ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業が革新的な製品・サービス開発やAI・デジタル設備への投資を行う際に、費用の最大2/3を補助してくれる制度です。従業員6〜20名の中小企業であれば最大1,250万円(賃上げ特例適用時)を受け取れます。
2026年度は第23次公募が進行中(申請締切:2026年5月8日 17:00)。ただし、今回から賃上げ要件が年平均3.5%以上に引き上げられたため、申請前に自社の賃金水準を必ず確認してください。
ものづくり補助金 第23次 基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(第23次) |
| 所管省庁 | 経済産業省 中小企業庁 |
| 補助率(原則) | 1/2(中小企業)、2/3(小規模事業者・再生事業者) |
| 補助上限額 | 750万〜3,000万円(従業員数・枠による) |
| 大幅賃上げ特例 | 上記に100〜1,000万円を上乗せ(最大4,000万円) |
| 対象者 | 中小企業・小規模事業者(製造業・商業・サービス業等) |
| 申請受付開始 | 2026年4月3日(金)17:00 |
| 申請締切 | 2026年5月8日(金)17:00 |
| 採択公表予定 | 2026年8月上旬頃 |
| 申請方法 | jGrants(電子申請のみ) |
| 公式サイト | ものづくり補助金 公式ポータル |
※ 上記は2026年度 第23次公募の情報です。最新情報は公式サイトでご確認ください。
補助金の比較は主要補助金5制度を徹底比較も参考にどうぞ。AI導入向けの制度を横断的に確認できます。
従業員数別・補助上限額の全パターン(第23次)
正直、ここが一番間違えやすい部分です。ものづくり補助金は従業員数によって上限額が変わるため、自社の規模をまず確認してください。
製品・サービス高付加価値化枠
| 従業員数 | 補助上限(通常) | 補助上限(大幅賃上げ特例) | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 5名以下 | 750万円 | 850万円 | 1/2(中小企業) 2/3(小規模・再生) |
| 6〜20名 | 1,000万円 | 1,250万円 | |
| 21〜50名 | 1,500万円 | 2,500万円 | |
| 51名以上 | 2,500万円 | 3,500万円 |
グローバル枠(海外展開を伴う事業向け)
| 区分 | 補助上限 | 補助率 |
|---|---|---|
| 通常 | 3,000万円 | 1/2(中小企業) 2/3(小規模) |
| 大幅賃上げ特例 | 4,000万円 | 同上 |
下限は全枠共通で100万円です。100万円未満の申請は受け付けてもらえません。
なお、「大幅賃上げ特例」は年平均成長率6.0%以上(通常要件の3.5%に加えてさらに+2.5%)の賃金引き上げが条件。中小企業にとってはハードルが高めのため、まず通常要件での上限額で計画を立てることをお勧めします。
第23次で変わった3つのポイント
第22次から申請を考えていた方は、ここを読み飛ばさないでください。今回の改定は「要件が増えた」というより「緩かった部分が厳格化された」という性格です。
変更1:賃上げ要件が必須化・水準も引き上げ
前回(第22次)は賃上げが加点項目だったため、賃上げなしでも申請自体は可能でした。第23次からは賃上げが申請の必須条件となり、しかも基準も引き上げられました。
- 必須要件:従業員1人あたり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上増加
- 対象:役員報酬は除く。従業員のみの給与が対象
「うちは賃上げできるか不安…」という場合、ミラサポplus(中小企業庁)に無料相談窓口があります。
変更2:役員報酬が賃上げ計算から除外
これが意外と影響する変更点です。これまで役員報酬を含めた「給与支給総額」で賃上げ達成を証明できましたが、第23次からは役員分を除いた従業員分のみで計算しなければなりません。社長・役員の自己報酬を増やしても、要件を満たしたことにはならない点に注意してください。
変更3:賃上げ加点の廃止
賃上げが「加点→必須」になったことで、賃上げ加点そのものも廃止されました。「前回は加点で高得点だったから今回も同じ作戦で」というのは通用しません。審査では賃上げ以外のポイントで差をつける必要があります。
AI・DX投資でものづくり補助金を使うための対象経費
「うちはメーカーじゃないから対象外では?」という声をよく聞きますが、ものづくり補助金は製造業だけが対象ではありません。革新的な製品・サービスの開発であれば、AIシステムの構築も対象になります。
補助対象になる主な経費
- 機械装置・システム構築費(必須計上)― AIを活用した自動化設備、検査システム、生産管理システム等。これが最も使われる経費項目です
- クラウドサービス利用費― AIツールのSaaS利用料(補助事業期間分)
- 外注費― AIシステムの開発委託、カスタマイズ費用
- 技術導入費― 特許権等の導入に要する費用
- 専門家経費― 外部コンサルタントへの費用(上限あり)
- 原材料費― 試作品の製造に使う材料
- 知的財産権等関連経費― 特許申請費用など
