東京都の「DX推進トータルサポート事業」は、2026年4月にDXステップアップ、DXアドバンス、AI活用の3コース募集を行い、公式ポータルでは募集終了が表示されています。次に見ておきたいのが、6月頃に募集開始予定と公表されている生産性向上コースです。
まだ募集要項の細目は出そろっていません。だからこそ、今は「何が確定していて、何が未公表か」を分けて準備するのが一番安全です。正直、ここを混ぜると申込み直前にかなり慌てます。
5月8日時点で確定している募集状況
東京都は2026年3月30日の報道発表で、令和8年度新規事業として「DX推進トータルサポート事業」を開始すると公表しました。初回募集は令和8年4月6日(月)から5月8日(金)までで、対象はDXステップアップコース、DXアドバンスコース、AI活用コースの3つです。
一方、生産性向上コースについては、同じ発表で「6月と10月頃の2回募集を予定」と明記されています。つまり、現時点では公募予定の段階であり、申込フォームや締切日を最新情報として断定するのはまだ早いです。
都内企業向けの制度比較は、先に主要補助金5制度の比較ガイドも見ておくと、自社が国の制度と都の制度のどちらに寄せるべきか整理しやすくなります。
生産性向上コースで確認すべき公表値
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | DX推進トータルサポート事業 生産性向上コース(令和8年度) |
| 実施主体 | 東京都、公益財団法人 東京都中小企業振興公社 |
| 公募回 | 令和8年度の生産性向上コースは6月頃・10月頃に募集予定 |
| 対象者 | 東京都内に主たる事業所を置く中小企業者等。詳細要件は募集要項で確認 |
| 助成限度額 | 通常1,500万円、大幅賃上げ枠2,000万円 |
| 助成率 | 通常2分の1以内、小規模企業者は3分の2以内。賃上げ計画を策定し達成した場合は4分の3以内、小規模企業者は5分の4以内 |
| 助成期間 | 2年間 |
| 対象経費 | アドバイザー提案書に基づく、機器・システム等の導入費用。細目は助成金募集要項で確認が必要 |
| 申請方法 | アドバイザー派遣を受け、提案書の内容に基づいて助成金を申請する流れ |
| 公式情報 | 東京都 報道発表 / 東京公社 助成金ページ |
※上記は2026年5月8日時点の公式公表情報です。生産性向上コースの申込開始日・締切日・対象経費の細目は、今後の募集要項で更新される可能性があります。
3つの先行コースと何が違うのか
初回募集の3コースは、どちらかというと「戦略づくり」「AI活用計画」「DX実現に向けた伴走支援」が中心でした。生産性向上コースは、東京都の発表では「企業活動の生産性向上に向けて、デジタル技術の導入から活用まで、専任アドバイザーが支援」とされています。
| コース | 初回募集社数・状況 | 主な狙い | 助成限度額の目安 |
|---|---|---|---|
| DXステップアップ | 20社募集、5月8日まで | DX戦略の策定と社内推進体制づくり | 通常3,000万円、大幅賃上げ枠5,000万円 |
| DXアドバンス | 10社募集、5月8日まで | 既にあるDX戦略の実行・高度化 | 通常3,000万円、大幅賃上げ枠5,000万円 |
| AI活用 | 10社募集、5月8日まで | AI活用計画、社内リテラシー向上、先進的AI活用 | 通常2,000万円、大幅賃上げ枠3,000万円 |
| 生産性向上 | 6月頃・10月頃の募集予定 | デジタル技術の導入から活用までの支援 | 通常1,500万円、大幅賃上げ枠2,000万円 |
ポイントは、助成金だけを見て動く制度ではないことです。公式ページでも、助成金の申請には「DX推進トータルサポート事業」でアドバイザー支援を受け、アドバイザーによる提案書を受け取る必要があると説明されています。
Step 1: 6月前に自社の業務課題を数字で棚卸しする
最初にやるべきことは、AIやシステム名を選ぶことではありません。自社のどの業務で、何時間・何件・何円のムダが出ているかを数字で出すことです。
- 受発注入力に月80時間かかっている
- 紙の点検表をExcelへ転記する作業が週10時間ある
- 問い合わせの一次対応が月300件あり、回答遅延が起きている
- 在庫確認の属人化で、欠品や過剰在庫が毎月発生している
この棚卸しが弱いと、「便利そうなツールを入れたいだけ」に見えます。生産性向上コースは名称の通り、導入後に何がどれだけ改善するかを説明できる状態にしておくのが大事です。
Step 2: アドバイザー提案書に必要な材料を先に集める
公式の募集要項では、助成金申請に必要な「アドバイザーによる提案書」の作成に最低3か月程度かかると説明されています。ここ、かなり重要です。6月に募集が始まってからゼロベースで考えると、助成金の本申請までのリードタイムが長くなります。
準備しておきたい材料は次の通りです。
- 現在の業務フロー図。手書きでも構いません。
- 月間処理件数、作業時間、担当人数、ミス件数などの実績値。
