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補助金で買えるもの・買えないもの

この記事の結論

補助金の対象経費と対象外を横断比較。機械装置OK、人件費NG。制度別の違いを解説。

補助金は「対象経費に該当するかどうか」が最大の難所

補助金に採択されたのに、いざ経費を申請したら「対象外です」と言われた——こういうトラブルが後を絶たない。採択後に交付申請で却下されると、せっかく準備した設備投資が全て自己負担になる。

正直、どの制度も「補助対象経費」の定義は公募要領に細かく書いてあるが、読むのが面倒でつい飛ばしてしまう。それが命取りになる。

この記事では、ものづくり補助金・デジタル化AI導入補助金(旧IT導入補助金)・持続化補助金の3制度について、対象経費・対象外経費を横断的に比較する。「結局うちが買いたいものは対象になるのか?」——その疑問にできる限り具体的に答える。

各制度の詳細な比較は、AI導入に使える補助金5選 徹底比較もあわせて参照してほしい。

結論から先に — あなたの購入品は対象になるか?

制度別の対象可否を早見表にまとめた。詳細は各セクションで確認してほしい。

購入品・経費 ものづくり補助金 デジタル化AI導入補助金 持続化補助金
業務用機械・設備(専用機) ⭕(単価50万円以上) ❌(対象外) ⭕(機械装置等費)
業務用ソフトウェア ⭕(システム構築費) ⭕(ソフトウェア購入費) ⭕(開発費)
クラウドサービス利用料 ⭕(最大2年分) ⭕(最大2年分) △(新規導入のみ要確認)
外注費・委託費 ⭕(全事業費の50%以内) ⭕(導入コンサルティング等) ⭕(委託・外注費)
汎用PC・タブレット ❌(対象外) ❌(対象外) ❌(対象外)
人件費(従業員給与) ❌(原則対象外) ❌(対象外) ❌(対象外)
家賃・事務所賃料 ❌(対象外) ❌(対象外) ❌(対象外)
専門家経費(コンサル費等) ⭕(全事業費の50%以内) ⭕(活用コンサル含む) ⭕(委託費として)
不動産取得費・建物費 ❌(対象外) ❌(対象外) ❌(対象外)
広告宣伝費 ❌(通常枠では対象外) ❌(対象外) ⭕(広報費として)

※上記は2026年度の各公募要領に基づく参照日時点の情報。詳細は各制度の公募要領を必ず確認すること。

ものづくり補助金:買えるもの・買えないものの実態

ものづくり補助金は、製品・サービスの高付加価値化を実現する「革新的な」設備・システム投資が対象だ。汎用品ではなく、事業固有の生産性向上につながる投資に絞られている。

買えるもの(補助対象経費)

  • 機械装置・システム構築費:専用の製造機械、AI検品システム、産業用ロボットなど。単価50万円(税抜)以上が条件。合計金額ではなく単価であることに注意
  • 技術導入費:特許権・ライセンス料など技術導入に必要な経費
  • 専門家経費:中小企業診断士・ITコンサルタント等の費用(全事業費の50%以内)
  • クラウドサービス利用費:SaaS型AIツールの利用料(補助期間内分、最大2年分)
  • 外注費:システム開発の一部外注(全事業費の50%以内)
  • 原材料費:試作品製造に使う原材料(最終製品の製造費ではない)
  • 知的財産権等関連経費:特許出願費用など

AIに関連する具体例:AI画像認識検品システム(単価50万以上なら対象)、生産管理AIソフト、受発注自動化システムの構築費は原則対象になる。

買えないもの(対象外経費)

  • 汎用PC・タブレット・スマートフォン:「事業以外にも使える」汎用性があるため全て対象外
  • プリンター・コピー機:同様に汎用性ありで対象外
  • 不動産取得費・建物費・工場建屋:設備の置き場所の建物は対象外
  • 車両(自動車・トラック等):公道走行できる車両は一切対象外
  • 人件費:従業員の給与・賞与・社会保険料は対象外。ただし外注・委託費として別会社に発注したシステム開発費は対象
  • 光熱費・通信費・家賃:間接費用は一切対象外
  • 設置工事費(軽微でないもの):大掛かりな基礎工事・配線工事は対象外になることがある

