新事業進出補助金

新事業進出補助金 完全ガイド|最大9,000万円・補助率1/2【2026年】

新事業進出補助金 完全ガイド|最大9,000万円・補助率1/2【2026年】

この記事の結論

新事業進出補助金は補助率1/2・最大9,000万円で中小企業の新規事業を支援。第4回公募は2026年6月19日締切。3つの事業類型・対象経費・口頭審査対策・採択率37.2%の審査ポイントを徹底解説。

「既存事業だけでは先が見えない」「AI やデジタルで新しい収益柱をつくりたい」。そんな中小企業の前向きな挑戦を、補助率1/2・最大9,000万円で支援するのが新事業進出補助金です。2025年に事業再構築補助金の後継として創設され、2026年度も第4回公募が始まりました。

この記事では、制度の仕組みから対象経費、口頭審査の乗り越え方まで、申請に必要な情報をひととおり整理しています。正直、補助金の中でもボリュームが大きい制度なので、読むのに少し時間がかかるかもしれません。でも、数千万円の補助を受けるチャンスを逃さないために、ぜひ最後まで目を通してください。


新事業進出補助金の補助額と補助率

この制度で最も気になるのは「いくら補助されるか」でしょう。結論を先に出します。

従業員数 補助上限額 大幅賃上げ時 補助率
20名以下 2,500万円 3,000万円 1/2
21〜50名 4,000万円 5,000万円 1/2
51〜100名 5,500万円 7,000万円 1/2
101名以上 7,000万円 9,000万円 1/2

※ 補助金の下限額は750万円です。つまり総事業費で最低1,500万円規模の投資が前提になります。
※「大幅賃上げ」とは、事業終了時点で「事業場内最低賃金+50円」かつ「給与支給総額+6%」を達成する場合に適用されます。

各補助金制度の補助率・上限額の比較は、AI導入に使える補助金5選 徹底比較で詳しくまとめています。

制度の全体像 ― 事業再構築補助金との違い

項目 内容
正式名称 中小企業新事業進出補助金
所管 経済産業省(中小企業庁)/独立行政法人 中小企業基盤整備機構
前身制度 事業再構築補助金(2021〜2024年度)
補助率 1/2
補助上限 2,500万〜9,000万円(従業員数・賃上げ有無により変動)
補助下限 750万円
対象者 中小企業・中堅企業等
申請方法 電子申請システム(GビズIDプライム必須)
口頭審査 あり(オンライン、約15分)
公式サイト 中小企業新事業進出補助金|中小企業基盤整備機構

事業再構築補助金から大きく変わったのは3点あります。

  1. 「縮小」から「進出」へ ― 既存事業の縮小が要件だった事業再構築と異なり、新事業進出補助金は「既存事業とは別の新しい事業に挑む」ことが軸。売上減少要件は撤廃されています。
  2. 口頭審査の導入 ― 書面だけでなく、申請者本人がオンラインで事業計画を説明する審査が加わりました。
  3. 補助率の一本化 ― 事業再構築では枠ごとに1/3〜3/4と幅がありましたが、新事業進出補助金は一律1/2にシンプル化されています。

支援対象になる3つの事業類型

新事業進出補助金が支援するのは、既存事業と「明確に異なる」新たな取り組みです。具体的には以下の3類型が定義されています。

類型1:新市場進出

新しい製品やサービスを開発し、これまでと異なる顧客層・市場を開拓する取り組みです。たとえば製造業が自社技術を応用してBtoC向けの新製品を開発する、飲食業がAIを活用したセントラルキッチン事業に進出する、といったケースが該当します。

類型2:事業転換

会社の主要な事業そのものを変える取り組みです。売上構成比で見て、新事業が最大の事業になることが求められます。たとえば印刷業からデジタルマーケティング事業への転換などが典型です。

類型3:業種転換

日本標準産業分類の大分類レベルで業種を変える、最もドラスティックな変革です。小売業から製造業への転換など、業種そのものが変わるケースです。

いずれの類型でも「過去に製造・提供したことがない」新規性が求められます。単なる既存製品の量産や、設備の老朽更新は対象外です。

AI導入・DX推進で補助対象になる経費

新事業進出補助金の対象経費は全9区分。なかでもAI・DX関連で活用しやすいのは以下です。

機械装置・システム構築費(必須経費の1つ)

  • AIを搭載した生産管理システムの開発・導入
  • AI検品用の画像認識カメラ・専用サーバー
  • 受発注管理の自動化システム
  • 機械装置の据付工事・改良費