- 導入候補となる機器・システムの概要。正式見積までは未取得でも、概算価格帯は把握。
- 導入後の目標値。例:入力工数を月80時間から30時間へ削減。
- 社内の推進体制。経営者、現場責任者、実務担当者を分けておく。
GビズIDなど電子申請の基本準備も並行して確認しておきましょう。初めての方はGビズID登録ガイドを先に見ておくと、後で詰まりにくくなります。
Step 3: AI・DX経費は「対象確定」ではなく「確認候補」として整理する
2026年5月8日時点では、生産性向上コースの対象経費細目は助成金募集要項で最終確認が必要です。東京都の発表では「デジタル技術を活用した機器・システム等の導入に係る経費」、東京公社の助成金ページでは「機器・システム等の導入を検討している都内中小企業者等」と説明されています。
したがって、次のようなAI・DX投資は「候補」として整理し、正式な対象可否は募集要項で確認する形が安全です。
- AI-OCR・文書処理システム:請求書、注文書、点検表の読み取りと入力作業の削減。
- 需要予測・在庫最適化システム:販売データや季節要因を使った発注量の平準化。
- IoT・ロボット・センサー連携:製造現場や倉庫の作業記録、稼働状況の見える化。
- AIチャットボット・FAQ基盤:問い合わせの一次対応、社内ナレッジ検索の効率化。
「対象になるはず」と決め打ちしないこと。ここは地味ですが、かなり大事です。
Step 4: 申込みで止まりやすい不備を先に潰す
募集要項では、初回3コースの共通提出書類として、直近3期分の決算書、発行から3か月以内の履歴事項全部証明書、各コース指定の別紙資料などが示されています。生産性向上コースも同じとは限りませんが、企業確認書類は早めにそろえておく価値があります。
❌ 課題が「効率化したい」だけで終わる
⭕ 「受発注入力に月80時間、担当2名。導入後は月30時間へ削減を目標」と数字で書ける状態にしましょう。
❌ 助成金ありきでツールを選ぶ
⭕ 先に業務課題を出し、アドバイザーの提案内容と整合する導入計画に寄せます。
❌ 経営者や現場責任者が関与していない
⭕ 公式募集要項でも、現地調査・診断では代表または担当役員の同席を原則とする趣旨が示されています。現場任せにしない体制が必要です。
❌ 6月公募を「すぐ助成金申請できる」と誤解する
⭕ まずアドバイザー支援を受け、提案書を受け取る流れです。助成金だけを単独で申し込む制度として扱わないようにしましょう。
6月公募までの動き方
生産性向上コースを狙う企業は、次の順番で準備すると無理がありません。
- 今日:東京都と東京公社の公式ページをブックマークし、募集開始の更新を確認できるようにする。
- 今週中:改善したい業務を3つに絞り、作業時間・件数・ミス件数を集める。
- 5月中:導入候補の機器・システムを2〜3案に絞り、概算費用と導入期間を確認する。
- 6月上旬:公募開始後、募集要項で対象経費・締切日・提出書類を確認する。
- 申込み前:経営者、現場責任者、実務担当者の役割を決め、アドバイザー面談で説明できるようにする。
あわせて、東京都の他制度も比較するなら東京都DX推進助成金の完全ガイドも確認しておくと、重複しやすい論点を整理できます。
参考・出典
- 都内中小企業のDX推進とAI活用支援 — 東京都 報道発表資料(参照日: 2026-05-08)
- DX推進トータルサポート事業 現地調査・診断 — 東京都中小企業振興公社 デジタル化推進ポータル(参照日: 2026-05-08)
- DXステップアップコース・DXアドバンスコース — 東京都中小企業振興公社(参照日: 2026-05-08)
- AI活用コース — 東京都中小企業振興公社(参照日: 2026-05-08)
- DX推進トータルサポート助成金 — 東京都中小企業振興公社(参照日: 2026-05-08)
- 令和8年度 DX推進トータルサポート事業 募集要項 — 東京都中小企業振興公社(参照日: 2026-05-08)
AI導入計画で迷ったら
東京都の生産性向上コースは、単に「システムを安く入れる」ための制度ではなく、アドバイザー支援を通じて業務課題と導入内容を整理する制度です。自社の課題がAI-OCR、需要予測、チャットボット、IoTのどれに向いているか分からない場合は、まず業務フローと数字を整理しましょう。
AI導入の計画策定や、国の補助金と東京都制度の使い分けで迷う場合は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。申請結果を保証するものではありませんが、制度選びとAI活用計画の整理をサポートできます。
この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。
免責事項
本記事の情報は2026年5月8日時点の東京都および東京都中小企業振興公社の公表資料に基づく参考情報です。補助金・助成金の制度内容、募集時期、対象経費、助成率、助成限度額は変更される場合があります。申込みにあたっては、必ず各制度の公式サイトおよび最新の募集要項をご確認ください。本記事の情報に基づく申請・申込みの結果について、当サイトは一切の責任を負いません。