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M&A補助金 第15次の公募予想|傾向と準備のポイント

M&A補助金 第15次の公募予想|傾向と準備のポイント

この記事の結論

事業承継・M&A補助金 第15次公募の開始時期を過去5回のスケジュールから予測。採択率約60%の傾向分析と、第14次制度(補助率・上限額・4枠の詳細)を解説。公募開始前に今日できる準備3点を紹介。




2026年4月3日、事業承継・M&A補助金の第14次公募が締め切られた。採択発表は5月中旬の予定で、採択された事業者は交付決定後の事業実施に向けた準備を進めている段階だ。当然、次の関心事は「第15次公募はいつ始まるのか」である。

本記事では、公式発表前の予測として、過去5回(第10次〜第14次)の公募スケジュールと採択データから、第15次の開始時期・制度内容を分析する。「公式発表前の予測記事」であることを最初に断っておく。確定情報は必ず公式サイトで確認してほしい。


過去5回の公募スケジュールから読む、第15次の開始時期

まず過去の公募スケジュールを整理する。事業承継・M&A補助金は年に3〜4回の公募が実施されてきた。

公募回 公募開始 締切 前回から間隔 採択発表
第10次 2025年1月 2025年2月 2025年3月
第11次 2025年3月31日 2025年6月6日 約2ヶ月 2025年7月
第12次 2025年7月18日 2025年9月19日 約6週間 2025年10月
第13次 2025年10月 2025年11月28日 約3週間 2026年1月
第14次 2026年2月27日 2026年4月3日 約3ヶ月 2026年5月中旬(予定)
第15次(予測) 2026年5〜6月頃 2026年7月頃 約2〜3ヶ月 2026年8月頃

※ 第15次は筆者予測です。公式発表ではありません。出典:中小企業庁 公募要領公表ページ(参照日:2026年5月4日)

第11次〜第14次の間隔を見ると、最短3週間、最長3ヶ月と幅があるが、直近2回(第13次→第14次)は約3ヶ月の間隔だった。第14次の採択発表が5月中旬なら、次回公募は5月下旬〜6月の開始が現実的なラインだろう。

ただし、令和8年度予算の執行状況次第では遅れる可能性もある。2026年度予算が当初予算ではなく補正予算で対応する場合、秋以降にずれ込むケースも過去に見られた。「5〜6月に始まるかもしれないが、確定ではない」と認識して準備を進めるのが正しい姿勢だ。

各補助金の比較表は事業承継・M&A補助金4枠の徹底比較もあわせて参照してほしい。

第14次の制度概要——第15次予測の前提として押さえる

第15次の内容を予測するには、まず直近の第14次(令和7年度補正予算)の制度を正確に把握しておく必要がある。

補助率 補助上限額 主な対象経費
事業承継促進枠 1/2(小規模事業者2/3) 800万円
(賃上げ実施時1,000万円)
設備・システム導入費、専門家活用費、廃業費
専門家活用枠(買い手) 2/3 600万円
(DD実施時+200万円、特例最大2,000万円)
M&A仲介・FA費用、DD費用
専門家活用枠(売り手) 1/2(営業利益率低下時2/3) 600万円 M&A仲介・FA費用
PMI推進枠 1/2(小規模事業者2/3) 150万〜1,000万円
(類型により異なる)
統合支援専門家費、システム統合費、人事・財務統合コンサル費
廃業・再チャレンジ枠 2/3 150万円 廃業支援費、在庫廃棄費、原状回復費、解体費

出典:事業承継・M&A補助金(令和7年度補正予算)公式サイト(参照日:2026年5月4日)

「AI活用」との文脈でとくに注目したいのがPMI推進枠だ。M&A後の統合(Post Merger Integration)における業務プロセス統一やシステム連携にAIツールを活用する計画は、この枠の申請書で高く評価される傾向にある。詳しくはPMI推進枠 申請完全ガイドを参照してほしい。

第11次〜第14次の採択率推移——「約6割」が安定ライン

補助金の採択を狙う上で、採択率の把握は欠かせない。事業承継・M&A補助金は他の補助金と比較して採択率が高い制度として知られる。

公募回 申請件数 採択件数 採択率 傾向
第11次 590件 359件 60.8%
第12次 742件 453件 61.0% 申請増も採択率維持
第13次 481件 293件 60.9% 申請減も採択率ほぼ同水準
第14次 発表待ち(5月中旬)
第15次(予測) 約60%前後と予測 傾向が変わらなければ維持

出典:株式会社壱市コンサルティング 採択データ分析(参照日:2026年5月4日) / 各回事務局審査結果

第11〜13次を通じて採択率は60.8〜61.0%でほぼ一定。申請件数が742件(第12次)から481件(第13次)に減っても採択率が変わらない事実は、「審査の絶対基準が一定で、質が低い申請が落ちているだけ」を示唆している。

つまり、しっかり事業計画を書けば3件に2件は通る計算だ。逆に言えば、申請件数が少なくなったからといって「競争が楽になった」とは言い切れない——枠の予算上限があるため、採択件数の絶対数は予算に縛られる。

第15次で予測される制度変更のポイント

「前回と同じ制度が次回も続く」とは限らない。過去の改定パターンから、第15次で想定される変化を整理する。

(1)賃上げ要件の上乗せ額が維持される可能性が高い

第14次では、賃上げを実施する事業者に対して補助上限が800万円→1,000万円に引き上げられた。この仕組みは第13次から導入されており、継続される可能性が高い。「どうせ申請するなら賃上げ加算を取りに行く」という姿勢が、次回も合理的だ。