建物費(必須経費の1つ)

  • 新事業用の工場・店舗・倉庫の建設・改修
  • サーバールームの設置工事
  • 設備導入に伴う電気・配管工事

重要:建物費または機械装置・システム構築費のどちらかは必ず計上する必要があります。ソフトウェア開発だけ、コンサルだけ、という申請はできません。

その他の対象経費

経費区分 AI・DX関連の活用例
技術導入費 AI技術のライセンス料、特許使用料
専門家経費 AI導入コンサルタント、データサイエンティストの謝金
クラウドサービス利用費 AWS・Azure・GCPのクラウドAI基盤利用料
外注費 AIモデルの開発委託、システム開発の外注
広告宣伝・販売促進費 新事業のWebサイト構築、デジタル広告
知的財産権等関連経費 特許出願費用、商標登録
運搬費 機械装置の輸送費

対象外になる経費(要注意)

  • 土地の取得費・賃借料
  • 汎用PCやタブレットの購入費(新事業に直結しない場合)
  • 既存事業のための改修工事
  • 不動産仲介手数料
  • 事業に不相応な豪華な内装工事
  • 人件費(本補助金では対象外)

第4回公募のスケジュールと申請までのロードマップ

マイルストーン 日付
公募要領公開 2026年3月27日(金)
申請受付開始 2026年5月19日(火)
応募締切 2026年6月19日(木)18:00
口頭審査 2026年7〜8月頃(予定)
採択発表 2026年9月頃(予定)

Step 1:GビズIDプライムを取得する(今すぐ、所要1〜2週間)

電子申請にはGビズIDプライムアカウントが必須です。法人の場合は印鑑証明書が必要で、取得に1〜2週間かかります。まだ持っていないなら、この記事を読み終わったらすぐに申請してください。
GビズID登録の完全ガイド

Step 2:認定経営革新等支援機関を選ぶ(4月中)

新事業進出補助金の申請には、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)と共同で事業計画を策定する必要があります。商工会議所、地域の金融機関、税理士事務所、中小企業診断士などが認定されています。補助金額が3,000万円を超える場合は、金融機関も関与する必要があるため、早めに相談を始めましょう。

Step 3:事業計画書を策定する(4〜5月、2〜4週間)

新事業進出補助金の審査で最も重要なのが事業計画書です。以下の要素を具体的に記載します。

  • 現在の事業の課題を数字で示す
  • 新事業の内容と新規性を明確にする(3類型のどれに該当するか)
  • 数値目標(付加価値額の年率平均3%以上の増加)を合理的に設定する
  • 実施体制・スケジュールを月単位で策定する
  • 資金計画(自己資金 or 金融機関からの調達方法)

Step 4:電子申請システムで申請する(5月19日〜6月19日)

GビズIDでログインし、電子申請システムから事業計画書や添付書類を提出します。入力途中でも一時保存が可能です。

Step 5:口頭審査を受ける(7〜8月頃)

オンライン(Zoom等)で約15分間、審査員に事業計画を説明します。代表者または事業責任者が自分の言葉で説明することが求められ、コンサルタントの同席は原則不可です。

Step 6:採択後、交付申請→事業実施→実績報告

採択通知を受けたら、交付申請を行い、交付決定を受けてから事業を開始します。完了後に実績報告書を提出し、検査を経て補助金が交付されます。

第1回の採択率37.2% ― 審査で評価されるポイント

公募回 応募件数 採択件数 採択率
第1回(2025年7月締切) 3,006件 1,118件 37.2%
第2回(2025年12月締切) 未公表 未公表 2026年3月頃発表予定
第3回(2026年3月締切) 未公表 未公表 2026年7月頃発表予定

出典:中小企業新事業進出補助金 採択結果(参照日: 2026-03-28)

採択率37.2%は「3社に1社が通る」水準です。事業再構築補助金の後期(30%台)と同水準で、決して高くはありません。審査で重視されるポイントは以下の4つです。

  1. 事業の新規性 ― 「既存事業と明確に異なる」ことを具体的に説明できているか
  2. 事業計画の妥当性 ― 売上予測・投資計画の根拠が合理的か。「なんとなく儲かりそう」では通りません
  3. 実施体制の実現可能性 ― 代表者1人で全部やる計画は疑念を持たれます
  4. 付加価値額の成長 ― 年率平均3%以上の付加価値額増加が達成可能か

口頭審査を乗り越えるために準備すべきこと

新事業進出補助金で最も不安に感じる方が多いのが口頭審査です。ただし、これは「ふるい落とし」ではなく「確認の場」。事業計画を自分の言葉で説明できれば、過度に構える必要はありません。