補助対象にならない経費(注意)
- 汎用PC・タブレットの購入費(特定業務に特化していないもの)
- 既存システムの保守・運用費(新規導入分は対象)
- 人件費(従業員の給与・残業代)
- 交通費・食費等の日常的な経費
- 消費税
要するに、「この設備・システムがなければ新しい事業・製品が作れない」という直接的な関係が問われます。「便利になるから導入したい」だけでは説得力に欠けます。
採択率と審査の実態
直近3回の採択率データ
| 公募回 | 申請件数 | 採択件数 | 採択率 | 発表日 |
|---|---|---|---|---|
| 第19次 | 5,336件 | 1,698件 | 31.8% | 2025年7月28日 |
| 第20次 | 2,453件 | 825件 | 33.6% | 2025年10月27日 |
| 第21次 | 1,872件 | 638件 | 34.1% | 2026年1月23日 |
出典:ものづくり補助金 採択結果(公式)(参照日:2026年3月18日)
「3社に1社しか通らない」という状況が続いています。かつての40〜50%台に比べると確実に厳しくなっており、準備不足での申請は採択可能性がかなり低くなります。第22次の採択結果は2026年4月下旬発表予定です。
審査で評価されるポイント
採択率を高めるために、審査委員が特に重視する4つの観点を押さえておきましょう。
- 技術的・事業的な革新性:「既存製品の改良」ではなく「新しい製品・サービス・生産方式」であることを明確に示す。AIの活用であれば、既存システムとの差分を具体的に説明することがポイントです
- 数値目標の具体性:付加価値額の年平均成長率3.0%以上という要件をどう達成するか。生産性・売上の根拠を示せるかどうかで評価が大きく変わります
- 実施体制の実現可能性:誰が責任者で、どのベンダーと連携し、いつ何を完了させるか。一人体制・外部任せの体制は低評価につながりやすいです
- 費用対効果の合理性:補助金を受け取った後、自立的に事業継続できるか。「補助金頼みの計画」は審査委員に見抜かれます
申請から補助金受け取りまでの全工程
Step 1:GビズIDプライムの取得(所要:1〜2週間)
jGrantsでの電子申請にはGビズIDプライムが必須です。法人の場合、印鑑証明書(発行3か月以内)が必要なため、申請締切の3週間前までに手続きを完了させてください。
詳細な手順はGビズID取得ガイドをご参照ください。
Step 2:事業計画の策定(所要:2〜4週間)
「何のために、どんな設備・システムを導入し、何がどう変わるか」を数値で示す計画書が核心部分です。付加価値額・生産性・雇用見込みの数値目標は根拠付きで設定してください。
Step 3:認定支援機関の確認・連携
事業計画書には認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の確認書が必要です。地域の商工会、金融機関、コンサル会社が該当します。締切間近になると相談枠が埋まるため、早めに連絡を取ることをお勧めします。
Step 4:申請書類の作成・jGrantsで提出(2026年4月3日〜5月8日)
jGrants上で申請書を作成します。事業計画書本体(様式1〜3)、賃金引上げ計画書、見積書等の添付書類を揃えて提出します。5月8日 17:00は厳守。1分でも遅れたら受け付けてもらえません。
Step 5:採択通知(2026年8月上旬予定)
採択発表後に交付申請を行います。採択≠交付決定であることを忘れないでください。交付決定が来る前に発注・契約すると、その経費は全額自己負担になります。
Step 6:交付決定後に事業開始
交付決定通知を受け取ってから、設備の発注・契約・導入を進めます。実施期間は製品・サービス高付加価値化枠で交付決定日から10か月以内(グローバル枠は12か月以内)。
Step 7:実績報告・補助金の受取
事業完了後に実績報告書を提出。審査通過後に補助金が振り込まれます(後払い方式)。実績報告には支払い証明書類が必要なため、発注書・請求書・領収書・振込明細を全て保管しておいてください。
不採択になる申請書の典型パターン(❌⭕形式)
パターン1:交付決定前に発注してしまう
❌ 採択通知メールが届いたら「これで決まった」と思い、すぐに設備を発注する
⭕ 交付決定通知書(書面)を受け取ってから発注・契約する
採択=お金が出るわけではありません。採択後も交付申請→交付決定という手続きがあります。交付決定前の経費は全額自己負担になる最大の落とし穴です。
パターン2:技術の新規性が読み取れない
❌ 「AIチャットボットを導入して顧客対応を効率化する」(ツールの説明になっている)
⭕ 「現在、月200件の問い合わせ対応に3名・月60時間を要している。AIを活用した自動応答システムを自社業務に特化して構築することで、応答時間を現状の4.5時間→30分に短縮し、担当者を製品開発業務にシフトする」(課題→革新的解決策→数値目標の流れ)
パターン3:事業計画の数値が根拠不明
❌ 「導入後は売上が20%向上すると見込む」(根拠が一切ない)
⭕ 「類似の自動化事例では工程時間が平均62%削減されており、当社では月産能力が現状○件から○件に向上する。これにより受注可能件数が増え、売上高は現状○百万円→○百万円(+○%)を見込む。根拠:○○業界の自動化効果に関する中小機構調査レポート(2024年)」