落とし穴として多いのが「単価50万円未満のシステム」だ。SaaS導入費が月額換算で50万円未満でも、年間利用料としてまとめると対象になる場合とならない場合がある。必ず事務局に事前確認すること。

デジタル化AI導入補助金(旧IT導入補助金):ソフト特化の制度

2026年度からIT導入補助金はデジタル化・AI導入補助金に刷新された。補助率は通常枠で1/2、AI活用加点で最大4/5まで引き上げられる。ものづくり補助金と決定的に違うのは「ソフトウェア・サービスに特化」している点だ。

買えるもの(補助対象経費)

  • ソフトウェア購入費:経済産業省が登録したITツールに限る(スクラッチ開発は対象外)
  • クラウドサービス利用料:最大2年分
  • 機能拡張・データ連携ツール・セキュリティ関連:オプション費用も対象
  • 導入コンサルティング:IT導入支援事業者による支援費用
  • 導入設定・マニュアル作成・研修費用
  • 保守サポート費:一定期間の保守契約費用

AIに関連する具体例:AI-OCRツール(登録済みITツールに限る)、AI搭載の勤怠管理システム、チャットボット導入費などが典型だ。

買えないもの(対象外経費)

  • ハードウェア全般:PC・タブレット・複合機・プリンターは全て対象外(通常枠)
  • スクラッチ開発費:登録ITツール以外のシステム開発は対象外
  • 汎用的な月額SaaS:IT導入支援事業者が紹介・登録していないツールは対象外
  • 人件費・研修のための人件費:対象外
  • コンサルだけの費用:ソフトウェア導入を伴わないコンサルのみは対象外

ここで注意したいのが、使いたいSaaSが「登録ITツールかどうか」だ。有名なSaaSでも未登録なら対象外になる。IT導入支援事業者のカタログで確認が必須。2026年度は「AIツール」の登録数が増えているが、全てではないことを覚えておこう。

持続化補助金:販路開拓に絞った制度設計

持続化補助金は「小規模事業者の販路開拓」が目的の制度だ。ものづくり補助金とは全く性質が異なる。対象経費も「販路開拓に直接関係する支出」に絞られている。補助上限は通常枠50万円(賃上げ枠等は最大250万円)と少額だが、使い勝手は比較的いい。

買えるもの(補助対象経費)

  • 機械装置等費:販売活動・サービス提供に必要な設備(PCも一部対象になることがある。ただし要確認)
  • 広報費:チラシ・パンフレット・ウェブ広告など販路開拓のための広告宣伝費
  • ウェブサイト関連費:ECサイト構築費、LP制作費(ただし本補助金ではウェブサイト関連費のみでの申請は不可)
  • 展示会等出展費:商談会・展示会への出展費用
  • 委託・外注費:チラシ制作・動画制作・システム開発の外注費
  • 開発費:新商品・新サービスの試作・開発費
  • 旅費:展示会・商談への参加のための交通費・宿泊費

買えないもの(対象外経費)

  • 人件費・アルバイト代・派遣費:従業員への給与は対象外
  • 家賃・光熱費・通信費:固定費・間接費は一切対象外
  • 飲食・接待費:商談でも飲食は対象外
  • 汎用PC・スマートフォン:原則対象外(事業専用と証明できる場合を除く)
  • 税金・保険料・諸会費:対象外
  • 消耗品(文具・名刺等):小額消耗品は対象外

持続化補助金で意外と間違えやすいのが「ウェブサイト制作のみの申請」だ。ウェブサイト関連費は、他の補助対象経費と組み合わせた申請が必要で、単独ではウェブサイト費用の補助申請ができない。ウェブサイト制作会社に丸投げする形だけでは不採択になる可能性が高い。