口頭審査の基本情報

  • 形式:オンライン(Zoom等)、約15分(説明5〜10分 + 質疑応答5〜10分)
  • 対応者:申請者本人(代表者 or 事業責任者)。認定支援機関・コンサルの同席は原則不可
  • 審査員が見ているのは:計画への理解度、新事業への熱意、主要数値(売上計画・投資額・付加価値額・賃上げ率)の把握

準備のチェックリスト

  • 事業計画書を最低3回は読み返す
  • 主要な数値(投資額、売上目標、補助金額、付加価値額)を暗記する
  • 「なぜこの事業なのか」を30秒で説明できるようにする
  • 想定質問5〜10個に対する回答を用意する
  • 社内で模擬面接を1〜2回やっておく

よくある不備で申請が通らないケース

不備1:交付決定前に設備を発注してしまう

❌ 採択通知が来たので、すぐに工事業者に発注した
⭕ 交付決定通知を待ってから発注・契約した

なぜ致命的か:交付決定前に発注した経費は一切補助対象になりません。採択≠交付決定です。この制度では数千万円規模の投資が多いため、ここを間違えると損失も桁違いになります。

不備2:新規性の説明が弱い

❌ 「AIで業務効率化を図る」(既存事業の改善にしか見えない)
⭕ 「自社の溶接技術+AI画像解析で、建物の老朽化診断という新サービスを提供。これまでの製造業から点検サービス業へ事業転換する」

なぜ重要か:「既存事業の延長」と判断されると、そもそも審査の土俵に乗りません。新規性を具体的に、3類型のどれに該当するかを明確に書きましょう。

不備3:付加価値額の計算を間違えている

❌ 付加価値額 = 売上高 と記載する
⭕ 付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費 で正しく計算する

なぜ重要か:年率3%以上の付加価値額成長が要件です。計算方法を間違えると、要件未達で不採択になります。

不備4:資金調達の裏付けがない

❌ 「自己資金で対応する」(数千万円の自己資金の根拠なし)
⭕ 「金融機関から○○万円の融資内諾を得ている」「直近3期の利益剰余金○○万円を充当」

なぜ重要か:補助金は後払いです。事業費を先に全額支払う必要があるため、資金調達計画が不明確だと「本当に実行できるのか」と疑われます。

他の補助金と何が違うのか

制度 補助率 補助上限 最低投資額 向いているケース
新事業進出補助金 1/2 最大9,000万円 1,500万円〜 新規事業・事業転換
ものづくり補助金 1/2〜2/3 最大1,250万円 数百万円〜 既存事業の革新的改善
デジタル化・AI導入補助金 1/2〜4/5 最大450万円 10万円〜 ITツール・AIソフト導入
中小企業成長加速化補助金 1/2 最大5億円 数千万円〜 大型設備投資

新事業進出補助金を選ぶべき場面:既存事業とは明確に異なる新しい事業を始めたい、投資規模が1,500万円以上、事業転換や新市場への進出を考えている場合。既存事業の生産性向上が目的なら、ものづくり補助金やデジタル化・AI導入補助金の方が申請しやすいです。

→ 制度の詳しい比較はAI導入に使える補助金5選 徹底比較をご覧ください。

統合の動き ― ものづくり補助金との一本化

2026年度中に、新事業進出補助金はものづくり補助金と統合され、「新事業進出・ものづくり補助金(仮称)」として再編される予定です。統合後は3つの枠(新事業進出枠・ものづくり枠・グローバル枠)に再編されると見込まれています。

ただし、現行の第4回公募(締切:2026年6月19日)は現行制度で実施されます。統合前の制度で申請したい場合、第4回が実質的なラストチャンスになる可能性があります。

今からやるべき3つのアクション

  1. 今日やること公式サイトから第4回公募要領をダウンロードして、対象要件を確認する
  2. 今週中:GビズIDプライムの取得状況を確認。未取得なら即申請する(手順はこちら
  3. 4月中:認定支援機関に相談し、事業計画書のドラフト作成を開始する

AI導入の計画策定や、新事業進出補助金の活用についてのご質問は、お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。


この記事は補助金ナビ編集部がお届けしました。


参考・出典


免責事項

本記事の情報は2026年3月28日時点の各省庁・事務局の公表資料に基づく参考情報です。補助金・助成金の制度内容は予告なく変更される場合があります。申請にあたっては、必ず公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。本記事の情報に基づく申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。

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