愛知県・名古屋市には、中小企業のDX・デジタル化を支援する独自の補助金が複数あります。国の補助金と組み合わせることで、導入コストを大幅に抑えられるのが地域制度の強みです。本記事では2026年度に申請可能な5つの支援制度を、補助額・補助率・対象経費の3軸で比較しながら解説します。
愛知県・名古屋市DX補助金 比較一覧表
| 制度名 | 上限額 | 補助率 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 愛知県デジタル化・DX支援補助金 | 200万円 | 1/2(小規模2/3) | 県内中小企業 |
| 名古屋市デジタル活用支援補助金(通常枠) | 100万円 | 1/2 | 市内中小企業 |
| 名古屋市デジタル活用支援補助金(賃上げ枠) | 150万円 | 2/3 | 賃上げ実施企業 |
| 名古屋市デジタル活用支援補助金(ロボット枠) | 500万円 | 1/2 | ロボット導入企業 |
| あいちDXアドバイザー派遣(無料) | 無料 | — | 県内中小企業 |
①愛知県デジタル化・DX支援補助金
基本データ
| 補助上限 | 200万円 |
|---|---|
| 補助率 | 1/2以内(小規模事業者は2/3以内) |
| 対象経費 | ソフトウェア購入費、クラウド利用料、外注費、専門家経費 等 |
| 公募期間(2026年度) | 2026年4月1日〜6月11日(予定) |
| 対象者 | 愛知県内に主たる事業所を有する中小企業・小規模事業者 |
愛知県が独自に実施するデジタル化支援制度で、ITツール導入からAI活用まで幅広い経費が対象です。小規模事業者は補助率が2/3に優遇されるため、従業員20人以下の企業は特に活用したい制度です。
申請のポイント
- DX推進計画書の作成が必須 — 現状課題→目標→導入効果を具体的に記載
- IT導入支援事業者との連携が加点要素
- 過去に同制度を利用していても、別事業であれば再申請可能
②名古屋市デジタル活用支援補助金(通常枠)
名古屋市独自の補助金で、補助上限100万円・補助率1/2。クラウド会計ソフトやRPA、チャットボットなどの導入に使えます。市内に本社または主たる事業所がある中小企業が対象です。
対象となる経費の例
- ソフトウェア・クラウドサービスの購入・利用料(最大12か月分)
- ハードウェア購入費(補助対象経費の1/2以内)
- 導入に伴うコンサルティング費用
- 従業員向けIT研修費
③名古屋市デジタル活用支援補助金(賃上げ枠)
通常枠の上位版で、賃上げを実施する企業は補助上限150万円・補助率2/3に優遇されます。具体的には、事業計画期間内に従業員の給与を3%以上引き上げることが条件です。
デジタル化で生産性を向上させつつ、その利益を従業員の待遇改善に還元する——この好循環を実現する企業を優遇する仕組みです。
④名古屋市デジタル活用支援補助金(ロボット枠)
製造業・物流業向けの特別枠で、補助上限はなんと500万円。産業用ロボットや協働ロボットの導入、ロボットを活用した自動化ラインの構築が対象です。
ロボット枠のポイント
- 補助率は1/2だが、上限が500万円と大きい
- ロボット本体だけでなく、周辺機器・設置工事費も対象
- SIer(システムインテグレータ)への外注費も補助対象に含まれる
- 導入後の生産性向上KPIの設定が必須
⑤あいちDXアドバイザー派遣事業(無料)
「何から始めたらいいかわからない」という企業向けの無料支援制度です。愛知県が認定したDXアドバイザーが企業を訪問し、課題診断から導入計画の策定まで伴走支援します。
- 派遣回数: 最大5回(1回2時間程度)
- 費用: 完全無料(県が全額負担)
- 支援内容: 現状診断、課題整理、ツール選定、導入計画策定
- その後の補助金申請もサポートしてもらえる
愛知県の制度を最大限活用するための戦略
戦略1:国+県+市の3段階併用