(2)PMI推進枠の対象が拡大される可能性

政府はM&A後のPMI支援を重点政策として位置づけており、中小企業庁の各種政策文書でもPMI支援の充実が繰り返し言及されている。第15次でPMI推進枠の上限額が引き上げられるか、AI・DXツール活用が明示的に対象経費に追加される可能性がある。

ただし「可能性がある」というレベルであり、公募要領が出るまでは確認できない。この予測を事実として扱わないよう注意してほしい。

(3)デューデリジェンス費用の特例上限(2,000万円)の扱い

専門家活用枠(買い手)では、一定要件を満たす場合に最大2,000万円という特例上限が適用される。この特例が次回も維持されるかは、現時点では不明だ。大型M&Aを検討している企業は、公募開始と同時に要領を確認することを強く推奨する。

第15次の開始を待たずに今日できる3つの準備

公募開始を待ってから動き始めると、申請書の作成時間が不足する。事業承継・M&A補助金は申請書の内容が採否を直接左右する制度だ。今のうちに以下を済ませておくと、公募開始後に大きくリードできる。

1. GビズIDプライムの取得

申請にはGビズIDプライムが必須。法人の場合、印鑑証明書の取得から申請まで2週間程度かかる。「公募が始まってから取ろう」では間に合わない。

GビズID登録の手順はGビズID取得完全ガイドを参照。

2. 事業承継・M&Aの目的と課題を数字で整理する

審査で落ちる申請書の最大の弱点は「なぜこの事業承継・M&Aが必要か」が数字で語られていない点だ。

今の段階でやるべきことは、以下の3指標を自社の数字で埋めることだ。

  • 後継者問題の具体的状況(現経営者の年齢・後継候補の有無)
  • M&A・事業承継を行わなかった場合の試算損失(売上・雇用・技術継承)
  • 統合後(PMI)に目指すKPI(統合コスト削減率・売上シナジーの目標値)

これらが書けない状態で申請書を書き始めると、必ず「ふわっとした計画書」になる。正直、この準備が一番時間がかかる。

3. 支援専門家(M&A仲介・FA)との連携を事前に打診する

専門家活用枠は「M&A専門家に依頼した費用」が補助対象だが、補助金申請前の費用は原則として対象外だ。交付決定前に専門家と本契約してしまうと、費用が補助されない。

公募開始前に「連携できるか打診する」「見積もりを取り寄せる」「要件を確認する」までは問題ない。本契約・発注は交付決定後に行うこと。これは補助金全般に共通する最重要ルールだ。

申請で加点される「審査員が見るポイント」4選

第11〜13次の採択事業者の公開情報と事務局の審査方針から、評価が高かった申請書の共通点を分析すると、以下4点が浮かび上がる。

(1)課題が定量化されている

❌「後継者がおらず事業継続が困難」

⭕「代表者70歳、後継者候補ゼロ。現状のまま5年後に廃業すると、従業員12名・年商2.3億円・受注中の技術(XX特許保有)が消滅する。M&Aによる技術・雇用承継が唯一の選択肢」

(2)なぜこの相手(買い手/売り手)なのかが明確

「良い企業と出会えたので」という申請書は通らない。「相手方の○○という強みが自社の△△という弱みを補完し、統合後に□□市場でのシェアが○%向上すると試算した」という論理展開が求められる。

(3)PMI計画が具体的

PMI推進枠ではなくても、事業承継促進枠の申請でも「統合後をどう運営するか」が問われる。システム統合の計画、人事制度の統合方針、ブランド戦略——いずれも「交付決定後にゆっくり考える」では審査では評価されない。

(4)費用の根拠が明確

「FA費用: ○○万円」とだけ書くのではなく、「○○社との成約ベースのFA契約、成功報酬率は○%、想定成約額○億円から試算」という根拠を示す。第12次では、費用の根拠が曖昧な申請が多く採択されなかったという傾向が報告されている。

公募開始直後にやること——チェックリスト

第15次の公募要領が公表されたら、最初に以下を確認すること。前回からの変更点を見逃すと、準備していた計画が無駄になることがある。

  • 補助率・上限額の変更有無(賃上げ加算の継続可否を含む)
  • 対象経費の追加・削除(AIツール活用費が明示されているか)
  • 申請スケジュール(締切・採択予定日)
  • 採択状況の公表ページURLの確認(直前回の採択率を確認)
  • よくある質問の更新内容(制度変更のヒントが含まれることがある)

公式サイトは shoukei-mahojokin.go.jp をブックマークしておくこと。メーリングリストへの登録(サイト上で受付中)で更新通知も受け取れる。

まとめ——第15次に備えて今できること

第15次公募の開始は、過去の傾向から2026年5〜6月頃と予測される。ただし確定情報は現時点では存在しない。

確かなのは、この制度が過去11回にわたって安定して運用されており、採択率が約60%と高水準を維持していることだ。申請書の質さえ担保できれば、3社に2社が通る計算になる。

今日から動けることは3つ。

  1. GビズIDの取得(2週間かかる、今すぐ申請)
  2. 課題・目標の数値化(後継者問題・M&A目的を定量化)
  3. 支援専門家の事前打診(本契約は交付決定後)

公式発表を待ちながら、この3点を並行で進めておくことが、第15次採択への最短ルートになる。

事業承継・M&AにAIを活用するシナリオはAI活用3事例記事も参照。AI導入の計画策定でお悩みなら、お問い合わせフォームからご相談ください。


参考・出典

この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。


免責事項
本記事の情報は2026年5月4日時点の各省庁・事務局の公表資料および公開情報に基づく参考情報です。第15次公募に関する記述は過去の傾向に基づく予測であり、公式発表ではありません。補助金・助成金の制度内容は予告なく変更される場合があります。申請にあたっては、必ず公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。

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