

❌ 既存EC事業のサイトリニューアルとAI機能追加を「新事業」として申請
⭕ 既存事業とは明確に異なる新しい顧客層・サービス領域として、事業の独立性を証明する事業計画を作る

新事業進出補助金の「新事業」要件は厳格です。既存事業の延長線上にある改善・拡張は対象外と判断されるリスクがあります。

失敗4:デジタル化・AI導入補助金でスクラッチ開発費を申請しようとした

❌ 「AIツールを使う」という理由でスクラッチ開発費をデジタル化・AI導入補助金に申請した
⭕ この制度は既製ツールの「導入」費専用。開発費はものづくり補助金か新事業進出補助金を使う

申請前の確認フロー:自社に合う制度を選ぶ3ステップ

  1. 新事業か、既存事業の改善か?
    新規顧客層向けの全く新しいサービス開発 → 新事業進出補助金(上限最大9,000万円)
    既存事業の延長線上での改善・高付加価値化 → ものづくり補助金(上限最大2,500万円)

  2. 開発規模と補助の必要額はいくらか?
    開発費が500万円〜2,500万円 → ものづくり補助金で対応可能
    開発費が3,000万円以上の大型プロジェクト → 新事業進出補助金が向く

  3. GビズIDは取得済みか?
    どちらの制度もjGrants経由での申請が必要で、GビズIDプライムが必須です。取得に1〜2週間かかるため、締切から逆算して今すぐ手続きを開始してください。
    GビズIDからjGrants申請までの完全フロー

よくある質問

Q1:受託でアプリ開発を行うIT企業は申請できますか?

はい、申請可能です。ただし、ものづくり補助金の場合は「自社が何を開発するか(自社の新製品・新サービス)」を申請するものであり、クライアントの発注内容をそのまま申請するのではありません。受託案件そのものを補助金で賄いたい場合は制度の趣旨と合わない可能性があり、認定経営革新等支援機関への相談をお勧めします。

Q2:開発費が50万円未満でも申請できますか?

ものづくり補助金は、機械装置・システム構築費の最低単価が50万円(税抜)以上とされています。それを下回る場合は申請要件を満たしません。小規模な開発プロジェクトの場合は、持続化補助金(上限最大250万円)のソフトウェア費区分も検討に値しますが、公募要領での要件確認が必須です。

Q3:ものづくり補助金と新事業進出補助金を同時に申請できますか?

2026年度は、ものづくり補助金(第23次)の公募が5月8日に終了しており、現在は新事業進出補助金(第4回・6月19日締切)だけが申請可能です。なお両制度で同一事業への二重申請はできません。また2026年8月以降に統合版「新事業進出・ものづくり補助金」が公募開始予定との情報があります。詳細は公式サイトでご確認ください。

Q4:AI開発に特化した補助金はありますか?

「AI開発専用」という補助金は現時点で存在しません。AI開発費を「機械装置・システム構築費」として計上できる制度(ものづくり補助金・新事業進出補助金)を活用するのが実務的なアプローチです。生成AIを活用したサービス開発であれば、新事業進出補助金で大型の補助を受けられる可能性があります。

Q5:採択率の目安を教えてください

ものづくり補助金の直近採択率は、第22次(2026年1月発表)で約50%台で推移しています(中小企業庁公表の採択結果より)。新事業進出補助金は2025年度公募の結果が事務局より順次公表されていますが、2026年第4回については未公表です。採択率は公募回・申請内容によって変動するため、最新の事務局公表情報をご確認ください。

参考・出典


この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。

AI導入・システム開発への補助金活用について、どの制度が自社に合うかお悩みの場合は、お問い合わせフォームからご相談ください。補助金申請代行は行っておりませんが、AI導入・開発プロジェクトの計画策定についてサポートしています。


免責事項
本記事の情報は2026年6月18日時点の各省庁・事務局の公表資料に基づく参考情報です。補助金・助成金の制度内容は予告なく変更される場合があります。申請にあたっては、必ず各制度の公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、補助金ナビ(株式会社Uravation)は一切の責任を負いません。

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