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M&A補助金で後継者不在の会社を残す方法

この記事の結論

事業承継・M&A補助金は最大800万円補助。後継者不在の経営者向け申請手順を完全解説。

「自分の代で会社を畳むしかないのか」と思っている経営者に読んでほしい記事です。

後継者不在でM&Aを検討する場合、費用面のハードルが最大の壁になります。M&A仲介手数料・デューデリジェンス費用・FA(財務アドバイザリー)費用を合計すると、中小企業でも500〜1,000万円を超えることが珍しくありません。事業承継・M&A補助金は、そこに踏み出せない経営者のために設計された制度です。

第14次公募(2026年4月3日締切)はすでに終了しましたが、同補助金は年4回程度のペースで公募が繰り返されています。次回(第15次)は2026年5〜6月頃の開始が見込まれます。今から準備を始めれば十分間に合います。

まずこれだけ確認(申請の前提条件)

| 項目 | 内容 |

|——|——|

| 制度名 | 事業承継・M&A補助金(令和6年度補正予算) |

| 所管 | 中小企業庁 |

| 対象者 | 中小企業・小規模事業者 |

| 補助率 | 1/2〜2/3(枠・状況による) |

| 補助上限額 | 150万円〜最大2,000万円(枠による) |

| 最新公募 | 第14次(2026年2/27〜4/3、終了) |

| 次回見込み | 第15次:2026年5〜6月頃(予定) |

| 公式サイト | 事業承継・M&A補助金事務局 |

申請できる主な条件(専門家活用枠・買い手支援類型の場合):

  • 中小企業基本法に定める中小企業または小規模事業者であること
  • M&A(事業承継・事業再生)を実施しようとしていること
  • 専門家(M&A仲介会社・FA・弁護士等)を活用すること
  • 認定経営革新等支援機関が関与すること

補助金制度の全体像はAI導入に使える補助金・助成金完全まとめでも確認できます。

Step 1:自社の状況に合う「枠」を確認する(所要時間:半日)

この補助金は4つの枠に分かれています。後継者不在でM&Aを検討しているケースでは、主に「専門家活用枠(売り手支援類型)」が対象になります。

専門家活用枠(売り手支援類型)

  • 補助率:1/2(営業利益率が一定水準以下の場合は2/3)
  • 補助上限:600万円
  • 対象:M&Aの実現に向けて、FA・仲介会社・弁護士・公認会計士などを活用する費用

専門家活用枠(買い手支援類型)

  • 補助率:2/3
  • 補助上限:600万円(DD実施時は+200万円で最大800万円)
  • 対象:買い手企業がFA・仲介会社・法務DD・財務DDを実施する費用

PMI推進枠(事業統合投資類型)

  • 補助率:1/2(小規模事業者は2/3)
  • 補助上限:800万円(賃上げ特例で1,000万円)
  • 対象:M&A成立後の経営統合(業務システム統合、設備投資等)

廃業・再チャレンジ枠

  • 補助率:2/3
  • 補助上限:150万円
  • 対象:M&Aが成立しなかった場合や、会社を清算した後に起業する場合の廃業費用

正直、最初は「売り手支援類型」か「買い手支援類型」のどちらが自社に当てはまるかだけ確認できれば十分です。

Step 2:専門家(M&A仲介・FA)の選定と事前相談(所要時間:1〜2週間)

補助金申請の前に、M&Aを支援してくれる専門家を決める必要があります。

選び方のポイント:

  • 中小企業M&Aの実績が豊富かどうか(年間成約件数を聞いてみる)
  • 成功報酬型か着手金型かを確認(着手金型は補助金の対象経費になりやすい)
  • 認定経営革新等支援機関であるかどうか

M&A仲介会社の中には、補助金申請の支援まで込みでサポートしてくれるところもあります。一方、認定支援機関として登録されていない専門家に依頼した場合は、補助金が使えないケースも出てきます。最初の問い合わせ時点で「事業承継・M&A補助金を使いたい」と伝えるのがコツです。

認定経営革新等支援機関の選び方については認定支援機関の選び方ガイドが参考になります。

Step 3:GビズIDプライムを取得する(所要時間:2〜3週間)

補助金の申請はjGrants(電子申請システム)を使います。jGrants利用にはGビズIDプライムが必要です。

取得手順の要点:

1. GビズID公式サイト(https://gbiz-id.go.jp/)から申請

2. 法人は「登記上の所在地」宛てに郵便で書類が届く(2〜3週間かかる)

3. 届いた書類を使ってアカウントを有効化

GビズIDの取得は無料です。ただし時間がかかるため、「次回公募が始まってから申請しよう」では間に合わないことがあります。公募開始より前に取得しておくのが鉄則です。

Step 4:事業計画書の作成と認定支援機関による確認(所要時間:2〜4週間)

事業計画書には、おおよそ以下の内容が必要です。

  • 現在の経営状況(売上・従業員数・主要事業)
  • 後継者不在に至った経緯と、M&Aを選択した理由
  • M&Aによって実現したいこと(雇用維持・技術継承・事業継続等)
  • 活用する専門家の種類と見積もり額
  • M&Aの実現に向けたスケジュール