愛知県・名古屋市の補助金は、国の補助金と併用可能なケースが多いのが特徴です。例えば、IT導入補助金(国)で基幹システムを導入し、名古屋市デジタル活用支援補助金でAIツールを追加導入する「2段階申請」が可能です。合計で導入コストの70〜80%をカバーできるケースもあります。
戦略2:無料アドバイザー派遣から始める
「どの補助金が自社に合うかわからない」という場合は、まずあいちDXアドバイザー派遣事業(無料)を活用しましょう。専門家が現状分析から最適な補助金の選定、申請書類のアドバイスまで無料でサポートしてくれます。この事業を利用した上で補助金申請すると、事業計画の質が格段に上がります。
戦略3:申請時期を分散させる
名古屋市のデジタル活用支援補助金は通年募集(先着順)のため、予算消化が早い年度は4〜5月の早期申請が有利です。一方、愛知県の補助金は公募期間が決まっているため、年間スケジュールを確認して計画的に準備しましょう。→ 2026年度補助金スケジュール一覧
愛知県特有の注意点
- 名古屋市の補助金は名古屋市内に本店がある企業が対象(支店のみでは不可)
- 愛知県の補助金は県内全域が対象だが、名古屋市の制度と同一経費での重複受給は不可
- ロボット枠は製造業・物流業が中心だが、介護・飲食業でも活用実績あり
申請フロー(共通)
愛知県・名古屋市の補助金は概ね以下の流れで申請します。
- 公募要領の確認 — 各制度の公式サイトで最新情報をチェック
- GビズIDの取得 — 電子申請に必要(プライムアカウント推奨)
- DX推進計画の作成 — 現状→課題→目標→導入内容→効果を整理
- 見積書の取得 — ITベンダーから2社以上の見積りを取得
- 申請書の提出 — 電子申請システムから提出
- 審査・採択通知 — 書類審査(一部制度はヒアリングあり)
- 事業実施・実績報告 — 交付決定後に事業開始、完了後に報告
国の補助金との併用で最大化する方法
愛知県・名古屋市の補助金は、国の補助金と併用できるケースがあります(同一経費への二重申請は不可)。例えば以下の組み合わせが有効です。
- ハードは名古屋市ロボット枠(500万円)+ ソフトはIT導入補助金で申請
- 愛知県補助金でコンサル費用をカバーし、ものづくり補助金で設備費を申請
- まずDXアドバイザー(無料)で計画を固めてから、最適な補助金に申請
❌よくある失敗と⭕対策
- ❌ 公募開始前に契約・発注してしまう → ⭕ 交付決定後に契約が鉄則。事前着手は対象外
- ❌ 愛知県と名古屋市の制度を混同 → ⭕ 所在地に応じて申請先を確認(名古屋市内企業は両方申請可能)
- ❌ 見積りが1社だけ → ⭕ 原則2社以上の相見積りが必要
- ❌ DX計画が「ツール導入」だけ → ⭕ 経営課題の解決と紐づけて記載する
まとめ:愛知県でDX補助金を活用するなら
愛知県・名古屋市のDX補助金は、国の制度と比べて競争率が低く、採択されやすい傾向があります。特に名古屋市のロボット枠(500万円)は製造業にとって見逃せない制度です。まずは無料のDXアドバイザー派遣で自社の課題を整理し、最適な補助金を選びましょう。
補助金の申請には専門知識が必要です。株式会社Uravationでは、AI・DX導入に特化した補助金申請サポートを行っています。お気軽にご相談ください。
執筆: 株式会社Uravation 補助金ナビ編集部
監修: 佐藤 傑(株式会社Uravation 代表取締役)
※本記事は2026年3月時点の情報に基づいています。最新の公募要領は各制度の公式サイトをご確認ください。補助金の採択を保証するものではありません。
あわせて読みたい
補助金を活用したAI・DX導入のご相談は、Uravationのサービス一覧をご覧ください。
愛知県・名古屋市のDX成功事例
製造業のAI活用事例