制度をまたぐ「全制度共通」の対象外経費

どの制度でも共通して対象外になるものをまとめた。公募要領を読む前に頭に入れておきたい。

経費の種類 なぜ対象外か
人件費(従業員給与・社会保険料) 補助事業の直接経費でないため(一部の人材育成系補助金を除く)
汎用PC・タブレット・プリンター 事業以外にも使える「汎用性」があるため
家賃・敷金・光熱費・通信費 事業の間接費用であり、補助金の趣旨(設備投資・販路開拓等)に直接合致しないため
不動産取得費・建物建設費 固定資産として残るが補助の趣旨に合わないため(一部制度を除く)
飲食・接待・レジャー費 事業目的との直接関連性が認められないため
他の補助金で補助された経費 二重補助の禁止(同一経費に複数の補助金を当てることは禁止)

対象外経費で失敗しないための3つのチェック

チェック1:「汎用性があるか」を自問する

❌「このPCは補助事業のためだけに使う」→ でも汎用PCは対象外。証明できても不可。

⭕「このAI検品専用カメラシステムは補助事業専用」→ 専用機として対象になりやすい。

汎用性の有無は「他の事業・用途でも使えるか?」で判断される。「この設備は補助事業にしか使わない」と言っても、構造上汎用的なものは対象外だ。

チェック2:交付決定の前に発注するな

❌ 採択通知が来たら即発注してしまった→ 交付決定前の発注は全て対象外になる。

⭕ 採択通知→交付申請→交付決定→発注・契約→事業実施。この順番を守ること。

「採択 ≠ 交付決定」を理解していない申請者が毎年大量に発生する。採択は「補助金を出してもいい事業として認められた」だけで、実際に発注できるのは交付決定後だ。

チェック3:見積と実績の乖離に注意

❌ 申請時の見積より実際の経費が大幅に増えた→ 増加分は対象外になることがある。

⭕ 変更が生じたら事前に事務局に変更申請を行う。

対象経費の変更(追加・削除・金額の大幅変動)は、事前承認が必要なことが多い。勝手に変更すると全額不支給になる可能性もある。

「これは対象になりますか?」に答えてくれる窓口

判断が難しい場合の確認先は制度によって異なる。

制度 問い合わせ先 確認方法
ものづくり補助金 全国中小企業団体中央会(ものづくり補助金総合サイト) 電話・メール相談、地域事務局窓口
デジタル化AI導入補助金 デジタル化・AI導入補助金事務局 IT導入支援事業者経由が最速(登録ツールかどうかも確認できる)
持続化補助金 商工会・商工会議所(申請者の所在地に応じて) 様式4(支援機関の確認書)提出前に相談できる
全制度共通 認定経営革新等支援機関(税理士・中小企業診断士等) 事業計画段階から対象経費の整理を依頼可能

正直、担当者によって回答が変わることもある。特にグレーゾーンは複数の窓口で確認し、回答者名・日時・内容を記録しておくこと。後でトラブルになった時の証拠になる。

参考・出典


まとめ:今日からできる対象経費の確認3ステップ

1. 今日やること:申請予定の制度の公募要領をダウンロードして「補助対象経費」「対象外経費」のセクションを読む(GビズID登録ガイドでGビズIDも同時に準備)

2. 今週中:購入予定の設備・ソフトウェアのリストを作り、対象/対象外を一覧化する

3. 申請前:グレーゾーンの経費は必ず窓口(商工会・事務局・認定支援機関)に確認し、回答を記録する

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著者・監修情報

この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。

対象経費の判断やAI導入計画の策定についてご不明な点は、お問い合わせフォームからご相談ください。


免責事項

本記事の情報は2026年4月11日時点の各省庁・事務局の公表資料に基づく参考情報です。補助金・助成金の制度内容は予告なく変更される場合があります。申請にあたっては、必ず各制度の公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。

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