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【2026年度】賃上げと補助金の関係|4制度の加点・補助率引上げルール比較

【2026年度】賃上げと補助金の関係|4制度の加点・補助率引上げルール比較

この記事の結論

2026年度の補助金は賃上げと連動。ものづくり補助金(年3.5%必須)、デジタル化AI補助金(150万円以上で3%必須)、省力化補助金、持続化補助金の賃上げ要件・加点・補助率引上げを横断比較。

2026年度の補助金は、賃上げと切り離せない関係になっている。省力化補助金、ものづくり補助金、デジタル化・AI導入補助金——主要3制度で賃上げが「必須要件」に格上げされた。持続化補助金でも賃金引上げ特例を使えば補助上限が大幅に伸びる。

「賃上げは経営上の判断で別に考えていた」という経営者は多い。だが、どうせ賃上げをするなら補助金の採択に結びつけた方が圧倒的に得だ。この記事では、4大補助金の賃上げ要件・加点・補助率引上げルールを横断的に比較する。

補助金全体の比較はAI導入に使える補助金5選 徹底比較でも整理している。この記事はその賃上げ論点の深掘り版と位置づけてほしい。

制度 賃上げの位置づけ 具体的な要件 効果
ものづくり補助金(第23次) 必須要件(未達で申請不可) 年平均3.5%以上増加、事業場内最低賃金+30円以上 —(要件未達は申請できない)
デジタル化・AI導入補助金 一定額以上は賃上げ必須、加点もあり 150万円以上の申請は年平均3%以上、最低賃金+30円以上 加点で採択率UP、小規模+インボイスで補助率4/5も
省力化投資補助金(一般型) 賃上げ目標の設定が前提 年平均3.0%以上(物価安定目標+1%)、最低賃金+30円以上 補助率優遇(小規模は2/3)、加点評価あり
持続化補助金(第19回) 任意(特例・加点) 補助事業終了時に最低賃金+30円以上(賃金引上げ特例) 補助上限が50万円→最大250万円に拡大

※ 上記は2026年4月7日時点の公募要領に基づく情報です。制度内容は予告なく変更される場合があります。

ものづくり補助金:賃上げは申請の「前提条件」になった

ものづくり補助金の第23次公募(締切: 2026年5月8日)では、賃上げ要件が明確に義務化されている。「加点」ではない。要件を満たさなければそもそも申請できない仕組みだ。

必須の賃上げ要件(第23次)

  • 補助事業期間中、従業員一人ひとりの給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上増加させる計画を立てること
  • 事業場内最低賃金を地域の最低賃金より30円以上高い水準に維持すること

これは単なる「計画の記載」だけではない。補助事業終了後の実績報告でも達成状況が確認される。未達の場合、補助金の返還を求められるリスクがある。

大幅賃上げによる加点(優先採択)

第23次では通常の賃上げ要件に加え、以下の要件を満たす事業者が優先採択の対象になる(加点措置)。

  • 直近3ヶ月以上、地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上いる事業者 → 最低賃金引上げ特例加点
  • 全国目安で示された最低賃金の引上げ額(63円)以上の賃上げを行う事業者 → 事業場内最低賃金加点

正直、この加点要件を見て「うちは対象か?」と判断に迷う経営者は多い。最低賃金近傍で雇用している従業員が多い業種(飲食、小売、介護等)ほど、この加点が狙いやすい。

項目 第23次の数値
補助率(中小企業) 1/2以内
補助率(小規模・再生事業者) 2/3以内
補助上限額 最大3,500万円(省力化・グローバル展開型はさらに高い)
賃上げ必須要件 年平均3.5%以上、事業場内最低賃金+30円以上
公式サイト ものづくり補助金総合サイト

デジタル化・AI導入補助金:賃上げで採択率と補助率が変わる

デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)の賃上げルールは少し複雑だ。補助額によって賃上げが「任意→必須」に変わり、さらに枠の選択によって補助率が変動する。

補助額150万円以上は賃上げが必須

通常枠で150万円以上の補助を申請する場合、以下2つが必須要件になる:

  • 給与支給総額の年平均成長率を3%以上(物価安定の目標+1%)とする計画を立てること
  • 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること

150万円未満の申請なら賃上げ要件は必須ではない。ただし、「どうせ150万円以上使うなら必須」と考えてよい。AI導入でまとまった投資をする場合、150万円を下回るケースはほとんどない。

加点項目(採択優先度に影響)

通常枠の加点として、交付申請の直近月における事業場内最低賃金を「令和7年7月の事業場内最低賃金+63円以上」の水準にしていることが挙げられている。63円というのは、2025年の全国最低賃金引上げ額に相当する。

補助率4/5(80%)が狙えるインボイス枠

小規模事業者がインボイス枠で申請し、かつ一定の賃上げ要件を満たす場合、補助率が最大4/5(80%)まで引き上がる可能性がある。ただし、補助率の引上げ要件は枠ごとに細かく異なるため、申請前に公募要領を精読することが必須だ。

申請区分 補助率 賃上げとの関係
通常枠(150万円未満) 1/2以内 任意(加点あり)
通常枠(150万円以上) 1/2以内 必須(年平均3%以上等)
インボイス枠(小規模) 最大4/5(一定要件下) 賃上げ要件と枠要件の組み合わせ

補助上限は最大450万円。補助率の詳細は中小企業庁の公募要領で確認してほしい。

省力化投資補助金:賃上げ目標の設定が事業計画の核

中小企業省力化投資補助金(一般型)は「省力化=人手不足解消=賃上げの原資確保」という設計思想で作られている。補助金を使って設備や自動化システムを導入し、浮いた人件費を既存従業員の賃上げに回すというストーリーが求められる。

賃上げ目標の設定(必須)

