2026年度、中小企業向けの2大補助金が動いた。ものづくり補助金と中小企業新事業進出促進補助金は、令和8年度(2026年度)中に「新事業進出・ものづくり補助金(仮称)」として統合される。公募開始は令和8年6月予定、申請受付は8月の見通しだ。
特に注目すべきはグローバル枠の変化だ。現行のものづくり補助金グローバル枠は上限3,000万円(賃上げ特例で4,000万円)だが、新制度では従業員規模に応じた上限設定に移行し、大規模企業向けには大幅な拡充が見込まれている。
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何が変わるのか — 旧制度と新制度の対比
| 項目 | ものづくり補助金(現行) | 新事業進出補助金(現行) | 新制度(統合後・令和8年度) |
|---|---|---|---|
| 制度名 | ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 | 中小企業新事業進出促進補助金 | 新事業進出・ものづくり補助金(仮称) |
| 枠の構成 | 省力化・高付加価値化・グローバル | 成長型・トライアル | 革新的新製品・サービス枠 / 新事業進出枠 / グローバル枠 |
| 補助上限(標準) | 最大2,500万円(51人以上) | 最大7,000万円(101人以上) | 枠・規模により750万〜9,000万円 |
| グローバル上限 | 3,000万円(↑賃上げ4,000万円) | —(グローバル枠なし) | 従業員規模ごとに設定(拡充方向) |
| 補助率 | 1/2〜2/3 | 1/2 | 1/2〜2/3(枠・条件による) |
| 管轄 | 中小企業庁 | 中小機構 | 中小企業庁(統合管轄) |
出典:ものづくり補助金 公式サイト(参照日:2026-03-27)、中小企業新事業進出補助金 公式サイト(参照日:2026-03-27)
→ 統合前後の各制度の詳細比較はAI導入に使える補助金5選 徹底比較も参照してください。
統合後の3枠 — 補助率と上限額の詳細
新制度は3つの枠で構成される。どの枠が自社に当てはまるか、まずこの表で確認してほしい。
①革新的新製品・サービス枠(旧:ものづくり補助金 高付加価値化枠相当)
既存の技術・ノウハウを活かして新製品・新サービスの開発・試作に取り組む企業向け。AI・DXツール導入による業務革新もここに分類される可能性が高い。
| 従業員数 | 補助上限(標準) | 補助上限(大幅賃上げ特例) |
|---|---|---|
| 5人以下 | 750万円 | 850万円 |
| 6〜20人 | 1,000万円 | 1,200万円 |
| 21〜50人 | 1,500万円 | 2,500万円 |
| 51人以上 | 2,500万円 | 3,500万円 |
補助率:1/2(小規模事業者・再生企業は2/3、賃上げ特例適用で2/3に引き上げ可能)
②新事業進出枠(旧:新事業進出補助金相当)
新市場・新事業領域への参入、または第二創業的な事業転換を目指す企業向け。旧新事業進出補助金を受け継ぐ枠で、上限額が大幅に大きい。
| 従業員数 | 補助上限(標準) | 補助上限(大幅賃上げ特例) |
|---|---|---|
| 20人以下 | 2,500万円 | 3,000万円 |
| 21〜100人 | 5,000万円 | 6,000万円 |
| 101人以上 | 7,000万円 | 9,000万円 |
補助率:1/2(賃上げ特例で2/3に引き上げ可能)
③グローバル枠(旧:ものづくり補助金 グローバル枠を拡充)
海外市場への展開を前提とした製品・サービス開発に取り組む企業向け。現行のものづくり補助金グローバル枠(上限3,000万円)から、従業員規模ごとの設定に移行し、補助率は2/3と全枠中で最も高い。
補助率:2/3(全枠中最高)
上限額:従業員規模ごとに設定(詳細は公募要領で確認予定)
正直、グローバル枠の具体的な上限金額は本稿執筆時点でまだ公式発表がない。「グローバル枠の上限が2倍以上に引き上げられる」との情報はあるが、公募要領が出るまで確定数字としては書けない。
申請スケジュール — 今すぐ動くか、新制度を待つか
| マイルストーン | 日付 | 備考 |
|---|---|---|
| ものづくり補助金 第23次 締切 | 2026年5月8日(木)17:00 | 現行制度の最終回になる可能性あり |
| 新事業進出補助金 第4回 公募期間 | 2026年3月27日〜6月19日(金)18:00 | 現在受付中・現行制度の最終回の可能性大 |
| 新事業進出補助金 第4回 採択発表 | 2026年9月末頃 | 交付決定はさらに1〜2ヶ月後 |
| 新制度(統合後)公募開始予定 | 2026年6月頃 | 詳細未確定 |
| 新制度 申請受付開始予定 | 2026年8月頃 | 詳細未確定 |