愛知県は製造業が盛んな地域であり、DX補助金を活用したAI外観検査システムの導入が増えています。ある自動車部品メーカーでは、あいちスタートアップ支援補助金を活用してAI画像検査を導入し、検査工数を70%削減しました。補助金で初期コストの2/3をカバーできたことが導入の決め手となりました。
小売・サービス業のデジタル化事例
名古屋市内の飲食チェーンでは、名古屋市新事業支援助成金を活用してAI需要予測システムを導入。食品ロスを35%削減しながら、欠品率も改善させました。中小企業の場合、まずはPOSデータの分析やSNS集客のデジタル化から始めるケースが多く、100万円以下の小規模投資でも十分な効果が得られます。
申請を有利に進めるための地域リソース
愛知県ではあいち産業振興機構がDX推進の総合窓口となっており、無料の専門家派遣やセミナーを定期的に開催しています。名古屋市の場合は名古屋市中小企業振興センターが補助金申請の相談に対応。さらに、愛知県よろず支援拠点では経営全般の無料相談が可能です。これらの支援機関を活用することで、採択率が大幅に向上します。
愛知県の2026年度注目の新制度
2026年度、愛知県では自動車産業のEV転換支援を目的とした新しい補助金制度が複数創設されています。「あいちEV関連産業創出補助金」では、EV部品製造やバッテリーリサイクルなどの新事業に対して最大1,000万円の補助が受けられます。
名古屋市では「名古屋スタートアップ・エコシステム推進補助金」が拡充され、AI・フィンテック分野のスタートアップに対して、最大500万円の事業化支援が行われています。設立5年以内の企業が対象で、採択後はメンターによる伴走支援も受けられます。
さらに、愛知県と名古屋市が共同で運営する「STATION Ai」(2024年開業のスタートアップ支援施設)では、入居企業向けの補助金活用セミナーが毎月開催されており、申請書の書き方から採択後のフォローまで一貫したサポートが受けられます。非入居企業でもオンラインセミナーは無料で参加可能です。
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愛知県のDX補助金申請における成功のコツ
愛知県のDX補助金で採択率を高めるための3つの実践的なコツを紹介します。
1. 製造業のDXテーマで申請する:愛知県は「モノづくり県」として製造業のDX推進を重点政策に掲げています。AI外観検査、IoTによる設備稼働率モニタリング、デジタルツイン活用など、製造業のDXテーマは審査で高く評価されます。非製造業でも、自社の課題を「生産性向上」の観点で整理すると採択されやすくなります。
2. 地域の産学連携を活用する:名古屋大学、名古屋工業大学、豊橋技術科学大学など、愛知県内の大学はDX研究で豊富な実績があります。大学の研究成果を自社の事業に活用する計画を盛り込むことで、技術的な裏付けが強化され採択率が向上します。
3. 補助金説明会に必ず参加する:愛知県や名古屋市が開催するDX補助金の説明会では、審査のポイントや過去の採択事例が紹介されます。説明会への参加自体が加点要素となる制度もあるため、案内が届いたら必ずエントリーしましょう。説明会はオンラインでも開催されており、県外からの参加も可能です。
名古屋市のスタートアップ支援との連携
名古屋市は「NAGOYA BOOST 10000」などのスタートアップ支援プログラムを通じて、DX補助金と起業支援を組み合わせた包括的な支援を提供しています。ビジネスプランコンテストの入賞者には補助金申請時の優遇措置があるほか、メンターマッチングや投資家とのネットワーキング機会も得られます。創業5年以内の企業は積極的に活用すべき制度です。
また、愛知県では「Aichi-Startup戦略」のもと、AI・ロボティクス分野のスタートアップを重点支援しており、研究開発補助金や実証実験フィールドの提供なども行われています。これらの支援制度は民間の補助金・助成金と併用できるケースが多いため、複数の制度を組み合わせることで初期投資の負担を大幅に軽減できます。