  • 給与支給総額の年平均成長率: 3.0%以上(物価安定目標+1%)が基準
  • 事業場内最低賃金: 地域別最低賃金+30円以上を維持すること

これは「計画値」として申請書に記載する。実績として達成できなかった場合のペナルティについては公募要領で確認が必要だ。

補助率と上限額

事業者区分 補助率 補助上限額
中小企業 1/2以内(大幅賃上げ時は2/3) 最大1億円(101人以上・大幅賃上げ時)
小規模事業者・再生事業者 2/3以内 同上

小規模事業者が2/3の補助率を受けられる点は大きい。100万円の省力化投資で67万円が戻ってくる計算だ。さらに「省力化+DX」「省力化+GX」の組み合わせ投資には加点評価が与えられる方向で議論されている(2026年4月時点)。

第6回公募は2026年4月中旬受付開始、5月中旬締切予定。詳細は省力化投資補助金公式サイトを確認してほしい。

持続化補助金:賃上げで補助上限が5倍になる

小規模事業者持続化補助金(第19回)の通常枠は補助上限50万円だ。ただし、賃金引上げ特例を活用すると補助上限が劇的に変わる。

賃金引上げ特例の仕組み

補助事業終了時点で事業場内最低賃金が申請時より30円以上上がっていることが条件だ。この特例と「インボイス特例」を組み合わせると、補助上限が最大250万円になる。

特例の組み合わせ 補助上限額
通常(特例なし) 50万円
インボイス特例のみ 100万円
賃金引上げ特例のみ 200万円
インボイス+賃金引上げ両方 250万円

補助率は通常2/3(赤字事業者は3/4)。賃金引上げ特例を使って250万円の補助を受けると、総事業費375万円のうち250万円が戻ってくる。実質125万円の自己負担で最大375万円のプロジェクトを動かせる計算だ。

加点項目として、申請時点で「事業場内最低賃金が地域最低賃金より30円以上高い」場合に加点が得られる。これは特例とは別の話だ。特例は補助事業終了後の達成が条件、加点は申請時点での状況が問われる。混同しやすいので注意してほしい。

4制度の賃上げルールで「やりがち」な失敗3選

失敗1: 賃上げ計画を「計画書の飾り」だと思っている

❌ 「採択されるために3.5%増と書いておけばいい」

⭕ 補助事業終了後の実績報告・事業化報告で達成状況が確認される。未達の場合は補助金の返還を求められるリスクがある。現実的に達成できる計画を立てること。

失敗2: 持続化補助金の「特例」と「加点」を混同している

❌ 「賃上げ加点を受ければ補助上限が上がる」

⭕ 補助上限を上げるのは「賃金引上げ特例」(補助事業終了後の達成が条件)。「加点」は採択されやすくなる評価点の話。別物だ。

失敗3: ものづくり補助金の賃上げ要件を「加点だろう」と勘違いしている

❌ 「賃上げは加点項目だから、できなくても申請はできるはず」

⭕ 第23次では賃上げは必須要件。3.5%増の計画が立てられない場合、申請そのものができない。申請前に現状の給与水準と達成可能な成長率を確認すること。

賃上げ×補助金の申請から交付までの5ステップ

Step 1: 現在の賃金水準の確認(今すぐ)

従業員ごとの現在の給与総額、事業場内最低賃金、地域の最低賃金との差額を確認する。これが賃上げ要件を満たせるかどうかの出発点になる。

Step 2: 申請する制度と枠の選定(今週中)

上記の比較表に基づき、賃上げ計画と投資内容が合致する制度を選ぶ。迷う場合は補助金比較記事も参照してほしい。

Step 3: 事業計画書への賃上げ計画の組み込み(締切2〜4週間前)

単に「XX%賃上げする」と書くだけでは評価されない。「省力化によって削減される工数XXX時間分の人件費をどう配分するか」「具体的に誰の給与をいつまでにいくら上げるか」を記載する。

Step 4: 申請・採択・交付決定(制度ごとのスケジュール参照)

採択後に交付申請を行い、交付決定を受けてから発注・契約・事業開始。交付決定前の発注は補助対象外になるため、この順番は絶対に守ること。

Step 5: 実績報告時の賃上げ実績の確認(事業終了後)

補助事業終了後の実績報告では、賃上げの達成状況を証明する書類(賃金台帳等)の提出が求められる。計画と実績の差を説明できるよう、日頃から記録を残しておくこと。

賃上げ補助金を最大限活用するための判断フロー

自社がどの制度を選ぶべきかを判断する簡単なフローを示す。

Step A: 年平均3.5%の賃上げ計画を立てられるか?

  • YES → ものづくり補助金(設備投資・AI開発含む)が射程に入る
  • NO → ものづくり補助金は対象外。持続化・デジタルAI補助金を検討

Step B: 投資内容はAIソフト・クラウド中心か、設備・ハード中心か?

  • AIソフト中心 → デジタル化・AI導入補助金(補助上限450万円)
  • 設備・自動化機器中心 → 省力化投資補助金(補助上限最大1億円)
  • 両方含む → ものづくり補助金(混在OK、補助上限3,500万円〜)

Step C: 小規模事業者(従業員5〜20名以下)か?

  • YES → 各制度の小規模事業者特例(補助率引上げ)を確認する
  • NO → 通常の補助率・上限で計算する

AI導入と賃上げ計画を組み合わせた補助金申請の計画策定でお悩みなら、お問い合わせフォームからご相談ください。AI導入のコンサルティング・研修を通じて計画策定をサポートします(申請代行は行っていません)。

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この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。

参考・出典


免責事項

本記事の情報は2026年4月7日時点の各省庁・事務局の公表資料に基づく参考情報です。補助金・助成金の制度内容は予告なく変更される場合があります。申請にあたっては、必ず各制度の公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。

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