| 新制度 採択予定件数 | 約6,000件(年間3回程度) | 現行の合算に比べ規模を維持 |
出典:ものづくり補助金 公募スケジュール(参照日:2026-03-27)、新事業進出補助金 公募スケジュール(参照日:2026-03-27)
今の第4回に申請すべきか、新制度を待つべきか
よく聞かれる質問だ。答えは「事業の準備状況による」。ただし判断基準は整理できる。
今すぐ第4回に申請すべきケース
❌ 「新制度が来るから今は待つ」
⭕ 以下に当てはまるなら迷わず第4回へ
- 事業計画がほぼ完成している — 6月19日までに申請できる準備がある
- AI・DX投資を今期中に決定している — 交付決定前に発注できないため、早く採択を取ることで事業開始を前倒しできる
- 現行制度の補助率・上限で十分 — 小規模事業者なら1/2〜2/3で750万円〜1,500万円、これで事業が回る
- 新制度の詳細を待つと機会損失になる — 新制度の公募要領は6月以降なので、待つと申請〜採択が最短でも2027年初頭になる
新制度を待つべきケース
- グローバル事業で大規模投資が必要 — グローバル枠の上限が新制度で引き上げられる見込みなので、数千万規模を狙うなら待つ価値がある
- 新事業進出枠の101人以上で9,000万円を狙いたい — 現行の新事業進出補助金第4回でも7,000万円は狙えるが、新制度の枠組みを確認してからの方が戦略を立てやすい
- 事業計画の準備が全く整っていない — 急いで粗雑な申請書を出すより、新制度で万全の準備をした方が採択率は高い
要するに、「今すぐ申請できる準備がある中小企業」は今の第4回を使うべきだ。「準備に数ヶ月かかる」または「グローバル展開で大規模投資が前提」なら新制度を待つ判断もある。
統合で採択難易度はどう変わるか
現行では両制度合計で年間8,000〜1万件程度の採択があった(目安)。新制度では年間6,000件程度と、若干の絞り込みが見込まれる。
ただし、これは「難しくなる」というより「申請の質への要求が上がる」と解釈すべきだ。2026年度の補助金全体のトレンドとして、「単なる設備更新や生産性向上」より「賃上げとセットの高付加価値投資」が評価される方向にある。AI・DX投資は賃上げへの貢献を数字で示せる案件が採択されやすくなるだろう。
AI導入案件で狙える枠の選び方
補助金ナビの読者に多い「AIツール・DXシステム導入」でどの枠を狙うか、実務的に整理する。
①革新的新製品・サービス枠 → 既存の製品・サービスをAIで革新する企業(例:AI搭載の検品システム開発、生成AI組み込みの新SaaS開発)
②新事業進出枠 → AIで完全に新しい事業領域へ参入する企業(例:製造業がAI活用の保守サービス事業に進出、小売業がAIパーソナライズECを立ち上げ)
③グローバル枠 → AI製品を海外市場に展開する企業(例:国内で開発したAIソフトを海外ライセンス販売、海外展示会向けのAIデモシステム開発)
→ AI導入に使える補助金全体の比較はGビズID登録の完全ガイドと合わせて確認してください。
今すぐやるべきこと
- 今日:現在受付中の新事業進出補助金第4回の公募要領をダウンロードし、自社が対象か確認する(締切:6月19日)
- 今週中:GビズIDプライムの取得状況を確認。未取得なら今すぐ申請(1〜2週間かかる)
- 今月中:「新制度を待つか第4回に申請するか」を判断するため、事業計画の準備状況を経営幹部で確認する
この統合は補助金縮小ではなく、「質の高い投資への集中」への転換だ。AI導入・新事業開発を検討している中小企業にとって、むしろ大型補助を狙えるチャンスが広がっている。
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著者・監修情報
この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。
免責事項
本記事の情報は2026年3月27日時点の各省庁・事務局の公表資料に基づく参考情報です。補助金・助成金の制度内容は予告なく変更される場合があります。申請にあたっては、必ず各制度の公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。
参考・出典
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公式サイト — 中小企業庁(参照日:2026-03-27)
- ものづくり補助金 公募スケジュール — 中小企業庁(参照日:2026-03-27)
- 中小企業新事業進出促進補助金 公式サイト — 中小機構(参照日:2026-03-27)
- 新事業進出補助金 公募スケジュール — 中小機構(参照日:2026-03-27)
- 新事業進出・ものづくり補助金 統合詳細 — 補助金ポータル(参照日:2026-03-27)