パターン4:補助事業終了後の展開が書かれていない
❌ 計画書が「導入完了」で終わっている
⭕ 導入後の販路開拓計画、保守体制、収益回収の見通しまで記載する。補助金は事業立ち上げの「一時的な支援」なので、「自立して続けられる事業か」が問われます
申請スケジュール(第23次)と今からやること
| マイルストーン | 日付 | 必要アクション |
|---|---|---|
| 公募開始 | 2026年2月6日 | 公募要領のダウンロード・精読 |
| GビズID取得期限 | 2026年4月中旬頃(目安) | 印鑑証明書の準備・GビズID申請 |
| 電子申請受付開始 | 2026年4月3日 17:00 | jGrantsの申請フォーム入力開始 |
| 申請締切 | 2026年5月8日 17:00(厳守) | 書類最終確認・jGrantsで提出 |
| 採択発表(予定) | 2026年8月上旬 | 結果確認・交付申請の準備 |
今(2026年3月)から申請締切まで約7週間です。事業計画書の作成と認定支援機関との相談が最もボリュームが大きいため、今週中に認定支援機関への連絡を取ることを強くお勧めします。
よくある質問(FAQ)
Q1. ものづくり補助金は製造業しか使えませんか?
A. そんなことはありません。正式名称に「商業・サービス」も含まれているとおり、製造業以外でも申請できます。ただし、革新的な製品・サービス開発や生産プロセスの改善が要件になります。AIシステムの構築・AI検査装置の導入も対象になった実績があります。
Q2. 補助率2/3が適用される「小規模事業者」の定義は?
A. 製造業・建設業・運輸業は従業員20名以下、それ以外は従業員5名以下が小規模事業者に該当します(中小企業基本法の定義)。該当すれば補助率が1/2→2/3になるため、自社が小規模かどうかを確認してください。
Q3. IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)との違いは?
A. IT導入補助金は汎用的なソフトウェア・クラウドツールの導入が中心で、上限は450万円。ものづくり補助金は機械・設備投資や革新的な自社システム構築が中心で、上限が最大4,000万円と高額です。AIシステムを独自開発・カスタマイズするならものづくり補助金、既製品のAIツール・SaaSを導入するならIT導入補助金が向いています。
Q4. 採択後に計画を変更することはできますか?
A. 軽微な変更は可能ですが、補助事業の内容・経費区分・金額の大幅な変更は事前申請が必要です。「採択されてから計画を詰める」という姿勢は避けましょう。交付決定後に計画を大幅変更しようとすると取消しリスクがあります。
Q5. 2026年度のものづくり補助金は今後も公募がありますか?
A. 例年通りであれば、第24次以降の公募が2026年後半に予定されると見込まれます。ただし正式な発表は事務局から随時行われるため、公式ポータルをブックマークして定期確認してください。
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参考・出典
- ものづくり補助金 第23次 公募要領について — ものづくり補助金事務局(参照日:2026年3月18日)
- ものづくり補助金 採択結果(第19〜21次) — ものづくり補助金事務局(参照日:2026年3月18日)
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の第23次公募要領を公開しました — 中小企業庁(参照日:2026年3月18日)
- 中小企業庁担当者に聞く「ものづくり補助金(令和6年度補正)」 — ミラサポplus(参照日:2026年3月18日)
- ものづくり補助金23次締切分の変更点 — みんなの補助金コンシェルジュ(参照日:2026年3月18日)
AI導入の計画策定でものづくり補助金を最大活用するために
今日からできる3つのアクションをまとめます。
- 今日やること:GビズIDの取得状況を確認する。未取得なら今すぐ申請(手順はこちら)
- 今週中:地域の商工会・中小企業診断士等の認定支援機関に連絡し、事業計画書の相談アポを取る
- 今月中:公式ポータルから第23次公募要領(PDF)をダウンロードし、自社の申請枠と賃上げ要件の達成可否を確認する
あわせて読みたい:
- GビズID取得ガイド — 申請の第一歩を手順付きで解説
- 主要補助金5制度を徹底比較 — ものづくり補助金が自社に合うか確認
AIを活用した設備投資・システム開発の計画策定でお困りであれば、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。補助金申請書の代行は行政書士の独占業務のため弊社では行いませんが、AI導入計画の策定・要件整理のサポートは得意としています。
この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。
免責事項
本記事の情報は2026年3月18日時点の中小企業庁・ものづくり補助金事務局の公表資料に基づく参考情報です。補助金・助成金の制度内容は予告なく変更される場合があります。申請にあたっては、必ず公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。