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【2026年最新】事業承継・M&A補助金 第14次の申請ポイントと活用事例

【2026年最新】事業承継・M&A補助金 第14次の申請ポイントと活用事例

この記事の結論

事業承継・M&A補助金 第14次公募の締切は4月3日。4枠の補助率・上限額から申請書の書き方、加点項目、活用シナリオまで、採択率61%の制度を攻略するステップガイド。

事業承継・M&A補助金の第14次公募が始まっています。申請締切は2026年4月3日(金)17:00。残り約3週間です。

補助金申請の支援を行ってきた立場から率直に言うと、この制度は「枠の選び方」を間違えると採択されても補助額が大幅に減るケースがあります。第14次は4つの枠があり、それぞれ補助率も上限額も違う。自社の状況に合った枠を選ぶことが、申請の最初にして最大のポイントです。


まずこれだけ確認 — 申請できる企業の条件

第14次公募に申請する前に、以下の要件を満たしているかチェックしましょう。1つでも該当しなければ、残念ながらこの制度は使えません。

  • 中小企業・小規模事業者であること(資本金・従業員数の基準は業種ごとに異なる)
  • 事業承継またはM&Aを実施する、もしくは実施予定であること
  • GビズIDプライムアカウントを取得済み(未取得の場合、取得に2〜3週間かかるため今日中に申請を)
  • 反社会的勢力でないこと、過去に補助金の不正受給がないこと
  • 専門家活用枠の場合:M&A支援機関登録制度に登録されたFA・仲介業者を利用していること

「うちは対象になるのか?」と迷う方が多いのですが、ポイントは事業承継の「段階」です。承継前なのか、M&Aの最中なのか、買収後の統合段階なのか。それによって申請する枠が変わります。

第14次公募で押さえるべき4枠の全体像

対象補助率補助上限額主な対象経費
事業承継促進枠親族内承継・従業員承継を予定する企業1/2(小規模事業者は2/3)800万円(賃上げで1,000万円)設備費、外注費、委託費
専門家活用枠(買い手I型)M&Aで他社を買収する企業2/3600万円(DD実施で+200万円、廃業併用で+300万円)FA費用、DD費用、仲介手数料
専門家活用枠(売り手II型)M&Aで事業を売却する企業1/2(赤字・営業利益率低下時2/3)600万円(廃業併用で+300万円)FA費用、仲介手数料
PMI推進枠M&A後の経営統合を行う企業1/2(小規模事業者は2/3)専門家活用類型150万円 / 事業統合投資類型800万円(賃上げで1,000万円)専門家費用、設備費
廃業・再チャレンジ枠事業承継・M&Aに伴い廃業を行う企業1/2〜2/3300万円(他枠との上乗せ可)廃業費用、原状回復費

※ 上記は2026年度 第14次公募の情報です。最新情報は事業承継・M&A補助金公式サイトをご確認ください。

各制度の補助率・上限額の横断比較は、主要補助金5制度を徹底比較も参考にしてください。

Step 1: 自社に合った枠を選ぶ(ここで9割決まる)

正直、枠選びが申請の成否を分けます。「とりあえず金額が大きい枠で」という考えは危険です。

こんな状況なら → この枠

  • 「息子に会社を継がせたい。新しい設備も入れたい」 → 事業承継促進枠
  • 「後継者がいない。M&Aで第三者に売却したい」 → 専門家活用枠(売り手II型)
  • 「他社を買収して事業を拡大したい」 → 専門家活用枠(買い手I型)
  • 「買収した会社の統合がうまくいかない」 → PMI推進枠
  • 「承継と同時に不採算部門を閉じたい」 → 廃業・再チャレンジ枠(他枠との併用)

迷ったら、まず事業承継・M&A補助金の公式サイトで公募要領を確認するのが確実です。枠ごとに対象経費が全く異なるため、「やりたいこと」と「使える経費」が合致するか、必ず照らし合わせてください。

Step 2: GビズIDと必要書類を揃える(所要: 2〜3週間)

申請はJグランツ(電子申請)のみで受け付けです。紙の申請書は使えません。

必要な準備

  1. GビズIDプライムアカウントの取得 — 取得に2〜3週間かかります。4月3日の締切から逆算すると、3月中旬の今が最終タイムリミットです。まだ持っていない方はGビズID取得完全ガイドを参考に即申請しましょう
  2. 確定申告書(直近2期分)
  3. 事業計画書(承継後に何をするかを具体的に記載)
  4. 専門家活用枠の場合:M&A支援機関登録制度に登録されたFA・仲介業者との契約書、見積書
  5. 賃上げ加点を狙う場合:賃金台帳のコピー