審査で重視されるのは「M&Aの実現可能性」と「社会的意義」です。「後継者不在のまま廃業すると従業員○名が失職し、地域の○○サービスが失われる」という形で、廃業した場合の影響を具体的に書くと評価されやすくなります。

❌ 「後継者がいないのでM&Aを検討しています」

⭕ 「代表は68歳で後継候補なし。従業員12名・売上2.1億円の会社が廃業すれば、地元○○業界への供給が途絶え、取引先10社以上に影響が出る見込み。M&Aによる事業継続を選択する」

事業計画書は認定経営革新等支援機関にレビューしてもらい、確認書を発行してもらって初めて申請できます。認定支援機関のチェックには通常1〜2週間かかるため、締切ギリギリに依頼するのはNGです。

Step 5:jGrantsで電子申請する(所要時間:半日〜1日)

書類が揃ったらjGrants(https://jgrants-portal.go.jp/)から申請します。

提出が必要な書類(専門家活用枠の場合):

  • 事業計画書
  • 認定経営革新等支援機関による確認書
  • 直近2期分の確定申告書(または決算書)
  • 見積書(専門家への委託費用等)
  • GビズIDに紐づいた法人情報

申請書類の不備は一発アウトです。提出前に認定支援機関に最終確認を依頼しましょう。

Step 6:採択後の流れ — ここでも注意点がある

採択されても補助金がすぐもらえるわけではありません。流れを把握しておかないと落とし穴にはまります。

1. 採択通知 → 喜ぶのはいいが、まだ補助金は確定していない

2. 交付申請 → 採択後すみやかに提出(第6次から期限が厳格化傾向)

3. 交付決定 → この段階で初めて補助事業を開始できる

4. M&A仲介・FA等への発注 → 交付決定前の契約は補助対象外になる

5. 事業実施 → M&Aの成立に向けて専門家と作業を進める

6. 実績報告 → 領収書・契約書等を添付して報告

7. 補助金交付 → 実績報告の審査後に入金(後払い)

特に注意: 交付決定前にM&A仲介会社と契約してしまうと、その費用は補助対象外になります。補助金を使う意思がある段階でFAに「採択・交付決定を待ってから正式契約したい」と伝えておくことが大切です。

書類作成でよくある不備3選

不備1:M&Aの相手先が未定なのに「具体的な交渉進捗」を求められる

❌ 「相手先はまだ探している段階です」とだけ書く

⭕ 「○○年○月にM&A仲介会社に相談開始。現在マッチング中。仲介会社より○件の候補先リストが提示されている」

進捗の記述が曖昧だと審査に通りにくくなります。仲介会社と相談した経緯を時系列で書きましょう。

不備2:見積書の内容が不明確

❌ 「M&Aアドバイザリー費用:成功報酬500万円」

⭕ 「FA業務:IM作成・相手先発掘・交渉支援・契約書レビュー等 着手金100万円 + 成功報酬400万円(補助対象は着手金のみ)」

成功報酬は事業完了前に支払いが確定しないため、補助対象にならないことがあります。見積書で対象経費と非対象経費を明確に分けてもらうことが重要です。

不備3:実績報告に必要な書類を申請後に考え始める

❌ 採択後に「何が必要か」を調べ始める

⭕ 申請前から専門家への委託内容を文書化しておく(業務範囲・期間・成果物を明示した契約書を後で作れる形で準備)

実績報告では「補助金で何をやったか」の証拠が必要です。特に「何に対していくら払ったか」が分かる書類が揃っているか、申請前に専門家と確認しておきましょう。

2026年度の次回公募(第15次)に向けた準備チェックリスト

  • [ ] GビズIDプライムは取得済みか(未取得なら今すぐ申請)
  • [ ] M&Aを支援してくれる認定支援機関を1社以上探しているか
  • [ ] 直近2期分の決算書を手元に用意しているか
  • [ ] 自社のM&Aの目的(雇用維持・技術継承・事業継続)を言語化しているか
  • [ ] 専門家に「補助金申請前に正式契約しない」ことを伝えているか

準備が整っている企業は、公募開始から1週間以内に申請書を提出できます。公募期間は通常5〜6週間。早期提出が有利とは限りませんが、書類不備の修正余裕が生まれます。

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参考・出典

免責事項

本記事の情報は2026年4月7日時点の公募要領(中小企業庁・中小機構公表資料)に基づく参考情報です。補助金・助成金の制度内容は予告なく変更される場合があります。第15次以降の公募要件は変更される可能性があります。申請にあたっては、必ず公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。

著者・監修情報

執筆: 株式会社Uravation 補助金ナビ編集部

監修: 佐藤 傑(株式会社Uravation 代表取締役)

100社以上のAI研修・導入支援実績をもとに、中小企業のAI活用×補助金申請をサポートしています。AI導入の計画策定や補助金活用についてのご質問は、お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

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