書類の不備で差し戻されるケースは意外と多い。特に確定申告書の「別表一」が抜けているパターンは毎回見かけます。提出前にもう一度チェックリストと照合しましょう。

Step 3: 事業計画書を書く — 審査員が見ている3つの観点

事業計画書は自由書式ではありません。公募要領の様式に沿って記入しますが、審査員が特に注目するのは次の3点です。

観点1: 事業承継の必要性と緊急性

「なぜ今、承継が必要なのか」を数字で示すこと。

❌ 「社長が高齢のため承継を検討しています」
⭕ 「代表取締役(72歳)が持病の悪化により2026年度中の引退を予定。後継者(長男・42歳、入社15年)への株式譲渡と設備刷新を同時に行う計画です」

観点2: 承継後の成長戦略

補助金は「承継して終わり」ではなく、「承継を契機に生産性を上げる」ことを求めています。

❌ 「事業承継により経営を安定させます」
⭕ 「承継を機に老朽化した加工設備(導入後22年)をCNC旋盤に更新し、加工精度を±0.05mm→±0.01mmに改善。不良品率3.2%→1.0%以下を目指します」

観点3: 実施体制とスケジュール

❌ 「後継者が中心となって進めます」
⭕ 「プロジェクト責任者: 後継者(専務取締役)、設備選定: 製造部長+外部コンサルタント、導入研修: 機械メーカーのインストラクター。2026年8月に設備発注、10月に据付、12月に本稼働予定」

Step 4: 加点項目を確実に押さえる(所要: 1〜2週間)

第14次公募では、以下の加点項目があります。過去の採択率は約61%ですから、加点なしでは厳しい戦いになります。

加点項目概要取得の手間
賃上げ加点事業場内最低賃金を+30円以上引き上げ★☆☆(宣言のみ)
経営革新計画の承認都道府県知事の承認が必要★★★(1〜2ヶ月要)
健康経営優良法人認定経済産業省の認定制度★★☆(年1回の申請)
中小会計要領の適用税理士のチェックリスト提出★☆☆(顧問税理士に依頼)
ワーク・ライフ・バランス認定くるみん、えるぼし等★★☆(既に取得済みなら有利)

今から取れる現実的な加点は「賃上げ加点」と「中小会計要領の適用」の2つ。特に賃上げ加点は、補助上限額が800万円→1,000万円に引き上がるため、可能なら必ず狙いましょう。

Step 5: Jグランツで申請する(所要: 2〜3日)

書類が揃ったらJグランツから電子申請を行います。入力項目は多いですが、事業計画書さえできていれば、Jグランツへの入力自体は2〜3日で終わります。

申請時の注意点

  • 添付ファイルはPDF形式で(Excel・Wordのまま添付するとエラーになることがある)
  • Jグランツのシステムは締切直前に混雑します。締切日の2〜3日前には提出完了を目指すこと
  • 「一時保存」機能を活用して、途中経過をこまめに保存する

第14次で特に注意すべき3つの変更ポイント

第13次までと比較して、第14次で押さえておくべき変更点があります。

変更1: 100億宣言企業の特例拡大

「将来的に売上高100億円を目指す」と宣言した企業が専門家活用枠(買い手I型)を使う場合、通常の上限600万円が最大2,000万円に拡大されます。譲渡価額5億円以上のM&A案件が対象です。大型M&Aを検討している成長志向の企業にとっては見逃せない特例です。

変更2: PMI推進枠の2類型化

PMI推進枠が「専門家活用類型(上限150万円)」と「事業統合投資類型(上限800万円)」の2つに分かれました。M&A後のコンサルティング費用だけなら前者、統合に伴う設備投資まで含めるなら後者を選びます。

変更3: 賃上げ要件の重視

事業承継促進枠・PMI推進枠の事業統合投資類型では、賃上げ(事業場内最低賃金+50円以上)を実施することで補助上限が800万円→1,000万円に引き上がります。政府の賃上げ推進方針を反映し、この加点要件の重要度が増しています。

採択率データから見る「通る申請」の傾向

公募回申請件数採択件数採択率
第11次590件359件60.8%
第12次742件453件61.1%
第13次481件293件60.9%

出典: 中小企業庁 採択結果公表ページ(参照日: 2026-03-13)

採択率は約61%で安定しています。つまり10社中4社は不採択。「出せば通る」制度ではありません。

第13次の内訳を見ると、専門家活用枠の採択率が最も高い(163件/267件 = 61.0%)傾向にあります。要件が明確で、M&A支援機関の関与が求められるため、申請書の質が自然と担保されるのかもしれません。

こんな企業が活用している — 3つの想定シナリオ

事例区分: 想定シナリオ
以下は100社以上の支援経験をもとに構成した典型的な活用シナリオです。

シナリオ1: 製造業(従業員30名)が親族承継で設備刷新

利用枠: 事業承継促進枠
背景: 金属加工業を営む創業者(68歳)が、長男(38歳、入社10年)に経営を引き継ぐ計画。ただし主力の旋盤が導入後25年で老朽化しており、承継のタイミングで設備更新が不可欠。

申請のポイント:

  • 「なぜ今か」を明確に — 創業者の年齢、設備の老朽化、取引先からの品質要求の高度化を具体的に記載
  • 設備投資の費用対効果 — 新型CNC旋盤(1,200万円)を導入し、加工時間を1個あたり15分→8分に短縮。年間コスト削減見込み約360万円
  • 賃上げ加点を活用 — 最低賃金+50円の引き上げを宣言し、補助上限を1,000万円に拡大

補助額の目安: 1,200万円 × 2/3(小規模事業者)= 800万円。賃上げ加点で上限1,000万円まで拡大の可能性。

シナリオ2: 後継者不在のIT企業がM&Aで売却

利用枠: 専門家活用枠(売り手II型)
背景: Web制作会社(従業員8名)の代表(65歳)が引退を希望するも後継者がいない。M&A仲介会社を通じて買い手を探すことに。

申請のポイント:

  • M&A支援機関登録制度に登録された仲介業者を利用(これは必須要件)
  • 仲介手数料とFA費用が補助対象。成功報酬型の場合、成約時に発生する費用も対象
  • 直近2期が赤字のため、補助率が1/2→2/3に引き上げ

補助額の目安: 仲介手数料300万円 × 2/3 = 200万円。M&A未成約の場合は上限300万円の制限あり。

シナリオ3: 買収後の経営統合(PMI)に苦戦する小売業

利用枠: PMI推進枠(事業統合投資類型)
背景: 食品小売チェーン(従業員50名)が同業他社を買収。しかし在庫管理システムが異なり、統合に手間取っている。

申請のポイント:

  • PMI推進枠はM&A実施後の企業が対象。買収前ではなく「買収後に何をするか」を書く
  • 在庫管理システムの統合費用(ソフトウェア導入費+カスタマイズ費)が対象経費
  • 「統合しないとどうなるか」を定量的に示す — 「在庫の二重管理により月40時間の追加工数が発生。年間人件費換算で約480万円の損失」

補助額の目安: システム統合費用600万円 × 1/2 = 300万円。

申請書でよくある不備5選 — これで落ちる企業が多い

不備1: 交付決定前に設備を発注してしまう

❌ 採択通知が来たらすぐに設備メーカーに発注する
交付決定通知を受け取ってから発注・契約する

採択≠交付決定です。この違いを理解していないと、数百万円の補助金を丸ごと失います。交付決定前の経費は一切補助対象になりません。

不備2: M&A支援機関の登録確認を忘れる

❌ 知り合いの税理士に仲介を頼んで申請する
M&A支援機関登録制度のデータベースで登録状況を確認してから依頼する

専門家活用枠は、登録されたM&A支援機関の利用が必須要件です。未登録の専門家への支払いは補助対象外になります。

不備3: 事業承継の「必要性」ではなく「希望」を書いている

❌ 「将来的に事業承継を行いたいと考えています」
⭕ 「代表取締役(70歳)の引退に伴い、2026年12月までに長男への株式譲渡・代表交代を実施。承継後は設備投資により〜」

審査員が見たいのは「具体的な承継計画」です。「いつかやりたい」では評価できません。

不備4: 補助対象外の経費を含めている

❌ 事務所の家賃、通常の人件費、汎用PCの購入費を経費に入れる
⭕ 公募要領の「補助対象経費」に明示されている費目(設備費、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費)のみを計上する

不備5: 添付書類の不足

❌ 確定申告書の「別表一」を添付し忘れる
⭕ 公募要領の提出書類チェックリストで1つずつ確認する

書類不備は「補正指示」が入ることもありますが、内容に入る前に評価が下がるリスクがあります。出す前に第三者にも確認してもらいましょう。

申請スケジュール — 残り3週間でやるべきこと

時期やるべきこと備考
〜3月17日GビズID取得申請(未取得の場合)取得に2〜3週間かかる
〜3月21日枠の選定、事業計画のドラフト作成公募要領を熟読
〜3月28日申請書類の完成、添付書類の準備確定申告書、見積書等
3月31日までJグランツでの電子申請を完了締切前の混雑を避ける
4月3日 17:00最終締切この時刻を過ぎると受付不可

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参考・出典


次にやるべきこと — 4月3日に間に合わせるために

  1. 今日やること: 公式サイトから公募要領をダウンロードし、自社に該当する枠を特定する
  2. 今週中: GビズIDの取得状況を確認。未取得なら即申請(GビズID取得ガイド参照)
  3. 来週まで: 事業計画書のドラフトを完成させ、必要書類をチェックリストで照合する

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この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。

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免責事項

本記事の情報は2026年3月13日時点の中小企業庁・事業承継・M&A補助金事務局の公表資料に基づく参考情報です。補助金・助成金の制度内容は予告なく変更される場合があります。申請にあたっては、必ず公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。

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